北海道でカラオケ・ゲーム「キャッツアイ」やベーカリーチェーン「ボストンベイク」を展開する北東商事株式会社様。道内でアミューズメント事業ほか、幅広い事業を手掛けるタカハシグループの一社で、40店舗以上を運営しています。約900名のアルバイト雇用契約書管理は大きな負担でしたが、『BtoBプラットフォーム 契約書』の導入で雇用契約業務をデジタル化、多店舗展開の課題を解決しました。
サービス導入の背景と効果
-
課題
- 本来業務のスキマ時間で処理する契約事務が、店長の大きな負担に
- 最低賃金改定に伴う煩雑な更新作業が、年2回のピーク時に集中していた
- 膨大な紙の雇用契約書が発生し、保管に手間がかかる
-
決め手
- グループ会社が導入、実績をもとに信頼できるサービスと紹介された
- 雇用契約をスタッフ自身が進められる運用設計への期待
- サポートが手厚く、ひな形作成から稼働準備まで短期間で完了
-
効果
- 店長は個人情報の取り扱い等が不要になり、事務作業が軽減された
- 全店舗分の契約送付が1日で完了し、本部の作業時間が10分の1に
- 紙での保管が不要になり、ファイリングの手間、重要書類の管理工数が減った
アミューズメントと食の力で“心の健康”を支える
事業内容について教えてください。
人事部 課長(以下、同):
当社・北東商事は札幌に本社を置き、「キャッツアイ」の屋号でカラオケボックス、ゲームセンターなど合わせて15店舗を展開しています。2021年には札幌市内を中心に25店舗のパン屋を展開する「ボストンベイク」が、2024年12月には新潟県で4店舗のゲームセンターを運営する「ヤジマレジャー」が、それぞれ子会社となりました。
私たちは、地域のお客様の心と体の健康を支え、笑顔と楽しさをお届けすることを大切にしています。アミューズメント事業を中心に、パン屋の運営など多彩な取り組みを通じて、お客様や従業員、取引先と当社に係わる全てに感謝しながら、共に成長を続ける経営を目指していきます。2018年に起きた北海道胆振東部地震での大停電(ブラックアウト)や、2020年に始まったコロナ禍には、店舗を休業せざるをえない期間もありました。当時は私も現場にいましたが、営業再開時には多くのお客様から直接、「待ってたよ」「カラオケをしたかった」といったお声と笑顔をいただき、今思い出しても涙がこみ上げるほどで、その喜びは忘れられません。この経験を通じて、当社の施設が、地域のお客様の心と体の健康に資する時間と場所を提供できているのだと、改めて実感しました。
多店舗展開で、アルバイトを含む多くのスタッフを雇用されています。
当社では、15店舗で社員・アルバイト含め500名以上を雇用しています。さらに「ボストンベイク」を展開する子会社でも、25店舗と4工場が24時間稼働し、約440名が働いています。アルバイトやパートスタッフの採用選考は各店舗の責任者が行い、雇用を決定すると契約を締結、雇用契約書を本部に送付します。入社時はまず3カ月の契約(試用期間)で、その後は半年ごとの契約更新です。
店長任せの契約更新、紙運用の限界が浮き彫りに
契約更新は、どのような流れでしたか?
ここが一番の課題でした。各店舗で雇用から3カ月、6カ月で訪れる契約更新を本部ですべて把握、管理するのは困難で、店舗任せになっていたのです。本来であれば、最低賃金の改定がある毎年10月、残りの契約期間があっても新しい契約書を発行すべきです。たとえば6月採用の場合は、8月まで3カ月の試用期間の契約を結び、9月に再契約、10月にまた契約書を交わす必要があります。採用時期によって10月を迎えるタイミングが人それぞれなのは、悩みの種でした。
事務作業はお客様に直接関わる業務ではありません。それでいて、スタッフの時給や個人情報が含まれる書類は、封書で手渡すなどの配慮が必要で、フロア業務で多忙な店長に大きな負担をかけていました。手渡すタイミングも難しく、渡すつもりのスタッフが帰宅してしまったり、しばらくシフトが入っていなかったりと、やりとりがなかなか進まないこともしばしばです。更新の漏れが発生しやすく、書類上、契約のない空白期間が生まれてしまうリスクもあります。店長は、更新漏れを防ぐためにスタッフの管理表を作成するなど工夫をしながら、契約書の印刷から回収、本部提出まで10日から2週間ほどかけて実施していました。
本部側では、どのような課題がありましたか?
本部側も、現場で多忙な店長に、細かい事務処理であまり時間を割かせては悪いという気持ちがありました。3カ月、6カ月で訪れる契約更新のタイミングで各店舗に確認はするものの、店長から「スタッフが休みでした」「会えませんでした」と言われると、「仕方がない」と、それ以上の追求が不完全だったのは否めません。
そのため年度初めで雇用契約の件数が多い4月と、賃金改定で全契約の確認が必要な10月は、本部で1日中契約書の処理に追われる状態でした。現場から書類が届かない場合、「この方はどうなっていますか?」と確認が必要で、非常に手間がかかります。更新管理の情報を現場と共有できていなかったので、本部独自のExcelに手入力するという非効率な運用だったのです。
また本部では、紙ベースで契約書の原本を保管しており、ファイリングにも手間を取られていました。実際には契約書原本を見直すことはほとんどありません。「決まりだからやらなければ」という感覚の業務でしたし、紙代や印刷代、郵送費も負担でした。
M&Aが電子契約導入の転機に、業務負担が大幅減
『BtoBプラットフォーム 契約書』導入のきっかけを教えてください。
2016年に、北東商事はM&Aでタカハシグループに入りました。その際、グループのタカハシエンターテイメント株式会社で電子契約書『BtoBプラットフォーム 契約書』を利用した雇用契約の締結が始まり、「信頼できるサービスだから」と紹介を受けたのがきっかけです。他社サービスとも比較検討しましたが、グループ会社で利用している点は導入の大きな決め手になりました。
契約から運用開始までは約2カ月とスピーディでした。短期間で雇用契約書の内容確認やひな形作成に取り組み、特にレイアウトの作成では、インフォマートの担当者に何度も助けてもらいました。
導入の効果はいかがですか?
紙の時と比べて、格段に負担が軽くなったと実感しています。店長が個人情報を扱う手順がなくなり、雇用契約に関する現場の負担はほぼゼロになりました。雇用に関する情報は、紙の従業員名簿に記載した二次元バーコードから直接スタッフが登録できる仕組みにしたのです。更新の際は、各スタッフへ個別にメールで通知します。システム上には店長の承認機能もありますが、当社では使わず、本部から直接通知する形で管理しています。書類が手渡しできなかった課題は解決しました。
今では、契約更新時の店長は「二次元バーコードを読み取ってね」「雇用契約に合意してね」とスタッフに伝えるのが主な対応です。口頭だけでなくグループチャットや掲示物でも伝えており、抜け漏れはありません。
本部側も、全店舗分の契約更新書類の送信が1日で完了しています。現在、人事部では北東商事とボストンの2社分の契約業務を4人で対応していますが、紙の処理だったら、この人数では到底回りませんでした。4月と10月の契約更新作業にかかる手間は、10分の1になった印象です。書類の保管も不要になり、すべてPDFで管理できるようになりました。ファイリングの手間がなくなりましたし、個人情報が含まれる重要書類を店舗や本部で管理する必要がないので、BCPの観点でも安心できます。
今後の展望や、期待されることはありますか?
たとえば、従業員名簿や保証人情報など、一部に書面の提出が残っています。これらもスタッフ自身がスマートフォンから入力できる仕組みにできれば、さらに効率化できるでしょう。電子契約の実績があるからこそ、「もっとやれるはず」という期待も生まれているところです。今後も業務効率化を進め、生まれた余白時間を接客業務に注ぎ、グループの経営理念である「限りなきお客様第一主義の実践」をより徹底していきたいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。