デジタル時代の経理・財務パーソンA
4つに分かれるこれからの役割

2019年9月12日

デジタル時代の経理・財務パーソンA〜4つに分かれるこれからの役割

前回は、本誌編集部が現役経理パーソンと管理職1725人を対象に実施したアンケートから、経理・財務部門が抱える課題を分析し、デジタル時代に求められる、これからのあり方を探った。今回は、経理・財務部門を組織として俯瞰し、その役割と機能から4つに分類したうえで、今後、シフトチェンジが必要な役割・機能を具体的に紹介する。

経理・財務に求められるこれからの役割・機能

経理・財務部門の役割と機能は、大きく4つに分類される。

【4つの役割と機能】

コメンテーター
会社経営の方向性や現状の分析について、数字を使って説明する。
トップマネジメントから求められた経理・財務的観点からの要求に応える。
(意思決定支援の情報提供)
ビジネスパートナー
計数面・財務面において、ビジネス視点・経営視点から能動的に事業側へ情報発信や助言を行い、事業側の意思決定に参画する。
企業価値の向上に対してコミットメントを持って、経営課題の解消に事業側と共に取り組む。
スコアキーパー
取引を正しく処理し、記帳する。
月次等の定期報告を正しく作成する。
四半期・年度の外部報告資料を正しく作成する。
カストディアン
関連法令や会計基準への準拠・遵守(コンプライアンス)に責任を持ち、必要なモニタリング、運用を行う。
会社のガバナンスをリードする。資産価値の保全責任を持つ。

このうち、従来からの中心業務である日々の記帳や決算などは、「スコアキーパー」だ。すでに自動化は始まっているが、今後さらに加速していくと考えられる。一方、財務面から現状を分析し、経営陣に情報提供するのが「コメンテーター」。企業ガバナンスやリスク管理を指揮するのが「カストディアン」だ。

そして、今後の経理・財務部門が最も強化していくべき機能が、「ビジネスパートナー」だ。一般に「付加価値業務」といわれている領域である。企業全体を俯瞰する経理・財務の専門家の立場から経営陣やリーダーに助言するとともに、経営意思決定にも参画する。

グローバル化の進展やビジネス環境が急変する中で、ビジネスパートナーに求められる役割は拡大している。自動化でスコアキーパーの人員に余剰が生じた際、ビジネスパートナーにスキルチェンジを促し、リソースを移していくのが合理的だ。

従来の役割・機能
取引を正確に記帳し、決算資料を作成するスコアキーパー機能が中心で、マンパワーもここに集中する。カストディアンやコメンテーターとしての役割も担うが、ビジネスパートナーの機能を持つ組織は多くはない。
これからの役割・機能
スコアキーパーの主な機能は自動化が進み、必要なマンパワーは減少。その一方で、目まぐるしく変化するビジネス環境に対応するためのビジネスパートナーの役割は増大。スコアキーパーからのシフトチェンジが課題に。

今後はカストディアンとコメンテーター業務の一部も、自動化されると山岡氏は予想する。

「どの役割にも単純作業や、システムが得意とする作業が多くあり、こうした業務はいずれ自動化されると考えられます。それでも、人が不要になることはありません。デジタル技術を活用した業務効率化を推進したり、データを意思決定に活用するためのシミュレーションモデルを構築したり、グループガバナンスを強化するような高度な業務は、人が担う必要があるからです」

山岡 正房 氏

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
アソシエートパートナー

山岡 正房 氏

米国ソフトウェア企業の日本法人を経て、1999年に日本アーンストアンドヤングコンサルティング(当時)に入社。財務・会計コンサルティングやERP導入支援など多くのプロジェクトをリードした後、2014年より現職。デジタル技術を活用したCFO部門の変革をテーマに活躍している。

いずれの機能でも、人に残される役割には高い専門性が求められる。

4つの役割と機能を詳しく解説

【スコアキーパー】実作業を担うシステムを構築・管理

日々の取引を正しく処理・記帳し、決算資料を作成する業務で、従来から経理・財務部門に求められてきた最も基本的な役割がスコアキーパーだ。財務諸表などの開示資料に加え、月次決算などの内部報告資料や税務申告、会計監査対応も含まれる。これらの業務の多くはすでに自動化が進んでいるが、将来的にも相当数の余剰人員を生む可能性が指摘される。

スコアキーパーの多くはビジネスパートナーへのスキルチェンジが求められる。それでも、スコアキーパーとして残る人材は必要であり、今後の役割は、会計とIT双方の知見を持つ専門家として、実作業を担うシステム構築を指揮したり、R P A等各関連システムの品質管理を担う立場になると考えられる。

【カストディアン】リスク管理やガバナンスの責任者

企業のガバナンスを指揮し、コンプライアンスや内部統制上の問題が生じていないかを監視する役割がカストディアンだ。リスクマネジメントを徹底し、企業価値や資産価値を保全する責任を持つ。言うなれば、ビジネスパートナーとカストディアンは、アクセルとブレーキのような関係となる。企業規模が大きくなるほど、人の目による監視は難しくなるため、今後はカストディアンにも自動化の必要性が高まることが予測される。

例としては、グループ企業のデータを収集し、不正を自動検知するようなシステムが考えられる。またグループ全体の財務リスクのエクスポージャーの適時把握にもITシステムが活用されることになる

【コメンテーター】意思決定に必要な情報を提供

自社の財務状況を分析し、経営の方向性や現状分析、意思決定に必要な情報を提供する役割を持つ。予算や業績の管理、リスク評価やM&Aにおける財務アドバイザーといった機能もコメンテーターにあたる。経理・財務に限らず、経営企画部門がその役割を担うことも多い。ただし、実績把握や予算実績差異の原因分析、レポート作成などの仕事は、近い将来、自動化されると考えられる。

今後のコメンテーターに求められるのは、データの専門家として財務やマーケットのデータを収集して多様な視点から分析し、仮説を立てシミュレーションモデルの提案までを担えるスキルだともいえる。

【ビジネスパートナー】財務の専門家として意思決定に参画

経理・財務面で企業全体を俯瞰する専門家の立場から、社会・環境問題や市場動向など外部環境の分析に基づくアドバイスを行い、経営意思決定に参画していく役割だ。知見の提供だけでなく、会計データという根拠を用い意思決定にかかわる。

自社ビジネスへの深い理解に加え、ファイナンスに関する高度なリテラシーと戦略的な思考が必要。また、新規事業のアイデアを事業化する際も重要な役割を果たす。経営陣は新しい分野のアイデアはあっても、事業化するノウハウを持っていないことがあり、ファイナンスの専門家であるビジネスパートナーが組織を再構成し、投資金額の決定や事業運営の枠組みの構築をリードすることが期待される。

次回は、価値を生み出す経理・財務パーソンとして、一人ひとりが今やるべきことを紹介する。

本コラムの監修

本コラムの監修

一般社団法人日本CFO 協会

「市場・社会対応型の経営モデルをリードするCFOを育て、日本における企業経営のグローバルスタンダードを確立する」をミッションに掲げ、経営・財務に関する最先端の概念・手法を調査・研究し、CFOの育成に努めると共に、CFO機能強化のための支援活動を行う。

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社

世界5大会計事務所であるアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドの日本におけるメンバーファーム。クライアントの業績向上に向け、長期的な取り組みを提案する。

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