株式会社ゴリップ取材日 2019年8月22日

直営・FCの多店舗展開には、本部の強化が不可欠。
IT化で余裕を作り、お客様にわくわく感を提供します。

利用サービス 受発注(発注)規格書(買い手) | エリア 関西 | 業種 韓国料理・焼肉
株式会社ゴリップ

「牛カツ京都勝牛」や「ニックストック」などの肉業態を展開する株式会社ゴリップ様。2005年の創業から14年余りで店舗数はFC店を含め130に迫り、海外3カ国にも進出しています。

単一業態からマルチブランド化への転換で、急増した発注業務、原価管理、アレルギーの情報管理をシステム化。従業員教育や労務環境の向上にもITを取り入れて、多店舗展開を加速しています。

ココがPOINT!

「牛カツ」の食文化を提案し、人々にパワーを届けたい

― 『牛カツ京都勝牛』など、肉業態の繁盛店を展開されていますね。

代表取締役社長 原信吾氏(以下、原社長):サムギョプサル専門店『ベジテジや』からはじまり、現在6ブランドを展開しています。外食のブランドは時流にあわせたスクラップ&ビルドが一般的ですが、生み出した以上は育てていきたくて。現在は『牛カツ京都勝牛』をメインに、熟成牛ステーキ専門店『ゴッチーズビーフ』、肉が旨いカフェ『ニックストック』なども業態転換でチェンジ&ビルドしています。

取締役副社長 洪大記氏(以下、洪副社長):「牛カツ」はゴリップが広げた新しい和食スタイルで、関西方面に昔からある洋食のビフカツ(ビーフカツレツ)とは別物です。薄衣をまとわせた牛肉にさっと火を通し、ミディアムレアに仕上げてわさび醤油で食べます。この新たな食文化を、日常的なものとして浸透させたいんです。認知を高めるため、路面店だけでなく商業施設やフードコートなどさまざまな立地に出店しています。

代表取締役社長 原 信吾 氏代表取締役社長
原 信吾 氏

取締役副社長 洪 大記 氏取締役副社長
洪 大記 氏

― 『牛カツ京都勝牛』は2014年のブランド立ち上げから5年で70店舗を超え、海外への出店ペースも加速しています。

原社長:関西は串カツで牛肉を食べる食習慣がありますが、関東ではとんかつ文化が根強く、当初はお客様の認知に苦労しました。それでも次第に牛カツがひとつの食のコンテンツとして認められてきた手ごたえがあります。飲食店の検索サイトでも、牛カツを出す店は今や全国に3000軒以上。おかげさまで『牛カツ京都勝牛』はそのトップを保っています。

店舗数が多ければスケールメリットを活かせますが、短期間での大量出店はオペレーションや人材教育が追いつかないと失敗するリスクもあります。バランスを見ながら出店していく予定です。

― フランチャイズチェーン(FC)展開にも力を入れています。

原社長:FCではやみくもに店舗数を増やすのではなく、理念を共有してくださるオーナー様とパートナーシップを結んでいます。FC店舗は今のところ全体の2割程度ですが、外食での最適な比率は5:5だと思っています。本部・直営店とFC店舗が拮抗すれば、お互いに切磋琢磨できるからです。

洪副社長:展開を強化させていくため、FC開発の専門部署も置きました。FC事業をはじめたのは2011年ですが、本格的な取組みは2016年に『BtoBプラットフォーム 受発注』のオプション『FC管理機能』を導入してからです。加速する多店舗展開にシステム化はマストでした。

FL管理でITを導入。スタッフの余裕がよいサービスを生み出す

― 『BtoBプラットフォーム』導入のきっかけを教えてください。

取締役管理本部長 田中大督氏:設立から10年経ち、サムギョプサル専門店の単一業態から、本格的なマルチブランド化へ舵を切ったタイミングにシステムを導入しました。『ゴッチーズビーフ』や『牛カツ京都勝牛』が生まれ、アイテム数が爆発的に増えていた頃です。

当時使っていた発注システムは、使い勝手が良いとはいえない仕組みでした。アイテムが増えるたびに本部の担当者がエクセルでマスタファイルを作り、システム会社とひたすらやりとりする必要があったのです。

現場はFAXでの発注に比べれば効率が良いものの、多店舗展開を進める中で本部に負荷がかかりすぎる状況でした。そこで、いくつかシステムを比較検討した結果、『BtoBプラットフォーム 受発注』を選びました。

決め手はいくつかありますが、一番は他社のシステムとのデータ連携で汎用性が高いことです。FC管理や発注業務だけでなく、その先の食材や取引先ごとの原価管理、請求業務、レシピの管理といった展開が期待できました。また、仕入先の約8割がすでに導入済みだったことも理由にあります。先方に新たな負担をかけることなく切り替えることができました。

― 導入で、どのような効果がありましたか?

洪副社長:アイテムの登録は仕入先が行い、本部は承認するだけなので、終わりのないエクセルのやりとりが不要になりました。

今はPOSレジ、売上管理システムと連携させて、毎日のおよそのフードコストを算出しています。

また、勤怠システムともつながっているので、概算のFLコストが日次で把握できます。『メニュー管理機能』でメニュー1品ごとの理論原価を仕入れ価格のデータと紐付け、各店舗で実原価とのブレが生じていないか、チェックしてもらっています。

洪副社長:最近、全店舗に2台ずつタブレットを導入しました。これまでは検品は手書きでメモしてからノートパソコンに入力していたのですが、システムがタブレット操作に対応しているので、その場で作業できます。発注も棚の状態を見ながら行えるようになりました。

原社長:現在は、店舗運営を効率化するさまざまなITサービスが登場しています。導入する際の弊社の判断基準は、それが店の都合ではなく、お客様のためになるかどうかです。たとえばレジ締めやバックヤードの効率化で余裕が生まれることで、お客様へより良い接客ができる。となれば、ある程度コストをかけてでも使えばいいと思うのです。

ですから、個人的にはタッチパネルのオーダーは好きではありませんね。ピンポンと鳴らすテーブルチャイムも、見かけると全部はずしたくなっちゃう(笑)。呼ばれる前に気づくべきなんです。サービス業は、最後は人でしかありません。すべて、自分のやっていることがお客様につながっているかが大切です。

お客様の喜びこそ会社の存在意義

― 企業理念をどのようにスタッフへ浸透させていますか?

原社長:ここ1、2年、内部構築に力を入れています。従業員教育はゴリップカレッジと名づけ、体系化しているところです。重要なのは動機付けです。たった1つのメニュー変更も、なぜ行うのかが伝わらないとオペレーションに力が入りません。もちろん実務も必要なので調理講習会なども開催して、メニューの意味や調理工程を確認しています。

また、マニュアルはクラウド型のツールを使って、写真や動画を入れて作成し、店舗のタブレットに最新情報を配信しています。スタッフがスキマ時間に手軽に学べるようにしているのです。ただ、マニュアルはあくまで新人スタッフが学ぶ、お客様に不満を抱かせない最低レベルの内容です。そこからいかに顧客満足度を高めていくかは、やはり企業理念の教育にかかってきますね。外食の永遠のテーマです。

洪副社長:食の安心・安全への意識もより高めていく必要があります。お客様が口にされるものなので、どのメニューに何が入っているのかもわからずに提供することは企業として許されません

特に商業施設への出店では厳しい衛生の管理のほか、食材の情報管理も求められるため、商品規格書(※)の提出は必須です。『BtoBプラットフォーム 規格書』で規格書を印刷して提出することで、スピーディに対応しています。

(※)商品規格書:食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた仕様書。

本部ではお客様のアレルギーのお問い合わせに対応できるよう一覧表を作成し、ホームページでも開示しています。また、店舗のメニューブックにQRコードを載せて、お客様がスマホで簡単に確認いただけるようにしています。

― 今後の展望をお聞かせください。

洪副社長:これからはコンプライアンスの徹底が一層重要になってきます。特に労務管理を強化し働く環境の改善にここ数年注力してまいりました。福利厚生の改善で、残業を削減、アルバイトへの即日払いもはじめます。人件費は上がりますが、結果として人材の定着率が上がっており、採用面にかけるコストの削減につながっています。社員は200人以上いますが、1年で辞めたのはほんの数人です。おかげさまで人に恵まれていますね。

原社長:お客様に「さすがゴリップだよね」と言われる、わくわく感を提供し続ける企業でありたいです。まずは飽和状態の外食産業の中で、第2エンジンとなる新ブランドをどう作っていくか。半歩先で我々がトレンドを創造し、新しい風を吹かせたいですね。楽しみにしていてください。

関連リンク

株式会社ゴリップ

設立2005年5月30日
事業内容飲食店及び食品販売店の経営・FC店の加盟店募集及び加盟店指導
代表者代表取締役社長 原信吾
本社所在地京都市下京区中堂寺坊城町28-5 革命ビル
企業サイトhttps://www.golip-holdings.com/
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