FAX注文書を自動でデータ処理。電話・FAX受注が9割減り、受注ミスもなくなりました。
宮崎県に本社を構え鶏卵専門の食品卸売業を営む株式会社フカベエッグ。1955年の創業以来、小売店や飲食店向けに鶏卵と加工品の生産・製造・販売を手がけている。
毎日300件あった電話やFAXによる受注作業や確認の手間を、受発注システム『TANOMU』の導入により9割削減した。システム導入の経緯と効果について、大分営業所長の藤氏と受注担当の久保氏に伺った。
ココがPOINT!
- 1電話・FAX受注の9割をデジタル化し、受注ミスを削減
- 2FAX-OCR機能でFAXの注文内容をシステムに自動取り込み
- 3LINEのメッセージ配信機能で特売商品などを販売促進
毎日300件ある電話・FAX受注時の確認の手間を削減したい
― 事業と業務について教えてください。
大分営業所長 藤氏(以下、藤所長):当社は鶏卵の生産から加工品の製造、さらに販売までを一貫して行っています。生産に関しては、主力の農場が鹿児島県に2カ所あり、合わせて約45万羽を飼育しています。
鶏卵の取り扱いには、食品の安全・安心を第一に掲げています。2010年、大分営業所にGPセンター(卵を洗浄殺菌し、格付けして包装する施設)の設備更新を行って、鶏卵を洗浄する際に殺菌措置を施すなど、鳥インフルエンザなどが発生した際にも安心して提供できるよう万全を期しています。
またトレーサビリティを実施しているのもその一環です。小売店向け商品ではGPセンターでの処理日、検卵担当者、生産農家名が確認できる6桁の数字を表示し、業務用では生産者番号を表示しています。
大分営業所
所長 藤氏
生産された鶏卵は大分営業所で洗卵し、サイズを選別して、取引先ごとにパッキングしています。スーパーなどの小売店様向けには6個入り、12個入りバックのほか、温泉卵や卵焼きなどの加工品、食品メーカー様向けには液卵なども提供しています。
飲食店様などの業務用であれば5キロや10キロの段ボールにパッキングします。そのほか小ロットで個人経営の飲食店様や洋菓子店様などのニーズにも対応しています。
― 小口対応をしているとなれば、受注数は相当な数に上りますね。
藤所長:大口の取引先の場合は、取扱商品や数量に細かい変更はなく所定の書類で受注処理しているのですが、小ロットの取引先が400件ほどあり、そのほぼすべてが電話やFAXによる注文でした。毎日200~300件、時期によって更に注文が増えたり、取引先によっては商品ごとに1回ずつ発注されたりするケースもあるので、多い時には1日400件近く受注することもありました。
大分営業所 受注担当 久保氏(以下、久保氏):受注担当は何名かいるのですが、毎日午前中は電話を切るとすぐに次の問合せ電話がかかってくる、という状態でした。さらにいつもの注文内容と違う場合や、注文が重複している場合には取引台帳を見ながら確認の連絡を入れなければなりません。また、FAX注文の場合は文字が解読できないこともあって、やはり確認の電話が必要でした。
電話・FAX以外の受注では、配送するルートドライバーが決められた曜日に注文をいただく方法があります。しかし先方が不在などで注文の有無がわからないときには、やはりこちらから電話をかけて注文を促すこともしていました。
さらに口頭ではどうしても「言った言わない」の受注ミスが増えますし、場合によっては誤配送からの再配送もあります。しかし、受発注システム『TANOMU』を導入したことで、今では注文の電話がほとんど掛かってこない事務所になり、とても楽になりました。
大分営業所
受注担当 久保氏
初期設定の商品登録を確実にすることで作業の効率化が如実に
― 御社では2022年4月に受発注システムを導入されました。
久保氏:PCやスマホで受発注したり、FAX発注書を自動読み込みできたりするシステム『TANOMU』を導入しました。実際に稼働させるまでは大きな課題もありました。
最初に当社の全商品の洗い出しをして、システムに登録しなくてはなりません。商品名や入り数のほか、取引先固有の特殊な商品など、それらを全部登録するのです。
取引数の多いものはすべて登録し、めったに注文が入らないものは「追加注文」として分類しましたが、その中間の、取引先は少ないけれど数量や頻度が多いものはどうしようか…など、最初の分類にとても時間を割きました。同じ商品なのに別の番号で登録されていたり、取引実態がないのに名前だけ残っていたりする商品もあり、洗い出しと整理の作業は大変でした。
ただ、この初期設定を確実に行ったことで、その後の受注作業のやりやすさを実感しました。それまではひっきりなしだった電話が、気づいてみれば「あれ、今日はいつ電話がかかってきたっけ?」という状況になり、『TANOMU』の導入で発注に関する電話がかかってこなくなったのは非常に大きなメリットだと感じています。あくまでも体感ですが、導入前には1日300件あった電話は、今では30件程度に減った印象です。
藤所長:FAX注文書もOCR機能(※)で、データとして取り込まれるので印刷する紙の量が明らかに減りました。FAXを利用することに変わりはないので、用紙が傾いていたりするとどうしても読み取れない場合もありますが、内容を確認するための電話連絡が減り、配送ミスに繋がる誤入力もなくなったと思います。
※FAX-OCR機能:FAXで受信した手書きの文字を自動で読み取りするTANOMUの機能
大分営業所の小ロットの取引先のうち、75%程度が『TANOMU』での発注方法に切り替えていただきました。残りの25%程度は、もともと固定電話しか持っていないというケースや、週1回程度の発注だからわざわざ切り替えるのが面倒という取引先なので、100%を目指すのは難しいかもしれません。しかし、全体の受注件数としては、導入した4月には500件ほどだったものが、5月には1000件を超えているので、切り替えの効果は大きいと思っています。
― 取引先にはどのようにシステム利用を促したのですか。
藤所長:最初は、取引先ごとに発注商品を印刷した専用の注文書をルートドライバーに持たせて、取引先に5~6枚渡しながら「次はご自身で印刷してみてください」というところから始まりました。それが一段落ついたあとで、「LINEだと管理者が発注状況を確認できるようになりますよ」とLINEでの発注にシフトするようにしました。
『TANOMU』のFAX-OCR機能を使って注文を受けるには、専用のFAX番号になるため、設定の変更が面倒などの反発はありました。そういった際は営業担当が出向いて、FAX番号の設定変更を代行していました。またLINEで友だち登録するのが難しいという取引先は、スマホを借りて友だち登録をするなど、取引先に積極的にお願いしていきました。いまはLINEを使った発注の利用率が4割くらいですが、徐々に増えていくと思っています。
久保氏:それまでFAXで来た注文は、まずは受け取った段階で内容を確認し、販売管理システムに入力、印刷して再度確認するという手順でした。それがFAX-OCRの導入後は、最初に受信したデータを確認する段階で商品名や、「1」と「7」などの判読しづらい部分を修正すれば、あとはCSVに落とし込むだけなので、作業的には半減したような印象です。「言った言わない」のミスも減りましたし、電話対応の件数も減ったことを考えると、それ以上の効果があったと感じています。
システムを有効活用して新たな取り組みを
― 受発注システムの導入で、どんな展望を期待していますか。
久保氏:これまでひっきりなしに電話応対していた時は、まとまった時間を取るのが困難でした。そのために新たな商品企画や販売方法、そのほか様々な業務の見直しなどの課題が手つかずのまま残っていました。電話のない時間帯が増えましたので、手つかずだった業務にゆとりをもって取り組んでいこうと思っています。
藤所長:会社全体でみれば、当面2つの課題を解消していけると考えています。1つ目はこの受発注システムを全社的に導入していくこと。大分営業所での実績がありますから、稼働時の商品登録についても、もっと効率的に作業が進められますし、取引先への働きかけも、より組織的に行うことができるはずです。
2つ目は、『TANOMU』の販促機能を使って、特売商品などのアナウンスをしていく予定です。鶏卵はどうしても賞味期限が短いですから、在庫が大量に出てしまうことがあります。システムの販促機能を利用することで、「賞味期限が残り10日のものを特売します」といった販売方法で、在庫を一掃していきたいと思っています。売上にも貢献できますし、さらには食品ロスの削減にもつながると考えています。
当初、システムの導入によって、受注経路が電話とFAXと、さらにもう1つ増えてしまって、どれも中途半端になるのではと懸念していましたが、今となればもっと早く導入していても良かったと社内で話しています。その分、新しい取組みにかけられる時間も増えたことは大きな成果だと思っています。
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TANOMU
- 食品卸の3大課題 受注、入力、販促をまるっと解決
株式会社フカベエッグ
設立 | : | 1955年1月 |
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本社所在地 | : | 宮崎県宮崎市高岡町花見1720-7 |
事業内容 | : | 鶏卵の生産・加工・販売 |
公式ホームページ | : | https://www.fukabe-egg.jp/ |
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