「ITでオフィスを元気にする」を掲げる大塚商会グループに属する株式会社OSK様。ソフトウェア開発会社として基幹系システム「SMILE V」と情報系システム「eValue V」を融合した「DX統合パッケージ」を展開しています。開発に関する発注は多い月には500件超。人の手では限界がある発注・検収の処理を、『BtoBプラットフォーム TRADE』の導入で一元管理し、発注元と協力会社、双方向での業務効率化を進めています。
ココがPOINT!
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1
発注・検収関連書類を案件毎に一元管理
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2
ペーパーレス化で業務効率アップ、残業は半減
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3
キャビネットを占める紙の書類が激減。検索性も向上
月500件の発注処理。月末は部署総出で処理しても残業が発生
事業概要と、所属されている部署の業務を教えてください。
取締役 兼 上席執行役員 管理本部長 鈴木英樹 氏(以下、鈴木取締役):
株式会社OSKは、オフィスのIT環境サポートを主事業とする、株式会社大塚商会の連結子会社です。1984年に、大塚商会のソフトウェア研究・開発拠点として設立。オフィスコンピュータ向けの基幹業務システムにはじまり、パソコンの黎明期には、表計算やワープロといったビジネスソフト、ネットワークシステムを業界に先駆けて開発・販売してきました。
近年は基幹系システム「SMILE V」と情報系システム「eValue V」、さらに時流とニーズに合わせ、これらを融合させた「DX統合パッケージ」を展開しています。加えて、長年の実績とノウハウを駆使した受託開発やI Tコンサルティングで、全国の中堅・中小規模の企業様のオフィスDXの支援を行っています。
管理本部には総務部と業務部があり、業務部は業績管理課と業務課で構成しています。業績管理課は主に、月次・年次の業績・管理会計資料の作成や、事業計画に必要な数字の管理、経費の処理を担う部署です。また、仕入先からの請求書の処理も担当しています。業務課は、主に得意先への請求書の発行業務を担当しています。

管理本部 業務部 業績管理課 課長(以下、課長):
受託開発では多様な業種の特性に合わせたカスタマイズも多く、システム開発に関わる協力会社は70社あまり、発注は製品開発と合わせ、多い時で月500件以上あります。その発注書や納品書、請求書はこれまで、メールへのPDF添付や郵送でやり取りをしていました。

月500件分の書類のやりとりは、膨大な量になりそうですね。
管理本部 業務部 業績管理課 係長(以下、係長):
はい、量も多く社内フローも煩雑でした。発注はまず、現場の担当SE が社内の『eValue V ワークフロー』で電子申請します。業績管理課で最終承認後『SMILE 販売管理システム』にデータ連携したのち、PDFの発注書と、エクセルの注文請書、納品書や請求書等のひな型を添付したメールを、先方に送信していました。先方より返信いただいた注文請書は、同じく『eValue V ワークフロー』の注文請申請に添付して申請します。
ここまでは自社製品にカスタマイズも入れて、電子化・データ連携による効率化が図れていたのですが、納品書以後が基本的に紙でのやり取りとなっていました。納品後は、担当SEが確認して検収します。この際、受領検収書に現場担当マネージャーの印鑑を押印の上、先方の納品書・請求書と共に業績管理課に提出してもらっていました。業績管理課では、控えのコピーをとって受領検収書の原本を先方に郵送し、控えと納品書、請求書をひとまとめにして保管していました。

管理本部 業務部 業績管理課 主任(以下、主任):
取引している会社は20日締めであることが多く、25日を過ぎたあたりから、納品書・受領検収書・請求書が束になって集まってきます。一度に60件くらい届くと、会社ごとに仕分け・コピーして封筒にいれるだけでも1時間半近くかかります。違う会社の書類が重なってしまう封入ミスのリスクがあるため、仕分けは広い会議室の机を使っていました。
受領検収書原本の郵送後は、控え1枚1枚に仕入伝票ナンバーを手書きして、仕入処理を行っていました。とにかく月末から月初にかけては人手も時間もとられて、部署総出で処理にあたっても残業が発生していました。時間に追われ余裕のない状態は、ヒューマンエラーにつながりかねませんが、その本質的な原因は人ではなく、仕組みにあると思います。

それが、『BtoBプラットフォーム TRADE』導入の背景となった課題でしょうか。
課長:
きっかけはテレワークが推奨されたコロナ禍でした。処理のためには、我々業務担当だけでなく、現場の担当SE、担当マネージャー、協力会社の担当の方も出社しなければならず、各所から脱ハンコ・ペーパーレス化の要望が届くようになりました。もとより、業務改善・業務効率化の課題は認識しており、これを機にデジタル化を進めたいと考えていました。また、2015年に大塚商会グループ内の別会社と合併した経緯で残っていた、それぞれの前身の会社の販売管理システムや会計処理のフローも統合する必要がありました。
システム開発を事業にしているとはいえ、自社用システムの構築に多大な費用と時間はかけられません。推奨環境の変化や近年の電子帳簿保存法、インボイス制度のような法制度への対応のたびに改修するのも負担になります。そもそも連結子会社として、連結用の数字をつくるために基幹システムをかなりカスタマイズしており、そう簡単に改修できない事情もありました。
係長:
デジタル化に当たっては、電子署名や購買管理系の外部システムなどを検討しましたが、発注書、発注請書、納品書、受領検収書、請求書を、双方向でやり取りすることができず、価格も高めと、なかなかマッチしたサービスがありませんでした。
発注の8割をデジタル化して残業は半減、ペーパーレスに
『BtoBプラットフォーム TRADE』導入の経緯を教えてください。
課長:
弊社の運用に合うサービスを探していたところ、2021年の7月ごろに『BtoBプラットフォーム TRADE』がリリースされたことを知りました。発注、納品、検収、請求のすべてを一元管理できるシステムと知って、「お、すごい」と。実は、請求書の発行業務を担当する業務課では、取引先の要望で『BtoBプラットフォーム 請求書』を一部利用して請求書を発行していました。業績管理課でも同様に、データで請求書を受け取っていた取引先もあったため、存在や仕組みは知っていました。それで話をうかがってみることにしたのです。
係長:
説明を受けて、私たちのビジネスや、案件単位で書類管理をしたいという弊社の運用と合致していると感じました。ひとつの案件に対し、発注と請けがあり、納品、検収、請求がワンセットになっていて、かつそれが双方向でできるサービスは他にありませんでした。そして、コロナ禍で「紙のやりとりをなくすことはできませんか?」とご相談を受けていた長くお付き合いのある協力会社の数社に、先行で試験的に導入いただきながら、本格稼働を目指しました。
導入効果はいかがですか?
主任:
作業時間がかなり減りましたし、在宅でも対応できるようになりました。申請された発注データも『eValue Vワークフロー』の申請データ出力機能を利用して出力し、発注関連業務での残業時間は半減しています。コピー機の前から動けないムダな時間がなくなったのが大きいです。以前のように会議室で仕分けする必要もなくなりました。
検収後の仕入処理も、『BtoBプラットフォーム TRADE』から一覧のデータをダウンロードして処理を行っているため、1枚1枚めくって手書きしたり確認したりする必要がなく非常に楽です。現場での押印作業や、業績管理課へ書類を回付する作業もなくなり、現場の担当SEの方でも導入効果を実感してくれているようです。
係長:
現在は、取引数の少ない取引先などを除いた50社あまり、全取引の約8割を『BtoBプラットフォーム TRADE』でやりとりしています。導入に際しては、電子取引による受発注の覚書を締結すべきという法務・知財課からの助言もあって、1社ずつ丁寧なフォローを心がけました。
課長:
取引は会社だけを見るのではなく、人と人とのつながりが大事です。IDとパスワードをただ案内するのではなく、先方の部署や取引先などの関係も見定めて紐付けるところに力を入れました。その熱意を汲んでもらえたことも、8割の導入を達成できた理由かと思います。
また、書類が減ったことで、保管場所の苦労もなくなりましたね。これまでは取引が多い会社だと分厚いファイルが1年に1冊必要で、それがキャビネットいっぱいに並んでいました。収まりきらない書類は外部倉庫に預けていましたが、税務調査などで過去の書類が必要になると探すのも大変でした。今はクラウド上でデータを検索して、該当の書類をすぐ見つけることができるのでありがたいです。
製品を通じて、“笑顔”の先に“価値”がみえる未来を
今後の展望をお聞かせください。
係長:
導入に際しては、対象を弊社の外注加工費に当たる取引に限定しました。経費や材料・商品仕入でも取引のある取引先からは「外注加工費以外も使えるようにしてほしい」との声をいただいており、今後は少しずつ対象を広げていく予定です。
鈴木取締役:
弊社の「DX統合パッケージ」は、現在、ドキュメント管理システムと会計システムの連携による電子帳簿保存法に対応した証憑保存でご好評をいただいています。今後はこの機能を活用して、発注書や請求書以外の、紙で残っている領収書などもデータ化を進めて、さまざまなデータをシームレスに連携していけるようなスキームを築いていきたいです。バックオフィスデータを一元的に管理して、我々自体が「DX統合パッケージ」の先進的な事例、DXの事例になるような対応を進めていく考えです。「DX統合パッケージ」を構成する「SMILE」「eValue」という製品名のとおり、日本の多くの企業の“笑顔”を事業を通じてつなぎ、新たな“価値”創造に貢献していければと考えています。
※掲載内容は取材当時のものです。