- 業務効率化・DX
【2026年最新版】「導入を決めたのに進まない」を解消!請求書の電子化に向けたロードマップ「90日」の全体像を解説【前編】
最終更新日:2026年9月30日
この記事でわかること3点
請求書電子化が進まない原因と「90日ロードマップ」の全体像:プロジェクトが停滞する壁の正体と、手戻りを防ぎながら定着を目指す段階的なスケジュールを解説します。
【フェーズ1】土台作りとなる「構想策定」の具体的手順:導入目的の優先順位付けや現状の工数把握、そして現場の抵抗を防いでプロジェクトを「全社ゴト」にするためのキックオフと体制構築のポイントを整理します。
【フェーズ2】失敗しない「システム選定」と業務フロー設計:自社に最適なツールを選ぶための基準と、紙や電子が混在する新しいフローの図式化、経営層の決裁をスムーズに通す稟議のコツを紹介します。
企業のバックオフィス業務において、デジタル化の波はもはや避けて通れません。社会情勢やインボイス制度等の法令対応を機に、電子請求書の導入を決定した企業は増加しています。一方で、「導入を決めたのに一向にプロジェクトが進まない」といったお悩みも少なくないようです。ツールを契約して終わりではなく、社内外を巻き込んだ運用体制を構築しなければ、真の業務効率化は実現できません。確実な業務効率化と定着を実現するために重要なのが、あらかじめ全体像を把握する「90日間のロードマップ」に沿った進行です。
本コラム【前編】では、プロジェクトを成功に導く4つのフェーズのうち、システム決定前の土台作りとなる「フェーズ1:構想策定(Day 1〜30)」と、自社に最適なシステムを見極める「フェーズ2:選定(Day 31〜60)」について解説します。 手戻りを防ぎ、「決めたのに進まない」状況を打ち破るための具体的なステップとチェックポイントを見ていきましょう。
なぜ請求書の電子化は「決めたのに進まない」のか?
多くの企業が直面する停滞の壁を、まずは紐解いてみましょう。システム導入自体は決定しているにも関わらず、導入プロジェクトが停滞してしまう背景には、主に以下の3つの壁が存在します。
- 導入の手間への戸惑い
取引先の同意取得、社内システムとの連携、法対応の確認など、どこから手をつければいいか分からない。 - 終わりが見えない不安
プロジェクトが長引きがちで、着地点が見えないため動き出せない。 - 失敗リスクへの恐れ
やり直しやコスト増加が怖く、確実な手順と判断基準が定まらない。

いくら便利なツールを導入しても、この「戸惑い・不安・恐れ」を払拭できなければ定着はしません。これらの課題をクリアするため重要なのが、あらかじめ全体のスケジュールとタスクを明確にした上での、ロードマップに沿った進行です。
90日間を4つのフェーズ・13ステップに分け、段階的に電子化プロジェクトを進めれば、手戻りを防ぎながら定着を目指せます。
請求書の電子化に向けたロードマップ~90日の全体像~

STEP10★とSTEP13★はご希望に応じてインフォマートが伴走支援いたします。詳しくは【後編】をご参照ください。
フェーズ1、フェーズ2はシステム決定前(前編)、フェーズ3、フェーズ4はシステム決定後(後編)の流れです。
各フェーズの具体的なステップを順に見ていきましょう。
【フェーズ1】構想策定(Day 1~30)
まず、請求書電子化の目的を整理し、請求書処理業務の課題や要件を明確にするフェーズ1を確認しましょう。この段階におけるしっかりとした土台を作りが、後のスムーズな進行に繋がります。
ステップ1 導入目的と要件定義
プロジェクトのゴールをどこに設定するかを最初に決めます。「コスト削減」「法対応」など目的の優先順位付けを行います。
<チェックポイント>
- 請求書の電子化で解決したい課題の棚卸
経理担当者だけでなく、システムに入力する営業部門や承認者など、現場のリアルな声をヒアリングし、社内の課題を漏れなく可視化します。
課題の例
・システム転記に時間がかかっている
・請求書の保管スペースが不足している
・郵送・印刷コストがかかっている
・電子帳簿保存法の要件に対応できていないなど
- 導入目的(コスト削減、法対応など)を決定
洗い出した課題をすべて一度に解決しようとせず、「これだけは絶対に外せない」最優先事項を絞り込み、明確にしておくことが、システム選びで迷わないための条件です。
ステップ2 現状業務の棚卸しと工数分析
目的が定まったら、次は自社の現状を正確に把握するため、請求書の月間通数を明確にします。
<チェックポイント>
- 紙・PDFなどの割合を確認
まずは直近の請求書処理を振り返り、郵送で届く紙、メールに添付されるPDF、その他に仕分けて、自社の現状をおおよそ把握します。 - 処理にかかっている工数(時間)を計測
「開封」「仕分け」「入力」「チェック」「承認」など、どの工程がボトルネックになっているのかを、客観的な数値であぶり出します。「1件あたり平均〇分」といった概算を残しておくだけで、後から導入効果を確認する際の基準値にできます。
■詰まりやすいポイントと回避策
件数が多いと、すべての工数を計測しようとして手が止まってしまう場合があります。
主要な請求書フローの工数から優先的に取りかかりましょう。
ステップ3 プロジェクトキックオフ・ビジョン共有
現状と目的が整理できたら、社内への周知を行います。経営層・関係部署へ導入説明とビジョンの共有会を実施します。
<チェックポイント>
- 経営層・関係部署の承認が取れている
経営層からのトップダウンのメッセージとして発信してもらうことで、部署単位の取り組みではなく「全社プロジェクト」としての強固な推進体制を担保しておきます。 - 導入後の理想の姿(ビジョン)をストーリー仕立てで共有した
単なる機能説明に終始せず、「このシステムが入ると自分たちの日常業務がどう楽になるのか」を、具体的な利用シーンに落とし込んで伝えます。 - 導入に伴う役割変化・新プロセスへの心構えを伝えた
各部署の業務フローが具体的にどう変わり、誰が何を担うのかを明示します。移行期の、操作を覚えるための一時的な負担増の可能性も隠さずに伝え、誠実な姿勢で協力を仰ぐことが信頼関係に繋がります。
■詰まりやすいポイントと回避策
経理だけで進めようとして現場の抵抗が起きるケースもあります。キックオフでビジョンや導入後の変化を事前に共有し、認識のずれを防ぎましょう。電子化が単に経理業務を楽にする手段ではなく、会社全体のメリットであることを丁寧に説明し、プロジェクトを「全社ゴト」と捉える土壌作りが成功の鍵です。
ステップ4 社内推進チームの結成
ビジョンを共有した後は、計画を確実に実行へ移すためのチームを作ります。経理だけでなく、システム部門や営業部門も含め、誰がどの業務を担うのか、明確な役割分担に取り組みます。
<チェックポイント>
- 各部門の担当者と役割が決定している
「経理と営業の橋渡し」や「システム連携のテスト担当」など、名前だけでなく具体的なタスクレベルで役割を明文化しておきましょう。 - 実行力や洞察力、最後まで投げ出さない責任感を持つプロジェクトマネージャーをアサイン済み
肩書き上のリーダーではなく、他部署との調整や課題解決に向けて泥臭く動ける「実務の推進者」を立てることが重要です。
■詰まりやすいポイントと回避策
部署を横断するプロジェクトだからこそ、「誰がいつまでに何をするか」を明確に統括するリーダーが必要です。各部門とも通常業務を抱えているため、推進役不在のプロジェクトは後回しにされる可能性があります。強い責任感と実行力を持つプロジェクトマネージャーを必ずアサインしましょう。
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【フェーズ2】選定(Day 31~60)
フェーズ2では、導入するサービスを比較・選定し、新しい業務フローを設計します。ここで自社に最適なツールを見極めることが重要です。「多機能だから」「安いから」という表面的な理由で選んでしまうと、現場の実務に合わず、結局誰も使わないシステムになってしまうリスクがあるため慎重な判断が求められます。
目先の課題解決だけでなく、今後の法令改正への対応力や、将来的な他システムとの連携といった拡張性も見据え、長期的に自社のDXを支えてくれるサービスを選びましょう。
ステップ5 サービス選定基準の明確化
導入するサービスの比較検討を行うために、まずは自社にとって譲れないサービス選定基準を決定します。
<チェックポイント>
- デジタル・紙・PDFの請求書に対応している
全取引先をカバーできなければ「一部は紙のまま処理する」ことになり、二重管理による隠れたコストが発生してしまいます。「どうしても紙で送ってくる取引先」の請求書を、システム上でいかに手間なくデータ化・一元管理できるかを確認しましょう。 - 電子帳簿保存法・インボイスに対応した保存ができる
制度改定のたびに自社で運用ルールを変えるのは限界があり、現実的ではありません。システム側で要件を満たし、自動的にアップデートされるものを選びましょう。法令の複雑な要件を現場が意識せずに満たせるシステムであることが最低条件です。 - 自社の会計・経費精算システムなどと連携でき、「DtoD(Data to Data)」を実現できる
システム間で直接データを連携できるかどうかが、手入力による人件費とヒューマンエラーを極限までゼロに近づける真の業務効率化、自動化を左右します。 - 「機能」「サポート体制」「セキュリティ」「費用」「将来性」の5つの観点で候補となる複数のサービスを比較する
導入初期のつまずきを防ぐため、機能や費用だけでなく、自社や取引先への伴走支援の手厚さも必ず確認しましょう。初期費用や目先の機能だけでなく、運用後のランニングコストや将来の機能拡張を見据えた「トータルコスト」の視点での比較がポイントです。
数あるシステムの中から最適なものを選ぶ際、最大の差別化ポイントとなるのが「DtoD」による連携です。会計システムへ直接データを取り込める仕組みがあるかどうかで、導入後の業務削減効果も大きく変わります。
ゼロからの選定に迷った際は、DtoD方式を採用し、紙・PDFも一元管理できる「BtoBプラットフォーム 請求書」を検討の土台に置いてみると、他社ツールとの比較がしやすくなります。
ステップ6 新しい業務フローの確定
紙・PDF・電子が混在する新しい業務フローを確定しましょう。支払先からのデータでの受取やPDFのメール送信、紙の郵送代行などを組み合わせ、AI-OCRの活用なども含め、自社の会計・販売管理システムとどう連携させるかを、図式化するなどして整理しておくとスムーズです。
<チェックポイント>
- 紙・PDF・電子それぞれの対応方法を決定
どの形式で届いても最終的に一つの会計システムへ流し込めるよう、イレギュラー対応を含めた全てのルートを洗い出しておきます。 - 特に請求書受取では現場への業務フローの周知を徹底
「経理は分かっているが、現場の営業担当者が分かっていない」という事態を防ぐため、受取時の新しいルールを全社に浸透させましょう。業務フローは言葉で説明するよりも、誰が見ても一目で分かるようにフローチャート(図式)化してマニュアルに落とし込むのが効果的です。 - 電帳法・インボイス制度を踏まえた保存・破棄ルールを業務フローに反映
スキャナ保存後の原本破棄ルールなど、法令違反にならないための厳格な取り決めを、日々の業務プロセスの中にしっかりと組み込みます。現場が複雑な法律を意識せずに済むようなフローの構築が重要です。
業務フローの一例

【メモ:法令対応の基本ルール】
電子帳簿保存法 保存ルール
保存期間は原則7年。タイムスタンプの付与、または訂正削除履歴が残るシステムで、日付・金額・取引先で検索できる状態で保存する必要があります。
電子帳簿保存法 破棄ルール
スキャナ保存の要件(解像度・タイムスタンプ等)を満たした後に破棄します。要件を満たさず破棄すると法令違反になるため注意が必要です。
インボイス
適格請求書(インボイス)は7年間保存が義務です。取引先の登録番号を確認・記録します。電子データで受領した場合は電帳法の要件も同時に満たす必要があります。
ステップ7 稟議申請~契約
ここまでの要件定義と選定結果をもとに、社内の決裁を取り、正式にシステムの契約へと進みます。稟議申請を通すために、導入効果とリスクを経営層目線で整理します。
<チェックポイント>
- 導入目的とコスト削減・業務効率化の効果を整理
現場の「楽になる」という感情論ではなく、人件費や郵送費の削減額、処理時間の短縮といった「定量的なメリット」をステップ2で算出した現状の工数をもとに、説得力のある根拠として提示します。 - 電帳法・インボイス制度への対応の必要性を、未対応時のリスクとあわせて明示
法令順守は「待ったなしの経営課題」であることを強調し、対応が遅れた場合のペナルティ、取引先からの信用低下といった経営上のリスクを具体的に提示します。 - 投資に対する回収の見通しを経営層・決裁者に説明
システムの導入費用が、いつ・どれだけの削減効果となって回収できるか、費用対効果を明確にします。コストを単なる出費ではなく、未来の利益を生み出す投資と捉えられる回収シミュレーションを添えます。 - 紙運用の継続による競争力低下リスクにも触れ、導入の妥当性を補強
非効率なアナログ業務の放置が、優秀な人材の流出や組織の硬直化を招く中長期的なリスクを訴求し、旧態依然としたバックオフィス業務を続けることによる機会損失を指摘します。 - 上記のポイントを稟議書に集約し、決裁者へ申請
専門用語を極力省き、多忙な決裁者が「承認すべき理由」を瞬時に理解できるよう、要約を冒頭に持ってくるなどの工夫をします。経営層の視点「コスト・リターン・リスク」の3要素に的を絞ったロジカルで説得力のある稟議書に仕上げましょう。
この記事を読んでいる人が 注目している機能
構想と要件定義をしっかりと固め、自社のDXを支えるツール選定を
請求書の電子化は、ツールを契約すること自体がゴールではありません。フェーズ1で現状の課題と目的を現場レベルで明確にし、フェーズ2で自社の要件に合致するシステムを慎重に見極めるプロセスこそが、「決めたのに進まない」状況を防ぐ最大の防波堤となります。
システム選定において、紙・PDF・電子データのすべてを一元管理し、自社の会計システムと直接連携できる「DtoD(Data to Data)」の仕組みは欠かせません。ゼロからの選定に迷った際は、これらの要件を網羅する「BtoBプラットフォーム 請求書」を検討の土台に置いてみることをおすすめします。基準が明確になることで、自社に必要な機能が整理され、他社ツールとの比較や経営層への稟議申請がスムーズに進みます。
事前の構想と要件定義をしっかりと固め、経営層と現場双方の納得感を引き出すことができれば、全社横断のプロジェクトとして力強くスタートを切ることができます。
次回の【後編】では、システム決定後に直面する「フェーズ3:稼働準備」と「フェーズ4:稼働開始」について解説します。
プロジェクト最大の難関となる取引先への切り替え交渉を成功させるマスタクレンジングの秘訣や、社内への定着を促すトレーニング手法など、本番稼働に向けた実践的な運用ノウハウをお届けします。
本コラムの内容をまとめた各フェーズのチェックリスト付きの資料は、下記よりダウンロードできます。業務改革の一助にご活用ください。