鉄道電気工事を中心に電気設備工事を通して日本のインフラを支える日本電設工業株式会社様。基幹システムの刷新を契機に、これまで紙で行っていた見積・発注・検収・請求書の処理を見直し、支払い業務のDXに着手。『BtoBプラットフォーム TRADE』と『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入により、業務の平準化とペーパーレス化、さらには取引先の負荷軽減にもつながる仕組みを実現しました。
サービス導入の背景と効果
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課題
- 紙の支払い処理で、月5,000件、月間で約800時間以上の工数が発生
- 郵送費や印紙代など、現場と資材供給会社の双方に負担となっていた
- 属人的な業務によって、確認の遅れやトラブルが一部で発生していた
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決め手
- 基幹システムとの高い親和性と、既存のExcelを活用できる柔軟性の高さ
- 資材供給会社側に費用負担がかからない経済的メリット
- 丁寧かつ継続的なベンダー担当者のサポート対応
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効果
- 電子請求書の割合が約6割に到達し、月末処理の平準化を達成
- 業務の可視化・透明性が向上、二重請求などのリスク低減
- 保管・輸送コストが削減され、監査対応工数が大幅に軽減
月間約5,000枚の請求書を処理する購買センターが抱えていた課題とは
事業概要と、所属部署の業務内容をお聞かせください。
購買センター 業務部長(以下、業務部長):
弊社は鉄道電気工事におけるリーディングカンパニーとして、在来線をはじめ、新幹線、地下鉄、モノレールなど、あらゆる鉄道の電気設備工事を手掛け、80年以上にわたって主に鉄道インフラの発展に貢献してきました。JR東日本のパートナー会社として安定した経営基盤を持ちながら、一般電気工事、情報通信工事、環境エネルギー工事にまで領域を広げ、全国のインフラを支えています。
弊社では、現場で使用される資材の調達から支払いまでを購買センターが担当しています。

購買センター 業務部 業務課長(以下、業務課長):
業務課では、請求書の受領、事務手続きを担っています。『BtoBプラットフォーム』を導入する以前から注文書の一部をすでに電子化しており、社内の情報システム部門と連携して請求書の電子化にも取り組んでいます。
購買センター 業務部 調査支援課長(以下、調査支援課長):
調査支援課では、工事に必要となる資材を弊社に納品する資材供給会社に関するデータ管理、マスタ管理や統計データ管理などの実務を担当しています。
『BtoBプラットフォーム TRADE』の導入前の資材供給会社に対する発注フローを教えてください。
業務部長:
現場が資材の見積依頼をする時は、社内で決められたフォーマットに沿った紙ベースの依頼書を資材供給会社に送ります。相見積から資材供給会社を決定し、見積内容を社内の原価検討資料として活用しています。紙ベースの注文書を送付し、注文書通りに資材が納品された後に、現場が資材供給会社から紙の請求書を受け取り、基幹システムにて検収入力を行っていました。その後、紙の請求書を現場から郵送で購買センターに送付してもらい、購買センターが再度内容を確認して、支払い手続きを進めるというフローです。
弊社統括本部・支店としては10拠点ほど、支社単位では40~50カ所にもなります。請求書処理に関わる現場社員数は全社員の半数を超えてくる計算です。購買センターには毎月4,000~6,000枚もの請求書が集まり、約25名の社員が処理しています。
『BtoB プラットフォーム TRADE』導入の背景にあった課題や狙いを教えてください。
業務部長:
建設業界は、他業界に比べて電子化が遅れており、納品書や請求書といった書類の多くが紙でやり取りされています。紙媒体でやり取りする場合、「送った、送ってない」といった問題が多く、請求前の納品確認(検収)などがタイムリーに対応できないといった課題がありました。また、特定の担当者が不在だと処理できない書類なども一部には残っており、請求業務の属人化も大きな課題となっていました。
弊社購買センターからの視点では、業務工数の課題がありました。資材供給会社と注文書を紙で発行・郵送し、返送されてきた注文請書を保管・処理するだけでも相当な工数がかかっていました。その他にも請求書1件あたりの処理に約10分かかると想定すると、月間約5,000件の請求書すべてを処理するには単純計算でおよそ5万分、830時間もかかる計算となります。1日8時間として100日以上、25人で処理していますので、1人当たり4日ほどかかっていました。さらに社員の労務単価をかけると相応のコストが負担になっていました。
発注フローを電子化するにあたって、どのようにサービスを比較検討されたのでしょうか。
業務部長:
弊社の基幹システムの刷新がきっかけでした。複数のサービスを比較検討するにあたっては、弊社の新しいERP(Enterprise Resource Planning:企業の業務を一元管理するための統合型情報システム)にマッチしていること、これまで現場で使用されてきた独自フォーマットとの親和性などの要素を重視して選定しました。社内の情報システム部門が中心となってPoC(Proof of Concept:概念実証。実現可能性や得られる効果などを検証すること)を実施し、最終的に『BtoBプラットフォーム TRADE』『BtoBプラットフォーム 請求書』『BtoBプラットフォーム 契約書』を選びました。
業務課長:
PoCでは、長年使用してきた請求書様式のExcelを使用して、資材供給会社との業務を円滑に移行できるかなどの操作性を重視しました。『BtoBプラットフォーム TRADE』では請求書様式のExcelファイルを添付して提出できるうえ、現場で扱っている見積書などもまとめて送れるため、利便性が高いと評価しました。
また、操作画面の構成もシンプルであり、資材供給会社への操作方法の共有もスムーズに行えると判断しています。特に建設業の場合、資材供給会社の事業規模は大手もあれば地域に根ざした規模までありますので、業務フローの電子化は費用面の負担が大きく、なかなか導入が進みにくいという背景がありました。しかし『BtoBプラットフォーム TRADE』であれば、弊社が主体となって導入することで資材供給会社には費用が発生せず、むしろ郵送代や印紙代が削減できるというメリットがあります。

『BtoB プラットフォーム TRADE』の導入にあたって、どのようなサポートがありましたか。
業務課長:
資材供給会社を対象に、インフォマート社の担当者から定期的に説明会を開催していただきました。毎回300名以上の参加があり、取引が多い資材供給会社の営業、請求担当者を中心に、理解を深めていただきました。説明会の録画データを活用することで説明会に参加できなかった方々にも後から視聴いただき、より充実した説明会にできたと感じています。マニュアルだけでは伝わりにくい部分も、要点を押さえた説明で効果的に伝えられていることも大事なポイントですね。
電子請求書の比率が約6割に達し、月末の処理を平準化することに成功
『BtoBプラットフォーム TRADE』の導入によってどのような効果がありましたか。
業務部長:
発注から請求までの業務フローを『BtoBプラットフォーム TRADE』と『BtoBプラットフォーム 請求書』で一気通貫して確認できるようになり、透明性と効率性が大幅に向上しました。
まず業務の電子化によって、順次請求書が送付されるようになったことで平準化が進み、余裕を持ったスケジュールで処理できるようになりました。月末に集中していた支払い処理を分散できたことで、以前のようなタイムラグや二重請求のリスクが減り、現場でも安心感が生まれています。また、紙による郵送のタイムラグがなくなったことで、取引によっては当月内の支払いも可能になっており、資材供給会社にも有益だと考えています。
調査支援課長:
弊社の現場からは『BtoBプラットフォーム TRADE』上で案件名や担当者名、現場代理人名から取引データを検索できるようになったことで、確認作業が格段に楽になったとの声を聞いています。現場によっては、自分の現場の案件だけのデータをまとめて活用しているケースもあるそうです。加えて『BtoBプラットフォーム TRADE』上に取引の履歴が残るため、支払い有無のチェック体制も整っています。確認作業を効率化できただけでなく、業務の可視化、透明性の向上にも貢献しています。

業務課長:
『BtoBプラットフォーム』シリーズを本格的に導入してから9カ月の時点で、社内の電子請求書の利用割合は約6割に達しており、今後さらに伸びる見込みです。弊社では7年間の請求書保管義務があるために数年単位の変化とはなりますが、将来的に紙の請求書の保管スペースや管理業務の削減効果が現れてくるはずです。部署によっては、前期(導入前)と比べて請求書のファイルの厚さが半分になりました。
以前は監査対応などで保管している紙の資料が必要になると、わざわざ保管倉庫まで資料を取りに行っていました。移動を含めると丸一日はかかっていましたので、業務負担が大幅に減っています。

新しい仕組みへの不安は当然のこと。まずは一歩、踏み出すことが重要
今後のDXやペーパーレス化についての展望をお聞かせください。
業務部長:
発注から請求までの一連の流れをある程度は電子化できましたが、まだまだ完全ではありません。現場によってはERPと『BtoBプラットフォーム TRADE』の両システムの操作が求められる場面も残っているため、将来的には『BtoBプラットフォーム TRADE』上ですべての資材発注から請求書受領までを完結し、ERPにそのデータを連携する、という状態を目指していきます。
『BtoBプラットフォーム』を検討している企業へのメッセージをお願いします。
業務部長:
導入前は「本当に現場で使えるのか」と不安視する声が社内から多く挙がっていました。しかし実際に『BtoBプラットフォーム』シリーズを導入してから3カ月ほど経つと「思ったより便利だね」という好意的な意見が聞けるようになりました。新しい仕組みに対して心配の声が挙がるのは当然のこと。まずは一歩、踏み出してみてほしいですね。
業務課長:
実際に資材供給会社と同じ画面を見ながら説明し、その便利さを体験してもらうことが重要です。弊社担当者はもちろん、資材供給会社にもインフォマート社の説明会に参加していただき、理解を深めていただきました。実際に触れてもらうことで、抵抗感も次第に薄れていくはずです。導入に関して心配なことがあれば、インフォマート社に相談してみることをお勧めします。
※掲載内容は取材当時のものです。