株式会社スタイルスグループ掲載日 2021年5月18日

仕入れのシステム化で店舗ごとの損益確認を徹底。
スピード感ある経営で、7割経済の市場を切り開きます。

利用サービス 受発注(発注) | エリア 東北 | 事業内容 飲食店の経営、商業施設・飲食店舗のプロデュースなど | 取材日 
株式会社スタイルスグループ

宮城県仙台市を拠点に、地産地消を取り入れた居酒屋業態17店を展開するスタイルスグループ。コロナ禍で居抜き物件を海鮮食堂にリノベーションしたほか、地元食材の物販やテイクアウトを強化してきました。
代表取締役の佐々木浩史社長は、見通し不透明な時こそコストの見直し、早期の店舗損益把握、選択と集中のスピード感ある事業展開が必要と説きます。

ココがPOINT!

    

宮城産食材を扱う業態で地域の魅力を発信

― 宮城の食材をメインにした業態が多いですね。

代表取締役社長 佐々木浩史氏(以下、佐々木社長):当社が運営する店舗は、地元でとれた海産物を提供する居酒屋や海鮮食堂が主軸ですが、ほかにも宮城のブランド牛や豚肉を扱う肉バル業態など、県内に13店、東京に4店展開しています。地元の生産者さんとのつながりを重視しており、鮮魚や野菜などは地産地消をなるべく取り入れて、東北の魅力的な食材をお届けしています。

代表取締役社長 佐々木 浩史 氏代表取締役社長
佐々木 浩史 氏

― 新型コロナウイルスの影響はいかがですか。

佐々木社長:災害としてよく東日本大震災と比較されるのですが、衝撃のインパクトは震災の方が圧倒的にひどかったです。街が壊滅し、沿岸地域では津波で多くの人が亡くなりましたから。ただ震災の場合は、昨日より今日、今日より明日の方が確実に良くなっています。復興はしていませんが、10年たってそれなりに形ができてきました。

しかし、コロナ禍は得体が知れず終わりも見えません。震災時は局地的に被災を受け、ほかのエリアの方々が支援に来ていただくこともあり、まだなんとか頑張ろうという希望が持てましたが、コロナ禍ではみんなが壊滅的な状況です。実感が湧かずもやっとする中で、半年後は確実に良くなっているとも言えません。

当社が拠点とする仙台は東京と連動した支店経済都市です。このため、首都圏が自粛すれば仙台も自粛します。これまでしてきた居酒屋という時間と場所を提供する仕事が全否定され、経済的に相当振り回されていると感じます。店舗の営業もままならない中で何かしなければと考え、社員のモチベーションを少しでも上げるために色々やっているところです。

    

低コストで海鮮居酒屋を出店

― どんな取り組みをされているのですか。

佐々木社長:2020年4月末に、国道沿いの店舗の前で、新鮮な野菜や海産物のセット、できたてのお弁当やお惣菜などをドライブスルー形式で販売しました。7月には、JR仙台駅前で宮城県産の殻付き牡蠣やホヤ、みやぎサーモンなどが楽しめる飲食店「みやぎ鮮魚店」をオープンしています。

また、「みやぎ鮮魚店」の隣にはもともと、ちょっとおしゃれなバルがありました。そこを60万円でリノベーションし、「おさかなセンターイチノイチ」という寿司、焼き魚をメインにした居酒屋を作りました。1千万円くらいかけたのかと周囲にいわれることもありましたが、もともとローコストで居抜き店舗の見せ方を変えるのが当社は得意なのです。やはりコロナ禍では、選択と集中が重要です。目途の立たない業態を無理して広げるのではなく、悪いなりにもまだ頑張れそうな業態に集中していくことを意識しています。

今後は特に物販に力を入れていきますが、ただ売るだけではスーパーやお弁当屋さんとの差別化ができませんし、従業員のモチベーションも上がりません。ここでは道の駅のようにまず売り場を出し、お客様はその流れで飲食スペースに入っていただき、気に入られたらお食事するという流れを作りました。まずは、何も買わなくてもよいので店内に入っていただくことが重要なのです。

飲食店が生き残るにはコストバランスの見直しを

― 飲食店がコロナ禍を乗り越えるために、重要なことは何でしょうか。

佐々木社長:コロナ禍で人々の価値観が変わり、外食がビジネススキームとして成り立つのか否かが厳しく問われています。去年の自粛期間などはまだ序の口で、あれから1年経った今はどの外食企業も崖っぷちです。売上に関しては、コロナ前の基準値を100とすると、100まで回復するのは厳しいと思っています。人々がお金を使う感覚や様式が変わってしまったからです。だから「100への回復を待ってじっと耐えましょう」というのは甘くて、これからは7割経済を前提にビジネススキームを見直していくべきです。そうすると、例えば今までかけてきたコスト、たとえば人件費や仕入れ原価も、適正でなくなる可能性が極めて高くなり、検討し直していく必要があります。

もちろん当てずっぽうではダメです。たとえば今まで原価率35%だったものを、25%にするとしましょう。今までと同じ仕入れ先から同じ金額で買っているなら、メニューを値上げするしかありません。しかし、値上げするだけでは話になりません。値上げした分に見合う商品開発をどうするかを考えるべきです。ストーリーのある食材や生産者とつながりを持つなど、仕入れの仕方を抜本的に見直す必要が出てきます。

広告宣伝費に関しても、有料グルメサイトへの登録は本当に必要なのか。それよりも自社サイトやSNSの活用をすべきかもしれません。最も大きな固定費となる家賃も、例えば固定ではなく売上の10%にするなど、家主とともに柔軟に設定していくべきだと思います。デパ地下ではすでにそういう仕組みですから。

― キャッシュの把握がより重要になるのですね。

佐々木社長:当然、キャッシュが尽きれば会社は終わりですから、どこに何を使って、それがキャッシュのランニングにちゃんと繋がっていくかを見極める必要があります。

また、正確な損益の把握も重要です。当社では店舗ごとの月次損益を月末締め翌月10日に出しています。10日でできるのは仕入れの請求管理をインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を使っているからで、会計ソフトに仕入れデータで読み込ませているので、金額を手入力することもありません。取引内容を調べる際も、各店の仕入れ状況がすべてデータとして残っているので調査が容易です。

毎月一度の棚卸でも、全店で統一した条件で棚卸金額を把握しています。当社は地元でとれた海産物をボックスで仕入れているのですが、取引単位が魚の種類や大きさによってキロ、箱などと変わることがあります。エクセルで棚卸の集計をすると、店長や料理長によって属人的になってしまうのです。これが受発注システムの『棚卸機能』を使うと、単価単位が違うとエラーメッセージが出て気付けるので、間違いもありません。

7割経済を前提に、スピード感ある事業を展開

― 今後の展望を教えてください。

佐々木社長:そもそも論で言うと、コロナ禍になって痛感したのは、我々の飯のタネとなっている主力事業が居酒屋なので、リスクを分散できていなかったという反省でした。今後も何があるか分からないので、リスク分散は欠かせません。その中で当社が今着手しているのは、回転型の業態でのリスク分散です。分かりやすく言えば、駅前のスイーツ業態などです。いつになるのかは分かりませんが、コロナ禍は必ず収束します。それまで倒れないよう、スピード感をもってやっていくべきでしょう。

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設立1998年3月6日(飲食事業2008年)
事業内容飲食店の経営、商業施設・飲食店舗のプロデュースなど
代表者代表取締役社長 佐々木浩史
本社所在地宮城県仙台市青葉区一番町2-6-17 内ヶ崎ビル5階
企業サイトhttps://styles-group.com/
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