持ち帰り弁当の最大手「ほっともっと」をはじめ、「やよい軒」「MKレストラン」などの飲食店を運営する株式会社プレナス。年間1億8千万人の利用客に3億食のメニューを提供する同社では、日々、アレルギーに関するお問い合わせに対応しています。
様々な商品やおかずごとのアレルギー情報を正確かつ迅速に提供するため、同社では『BtoBプラットフォーム 規格書』のオプション機能『メニュー管理機能』を活用。アレルギー検索の効率が飛躍的に向上しました。
ココがPOINT!
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1
商品に含まれる特定原材料等のアレルギー確認が、30分から10分に短縮
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2
アレルギーから該当商品を逆引き検索して、正確性と効率を両立
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仕入れ品のアレルギー情報などを、『規格書』で効率的に入手
アレルギーの問い合わせは複雑・詳細化の傾向
品質保証室の業務内容を教えてください。
品質保証室 リーダー(以下、リーダー):
当社は、「ほっともっと」2400店、「やよい軒」360店、「MKレストラン」22店などを展開しています。各店舗に食材が届くまで、原料調達や製造工場、流通といった過程で品質を担保するために、部署ごとに厳密なチェックを行います。
品質保証室では、すべての段階で得られた情報を一元的に管理しています。特に、食物アレルギーや栄養成分などお客様に提供する情報管理を統括し、必要に応じて仕入れ品の調査などもします。
のり弁当/チキン南蛮弁当
近年、社会ではアレルギーや異物混入の問題が頻発し、食の安全に対するお客様の関心が高まっています。当社でも、アレルギーのお問い合わせが増えている状況です。
アレルギーに関する問い合わせはどのくらいありますか?
ロースかつ丼 / から揚カレー
品質保証室 担当者(以下、担当者):
品質保証室に寄せられるお問い合わせは1日5~6件ほどですが、修学旅行や運動会、お花見などのシーズンになると飛躍的に増えます。
当社のホームページでは「この商品には『小麦』と『卵』のアレルギー物質が含まれています」という商品ごとのアレルギー情報を掲載しています。ただ、そのメニューのどのおかずに由来しているかまでは、情報が膨大になるため記載しておりません。
例えば、「この商品の小麦アレルギーは何の由来ですか」というお問い合わせの場合、「小麦はしょうゆ由来です」という返答が必要で、アレルギーについてより正確かつ詳細な情報が求められるケースが増えています。
アレルギー情報はどのように管理しているのですか?
担当者:
仕入れ先の食品メーカーや卸などから、アレルギーや原料原産地、栄養成分などの情報を記録した商品規格書を提出いただいて管理しています。
規格書の回収頻度は毎月20~30件になります。「ほっともっと」や「やよい軒」は、毎月大小のメニュー変更や改定があり、仕入れ先様に規格書を更新いただくようその都度依頼しています。
原材料が変わった場合はもちろん、仕入れ品の外箱のパッケージが変わった際にも更新が必要です。というのも、万が一、商品搬入時に事故などが起きた場合、現物と正常な状態の違いを把握して速やかに対応するためです。
こういった情報は、以前はエクセルやワードなどの書類で管理していました。しかし、書類の更新忘れや更新漏れのリスクが常に付きまとい、最新の情報を管理できているか、細心の注意が必要だったのです。
そのため、2007年から規格書の回収や更新状況をクラウド管理する『BtoBプラットフォーム 規格書』を利用しています。これにより、店舗に納品されている商材、外装、消費期限などの情報や、規格書の回収状況、更新日をすぐに把握できるようにしました。
アレルギー情報は、どのように更新しているのですか?
肉野菜炒め定食
担当者:
これまでは、『BtoBプラットフォーム 規格書』の画面から仕入れ品のアレルギーを確認し、商品ごとに作成したエクセルに原材料、アレルギーを細かく記載して印刷していました。
毎月、新商品を提供するたびにエクセルを作成・印刷していたので、書類を束ねたファイルは15センチの厚さになります。この中から類似商品や同じ物質が含まれるほかの商品を探すとなると、過去のファイルをひっくり返して調べる必要がありました。
お客様の問い合わせにはすぐに対応していますが、より詳細な質問になると、調べてから折り返してお答えすることになります。原材料など遡って調べると、返答までに30分ほどかかることもあります。
アレルギーの検索だけでなく、書類の作成も大変でした。1つのお弁当や定食メニューについて、アレルギーをエクセルに入力するのに最低10分はかかるので、大幅なメニュー改定があると、膨大な時間がかかっていました。
『メニュー管理機能』を活用し、規格書業務を50%削減
書類の非効率な管理は、どのように解決したのでしょうか?
やよい御膳
リーダー:
私が品質保証室に配属されて感じたことは、商品ごとのアレルギー情報を紙ではなくデジタル管理すれば、もっとスピーディーに対応できるのでは、ということです。
インフォマートの『メニュー管理機能』について調べてみると利便性が高く、社内でも評価が得られたので、すぐに採用が決まりました。料金などの負担が少なく済んだことも理由に挙げられます。
機能の導入時、どのような負担がありましたか?
担当者:
すでに利用していた『BtoBプラットフォーム 規格書』のオプション機能ということもあり、大きな負担はありませんでした。2025年5月に導入して、7月までに「ほっともっと」「やよい軒」の全メニュー460件ほどの登録が完了し、8月に仮運用、9月に実運用を開始しました。
アレルギー情報を記録した大量の書類を保管していた頃に比べて、商品に含まれる特定原材料等のアレルギーを確認する時間は30分から10分になりました。規格書作成にかかる作業時間は、全体を通して半減した感覚です。
アレルギー情報の問い合わせについても、異なる商品で同じアレルギー物質由来の商品を探すのは手間でしたが、現在はボタン1つで検索可能になりました。商品からアレルギーを調べるだけでなく、アレルギー物質から該当商品を逆引きして検索できるため、見落としが起きにくい環境も整っています。
リーダー:
規格書が揃っていないメニューでもスムーズに仮登録・管理でき、メニュー情報の一元化と迅速な対応が実現しました。これまで手作業で対応していた業務をデジタル化したことでヒューマンエラーのリスクを低減でき、お客様の安全・安心につながっています。
『BtoBプラットフォーム 規格書』はサービスの提供開始から20周年を迎えました。今後、どのようなことを期待しますか?
リーダー:
『BtoBプラットフォーム 規格書』が20周年を迎えられたこと、誠におめでとうございます。この間、日本は少子高齢化や人材不足などの構造的な課題が深刻化し、当社でも事業環境が変化して、DXによる業務効率化が一層求められています。インフォマートは『BtoBプラットフォーム』でフード業界の標準化・効率化を実現していますが、さらに進化させ、食の安全・安心を実現する次世代ソリューションの先駆者になっていただくことを期待します。
※掲載内容は取材当時のものです。