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2018年3月9日
以前のコラムで「2018年 経理・財務の重要ワード」として選定した「電子帳簿保存法」。企業活動において、紙の原本を保管しなければならなかった証憑書類の電子保管を認めた法律だ。しかし、この法律の内容がよくわからず、適用に踏み切れない企業が多いのではないだろうか?
そこで今回は、特に「取引関係書類の電子化」に焦点を当て、適用に向けての不安を解消するために解説する。
電子帳簿保存法(以下、電帳法)は、1998年に施行された法律で、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」という。企業は法人税法や所得税法において、帳簿や証憑書類などを原則7年間保存する義務があり、「紙の原本を保管」することが必須だった。ところが、ITの進歩により電子による保存も可能になっていることを踏まえ、税法の特例として電子データでの保存を容認したのが電帳法である。
2005年には一部内容が緩和され、これまで認められていなかったスキャンによる電子保存が認められた。スキャン保存については、その後2015年及び2016年の税制改正において、さらに要件緩和が行われ、スマートフォンで撮影した画像の保存も認められるなど、利便性の向上が図られている。
電帳法において認められている保存方法は、大きく分けて次の2つである。
(1)電磁的記録による保存
(2)スキャナ保存
まず、(1)の「電磁的記録による保存」は、パソコンを使用して作成したデータの保存のことである。一方、(2)の「スキャナ保存」については、パソコンで作成されたデータの保存ではなく、受取った紙書類をスキャンしてデータ化し、電子文書として保存するものである。同じ電帳法の中に規定されている保存方法ではあるが、その内容は全く違う。
なお、マイクロフィルム(COM等)での保存も認められているが、現在では利用企業が少なく、本稿では省略している。
市川 琢也
辻・本郷 税理士法人にて税理士業務、経理アウトソーシング、業務改善コンサルなどを担当し、延べ1,000社以上に関与。現在はHongo Connect & Consulting株式会社の社長として、様々な事業を“つなげる”ビジネスに取り組む。
Hongo Connect & Consulting 株式会社
辻・本郷税理士法人グループが誇る、顧問先企業数10,000社を超える豊富な経験とネットワークを活かし、様々な角度から経理・総務業務の改善・コンサルティングを行う。
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