• 請求書

請求書受取側より取引先様に発信し、出向労務費の請求書を電子化。請求書フォーマットを統一し、全体の効率化を進めます。

トヨタ自動車|請求書受取側より取引先様に発信し、出向労務費の請求書を電子化- BtoBプラットフォーム 請求書

トヨタ自動車株式会社

業種 エリア 帳票の種類 従業員数 サービス 創立

1937年8月28日

企業サイト

世界最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車株式会社様。グループ会社や関連会社からの出向者も多く、月に約4,000人分の請求書を受領し精算処理を行っているそうです。基幹システム刷新を期に、これまで各部門で受け取っていた出向労務費の請求書のデジタル化、一元処理を検討。プロセスを変え請求書フォーマットを標準化した、トヨタ流業務改善のポイントを伺いました。

ココがPOINT!

  • 1

    社内の各部門で処理していたものを一元化

  • 2

    統一レイアウトを作成し、取引先と一緒に業務を効率化

  • 3

    プロセスの見直しとセットで、業務改善を実現

受取・発行の双方に課題あり、4,000人分の出向労務費の処理

トヨタ自動車の社内では、どのようなデジタル化・DXへの取り組みが進んでいますか?

経理本部 人材育成・変革推進室 人材育成グループ主幹(以下、グループ主幹):

社内DXとしては、市民開発といわれる、各部門の業務担当者自身がアプリケーションを活用しノーコード・ローコードで開発するといった個々人の取り組みや、私たちが取り組んでいるような、基幹系システムと連携させた帳票類デジタル化といった業務改革まで、さまざまなプロジェクトが進行しています。いずれも、単なる生産性向上、ただの電子化・デジタル化ではなく、業務プロセスの見直しとセットで考え、改善にフィットするITツールは何かを選び、それぞれの分野で取り組んでいる状況です。

私が所属している経理本部内の人材育成・変革推進室には経理のDXを進めるグループがあります。経理業務の通常オペレーションで利用する仕組みとは別に、新しい仕組みを導入していく独立した専門部隊です。その中で、プロジェクトのひとつとして『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入、運用を推進しています。

経理本部 人材育成・変革推進室 人材育成グループ主幹
経理本部 人材育成・変革推進室 人材育成グループ主幹

先進技術統括部 経理室 主任(以下、経理主任):

私は現在、技術部門の経理に所属していますが、もともと経理領域のシステムに携わってきました。DX 推進グループの前身組織では、『BtoB プラットフォーム 請求書』の導入検討から実際の導入段階までを担当していました。

経理業務デジタル化の大きなフェーズのひとつに、2020年に実施した経理系の基幹システムの刷新があります。結果、会計業務における決算部分の効率化は図れましたが、その前段階にあたる伝票処理は従来のままでした。実務担当者の「困りごと」に向き合う中で、この課題は電子請求書で解決できるのではと検討をはじめ、採用したのが『BtoB プラットフォーム 請求書』です。

数ある電子請求書システムの中でも、PDFを発行する仕組みではなく、データをデータとしてやりとりできる点に優位性を感じました。請求書受領後の伝票処理や税務の集計には、最初からデータで受け取るほうが活用も容易です。弊社のやりたいことと仕組みがフィットしていたのが決め手になりました。

先進技術統括部 経理室 主任
先進技術統括部 経理室 主任

『BtoB プラットフォーム 請求書』導入前には、どのような課題があったのでしょうか。

経理主任:

前提として、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度へ対応しなければならないという外部環境要因がありました。弊社の伝票処理は、工場や技術、営業といった各部署に属した経理担当が行っています。その中で突出して多い伝票が、出向労務費の精算です。

弊社では積極的な人材交流を行っているため、出向元の取引先様はグループ会社含め多い時には500近く、出向者も幅があるものの3,000~4,000名に勤務いただいています。どの職場にも出向者がいる環境です。

請求書発行側の取引先様は、「この人は技術部門、この人は営業部門」と、出向部署ごとに請求書を送りわける必要があります。場合によっては40枚あまりの請求書を、各部署それぞれに送っていただいていました。弊社側の組織改編で所属が変わるとか、部署異動があるたびに、請求内容の確認を各担当と行います。「なんとかなりませんか」というご要望が、以前からありました。

また、その請求書を受領する弊社の担当も、各社ばらばらのフォーマットで届く請求書を手作業で処理していました。請求書は紙やPDFで届きますが、労務費は消費税や所得税といった税務処理が煩雑な上に、各社で項目名や記入箇所も異なるので確認が必要です。職場によっては数名の担当者が月の半分ぐらい、伝票処理だけ行うこともあり、能力のある人が作業に手をとられ、活躍できない状態でした。

このような社内外の困りごと解消を、弊社だけでなく出向元の取引先様と一緒になって、プロジェクトとして進めていきました。

プロセスの改善と共通フォーマットで困りごとを解決

請求書を発行する側と一緒に、デジタル化を進めていかれたんですね。

経理主任:

はい。出向元はグループ会社も多いですし、一方的な決定の通達ではなく、協力関係を築きながら一緒に仕事を進めていくのがトヨタ流です。共に車を作っている仲間として、社内だけではなく、みんなが楽になれる仕組みを取り入れようというコンセプトは、検討段階から揺るぎません。取引先様も、請求書の発行件数が多いほど困りごともより深刻ですので、プロジェクト立ち上げ期から、説明会や相談の場を設けてきました。

その結果、これまでばらばらの請求書を各職場に送っていた状況を一元化するプロセスの改善が実現しました。『BtoB プラットフォーム 請求書』は、フォーマットの自由度が高く、項目もカスタマイズできるのが特徴です。税務処理における課税・非課税の区分や、数字のチェックがしやすい括りで項目設定し、請求書フォーマットを標準化しました。

グループ主幹:

「フォーマットを標準化する」というのが、重要なポイントだと思っています。単にシステム構築のし易さという理由だけで無く、各明細項目の内容が共通認識できればムダな問合せが無くなり、運用面での効率化にも寄与します。グループ会社間での出向労務費精算にも同じ仕組みが使えますので、さらに利便性の広がりにも期待が持てます。

導入から1年過ぎ、現在はグループ会社を中心に46社の請求書を『BtoB プラットフォーム 請求書』で受け取っています。会社数では全体の1割程度ですが、出向者数の多い会社から切り替えていますので、人数では1,000名程度と、全体の1/3ぐらいが切替えできたという状況です。まだまだ道半ばで、請求データの内容チェック等の業務運用を行いつつ、未導入会社様との調整・トライ・切替を並行して行っており実際には苦労も多いですが、業務運用の整備やスムーズな新規導入のやり方を日々改善しながら進めています。

『BtoB プラットフォーム 請求書』の導入で、困りごとは解決しましたか?

経理主任:

導入直後から、「月初の業務がとても楽になった」「一元化で、すごく気が楽になった」という声があがっています。伝票処理は時短勤務の従業員が担当することも多く、時間に追われるプレッシャーも取り除けたようです。私自身、技術部門へ異動し、出向労務費の処理をしていた人たちと実際に話す機会もあります。「格段に楽になったので、複数いた伝票処理の担当者は、もう少しステップアップできる業務に移ってもらって1人でこなしています」という話を聞き、社内も楽になってきているなと実感しました。

プロジェクトを一緒に進めた取引先様には何度かアンケートを実施しており、効率化につながった等の声をいただいています。皆さんと心をひとつにしてプロジェクトを進めることができて、良かったと思っています。

グループ主幹:

トヨタには「現地現物」という考えが基本にあり、本当に困っているのは何か、どうすれば楽になるか、実際に処理にあたる担当者の声を聞き、作業を見ることを重視しています。デジタル化も単純に紙をデータに置き換えただけでは、紙が減る以外のメリットがなく、真の効率化になりません。社内・社外の実際の現場を確かめることで、喜んでいただける結果につながったのではと思います。

経理主任:

ひとつの方法として、現状のプロセスを把握した上で「こうすればみんなが楽になる」という、本来あるべきプロセスとのギャップがどこに生じているのか、丁寧に確認しました。私たちもはじめからうまくいったわけではありません。

当初は業務プロセスを変えないまま『BtoB プラットフォーム 請求書』をあてはめようとしていました。でも、ただ電子化しても、結局プロセス自体変えないと伝票の入力や、目でチェックする作業が残ってしまい、大きな効果は得られません。試行錯誤の末、ツールにフローを合わせて「電子化・一元化・共通フォーマット」を三本柱とする解にたどりつきました。原点に返ったプロセスの見きわめは、今回のプロジェクトで特に力をいれたところですし、今後も取り組んでいきたいと思っています。

また、メインの目的ではないにせよ、カーボンニュートラルに貢献できるのが、帳票類のデジタル化ではないかと感じています。社内でも働き方改革含め、ペーパーレスは意識していきたいです。

デジタル化・DXを加速させるのは、シンプルで汎用的な仕組み

今後の展望をお聞かせください。

グループ主幹:

一年あまり、『BtoB プラットフォーム 請求書』導入を推進してきた中で、ノウハウも貯まってきました。現在残っている400社ほどの取引先様にも一気呵成に導入を広げていきたいですし、並行して派遣労務費への展開も構想しています。

歴史ある企業ほどレガシーシステムに囚われがちです。しかし、プロセスを見直した上で、よりシンプルな仕組み・汎用的なツールを活用することで、DXを加速させることができると良いなと思っています。

※掲載内容は取材当時のものです。