第3回 経理ステーション 経理部門の働き方を変える、請求書の電子データ化のすすめ 開催レポート

2019.07.11(Thu.) 15:00~18:30 TKP東京駅大手町カンファレンスセンター

2019年7月11日に『第3回 経理ステーション』が開催されました。請求書の受取・発行を電子データ化する『BtoBプラットフォーム 請求書』の「導入・活用のノウハウ」を紹介・共有するイベントです。経理・財務部門の担当者、責任者を中心に、多くの方にご来場いただきました。 当ページでは登壇いただいた、各社様のプレゼンテーションの一部をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』をスムーズに導入・活用されたノウハウをお読みいただき、自社の取り組みにご活用ください。

【第1部】ユーザーのシステム活用事例紹介

受取発行野村證券株式会社

野村グループの中核企業で、国内最大手の証券会社

グループ会社間の請求書の95%を電子データ化

導入効果(野村證券株式会社) アジアを中心に世界30カ国・地域を超えるグローバル・ネットワークを有する金融サービスグループ、野村グループ。その中で、野村證券株式会社は、持株会社である野村ホールディングス株式会社傘下の中核企業として、全国をカバーする支店網でコア事業の証券業務を担っています。年間およそ10万枚発生していた外部業者・取引先からの請求書受取の業務を効率化するため、2015年に『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入。さらにグループ会社間における請求書の発行・受取の電子化も進め、約95%の電子化を実現したそうです。

連結会計の早期化と見える化を目的に、システムを導入

かつて、取引先から届く年間約10万枚の請求書をグループ子会社に委託し、約3万時間を費やして処理していた野村證券株式会社。野村ホールディングス株式会社の清田亮平氏は、『BtoBプラットフォーム 請求書』導入で、コスト削減と業務効率化、さらに支払いまでのリードタイムの短縮を目指したと語ります。 「一方、グループ会社間の請求書発行・受取にも、大きく3つの課題を感じていました。 1つ目は、グループ外同様に処理コストがかかること。我々は約20社のグループ会社があり、グループ会社間で年間約1万枚の請求書が発生しています。 2つ目は、会計処理上、頻発する差異の照合に時間をとられ、連結会計が遅れてしまうこと。受け渡しを社内便や郵送で行うことで、計上にタイムラグが発生していました。 3つ目は、取引が中央管理できておらず、誰がどんな請求書を発行し、誰が受領しているのか把握できていない状態だったことです。 グループ会社間の電子データ化で目指したのは、コスト削減、業務の効率化だけではありません。同一プラットフォーム上で請求書を発行・受領することで連結会計の早期化、見える化が図れるのではないかと考えたのが大きな理由でした」

紙・はんこ神話から脱却し、業務プロセスの変革も

グループ会社間の請求書を電子データ化するにあたり、部分的に紙の請求書が残ってしまっては、発行、受取ともにかえって手間が発生してしまいます。そこで、導入を前に全グループ会社を集めた意見交換会を開催し、全てのグループ会社間の請求書を電子データ化していく説明を行ったそうです。 「まず、全体像を把握するため、各グループ会社の担当者には、すべての請求書の情報をヒアリングシートに記入してもらいました。各グループ会社が誰に発行し、誰から受け取っているか明確にするためです。すると約20社の間で請求書は年間1万枚ほど発生しているとわかりました。発行や受取に関わっているのは数百人にのぼります。そこで電子データ化への切り替え優先順位を一覧化したスケジュールを立て、進捗を本部が管理することにしました」 グループ内の請求書を受け取る量が圧倒的に多い本部に比べ、グループ会社によっては数枚程度と負荷のかからないボリューム。モチベーションは一枚岩ではなく、『紙と押印に勝る信頼感はない』という根強い意見もありました。 「長年の運用を変えるには抵抗もあります。ただ、ベストだと思っている既存の手順も、理由をきくと“昔からこうしてるから”ということでしかないのもよくある話です。モチベーションを高め継続するには、電子データ化を目的とせず、業務プロセスを変えようという意識を共有すること、変革の契機ととらえることが大事だと思います 本部は、グループ会社の導入の負担感を減らす工夫も重ねています。マニュアルや、ボタンひとつでBtoBプラットフォームに対応したファイル形式に変換できるエクセルのツールなども提供しました。その結果、2年あまりでグループ間の請求書はほぼ電子データ化への切り替えが実現。スポットで発生するような数枚程度の請求書をのぞく約95%が、『BtoBプラットフォーム 請求書』上でやりとりされています。 「最大の効果は、グループ内での『標準化』『見える化』です。ひとつのプラットフォームをグループ間で使うことで、ヒトと場所を選ばず業務設計できます」

経理業務を本社に集約し、業務量を約90%削減

導入効果(野村證券株式会社) ファイナンス業務部の吉川尚孝氏も、「国内グループ会社の経理業務を本社に集約することで、各社の会計システムと勘定科目体系を標準化できた」といいます。 「グループ会社間の請求は少量多品種にわたります。『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入したことで内部取引照合の検索性が飛躍的に向上しました。 また、クラウドの会計システムを導入し、『BtoBプラットフォーム 請求書』とのデータ連携をRPAで自動化する仕組みも構築しました。これにより、従来の紙の請求書で受取から支払までかかっていた経理・経費精算業務は約90%削減できています。 今後は『支払通知書機能』によるさらなる効率化をはかるとともに、売掛金・買掛金も中央集権的に管理することで決算の早期を目指していきたいです」 『BtoBプラットフォーム 請求書』について
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受取株式会社学生情報センター

京都府に本社を置く、学生用マンション運営会社

スモールスタートで効率化を実証し、全社へ展開

導入効果(株式会社学生情報センター) 東急不動産ホールディングスグループの株式会社学生情報センター。京都に本社、東京に本部を置き、全国530校以上の大学・専門学校と提携して、学生用マンションの企画開発・入居・管理まで一貫したサービスを提供しています。2017年に東京エリアで請求書の受取業務に導入した『BtoBプラットフォーム 請求書』は、年間300時間以上の作業時間を削減。その効果を受けて、北は仙台から南は福岡まで、7支社24店舗に電子データ化の波は広がっています。

同じ悩みを共有、のはずが…東京が一番困っていた

まず登壇したのは、事業推進本部ビルマネジメント部の岡田敬一氏。請求書を電子データ化する前は、年間約9,000件発生する請求書を本部で一手に引き受けており、非効率な作業やミスの散見が課題だったといいます。 「我々東京本部は、各店舗などの現場と本社経理部の中間部署にあたります。現場の担当者に請求書の受取を任せると、紛失や遅延のリスクがあるため、請求書の受取を集約して行っていました。 受け取った請求書は1つひとつPDF化し、現場と本部の共有フォルダに保存します。現場が処理をしたら承認の申請書を添付して本社経理に送付という、デジタルなのかアナログなのかわからない作業を繰り返していました。 賃貸物件の管理という業務の特性上、4月になると東京エリアは約1,500件、金額にすると2億円ほどの請求書が約150社から届きます。対応人員も少なく、かなりの負荷がかかっていました。また、期限切れの請求書がまざっていたなど不備を経理から指摘されることも多く、差戻しによる業務遅延も悩みでした」 これらの課題を『BtoBプラットフォーム 請求書』によるシステム化で解決できるのではと考えた岡田氏。全支社の業務担当者を集めたワークショップを実施して、同じ悩みを共有し、電子データ化の効果を検討しようと試みました。 「しかし、ワークショップを開催してみると、実は困っているのは東京本部だけだとわかりました。他の支社では現場担当者が仕分担当の隣の席だったり、件数も限られたりで必要性が認識されず、“特に困ってませんよ”と言われてしまったのです。とはいえ、東京の課題は解決すべきであろうと、まずはスモールスタートという形をとって、実用性や効率化を検証することにしたのです

直感的なマニュアルで電子データ化率をあげ、効果を実証

『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入にあたり、実際に操作する現場担当者には、細やかな心配りで協力を求めたと語る、ビルマネジメント部の中井遊氏。 「現場担当者は業務上、外出が多いので、机でパソコン作業したりマニュアルを熟読したりする時間はあまりありません。そこで導入にあたっては、“これさえ見れば操作がわかる”という、直感的でわかりやすいマニュアルやQ&Aを作成しました。 また、何が改善され、どう便利になるのか、メリットも丁寧に伝えました。請求書を確認するまでの時間が短縮される、難しい操作は不要で、すべてWeb上で完結するなど、心がけたのは具体的なわかりやすさです。システムの活用方法も、どこをどうすれば現場と我々、お互いが楽になるのかを考えました。たとえば、明細のメモ欄はよく使う項目です。メールするほどではないけれど口頭では忘れてしまうような、ちょっとした社内の申し送りを、最終的な処理まで残しておけて便利です。メモ欄のようにフリーで入力できる項目が多いシステムですので、各社様が自社にあわせた柔軟な使い方ができるのではないかと思っております」 導入効果(株式会社学生情報センター) また、マニュアルは、現場担当者向けだけでなく、取引先向けにも作成されました。請求書を受け取るためには、取引先にシステムから請求書を発行してもらわなければはじまりません。取引先の規模は、一般的な企業から個人事業主までさまざま。中にはパソコン操作が苦手な取引先もあります。 「不慣れな方にも、“簡単だ”と思ってもらえるマニュアルを意識しました。取引先様からは『スマートフォンから操作できるので現場にいながら確認や修正ができるのが非常に良い』とのお声もいただいています。我々にとっても差戻しの再発行も画面から依頼でき、郵送を待つ必要もなくなったのは大きなメリットです」 2017年2月の導入から徐々に電子データ請求書が浸透し、年度末となる1年2ヶ月後の2018年3月時点で、業務時間は導入前に比べ約315時間も短縮されたといいます。人件費や切手代など、年間約86万円の費用削減が実現しました。

実証を経て全社へ広がる電子データの波

「これら請求書のWeb化による効率化は社内でも評価され、『業務改善部門賞』をチームで受賞することができました。この表彰や、東京エリアでの実績もあり、2018年12月から全社でも『BtoBプラットフォーム 請求書』が導入されています。全国エリアでは年間約900時間以上の業務時間短縮を見込んでいます。 導入から8ヶ月経ち、当初5割程度だった請求書の電子受取率も次第に増えてきました。現在は取引先の約8割に導入していただき、金額ベースでは約9割を電子データで処理できている状況です。今後も受取率の向上を目指すと共に、経理部門の支払処理まで『BtoBプラットフォーム 請求書』上で完結させたいと考えています。さらなる効率化と本当の意味でのペーパーレス化を実現させたいです」 『BtoBプラットフォーム 請求書』について
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