高齢者に就業機会を提供する公益社団法人東久留米市シルバー人材センターでは、東久留米市からの依頼を受け、請求業務の効率化を目的に『BtoBプラットフォーム 請求書』を利用。煩雑だった紙での手続きから脱却し、年間250時間の業務時間を削減するなど、大きな成果を上げています。デジタル化によって生まれた余裕は、さらなる業務改善への第一歩となっています。
サービス導入の背景と効果
-
■課題
- 紙の請求書や添付書類の作成・提出に手間と時間がかかる
- 市役所への頻繁な訪問による業務負担が大きい
- 請求方式が混在し、業務が煩雑化していた
-
■決め手
- 東久留米市からの依頼で、スムーズに利用開始
- 無料で電子請求書の作成、送信が可能
- 誰でもデータを確認できる環境を整備し、請求書業務の属人化を解消
-
■効果
- 請求書発行と支払通知の受取にかかる年間250時間の業務時間を削減
- オンラインで完結し、請求書の郵送コストも大幅に削減できた
- 業務全体の流れが可視化でき、安心感が向上した
1,100名の会員が、地域に密着したニーズに応える
東久留米市シルバー人材センターの概要を教えてください。
常務理事 兼 事務局長 山下 氏(以下、山下氏):
東京都内には58のシルバー人材センターが設置されており、私たち東久留米市のセンターもそのひとつです。60歳以上の健康で働く意欲のある高齢者の方を対象に、登録制で仕事の機会を提供しています。当センターの会員数は約1,100名で、就業形態としては「請負」が中心。清掃や軽作業、植木の剪定や広報誌の配布など、地域に密着した業務を請け負っています。

平成28(2016)年からは、公益財団法人東京しごと財団が派遣元となる「労働者派遣契約」も開始し、現在では東久留米市から受託している学校施設管理や選挙関連業務など、さまざまな形態で市民サービスを支えています。業務の約75%は民間の企業と家庭からの依頼で、残り約25%が東久留米市からの依頼です。市経由の年間受注件数は、360件となっています。
市役所から受託されている業務には、どのようなものがありますか?
事務局長代理 山口 氏(以下、山口氏):
市内の小中学校の施設管理業務が最も多いです。現在、東久留米市内にある12校で業務を受託しており、朝の開錠作業や、先生方が来る前の準備作業、夜の施錠作業などを行っています。ほかにも月2回発行される「広報ひがしくるめ」の配布業務も大きな業務です。市内の戸建て住宅など約5万5,000世帯に、会員が1件ずつ手配りしています。

紙の手渡しによる非効率な請求フローが負担に
東久留米市からの受託業務について、以前はどのような流れでしたか?
主任 川村 氏(以下、川村氏):
当センターでは基幹システムとして、NRI社会情報システム株式会社の「エイジレス80」を使用しています。これは全国のシルバー人材センターの多くが採用しているシステムで、会員情報管理から給与・請求処理まで一元管理できます。
ただ、請求業務においては、「エイジレス80」から紙の請求書を印刷し、手作業で封入・郵送していました。請求書に加え、日報や月次報告書など複数の紙資料を市役所に持参しなければなりません。特に月末は提出書類が多く、提出のために1日に何度も市役所を訪れるケースもあり、業務効率の改善は大きな課題でした。

事務局長代理 片桐 氏(以下、片桐氏):
一般のご家庭向けや個人取引の請求も多く、紙の請求書やPDF、圧着はがきなど、請求書の発行方式が混在していたため、整理や管理にも手間がかかっていました。少人数で業務をこなしている中、「なんとかして業務効率化したい」という思いは常にありました。

『BtoBプラットフォーム 請求書』利用のきっかけについて教えて下さい。
山口氏:
直接のきっかけは、東久留米市の会計課から『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入方針を知らされたことです。説明会にも参加し、効率化の観点から前向きに利用を決めました。
山下氏:
東久留米市の会計課からは、以前から将来的なデジタル化の構想などを伺っていたこともあり、当センターが率先して利用することで、他の業者さんや庁内でも同意が得られやすくなるのではという思いもありました。シンプルなしくみで、特に難しさも感じませんでした。
年間200時間以上の労働時間を削減
請求書のデジタル化の効果は、いかがでしたか?
片桐氏:
現在は、東久留米市との継続契約分の請求の大部分を『BtoBプラットフォーム 請求書』で行っており、書類の確認・承認も画面上で完結します。紙で運用していた頃は再印刷が必要だったり、日付や金額のミスで差し替えが発生したりすることもありましたが、電子上で完結するのは大きな改善です。全体の流れが見えるようになったことで、業務全体が可視化されて安心感も増しました。
川村氏:
請求書をオンラインで発行・提出できるようになったことがきっかけで、市役所への物理的な訪問がほぼ不要になったのはありがたいことです。およそですが、1回の提出で往復30分、現地でのやりとりを含めると1時間くらいはかかっていました。月に10~15回程度は市役所へ行っていたので、月16~18時間、年間で200~220時間くらいの削減が見込めます。
それに加えて、従来は東久留米市から発行される紙の支払通知の受け取りも週1回、市役所に通っていました。今は『BtoBプラットフォーム 請求書』で支払通知が届くため通う必要がなくなり、月2時間、年間で24時間以上削減できています。全体で約250時間の効果は確実にあり、職員1人分の月間労働時間が減らせたのは素晴らしいです。かつては急ぎの書類をレターパックで送ることもありましたが、今はありません。請求書も月に何百件と出していたので、郵送代の削減効果も大きいと思います。
山口氏:
経理担当は、今までは請求の内訳が分からず初回の契約書を探さないと内容が把握できないケースもありました。でも、『BtoBプラットフォーム 請求書』には内訳も明記されており、誰が見ても分かりやすいので、経理担当が業務の詳細を知らなくても、内容を把握できるのは大きなメリットです。
片桐氏:
東久留米市からの支払い内容の通知も『BtoBプラットフォーム 請求書』で確認できるので、入金状況との照合も簡単です。市役所への往復時間の削減はもちろん、紙との照合が不要になり、デジタル化の恩恵は非常に大きいと実感しています。
今後の展望についてお聞かせください。
山口氏:
デジタル化で人の手を介する業務が減ったことで、お互いに余裕ができ、別の建設的な話もできるようになってきていると感じます。実務に忙殺されずに、時間と気持ちの余裕が生まれたのは大きいです。理想は、請求書や添付書類をすべて電子で済ませて、対面でのコミュニケーションは必要な時だけにできれば、さらにお互いの時間を有効活用できると思います。
山下氏:
『BtoBプラットフォーム』は電子契約も実現できるとのことで、さらに効率化が進むことを期待しています。同じシステム上で契約・請求・支払いをすべて一元管理して運用できれば、理想的です。最近はスモールスタートがトレンドで、「まずはやってみよう」という空気も出てきています。今後も、できるところから業務効率化を進めていきたいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。