フィンテック(FinTech)とはB
〜三井住友フィナンシャルグループに聞く
「フィンテックがもたらす未来の経営」

2017年7月14日

本コラムの第1回では急成長を続けるフィンテック市場についてご紹介し、第2回は経営に役立つ企業向けサービスに焦点を当て見てきた。

第3回は、三井住友フィナンシャルグループのITイノベーション推進部の方々に、フィンテックがもたらす未来の経営について、お話をうかがった。

三井住友フィナンシャルグループのITイノベーション推進部の方々 写真

企業のバックオフィスが大きく変わる局面が来る

― 日本でもフィンテックが浸透してきました。

田村:現在、国内では個人向けサービスが中心ですが、企業向けも増えてきています。今後は、あらゆる場面でフィンテックが利用され、キャッシュレス、ペーパーレス化が進むでしょう。

― 三井住友フィナンシャルグループでは、どのようにフィンテックを経営に役立てているのでしょうか。

桑原:既存事業の高度化・効率化に、フィンテックを導入しています。たとえば、AI※1を活用しクレジットカードの不正検知に利用したり、コールセンターではオペレータのサービスレベルの向上と均一化に役立てています。

※1 AI(Artificial Intelligence)
人間の知的な活動をコンピューターに肩代わりさせる技術で、人工知能と訳される。大量かつ複雑なデータの収集や分析に加え、学習や判断まで可能で、フィンテック分野では融資判断や不正防止に活用されている。

― フィンテック企業と既存金融機関はどのような関係ですか。

山﨑:アメリカ・シリコンバレーでは両者の対立の構図がまだ強いようですが、日本では事情が変わってきます。日本の金融業界では、ベンチャー企業は単独でサービスを行うより既存の金融機関と手を組むケースが多い状況です。

私たちにとっても、フィンテック企業との協業はビジネスの幅を広げる絶好のチャンスと考えています。銀行法の改正で銀行によるIT企業への出資がしやすくなったこともあり、有望なベンチャーは引く手あまたの状態です。

― どのようなサービスに期待されていますか。

田村:2016年から出資している「kyash」(キャッシュ)という個人間の無料送金アプリには、今後の広がりを感じています。あらかじめ口座にお金を入れておけば無料でユーザー同士がお金をやりとりできる送金アプリです。仲間同士の割り勘や立て替え精算で現金をやりとりする必要がなくなります。

桑原:このような新たな送金サービスは企業向けにも広がることが考えられます。企業間の支払いは、請求書の代わりとなるQRコードを読み取れば、そのまま入金でき、バックオフィスである経理業務に役立てることが可能でしょう。

松山:また、当社では2017年5月に、生体認証を活用した本人認証プラットフォームを提供する子会社を設立しました。スマートフォンを利用して、ウェブサイトなどでのIDやパスワードの入力を、指紋や顔、声に置き換えるサービスです。

この技術を活用すると、ECサイトなどの利用者がIDやパスワードを思い出せずにサイトを離れてしまうといった機会損失を大幅に削減できます。当面はBtoBtoC向けを想定していますが、応用範囲は非常に広いと考えています。

― フィンテックサービス間の連携も増えています。

松山:他のソフトウェアやサービスの機能を呼び出して利用できるAPI※2への対応を進めることで、これまでになかった利便性をバックオフィスに提供できます。

たとえば、手作業だった経理業務の消込も、銀行が持つ入出金データと請求データがつながれば自動化が可能です。給与計算や振込なども同様に効率化できるので、経理担当者の仕事は最終チェックだけになる日もそう遠くはないでしょう。

※2 API(Application Programming Interface)
ソフトウェアが別のソフトウェアを呼び出して利用する機能。たとえば、クラウド会計サービスに銀行のAPIを接続すると、会計サービスの画面から振込や残高照会などの銀行側の機能が利用できる。

田村:その他に注目しているのは、ブロックチェーン※3技術を使った新しい送金プラットフォームを作る動きです。高コストで時間がかかる従来の国際送金システムを電子化することで、高速化と低コスト化が実現できる可能性があります。海外との取引がある企業では、ぜひ利用したいサービスでしょう。

※3 ブロックチェーン
仮想通貨「ビットコイン」を実現した分散型台帳技術。データがネット上に分散し、利用者が相互に監視することで改ざんがされにくいとされる。中央サーバが不要であるため、低コストでの運用が可能といわれる。

まずはスモールスタートで実感することが重要

― 最後にフィンテックを導入する上で重要なポイントを教えてください。

山﨑:人によっては技術の進歩そのものよりも、急激な変化を受け入れることに時間を要するでしょう。我々もそうですが、変化を積極的に受け入れる勇気が必要だと思います。

松山:これまでの20年とこれからの20年では、技術革新のスピード感は比較にならないでしょう。スモールスタートでトライしながら知見を蓄積することで、重要な経営判断が導かれることもあります。

今は仮に失敗したとしても許される局面なので、費用対効果といった杓子定規な価値観だけで判断せず、様々な技術やサービスを試してみることが重要ではないでしょうか。

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