株式会社OWN

『受発注』データと
店舗管理システムを自動連携。
エクセル作業から解放され、
店舗の品質向上に注力。

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居酒屋業態を中心に140店舗を展開する株式会社OWN。店舗ごとにPOSや管理システムがバラバラだったため、売上や人件費などのデータ集計に負担がかかり、迅速な経営判断を妨げていました。

この課題を打開するため、店舗管理システム『FLARO』を導入し、POSや勤怠、インフォマートの仕入れデータなどを自動連携。データを基にした経営改善で、月間1000万円以上の利益改善に成功しました。

ココがPOINT!

急成長に伴う店舗管理の複雑化

【Q】札幌から福岡まで、幅広いエリアに出店されていますね。

株式会社OWN 代表取締役 川下 雅人 氏

代表取締役 川下 雅人 氏

株式会社OWN 代表取締役 川下 雅人 氏(以下同):当社は2016年の設立後、8年で100店舗を達成しました。居酒屋業態を中心に、ドッグカフェ、シーシャカフェ、アミューズメントポーカーなど、年間20~30店のペースで出店し、現在は140店舗、売上高114億円ほどです。全国のエリアをグループ企業に分けて店舗運営しています。

【Q】出店が加速できた要因は何でしょうか?

私は証券会社出身で、共同代表は銀行出身なので、経営数字は正確かつスピーディーに見ます。経営陣だけでなく、従業員も数字にはとても強いです。

【Q】どのように経営データを見ているのでしょうか?

もともと店舗の売上や予約数、人件費、メニューごとの販売数、売上、原価といった経営データを、各店舗の店長がエクセルを使って手作業で集計していました。POSの数値をCSVデータやメールなどに記載して部門間でやりとりし、それをまたエクセルに貼り付け、編集、計算するという方法だったのです。

しかし、出店が急増する中、各部門でばらばらのPOSや管理システムを導入していきました。その結果、エクセルデータの集計に膨大な手間がかかり、課題の発見や正確な経営判断が遅れていったのです。データ集計の効率化と瞬時の見える化が必要不可欠だと感じていました。

そこで、異なるシステム同士を連携させる経営管理システム『FLARO』を導入しました。POSの売上やインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』の仕入れデータ、勤怠システムのシフトデータなどを自動集計する体制を整えたのです。

各システムのデータを自動収集・自動計算

【Q】店舗管理システムはどのように導入していったのですか?

まず着手したのが、システムのグランドデザイン設計です。経営データを可視化するには、そもそもデータを1か所に集計する必要があります。今どのようなシステムがあり、どのようなデータが蓄積されているかを洗い出して、地図のようにまとめるのです。ここが最も重要でした。そうしてデータを一元管理したことで、店舗ごとのPL(損益計算書)をいつでも瞬時に把握できるようになりました。

OWNグループのシステムデザイン

飲食業界は手作業に慣れていて、システム導入に強い抵抗があります。当社も導入時は社内から批判が出ました。だからこそ、私は担当者任せにせず自ら繰り返し説明して、現場に浸透させていきました。それは、従業員はデータ集計ではなく、人にしかできないことに注力してほしいと思っているからです。

早期の課題発見で、月間1千万円以上の利益を改善

【Q】どのように活用しているのですか?

『FLARO』を使って、店舗のPL表をスマートフォンで確認しています。こうすることで、臨店時にその店舗の状況がその場でわかり、スピーディーに課題を見つけて、改善策の判断ができるのです。

データ集計を一元化した効果として、コースメニューの原価コントロールによる利益改善をしました。OWNグループ全140店舗で提供されるメニューのレシピ、食材、原価を統一管理することで、原価コントロールが実現したのです。

夏季はコースの需要が落ち込みます。そこで、コースのメニュー原価を瞬時に確認して料理の内容を細かく見直しました。そうして、集客数を維持しつつ原価率を27・3%から26・3%に改善しました。さらに、飲み放題の時間延長を実施したことで、コースの客単価を117円アップしました。月商12億円の当社が原価率を1ポイント改善すれば、1200万円の利益が出ます。

OWNグループの取り組み事例

原価管理のさらなる高度化と改善の余地

【Q】今後の展望を教えてください。

今後、OWNグループ全体で原価管理を一層徹底していきます。これまでは、店舗ごとに売上合計と仕入れ価格の合計を計算して原価率を割り出していました。現在、『メニューPlus』を使って店舗ごとにメニューの理論原価と実際原価の差異を把握するようにしています。今後はさらに掘り下げて、肉や野菜、ビールなど食材別に原価管理をしていきたいです。そうすれば、鍋メニューの調理工程で肉を基準より多く使用していたり、キャベツが規定量に満たなかったりといったことも、データの数値化で分かるようになります。

外食産業は現在、原材料費・人件費・水道光熱費の高騰に直面しています。たとえ昨対比100%の売上を確保しても、減益となってしまいます。そんな時代に利益を出し続けるには、経営数字を知りたいときに可視化し、スピーディーな課題発見と判断をして行動することが求められます。

また、こうしたデータの可視化はコスト対策だけでなく、チェーン店が取るべき姿勢にも寄与します。本来、お客様にいつご来店いただいても、店舗は同じ品質のメニューを提供すべきです。ご来店いただくたびに味や分量が違ってはいけません。データは、いつでも同じ品質が提供されていること、すなわち飲食チェーン店の基本的なサービスレベルを保つためにあるのです。

そして、経営者は、現場に対してただ売上を上げろ、原価を下げろというのではなく、データを根拠にしてコミュニケーションをとることが重要です。我々外食産業はDXを一層進めて、何よりも人にしかできないことに注力すべきでしょう。

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