株式会社ホテル京阪掲載日 2021年12月23日

食の安全・安心はブランド構築の要。
情報管理とチェック体制の仕組み化で守ります。

利用サービス 規格書(買い手) | エリア 関西 | 
事業内容 レジャー・サービス業 | 取材日 
株式会社ホテル京阪

大阪や東京など各地に14の宿泊施設を展開するホテル京阪様。1977年の設立以来、京阪グループの宿泊事業としてブランドを築き、多くのお客様に支持されてきました。2013年に全国で起きた食品偽装問題を機に、社内体制を一新。食品情報のIT管理で正確性と生産性の向上にも努めています。「食の安全・安心対策に終わりはない」と語る常務取締役の西川正浩氏に、体制づくりと思いを伺いました。

ココがPOINT!

ホテル京阪、グランデの2ブランド14施設を展開

― ホテルのブランドの特徴を教えてください。

常務取締役 事業本部長 西川正浩氏(以下、同):当社は、便利なロケーションでビジネス利用を主とする「ホテル京阪」と、洗練されたワンランク上の質感を演出する「ホテル京阪グランデ」の2ブランド14施設を展開しています。ほかにユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオフィシャルホテルである「ホテル京阪ユニバーサル・タワー」も運営しています。京阪グループが長い歴史のなかで築いてきた信頼と安心のブランドに、寛ぎを加えた企業理念のもと、お客様の多様なニーズに応えるホテル運営を行ってきました。

常務取締役 事業本部長 西川 正浩 様常務取締役 事業本部長
西川 正浩 様

食品表示偽装問題をきっかけに、チェック体制を強化

― 食の安全・安心にはどのように取り組まれていますか?

当社では、すべての施設でメニューのアレルギー表示をはじめ、原産地表示などを実施しています。きっかけは、2013年に全国で起こった食品表示偽装問題でした。当社でも不適切なメニューの表示があり、社内では直ちに「食の安全と信頼を得る委員会」を作りました。

当時、最も大きな問題だったのは、現場がすべてのメニューを決めて商品を仕入れ、そのままお客様に提供していた点です。すべてが現場に一任され、社内外のチェック体制が機能していませんでした。この反省から我々は、お客様に提供する全メニューを販売前に社内のワークフローシステムで申請し、本部もチェックする体制を整えました。

チェックする際のルールブックは消費者庁のガイドラインに従って作成し、2020年からは食品衛生法の改正によるHACCP制度への取り組みも追加しました。肉、魚、産地を特定するものの表記などの基準を定め、監査項目を80ほど挙げています。代表的な食材でいうと、オマール海老やロブスター、アワビもどき(ロコガイ)、ステーキで使用する牛脂注入肉などがあり、メニュー名などにもルールを規定しています。ルールを徹底するとどうしても面白くないメニューになってしまうといったジレンマもありますが、安全・安心には変えられません。

 

社内外の監査を月1回ずつ繰り返す

― 従業員教育はどのようにされていますか?

本部の衛生管理担当者と外部の監査機関が、それぞれ月1回の頻度で交互に施設を検査しています。本部では「食の安全と信頼を得る委員会」を毎月開催し、食品の取り扱いや衛生に対する注意などを情報共有しています。施設側にとっては毎月チェックしに来ることになり、気が抜けないと言われることもあります。

  

アレルギー情報のIT管理で正確・時短化

― アレルギー表示については、どのように対応されていますか?

メニューごとにアレルギー表示した星取表を作成し、施設の厨房に設置するほか、朝食のビュッフェではアレルギーのピクトグラムを表示したメニューポップを設置しています。

食材の仕入れは本社が全施設の分を一括購入しているのですが、その時に食品の情報をもとに手作業でアレルギーを検索して集約していました。40~50種類のメニューを提供するビュッフェ料理では、丸一日かけても作り終えず、間違いがないかのチェックを経て完成させるまで1週間かかることもありました。かなりの手間がかかりますし、最終チェックできる者が少ないので業務が属人化しがちになります。生産性が低いと言わざるを得ない状態です。また、仕入れ先の食品卸や食品メーカーに提出いただく規格書※が最新のものか分からないという課題もありました。

※食品の原材料やアレルギー、原料原産地などの情報を記載した書類

メニュー別アレルギー表記(クリックで拡大表示)

このため2021年10月に、インフォマートの規格書管理システム『BtoBプラットフォーム規格書 』を導入したのです。このシステムを採用した1番の理由は、情報更新の早さです。仕入先が規格書を更新すれば、すぐに当社のデータに反映されます。メニューごとのアレルギーを管理できる機能『メニュー管理 』と組み合わせることで、アレルギー表を作成する時間が大幅に減り、生産性も上がると期待しています。

また、このシステムは各種法令に対応して適宜更新される点も信頼できます。2022年には加工食品の原料原産地表示が完全義務化されます。当社では焼き菓子などの外販商品を取り扱っており、ここでも表記のチェック体制を強化していきます。

問題が起きた2013年からは8年経ち、PDCAサイクルの仕組みは確立できたと思っています。もちろんチェック体制の確立が目的ではなく、確立した中で安全な厨房を担保し、安全・安心なメニューを提供していくことが目的です。「食の安全・安心」は終わりがありません。愚直にやり続ける中で慣れてしまわないように、きちんと仕組み化することが必要です。

生産性を上げた先に、お客様の満足度がある

― 今後の展望をお聞かせください。

現在、多くの業界でDXがクローズアップされています。当社でもIT化で工数を削減し、食の安全・安心に関わる情報の正確性と生産性を上げることが重要だと考えています。そして、今までかかっていた労力を他の業務に振り分けて、お客様の満足度や信頼を高めていきたいですね。

ホテル京阪という会社が果たすべき役割は、食の安全・安心に対して今後も真摯に向き合うこと、またそのレベルを向上させていけることが重要だと考えています。

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株式会社ホテル京阪

設立1977年9月1日
事業内容レジャー・サービス業
代表者代表取締役社長 山田 有希生
本社所在地大阪府大阪市中央区大手前1丁目7-24京阪天満橋ビル3階
企業サイトhttps://www.hotelkeihan.co.jp/
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