変わる経理
現役経理パーソン&管理職1725人アンケートで読み解く、これからの姿(後編)

株式会社ディー・エヌ・エーの業務改善と仕組みづくり

2019年3月18日

左から株式会社ディー・エヌ・エー 経営企画本部企画統括部 経理部 第一グループマネジャー 松野晃氏、同IT戦略部 業務改革推進グループマネジャー 大脇智洋氏、同経理部 部長 青木興一郎氏

  

前編では「変わる経理」と題して、現役経理パーソン&管理職1,725人に行った「経理のこれから」についてのアンケート結果を紹介した。そこから見えてきたのは、人にしかできない仕事に特化した「次世代の経理」への可能性だ。その実現には先端テクノロジーの積極的な導入や、未来を見据えた意識改革が必要となる。だが、改革の必要性はわかっていても、なかなか踏み出せないという声も多い。具体的に、経理の業務改革によりどんな成果が出てくるのか?後編では、新たな価値の提供を実現できた事例として、株式会社ディー・エヌ・エーの取り組みを紹介する。

経理・財務部門 改革ケーススタディ
株式会社ディー・エヌ・エー 企業価値向上に貢献する」経理の取り組み
  

実際に業務改革で、新たな価値の提供を実現できた経理部門は、どのような取り組みをしてきたのだろうか。株式会社ディー・エヌ・エーは、1999年の創業以来、インターネット領域で急成長してきた。モバイル向けゲーム事業を主軸にプロ野球へも参入し、ヘルスケア、オートモーティブといった分野にも進出するなど、事業が多角化している。新規事業への積極的な挑戦を、経理部門は会計的なアドバイスで支えているという。ルーティンに追われる経理から戦略的な経理へと、業務を変貌させた担当者3人に、その取り組みと成果をうかがった。

IT戦略部との協業と、部門を越えた情報共有で業務改革

― 御社の経理部門についてと、これまでどんな業務の課題があったか教えてください。

青木:経理部は約30名で、経営企画本部の中の企画統括部に属しています。企画統括部には経理の他に、経営管理やIT戦略といった、バックオフィスを支える部門が集まっています。

私が2010年に入社した当時は、連結はエクセルに手入力し、マクロで作業しているような状態で、月次や四半期決算を締めるだけで精一杯でした。月初めは全員が22時ごろまで残業するのが常態化しており、日常のルーティンから開示資料を作成する定型作業だけで、キャパシティの9割は使い果たしていた感がありました。

― それらの課題はどのように克服してきましたか。

松野:2013年に会計システムを刷新し、かなりの作業を自動化しました。そこからさらなる効率化を目指し、改善できそうな点を発見するたびに、すぐできる小さなことからシステム構築に至るまで、コツコツ見直しを重ねながら今に至っています。人的な見直しでいえば、ルーティン業務は適材適所を意識した人員配置≠ェスピード化に大きな効果があるとわかったので、現状の配置がベストかどうかは常にウォッチするようにしています。

最適な人員配置を検討するためには、業務の透明化が必要です。誰がいつ、どんな作業をしているかの進捗が一目でわかるよう、チャットツールを使って業務の「見える化」も図っています。遅れている作業やその理由もリアルタイムでわかるので、必要に応じて人員を再配置したり、業務フローを見直すことができるのです。

青木:システム化による業務改善は、IT戦略部のサポートがとても大きいです。経理部にはIT戦略部の担当者がひとり常駐していますし、会計まわりで必要なRPAなどのシステム開発には、業務改革推進グループというチームが課題検討から協業する体制になっています。開発は自社エンジニアに任せるのが基本ですので、外注するよりもスピード感のある改善が可能です。

― 課題や要望があがってきた時、どのような連携をしていますか。

大脇:経理部門で課題の一覧を作り、定例のミーティングで、業務プロセスの見直しだけで改善できそうか、システムの構築が必要かを検討します。先ほど申し上げた、常駐のIT戦略部のメンバーも参加してアドバイスし、ITで解決できそうだとなればIT戦略部に案件がまわってきます。

逆に、RPAなどの新しいテクノロジーを活用したソリューションがあって経理で使えそうだと思ったら、IT戦略部側が経理を呼んで一緒に検討するケースもあります。

リリースから数ヶ月後には、アンケートなどでフィードバックをとって、機能の使い心地や満足度などを確認する取り組みも最近はじめました。

― 縦割りではない、部署の垣根を越えた業務改善ですね。

青木:情報の共有は、全部署を横断しています。経理の定型業務はマニュアル化を進めて作業の詳細や、効率化のアイデアなどを社内wikiに集約させていますが、これは経理部門に限らず見ることができます。「この人しかわからない」という仕事がないよう、業務を属人化させないことを重視しています。

松野:たとえば伝票の計上までにいつも時間がかかっている部門があれば、経理が社内wikiを見て他部署で同じ問題に対する解決事例がないか、効率化が図れている部署がないかを探し、改善の提案をしています。経理部の作業だけを早期化しても、各事業部の起票が遅いままでは効果は半減しますから。

逆に、他部門から経理部に対しても、要望や改善の提案がどんどん届きます。それが新プロジェクトや業務改善につながることは日々起きています。

― 業務改善の取り組みの、具体的な成果は?

青木:残業に頼ることはなくなりましたし、決算に追われていた頃とは違って管理会計業務の一部に工数を割いたり、経理業務だけでなく周辺へも幅を広げ、貢献分野を拡大することができています。 決算早期化のために労力を費やすよりむしろ、業務を改善して経営の意思決定に対して、より専門性のあるアドバイスができるほうが弊社の競争力の強化につながります。

弊社は事業領域をゲームやコミュニティといったインターネット上のサービスだけでなく、スポーツやオートモーティブ、ヘルスケアへと広げてきました。常に新規事業にチャレンジする経営に、経理は財務面からの提案で参画している自負があります。

たとえば新プロジェクトの計画に、担当者や事業部レベルでは気がつかない会計的な問題が潜んでいることがあります。計画の段階で経理部に相談してもらうことで、会計処理はどうなるか、業績に対してどんなインパクトがありそうか、減損リスクのめどとそれを回避するアプローチがあるかといったことをアドバイスし、より良い意思決定につなげることができます。

かつての私たちのように決算に追われて疲弊していたら、「忙しそうだから」とこうした相談を持ちかけにくいでしょう。経理部門が定型業務の枠を超えて企業価値向上に貢献していくには余裕を持った働き方も重要で、こうした面でも生産性向上のメリットは大きいと思っています。

ルーティンに追われる経理から、経営に積極的に参画する経理へと変革を遂げた同社。まさに、前編のアンケートの回答からも多かった、「本来あるべき経理の仕事」を実現している。会計システムの刷新、自動化、業務の透明化、部署の垣根を越えた業務改善など、業務フローを一から見直した結果だ。経理・財務部門が本来担うべき役割を実現するためにも、「経理が企業価値向上に参画する」という強い意志を持って、ぜひ実現してほしい。

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