熊本県で広く店舗網を展開し、地域経済の活性化に努める肥後銀行様。県内約110店舗からは、日々、設備や什器の修繕依頼が本店へ届きます。これまで修理業者への発注から請求書の受け取りまでをすべて紙で行っており、月1,000枚もの紙の書類が発生していましたが、『BtoBプラットフォーム TRADE』の導入によりペーパーレス化を実現。その取り組みについて担当者に伺いました。
ココがPOINT!
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1
月1,000枚におよぶ紙の書類をデジタル化
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取引先のペーパーレス化と業務負担軽減も実現
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業務フローの見える化で、内部統制を強化
カーボンニュートラルの一環でペーパーレスを目指す
事業概要について教えてください。

副業務役
総務部 資産管理グループ 副業務役(以下、副業務役):
当行は九州フィナンシャルグループの一員として、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務など、銀行業としての業務を行っております。昨今、熊本県内では半導体メーカーの工場誘致が盛んに行われており、さまざまな経済波及効果が見込まれ、当行としても地域の未来のための取り組みを推進しております。
そのほか熊本の水資源保全活動として、阿蘇での水源涵養(かんよう)活動や、休耕田での田植えなども行なっています。また、組織の経営品質向上の活動を評価する日本経営品質賞を受賞しました。
ご担当される業務内容について教えてください。
副業務役:
私は総務部の業務に加えて、当行が取り組むカーボンニュートラルに関する施策の推進も担当しております。書類の電子化にともなうペーパーレス化も、カーボンニュートラルの一助となる取り組みの1つです。

業務担当者 A
総務部 資産管理グループ 業務担当者A(以下、業務担当 A):
当行の各営業店から什器や設備の不具合に関する修繕の要望を受け付けています。修繕の要望を受け、工事を請け負う業者さんへの見積依頼や発注を行い、工事完了確認後の請求書の受け取りから支払い処理までが担当範囲です。
当行は、支店がおよそ110店舗あり、修繕の要望は平均で月200件ほど発生します。内容はさまざまで、トイレの詰まりといった軽微なものから、雨漏りを防ぐ屋上の防水など規模の大きな修繕もあります。
見積依頼や発注は電話で行い、 毎月1,000枚の紙の書類が発生
以前は、業者との見積りや発注のやり取りもすべて紙で行っていたそうですね。

総務部 資産管理グループ 業務担当者B(以下、業務担当 B):
基本的に電話と紙で行っていました。まず、各支店から修繕要望の電話があります。内容に応じて、修理業者さんへ電話で内容を伝え、見積りを依頼します。見積書は作成後に、郵送か本店へ直接持参いただくため、届くのに2、3日要しておりました。
発注は電話を中心に行っていました。発信履歴以外の情報が残らないため、発注先と認識の齟齬(そご)が生まれてしまう場合があり、部内でも問題意識を持っておりました。
修繕依頼を受けた際、総務部ではどのように管理していたのでしょうか。
業務担当 B:
支店から要望があった段階で、各担当が自身の案件管理表のエクセルに、支店名、工事内容、依頼先業者名などを記入します。正式発注後、資産管理グループ共有の案件管理表のエクセルに依頼内容を記入して進捗を管理します。修繕作業が終わると、業者さんが作業完了報告書を郵送か持参し、この時に請求書も一緒に受け取ることがほとんどです。
請求書の処理は、どのように行っていたのでしょうか。
業務担当 A:
請求書を受け取ったら、支払いに関する別のエクセルシートに必要事項を転記して、請求書の原本とシートの記載内容を突き合わせて確認し、支払いを担当する別の部署へ送ります。こうした一連の作業が日に10~15件ありました。
見積りから発注、請求までを紙の書類で行っていた際、どのような課題がありましたか。

業務担当 B:
工事内容によりますが、工事完了報告書が10枚を超える場合もありました。平均して1件あたり5枚程度、月に約1,000枚の紙の書類が発生します。
他にも内部統制の点で課題がありました。軽微な工事や緊急を要する工事は、支店から要望を受けてすぐに業者さんへ電話で発注していたため、誰がいつどの業者さんに発注したかを部署内で一元管理できていませんでした。
業務担当 A:
請求についても、締日が近づくと請求書を催促することが頻繁にありました。特に期末については、決算内容に影響があるため、直接持参いただくよう依頼することもあり、業者さんへご負担をおかけしておりました。
コスト面、操作性、機能の充実、 汎用性を総合的に判断し導入
紙の書類のデジタル化は、どのようなきっかけで検討されたのでしょうか。
副業務役:
やはりカーボンニュートラルを当行で推進していくにあたり、ペーパーレス化を重要視したことがきっかけです。紙の書類の削減による CO2削減効果が高く、書類のデジタル化には意義があると感じていました。
業務担当 B:
2020年の冬頃からシステムの検討をはじめ、当初インフォマート社を含めて8社のシステムを比較しました。期待していたのは、見積依頼から発注、請求書のやり取りまでの一連の業務フローをクラウド上で完結できることです。
最終的に3社で比較したのですが、うち1社は取引件数に上限があり検討から外しました。もう1社は、独自にポータルサイトを構築する仕組みで、時間と費用がかかるため検討から外れ、結果、コスト面と操作性、機能の充実、汎用性と総合的に判断して、インフォマート社の『BtoB プラットフォームTRADE』の導入を決めました。
導入に際して、苦労されたことはありますか。
業務担当 B:
主要な取引先に集まっていただき、説明会を開催しました。「よくわからない」という方は半数ほどで、説明会後もお問い合せの電話は多かったですね。一部にはすでにデジタル化されており、これで楽になると前向きな業者の方もいました。運用がはじまると、最初は当行も業者さんも操作ミスなどありましたが、1カ月ほどで慣れていただけたと思います。
取引先業者のペーパーレス化も進められる
『BtoB プラットフォーム TRADE』導入による効果はいかがでしょうか。
業務担当 B:
まず業者のみなさんから喜びの声をいただいています。電話での催促や、見積書や請求書を持参いただくこともなくなり、郵送コストと紙の削減も実現し、メリットを感じていただいていますね。書類や図面もシステム上で送ってもらえますので、『BtoB プラットフォーム TRADE』上だけで書類を完結できるようになりました。
また今回、『BtoB プラットフォーム TRADE』の導入をきっかけに、支店からの申請も電子申請に変更。以前は各担当が管理していたエクセルシートも、部署で作成していた管理表も使用を止め、『BtoB プラットフォームTRADE』上のみで確認しており、抜け漏れもなくなりました。
業務担当 A:
請求書の発行を依頼すると、数時間後には届くスピード感はさすがです。あとは、紙がなくなったことは大きな変化ですね。過去の工事と見積金額を比較する際、過去のファイルをひっくり返す必要もなく、業者さんごと、支店ごとなどすぐに検索できるので便利です。
請求書もインフォマートの『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入したので、書類のやり取りをすべてデジタル化できました。紙の場合は見積書と請求書の金額の突き合わせなど、確認作業に時間を取られていましたが、『BtoB プラットフォーム』上で確認できるため、件数が多い場合でも処理の負担が減りました。
今後の展望をお聞かせください。
経理部支払チームリーダー:
業務プロセスを簡素化し、ペーパーレス化や DX にも取り組んでいきたいと考えております。また、当行とお取引いただいている企業様、個人のお客様の利便性の向上には引き続き取り組んでいきたいと思います。今回の『BtoB プラットフォーム TRADE』導入は当行だけでなく、取引先のペーパーレス化、業務負担の軽減でも一定の効果を上げています。当行のグループには、企業のデジタル化をご提案する会社がありますので、取引先の DXに関するコンサルティングも一緒に進めていきたいですね。
※掲載内容は取材当時のものです。