最終更新日:2017年6月30日
目次
日本のフィンテックは個人向けから企業向けへ
現状の日本のフィンテックは個人向けサービスが中心だが、今後は企業向けへ広がっていくと考えられる。
すでに財務管理や資金調達、決済・送金などの分野で新しいサービスが次々と誕生し、ビジネスの世界に大きな変化をもたらそうとしている。企業を取り巻く新しい金融サービスの動向には、常に関心を持っておきたい。
代表的なフィンテックの活用分野
(1)決済・送金
キャッシュレス社会を加速させるサービス。フィンテックの起源とされるPayPalのほか、割り勘や個人間送金にも便利なLINE Payなども、この分野に含まれる。
スマホやタブレットを決済端末に活用する米・Squareや日本のコイニーなどのサービスは、小規模店舗には導入負担が大きかったカード決済を普及させた。ビットコインなどの仮想通貨も、新しい決済・送金手段として注目される。
(2)財務管理
インターネット環境とパソコンがあれば利用できる、クラウド会計サービスが代表例。自社サーバの構築など初期投資の必要がないことから、中小・零細企業や個人事業主に広がった。
カナダのFreshBooksやニュージーランドのXeroのほか、日本でもfreeeやMFクラウド会計といったサービスがある。請求業務を効率化する電子請求書サービスも、近年急激に普及が進んでいる。
(3)資金調達・融資
既存の金融機関から融資を受けられない個人や企業、プロジェクトでも、インターネット経由で資金提供を募る「クラウドファンディング」で資金調達が可能になった。
米・Kickstarterのような寄付の形もあれば、日本のmaneoのように、借り手が利子をつけて返済するため支援者に金銭的メリットがあるタイプも。融資の際の与信判断にAI(人工知能)を活用する試みも広がっている。
(4)資産運用
簡単な質問に答えるだけで、最適な資産運用を提案し実行してくれるロボ・アドバイザーや、業界・分野ごとに分かれた運用テーマから選ぶテーマ型投資サービスなどがある。少額かつ低コストで資産運用が可能になった。
米・WealthfrontやBettermentといったベンチャー企業が起源で、日本でもウェルスナビ(WealthNavi)やお金のデザイン(THEO)などがサービスを開始。大手金融機関も追随している。
世界で注目の企業向けフィンテック
【カントックス】
中堅・中小企業向けに提供されている外為取引のマッチングサービス。プラットフォーム上で、売り手と買い手をマッチングし、ニーズが合致すれば、銀行の仲介なしで取引ができる。2011年・イギリスで創業。
【ファンドボックス】
未回収の請求書の残高に応じて融資を受けることができるサービス。売掛金回収までの運転資金を調達できる。様々なデータを自動分析し、約50秒で融資可否を判断、翌日には振り込まれる。2012年・アメリカで創業。
【ボードツリー】
中小企業向けのクラウド型財務管理ソリューション。キャッシュ・フローをリアルタイムに把握できたり、財務諸表や各種リポートを自動作成する。2010年にアメリカ・デンバーで設立された同名企業により運営。
次回は、フィンテックがもたらす未来の経営について、三井住友フィナンシャルグループに話を聞く。
※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。
監修者プロフィール
『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部
この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。