月次決算の早期化と改善に必要なこと②
〜実現のために押さえておくべきポイント

2017年9月8日

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本コラムでは、全3回にわたり、月次決算を早期化することの重要性や実現に向けて取り組むべきことを解説する。

前回の記事「求められるスピード経営への対応」では月次決算を早期化することの重要性についてご紹介したが、今回は早期化の実現に向けて取り組むべき内容とその留意点について見ていく。

早期化の実現には企業トップの意識が重要

前回ご紹介したように、月次決算の早期化には大きなメリットがあるのに、なぜ遅れてしまうのか。市川氏は、社外と社内にそれぞれ原因があると指摘する。

「まずは取引先から早く請求書を発行してもらう必要がありますが、相手のあることなので思い通りにはいきません。社内でも営業部門が締め日を守らなかったり、何人もの承認が必要な決裁体制によってどこかで滞ったりします。
経理が締め切ろうとしても、社長の『払ってやってくれ』の一言でなし崩しになることも多く、いつまでたっても数字を確定できないのです」

経理の作業は単純な入力と同時に、確認や判断が求められ、これが大きな負担になっているという。

月末・月初の経理部門には請求や経費精算などの書類が大量に届き、これらの内容チェック、ミスに伴う確認や差戻し、入金消込や給与計算といった膨大な作業がのしかかる。長時間労働が常態化する職場も少なくない。

解決策としては、締め日のルールを厳格化すること、そして精度へのこだわりを捨てることだという。

「経理担当者はまじめな人が多いので、1円単位で金額を合わせようとする方が多いのですが、月次決算はスピードが命。各部門から必要な数字が届かなくてもいったん締め切って概算を入れておき、速報値としてトップに報告するのが重要です。正確な数字が出てきたらその時点で修正すればいいのです」

また、業務フローを見直し、手作業をシステム化することで工数の削減も見込める。会計システムは多くの企業が導入しているが、請求書の電子化や、経費精算のシステムなどを活用して作業量を減らすことで、スピード化につながるという。

「請求であれば入金消込、経費なら勘定科目の判断や適切な使用かどうかのチェックなどの作業が、システム化することで大幅に軽減できます」

ただし、これらの対策は部署を超えた理解と協力が重要であるため、経理部門単独での実行は難しい。企業トップが月次決算の早期化の重要性を認識し、概算での報告や承認の簡素化、パッケージの導入などをトップダウンで指揮することが重要だ。

さらには、実際にニーズを吸い上げ実行していくプロジェクトリーダー的な存在も必要になる。

独自開発のシステムはコストに注意

実際にシステムを導入しても、コスト分のメリットを得られるとは限らない点にも注意したい。市川氏は、システムを独自開発したり、従来からのやり方に合わせてカスタマイズし過ぎると失敗しやすいと指摘する。

「独自開発すると導入コストはもちろん、OSが変わった時のバージョンアップにも費用がかかるなどコストが膨らみます。クラウドサービスを利用する方が安く済み、他の会計サービスなどとも連携しやすく便利な場合があります」

安価なクラウドサービスはカスタマイズに制限があるものの、これはむしろメリットになるという。こうしたシステムは、どの企業でも適切かつ効率的に業務を行えるようプロセスが汎用化されている。それが自社のプロセスとかけ離れているなら、むしろ従来の方法が非効率的である可能性があるからだ。

「システム導入を機に非効率的なプロセスを見直すのがおすすめ。『導入したシステムに合わせる必要がある』という大義名分があれば、プロセス変更への社内理解を得やすいものです」

最終目標は5営業日以内の報告

早期化は、専門のコンサルタントに依頼するという手もあるが、すべての問題を解決してくれると期待するのは禁物だ。システム化と同様にコンサルタントも手段に過ぎず、当事者が本気で取り組まないと何も変えられないと市川氏は警告する。

目標とすべき月次決算のスケジュールは、翌月5営業日で速報値を報告し、経営層による会議にかけるのが理想だという。

「概算値で出すという前提に立てば、決して不可能な日程ではありません。実際、トップダウンによるシステム化でこのスケジュールを実現し、経理部門の残業時間も大幅に減らしたというケースもみられます」

月次決算の早期化を目指すことで、スピーディーで正確な年次決算にも直結することはもちろん、経理部門をはじめとするスタッフの負担も軽減される。さらには外部からの信頼が増し、企業の利益体質が大幅に強化されるなど、期待できるメリットは幅広い。
今こそ本気で考える必要がありそうだ。

次回は、月次決算の早期化につながるシステムの一例をご紹介する。

取材協力

市川 琢也

辻・本郷 税理士法人にて税理士業務、経理アウトソーシング、業務改善コンサルなどを担当し、延べ1,000社以上に関与。現在はHongo Connect & Consulting株式会社の社長として、様々な事業を“つなげる”ビジネスに取り組む。

Hongo Connect & Consulting 株式会社
辻・本郷税理士法人グループが誇る、顧問先企業数10,000社を超える豊富な経験とネットワークを活かし、様々な角度から経理・総務業務の改善・コンサルティングを行う。
http://h-cc.co.jp/

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