カット野菜を製造・販売する株式会社健食。FAX発注書の受注処理に、事務員が1日の大半をあてていました。受注後にカット加工するためFAX複合機から目が離せず、小休憩の時間さえとれない日もあったといいます。
そこで受発注システム『TANOMU』を導入。稼働後3カ月でFAX処理は半減し、1日6時間つきっきりのFAX対応から解放されました。
ココがPOINT!
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1日8時間かかりきりだったFAX受注が6時間短縮して2時間に
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納品日2日前の発注締め時間を設定して、リードタイムを確保
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FAX発注書、納品書の印刷が減り、用紙の消費量が半減
関東全域にカット野菜を配送
様々な野菜をカット加工されていますね。
専務取締役(以下、専務取締役):
当社は栃木県で野菜、果物の仲卸をするカネイチ青果のグループとして、業務用カット野菜の加工・販売をしています。
契約農家様を中心に約50種に及ぶ農産物を仕入れ、食品安全の国際規格FSSC22000認証を受けた当社の工場で加工しています。
販売先は8割が食品メーカーで、他に事業所給食、スーパー、外食、市場の仲卸など、関東全域から東北、甲信越まで配送しています。注文を受けてから製造するため、受注処理を迅速にする必要があります。
どのように受注対応されていましたか?
製造部 営業事務 リーダー(以下、営業事務担当):
FAX注文が大半です。受注の締め切りを納品日2日前の午前中までと決めて、お取引先様にご案内しています。しかし、FAXはいつでも発注できるので、その通りにならないことがあります。
FAX発注書の書式は当社がお取引先様ごとに配布したものや、お取引先様が作成された書式、無地のものなど様々です。取引するうちにカット方法などの商品規格が変わった場合でも、発注書を大量に印刷してしまったという理由で古い書式を使われることはよくあります。その場合、取引先と注文商品を確認して、この企業のこの商品は規格が変わったから受注内容を修正するといった作業をします。
また、納品日がバラバラなFAX発注書が一度に10枚ほど届くことがあります。その中に急ぎの納期の注文や、発注商品の変更があったりするので、FAXが届けばすぐにすべてに目を通す必要があります。
次に、FAX発注書の内容を基幹システムに手入力します。その際、書かれている文字が読めなければ確認の電話をします。入力内容をダブルチェックして、システムから加工指示書を出力して製造部に伝え、今度はFAX一枚ずつ「確認済み」のスタンプを押して返送します。これが一連の流れになります。
受注処理は1、2名で対応していたのですが、煩雑なうえ製造部に早く加工指示書を回す必要があるため、出勤から退勤まで常にFAXを気にしている状況でした。1名で対応する日はトイレにも行けないほどでした(笑)。
専務取締役:
このままの働き方を続けていては早期離職にもつながり、新しい従業員を採用しても繰り返してしまいます。
また、従業員ごとに受注業務の処理方法や知識量も異なって属人化が起きてしまっており、可能な限り業務標準化をしていかなければいけないと思いました。
FAX受注の課題解決に、受発注システム『TANOMU』導入
どのように課題解決に取り組まれたのでしょうか?
専務取締役:
FAX受注の課題を解決するには、ITツールを入れる必要がありました。OCRなど様々なサービスを検討しているうちに、インフォマートの受注改善セミナーなどで受発注システム『TANOMU』を知ったのです。インフォマートは以前から知っていたので、安心感があり導入を決めました。
商品登録の準備は3日で対応
『TANOMU』の稼働準備で負担はありましたか?
営業事務担当:
実際、さほど負担となる作業はありませんでした。当社の基幹システムから商品マスタとなるCSVデータをダウンロードして、『TANOMU』に取り込めたのです。CSVデータを取り込み形式に合わせてコピー&ペーストしていく作業で、社内SEも必要なく、私1人が3日間ほどでできました。
不明点はインフォマートの営業担当やサポートセンターに助けていただいたことも大きな要因です。2024年11月に利用を開始しました。
取引先への発注方法の切り替えは、どう案内されましたか?
営業事務担当:
90件ほどの取引先を『TANOMU』に登録し、「○月○日までに発注方法をFAXから『TANOMU』に切り替えます」という書面を郵送しました。
郵送から1~2週間後に1社ずつ電話をかけて発注の切り替えをお願いしていきました。Amazonや楽天でネット注文するのと同じでかんたんです、商品も探しやすいですと説明していったところ、意外にもすんなり切り替えが進んでいきました。
取引先は食品メーカー、事業所給食、スーパー、外食、市場の仲卸などで、切り替えていただけるか不安でしたが、『TANOMU』での発注をご案内すると、「FAXに書くのが手間だった、はやくFAX送信を辞めたかった」「すごく楽になった」という取引先もいました。
受発注システムの導入後に大きく様変わりした受注風景
『TANOMU』を導入して、変わったことは何でしたか?
営業事務担当:
発注の締め切り期間が設定できることで、取引先様に守っていただけるようになり、大いに助かりました。FAXや電話では締め切り後にも注文が入ってきました。臨機応変に対応していましたが、負担になっていたのは事実です。
専務取締役:
これまでは受注した内容をシステムに入力する際、当社の商品名に変換する手間がありましたが、『TANOMU』は受注情報をCSVデータにでき、基幹システムに直接取り込めます。この入力作業も、入力内容のダブルチェックもなくなりました。
納品日ごとに自動で仕分けられるので、すべての受注に目を通す必要もありません。業務に優先順位を付けられるようになり、大きな効果だと思います。
営業事務担当:
業務の進捗状況が複数のパソコン画面で共有できるようになったのもありがたいです。これまではFAX発注の処理状況が把握しづらく、業務を誰かに代わってもらうことができませんでした。
『TANOMU』を使うことで受注情報を共有できるようになったので、担当者4人が業務の進捗を共有し、誰でも分担できるようになりました。業務の教育工数も少なく済んでいます。
また、紙の消費が半減しました。これまでFAX発注書をコピーするなどして、ひと月分をまとめて1つの箱に詰め込んで保管していましたが、『TANOMU』導入後は2カ月でひと箱が埋まります。納品書も『TANOMU』で出力できるので、とても楽になりました。
何より、時短効果は大きいです。これまで朝から夕方まで8時間FAXにかかりきりでした。いまでは2時間程度ですので、6時間の時短になっています。
『TANOMU』を利用した今後の展望
浮いた6時間でどのような取り組みをされますか?
営業事務担当:
これまでは受注業務に専念するだけでしたが、これからは『TANOMU』の販促機能で営業発信しようと検討しています。
専務取締役:
受注担当者は、営業担当以上に関連データを持っており、日常的に取引先とやりとりしているので接点もあります。一方、営業部署の担当者は受注の傾向を把握することは難しい部分があります。
これまで受注に専念するのみだった担当者を、営業担当として効果的に稼働してもらいたいと考えています。いわば人的リソースの再配分です。後方支援から営業の最前線へ。『TANOMU』導入で新たな可能性が見えてきました。
※掲載内容は取材当時のものです。