小ロットのオーダーメイド焙煎で、ホテルの顔となる香りと味わいを提供
【Q】御社のコーヒーの特徴を教えてください。
取締役:当社は、国内有数のコーヒーロースターとして、生豆の選別から研究開発、製造、販売まで一貫して手掛けてきました。お得意先様は半世紀近くお付き合いのある横浜の喫茶店から、チェーン展開する飲食企業、また日本や世界を代表する一流ホテルやレストランと多岐にわたります。
特に大手外資系ホテルでは、コーヒーを「あのホテルでしか味わえない」「あのホテルといえばこの味」といったブランディングが重要になります。そのため業務用コーヒーはお得意先様のご要望をうかがい、顧客ごとはもちろん朝食などのシーンごとに豆の選定や配合比率、焙煎の深さなどを細かく調整し、ホテルの顔となる味や香りにカスタムしています。味の感じ方は人それぞれですので、オリジナルブレンドは味覚センサーを用いて味を数値化し、独自の焙煎技術で顧客の細かなご要望にお応えしています。
顧客ごとに小ロットでオリジナルブレンドをつくるのは効率的とはいえませんが、コーヒーは嗜好品です。大手ロースターでは難しい細やかな対応は、我々の規模だからこそ可能ともいえます。その先頭に立てるのが当社のコーヒーの最大の特徴、強みで、見方を変えれば弱みでもあります。
取締役
【Q】弱みとはどういったことでしょうか?
取締役:やはり効率の悪さは企業の成長にとってネックになります。コーヒーのカスタムのように多少効率が悪くても手をかけるべき領域がある一方で、フローを見直して効率化すべき業務もあるはずです。
たとえば、当社は北海道から沖縄まで全国に約40の支店や営業所などの事業拠点があります。営業担当者一人当たりの売上は、同業大手と比較して当社は約40%程度というのが現状です。もちろん企業規模や事業構造が違うので単純な比較はできませんが、それでも改善すべき点があると考え、非効率な業務を見直してコスト削減に取り組んでいます。
具体的には、社内の基幹システムをすべて入れ替え、組織体制や業務フローを抜本的に刷新するプロジェクトが進行中です。2020年7月からは、特に規模の小さな飲食店様などにウェブから無料で発注いただける『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』を、コーヒーの流通が多くIT化の推進力もある東京の日本橋支店に導入しました。
【Q】コロナ禍での新システム導入に、延期や中止という選択はありませんでしたか?
逆に今だからこそ取り組むプロジェクトだと思っています。コロナ禍で下がった売上を取り戻すには、それこそマスクなどニーズのある商品を売るか、業務改善やコスト削減で出ていくお金を減らすか、選択肢は多くありません。
ちょうど働き方改革関連法が成立したのが2年前の2018年でした。それに応じた残業時間の削減や業務改革に、システム化は不可欠です。システム化で内勤業務を削減し、そのぶん営業にかける時間を増やす体制を考えています。
