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  農ぶらんど サクセスストーリー 2002年4月号 第1回  
川村紀雄さん
(岩手県・滝沢村)
川村則雄さんの山羊のヨーグルト
小ノ上喜三さん
(福岡県・杷木町)
小ノ上喜三さんの柿
岩本圭司さん
(和歌山県・金屋町)
岩本圭司さんの
温州みかん及び雑柑類
照沼勝浩さん
(茨城県・東海村)
照沼勝浩さんのさつまいも
神林茂男さん
埼玉県・秩父市
(株)矢尾百貨店 秩父店
   矢尾百貨店の歴史は古く、その創業は寛延二年(1749年)。「秩父錦」の酒造業に始まり、太物(衣料)、雑貨、食料品を手掛け、さらに秩父絹織物の買継業もする秩父の名門企業グループ(グループ年商123億円)で、矢尾百貨店はその中核として、地元で強い支持を得ている。秩父店の神林茂男さんは食品部に籍をおき、中元・歳暮用のカタログ販売の責任者として、かつては品質の高い商品を求めて全国を探し歩いていたという。しかし、最近はインターネットを駆使して品質の高い農産物をはじめとする商品を探し出し、魅力のあるカタログ作りとそのギフト販売に力を注いでいる。
 
矢尾百貨店の売り場風景

中元・歳暮時のカタログ販売に力を入れる

   神林茂男さんが食品部のマネージャーになったのは、1995年のこと。食品部の名店担当責任者とギフト用カタログ販売の責任者を兼務することになった。

 「矢尾百貨店におけるカタログによるギフト販売は、地元のお客様を中心に、地方の顧客の方々からも、長年にわたってとても高い支持を受けてきました。それは矢尾百貨店から贈答することにより、先様への日頃の感謝の気持ちを込められるから、というニーズなのです。そうした顧客ニーズにお応えするために、担当者としては毎年どんな商品をカタログに載せようか苦心し、同時に新しい商品を見つけ出すのがおおきなやりがいにもなっています」

 
   担当になった当初、神林さんはカタログに載せる商品を求め、情報を得ると全国各地へ出向いて探し歩いたという。しかし、予算も時間もかかり、とても効率が悪かった。

 「カタログには、およそ450アイテムを載せていますが、その内の70%は矢尾グループの秩父錦という日本酒をはじめとする、定番で占められます。新しい商品は、残りの30%。この30%に新しい魅力ある商品も盛り込むことにより、今回のカタログはおもしろい、とお客様に感じていただくことが大切なのです」


小ノ上さんの柿は人気商品

インフォマートにコンタクト

   神林さんは、前任者からカタログの仕事を引き継ぐ際に、「インフォマート」の存在を知ったという。

 「初めは半信半疑でした。昨今の商材探しは、とてもむずかしく、情報と実物が異なることも多いからです。もし万が一それを見過ごしてしまい、カタログに載せた商品に問題が生じたら、その商品を贈ったお客様の信用問題になってしまいます。矢尾百貨店ならば安心、ということで選んでいただいているわけですから、そういうことが絶対に起こらないようにしなければいけません」

 
   紹介を受けたところ、神林さんが納得する手応えを得た。そして、2001年冬のカタログ用に、岩手・川徳牧場の「川村則雄さんのやぎのミルク」、福岡・小ノ上果樹園の「小ノ上喜三さんの減農薬柿」、和歌山・岩武果樹園の「岩本圭司さんの特別栽培温州みかん」、茨城から「照沼勝沼産のサツマイモづくし」の各生産者の方にコンタクトをして、その作り手のこだわりと品質の高さに充分納得した。

スローガン「安心宅急便」の目玉商品として

カタログは24ページから成り、巻頭に人気のフラワーギフト、秩父錦、というように、神林さんはカタログの紙面を構成する。昨年のカタログのスローガンは、「安心宅急便」。その目玉商品として「インフォマート」を通じて取引した商品を、カタログの中央のページに生産者の写真と一緒に載せ、“選りぬきの素材。本物の味へのこだわり”と強くアピールした。

 「生産者のこだわりがそれぞれの商品にとてもよく現れている。ミカン、リンゴ、柿は、ポピュラーな商品ですが、どれも反応がとてもよかった。ちょっと残念だったのは、川徳牧場のやぎのミルク」 「どんな味なのか心配だったので、サンプルをチェックしたら、サラッとしていてとても飲みやすい。高年齢層からは昔懐かしい味という声もあった。しかも、アトピーにもよいので、お子さんにも安心して飲んでいただけるだろう。これは商材としていける、と思いました」


川村さんのやぎのミルクとヨーグルト

   しかし、神林さんが期待したほどには、オーダー数を得られなかった。神林さん自身もその点が解せない。何で注文が少なかったのか、スタッフといろいろと原因を探った。その結果、賞味期限と容量に対する顧客心理にあったのではないか、と判断した。

 「荷姿が500ml入りが6本。合計3リットルで、賞味期限は5日間。きっと、どのご家庭にもその家で普段から飲んでいる牛乳もあると考えると、ちょっと分量が多く、賞味期限内に消費できないのではないか、と贈り手は思ってしまったのではないかと思います。実は、ミルクだけでなく、やぎのヨーグルトも製造していることを、後で知ったのです。

 
   ヨーグルトは、いま話題の食品ですから、ミルクと組み合わせていたら、もっと強い反応を得られたと思います。来年は、生産者の川村さんと情報を交換して商品の組み合わせ方などを検討し、もう一度トライしてみたいですね」

宅配便ギフトに絶対欠かせない情報の伝達

「やぎのミルク」に関して、ミルクだけでなくヨーグルトもあったという情報が、神林さんの耳に事前に入っていれば、初回からもっと注文数を得られたかもしれない。というように、宅配便ギフトには、商品に関する詳しい情報が伴わないと、充分な販売態勢を組めないし、時にはトラブルの発生を招くことにもなる。

 「カタログギフトの場合、購入者と使用者が異なり、しかも注文を受けてからお届けするという流通の時間も配慮しなければいけません。しかも、その期日は注文主の要望する日に合わさなければいけません。ところが、農産物の場合、物によっては、注文を受けてから収穫して発送しなければならない。配達の日が、予定日よりも遅れてしまってはいけません。私たち担当者は、注文を受けた商品がいまどこにあり、先方には何時着くのか、を常に掴んでおかなければいけない。生産者の方々には、そういう点までも含めた情報の交換を密にしていただければと思います」


文・写真 藤生 久夫
 
 
この記事は月刊「農業経営者」編集部が提供しています。
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