北海道・東北・北関東に店舗を置くスーパーマーケットチェーン、アークスグループ。株式会社アークス様は純粋持株会社として傘下の企業を率いています。時代に即した業務DXを目指し、請求書の発行をデジタル化。ポイントカードの外部提携加盟店といった、発行件数が多い請求書業務の効率化を実現しました。アークスグループ全体への業務デジタル化の波及も目指します。
ココがPOINT!
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月に約230件発行する請求書の8割をデジタル化
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業務フローを大きく変えず、作業者の負担を軽減
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発行から即日届き、取引先の作業時間も短縮
地域密着型の「八ヶ岳連峰経営」で事業展開
アークスグループのスーパーマーケットは、北海道・東北・北関東と拠点を広げ展開されていますね。
財務・経理グループ ゼネラルマネジャー(以下、ゼネラルマネジャー):
アークスは、「ラルズ(北海道)」、「ユニバース(青森県)」、「オータニ(栃木県)」など、地域密着型のスーパーマーケット10社と事業会社1社を擁する食品流通グループです。2024年2月末時点のグループ店舗数は377店舗となりました。

株式会社アークスは純粋持株会社で、各事業会社の親会社としてグループ全体の統括と戦略の立案を担っています。親会社の傘下に子会社がある富士山型の企業体ではなく、あたかも八ヶ岳連峰のように同じ高さの山々が連なる企業連合が、アークスの目指す「八ヶ岳連峰経営」です。経営統合しても地元の皆様になじみのある社名やストアネームは変更しない地域密着型こそ、お客様との距離を短く保ちながら、スピーディな経営判断が実現するとの考えに基づいています。
所属されている、財務・経理グループの業務内容を教えてください。
ゼネラルマネジャー:
グループは私含め11名で構成し、月次決算や連結決算業務、財務情報の開示など文字通りの財務、経理業務が主たる業務です。加えて、経営企画グループやサステナビリティ推進室といった他部署とも連携し、ESG経営を目指して財務情報と非財務情報を合わせて世の中に開示する取り組みも行っています。
毎月発行している請求書は、どういったお取引のものが多いのでしょうか。

財務・経理グループ 担当者(以下、経理担当者):
大まかなものはいくつかあり、たとえば出向者の人件費等や、持株会社でとりまとめる経費といったグループ会社間の債権債務のやりとり、クレジットカード会社や食品メーカーへの販促関連の費用請求などもあります。半数以上は、アークスグループ共通のポイントカード「アークスRARAカード(以下、RARAカード)」の外部提携店への請求です。
RARAカードは、300円(税抜)で1ポイントのお買物ポイントなどをためて、1ポイント1円相当としてご利用いただけるサービスです。アークスグループの店舗以外にも、店舗内のテナントやガソリンスタンド、タクシー会社等の「ポイント提携加盟店」での使用でもポイントをためることができます。外部提携店で付与されたポイントは、アークスの債務になりますので、各提携店様に約130通の請求書を毎月発行しています。その他の請求書は合わせて100通前後、合計で月に発行する請求書は230通ほどです。
印刷や押印・申請、郵送といった請求書発行にかかる時間を削減したい
請求書の発行に『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入された経緯を教えてください。
ゼネラルマネジャー:
最初のきっかけは、弊社のメインバンクである北海道銀行様からのご紹介でした。官民連携してDXに取り組んでいこうといったデジタル化の潮流や、コロナ禍の影響などもあって、導入を検討するようになったのです。社内の情報システムグループという部署主催のDX推進委員会が取り組むDXの中のひとつとして、経理では請求書の電子化がメインターゲットになりました。
ただ、アークスグループ全体の基幹システムにSAP(統合基幹業務システム)を新たに導入したタイミングでしたので、その習熟を待ち、実際に『BtoBプラットフォーム 請求書』で請求書を発行しはじめたのは2023年8月からです。
導入前は請求書の発行業務に、どのような課題がありましたか?
経理担当者:
課題に感じていたのは、請求書の印刷や封入作業にかかる時間と手間、承認に必要な押印フローの煩雑さです。請求書発行後に保管する控えの管理も大変でした。請求書のデータのうち、前月請求分の入金や繰越の情報は前月のうちに時間をみつけて入力を済ませておきます。最も件数が多い外部提携店への請求書業務を例にしますと、第1営業日の夕方くらいに、カードグループや情報システムグループといった各部署の担当者がエクセルで作成した請求データが、社内メールで財務経理グループに届くので、そのデータと合わせて処理します。
届いた請求データを請求書用フォーマットのエクセルシートへ貼り付けて差し込みデータを作成し、ワードの差し込み文書の機能を使って印刷していました。印刷した請求書は、担当部署へ戻し、担当部署で押印の上、郵送します。
担当する件数に違いはあるものの、請求書は財務・経理グループ3~4名で作成し、その後、担当部署に戻し、第5営業日くらいには郵送していたと思います。
『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入効果はいかがですか?
経理担当者:
大きく減ったのは押印作業と封入作業です。経理で管理している入金、繰越データと、各部署から送られてきた請求データを合わせたCSVデータを『BtoBプラットフォーム 請求書』にアップロードしたら、画面上で承認作業を済ませて最終的に各部署の上長が発行ボタンを押します。作業する人の負担にならないように、紙の請求書を発行していた時とフローは変えていませんが、ペーパーレスで押印不要になり、封入などの郵送にかかる時間や手間がなくなりました。請求書を受け取る側の取引先にとっても、時間短縮になっています。
オプション機能の「郵送代行サービス」もご利用ですね。
経理担当者:
パソコンを使い慣れていない個人商店さんなど、一部の取引先にお送りしているのと、新規の取引先へ初めて請求書を送る場合も郵送代行を使っています。郵送代行で届く請求書に仮IDとパスワードが載っているので、ご招待も併せて行えるからです。多くが電子請求書での受取を選んでいただくので、郵送代行で発行しているのは2割ほどですし、発行作業自体は、特に電子請求書か郵送代行か意識する必要はないので、使いやすいですね。
デジタル化の波をグループ各社にも伝え、グループ全体への広がりへ
今後の展望をお聞かせください。
ゼネラルマネジャー:
社内でいえば、たとえば出張旅費などを精算する「小口現金精算」は電子化できればと思っています。総務グループなど経理以外の部署も横断する仕組みが必要になるのと、そこまで強いニーズがあるわけではないことから、未だに紙で申請し現金で精算している状態です。
アークスグループ全体では、親会社のほかに3社のグループ会社が『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入しており、残り7社にも導入を広げていきたいと考えています。親会社とグループ会社共通の取引先から、「親会社以外は紙なんですか」というお声もいただいています。電子請求書の導入は、軌道に乗せるまで労力がかかるのではないかと不安でためらう気持ちもわかりますので、我々が業務効率化に成功した事例をしめすことで、疑念を払しょくしたいです。
郵送だと発行から数日かかって先方に届きますが、電子請求書ならどんなに離れていても即日届きます。距離や気候に左右されないデジタルのメリットを伝えてはたらきかけていけたらと考えています。
※掲載内容は取材当時のものです。