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  農ぶらんど サクセスストーリー 2002年2月号 第1回  
西村好史さん
高知県・大野見村
西村好史さんの四万十生姜
萩原義彦さん
愛媛県・松山市
(株)一六
   四国の銘菓「一六タルト」で名高い(株)一六は、和食の「レストラン北斗」、「うどん茶屋北斗」「海鮮北斗」「カジュアル北斗」など、四国エリアで幅広くレストラン事業を展開している。今回、「うどん茶屋北斗」のメニューに、農ブランドの「四万十生姜」が導入された。その経緯とお客さんの手応えについて、仕入・開発担当マネージャーの萩原さんに、お話をうかがった。
 
たらいうどん。食べる直前に四万十生姜をすることで、味と香りを楽しめる

新メニューの目玉を…

   萩原さんが、初めて「四万十生姜」に出会ったのは、去年の夏。「うどん茶屋北斗」の秋から冬へ向けての新メニューを開発していたときだった。

 「新しいメニューの目玉になるような、おもしろい食材はないかなと、農ぶらんどの画面上を探していたら『四万十生姜』の文字が、目にとまりました。生姜はうどんの薬味に欠かせませんし、清流四万十川はお客さんのイメージもいい」

 早速、高知県大野見村の生産者、西村好史さんからサンプルを取り寄せた。
「たしかに色もきれいだし、香りもいい」

 
   価格的にも新メニューに盛り込むことができそうだ。こうして「四万十生姜」は、「うどん茶屋北斗」の看板商品ともいえる「ぶっかけうどん」、大きなたらいから、うどんをすくいあげて食べる「たらいうどん」の薬味として、昨年9月からメニューに加わった。

お客さんに生姜をすってもらおう

  香川県を中心に、うどん文化が発達している四国は、まさに「うどん王国」。それだけにお客さんも味や品質には敏感で、商品に対するこだわりも強い。麺、つゆがおいしいのは当たり前。そこに添えられる薬味も鮮度が要求される。

 通常、薬味の生姜はおろした状態で提供されるが、萩原さんはこう考えた。
「せっかくいい生姜を仕入れたのだから、お客さんに自分ですってもらおう」

 こうして「ぶっかけうどん」「たらいうどん」を注文したお客さんには、小さなブロックに切り分け、半分だけ皮をむいた生姜のブロックと、おろし器がセットで提供されることになった。

 お客さんが自分で生姜をする。つまり調理の一工程をお客さんに委ねることになるわけだが、誰も文句をいう人はいない。それよりも、
「これはおもしろい」
「やっぱりすり立ては、香りがいいわあ」

 という声が多いようだ。同じ生姜でも、もし調理場ですっていたら、香りは客席に届く前に半減してしまう。お客さん自身がすることで、初めて堪能できる。味と並んで香りもまた「四万十生姜」の大切な持ち味なのだ。
「家族連れのお客様の中には、『僕がやるー』『私もー』と、お子さんがわれ先にと生姜をする光景も見られます。それで会話が弾んだり、場が和んだり。四万十生姜には食事の場を盛り上げる演出効果もあるようです」



うどん茶屋北斗
砥部店(愛媛県伊予郡砥部町)

大きいから鮮度も抜群

   それまで「うどん茶屋北斗」では、あらじかめすり下ろされた業務用の生姜を使っていたが、新メニューの導入以降、店で使用する生姜をすべて「四万十生姜」に切り換えた。
「お客さんがすり残した生姜は回収して、調理場ですりおろし、他の料理に使っているので、ロスはありません」

 西村さんからは、1ポーション500g前後の大きなブロックのまま、4キロ箱詰めの状態で送られてくる。通常スーパーや生鮮食品店で売られてものよりもずっと大きい。元々掘りたての生姜は大きいものなのだが、家庭の使用量に合わせて小さくカットして販売されているのだ。

 
   年に一度しか収穫できない生姜は、保存状態さえよければ、そのまま2年はもつという。だが、生姜の大敵は「乾燥」である。切った先から乾いて、風味も香り抜けていく。
「大きなブロックで仕入仕入れることは、生姜そのものの鮮度保持にもいいようです」

夏の新メニューを開発中

  今、萩原さんは、夏の新メニューを検討している。
「うどんの薬味になる“辛味大根”を探しています。サンプルを取り寄せてみるのですが、なかなか値段が折り合いません。今年の夏は、トマトを使った新メニューにも取り組みたい。いろんな品種が出ていますよね。“枝つきトマト”なども使ってみたい」

 できるだけまとまった量を、定期的に仕入れることで、コストダウンも図りたいと考えている。
「四万十生姜」はわざわざお客さんがすることで、場が盛り上がるという効果を生み出した。萩原さんは、新たな「おもしろい食材」との出会いを求めて、目下新メニューを画策中だ。


文・写真 三好 かやの
 
 
この記事は月刊「農業経営者」編集部が提供しています。
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