「未来の経理」への第1歩を踏み出す
カンファレンス

経理フェスティバル 開催レポート

2021.06.16 13:00 - 17:30 オンライン開催

2021年6月16日にオンラインで開催された「経理フェスティバル」。未来の経理に向けた学びの場として、先進的な取組みをしている企業の経理の働き方や、『BtoBプラットフォーム 請求書』導入企業のDX成功事例などを紹介する、1年に1度の"経理の祭典"です。本カンファレンスは、過去に開催してきた対面型イベント「経理ステーション(BtoBプラットフォーム 請求書 ユーザー会)」を前身としながらより間口を広げ、すべての経理財務パーソンに向けた、有益な情報の提供を目指しています。

インフォマートの事業推進1部部長、上野高志はオープニングの挨拶の中で、「改正電子帳簿保存法やインボイス制度への対応、拡大するテレワークなど経理業務でますます電子化が求められている。そんな中で日ごろ、外部とのコミュニケーションが少ない経理財務部門にとって貴重な情報発信と意見交換の場だった経理ステーションが、コロナ禍で中断を余儀なくされてしまった。非対面でも交流が保てるよう、ユーザー向けにはオンラインコミュニティを2020年12月に立ち上げ、加えて情報発信の場として本イベントを企画。未来の経理に向けた第1歩を踏み出すヒントを得られる1日になれば」と開催の背景を述べました。

次いで、基調講演では世代・トレンド評論家の牛窪 恵氏が登壇。「なぜバブル世代とさとり世代は分かり合えないのか? ~世代間相互理解」と題し、コミュニケーションにおいて重要な「世代相互理解」についてご講演いただきました。

本ページでは、『BtoBプラットフォーム 請求書』導入企業の活用事例および、「未来の経理へ向けて1歩踏み出すためには?」をテーマに経理DX先進企業・学校法人の皆様に伺ったパネルディスカッションの模様をお届けします。さらに、『BtoBプラットフォーム 請求書』オプション機能である郵送代行サービスの舞台裏と、インフォマートが7月に正式リリースするサービス、「BtoBプラットフォーム TRADE(トレード)」もあわせてご紹介します。

受取モデル導入企業の活用事例

西野 まゆみ 氏

全国にゴルフ場132ヶ所、ゴルフ練習場26ヶ所を展開し運営・管理を行っている株式会社アコーディア・ゴルフは、2018年2月に『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入。現在は月に約6,000件の請求書が電子データで届き、受取・承認・仕訳・自社会計ソフトとの連携により受け取り請求書を一元管理しています。電子化率は導入から約3年間で98%を達成。さらに2021年4月からグループ会社でも請求書の受取に同システムを導入して、わずか1カ月あまりで72%という高い電子化率に至っています。『BtoBプラットフォーム 請求書』導入時から現在までプロジェクトリーダーを務める経理財務本部経理部マネジャーの西野まゆみ氏は、電子化率向上のノウハウとして、「電子化の招待状を送る前に、取引先にはトークスクリプトに沿った事前確認の電話を徹底すること」をポイントに上げました。

登壇者紹介

西野 まゆみ 氏

西野 まゆみ 氏

株式会社アコーディア・ゴルフ

経理財務本部経理部 マネジャー

招待状送付前に取引先へ電話する3つのメリット

「事前に電話をするメリットは3点あります。まず1つ目は、招待を送るべき担当者がわかる点です。担当者を確認すれば招待状を確実に届けられます。電話口で名乗る際には、社名だけでなく実際に取引のあるゴルフ場名をお伝えし、請求について大事なご案内であることも申し添えます。会社名だけでは聞き覚えがなくとも、“弊社保有の〇〇ゴルフ場(練習場)とお取引がございます”と名前を出すと、お相手の声のトーンが変わるのがわかります。また、大事なお話だと先にお伝えすることで、先方に心の準備ができます。

メリットの2つ目は、いつ・何を・誰に届けるかを明確に伝えられる点。送付物の詳細と宛名を伝え、先方に“やらなきゃ”という気持ちを持っていただくことが大事です」

その際には、現在の98%以上という高い賛同率にふれながら、コロナ禍でテレワークが急務である今、電子請求書であれば出社せずに処理が可能であることなどを説明。「白いA4サイズの封筒にて郵送」と担当者の記憶に残るよう具体的に表現するのもポイントだといいます。送付物には、電子請求書のスタート希望日を明記し、自社で作成したBtoBプラットフォーム操作マニュアルも同封。マニュアルには、利用開始から電子請求書発行までの流れや、FAQ(よくある質問)、便利機能などを掲載しています。

「メリットの3つ目は、もしご賛同いただけない場合、NG理由が確認できる点です。難色を示された場合は、その場で承諾せずに必ず理由を伺うようにしています。NG理由は大切な情報だからです。たとえば、パソコンが苦手でシステムに対応できない、セキュリティに不安があるといった理由を伺ったうえで、“後日、弊社担当者より改めて不安要素となっている部分のご説明をさせていただく場合もございます”とご案内するようにしています。取引先には、もう一度電話があるかもと思っていただければ弊社側も再架電しやすくなります。また、現在検討中とのお返事をいただいた場合は、具体的に開始時期を示していただくと早期賛同につながります。大事なのは1度のNGだけで、これまでどおり紙の請求書でもいいですと承諾しないこと。ほとんどのNG理由は解決できます」

電子化率向上につながる、社内推進3つのポイント

高い電子化率を保つには、取引先だけでなく社内の賛同も必要です。アコーディア・ゴルフでは今や「請求書を紙に戻したい」という社員は1人もいないといいます。

西野 まゆみ 氏

「電子化率向上の協力を得るための取り組みは大きく3つあります。1つ目は、操作確認できる動画を準備したこと。自社ポータルサイトに操作動画と資料を載せ、社内のメンバーはいつでも好きな時に好きな場所で何度でも、操作方法を確認できます。

2つ目は、電子化率の共有です。社内で現状を公開することで共通の目標を持って動け、モチベーションアップにつながります。

3つ目は、ツールの活用です。『BtoBプラットフォーム 請求書』と他のツールを組み合わせることで、さらなる業務効率化と賛同率アップを図りました」

たとえば、受け取ったすべての電子請求書のデータをCSVでダウンロードし、ツールに送信。電子請求書を開くことなく明細情報等の不備をチェックし、修正・差戻しに素早く対応可能となります。さらに承認チェックや支払チェックにもツールを活用することで支払漏れや二重支払いを防止できます。そして、紙で受け取っている請求書の取引先の賛同難易度を毎月ツールで分析。5段階に分けた架電リストを作成し、難易度が低い順に賛同お願いの架電を行っています。

「過去に電子請求書での発行履歴がある、他支店や営業所での発行履歴があるなどを把握し、架電結果もリスト化します。状況を確認することで、“こちらの支店でもご協力いただけませんか”といったトークが可能となります」

自社作成機能にAI-OCRを活用。さらなる業務効率化に向けて

「弊社では今後、RPAツールを積極的に活用し、さらなる業務効率化を図っていく方針です。『BtoBプラットフォーム 請求書』の自社作成機能においてはAI-OCRを検討しています。電子化で困っている企業様には、“いつかは今”だとお伝えしたいです。だから、今から動く。BtoBプラットフォームはほんの少しの工夫とコツ、そして努力で見違えるように成果を伸ばせます。ぜひ、DXへの一歩を踏み出していただきたいです」

発行モデル導入企業の活用事例

冨嶋 亘 氏

日本初の本格的な民間シンクタンクとして1965年に創業して以来、50年以上にわたり常に時代を先取りした、企業戦略の提案や政策提言、システム開発・運用を行ってきた株式会社野村総合研究所。コンサルティングだけでなく金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービスといったシステム構築にも強みがあり、ナビゲーション×ソリューションという独自のビジネスモデルを展開しています。

年間約1,000社と発生する請求書発行業務はもともと、自社システムでワークフローを組み、各事業部で発行申請したものを本社の経理・業務部が一括で受付、請求書専用用紙へ印刷・封かんし、郵送していました。「外部にはITソリューション事業を展開しながら、社内では印刷から郵送まですべて手作業。毎月、繁忙期に単純作業で時間を費やしていました。どうにか効率化できないかと2019年ごろから検討をはじめ、採用したのが『BtoBプラットフォーム 請求書』です」と語る、経理・業務部取引管理課の課長、冨嶋 亘 氏。導入後、各事業部は社内システムで電子か紙を選択して発行申請し、経理・業務部にて受け付けた請求書は電子を選んでいれば自動で発行されるようになりました。

登壇者紹介

冨嶋 亘 氏

冨嶋 亘 氏

株式会社野村総合研究所

経理・業務部 取引管理課 課長

請求書発行を自動化する、FTPS通信とAPI連携

「請求書の発行自動化の秘訣は、FTPS通信とAPI連携にあります。FTPSというファイル転送ツールを利用することで、ログイン不要で請求書を自動発行でき、大幅な業務時間短縮につながります。また、API連携によって自社システムで取引先の情報を更新すると、自動で『BtoBプラットフォーム 請求書』のマスタデータも最新情報に更新されます。社内システムとBtoBプラットフォームの連携によってタイムラグをなくすことができるのです」

電子化による効果は大きく4つあるといいます。

  1. 1. 請求書発行の迅速化
    印刷や封かんの時間や、郵送でかかる時間を大きく削減できた。
  2. 2. 誤送付等発生の削減
    お客様を招待して使うので、宛先を間違る心配はなく、必ず確認できる。
  3. 3. 業務の効率化
    万が一、送った内容が違うなど、疑問があった場合はBtoBプラットフォーム経由で連絡がきて、差し戻しもすべて画面上で完結。
  4. 4. 経費の削減
    紙の発行にかかるコストを大幅に減らすことができた。

ただ、野村総合研究所が『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入したのは2020年5月。コロナ禍の影響を大きく受け、当初は導入が思うように進まない苦労があったそうです。

システム導入をコロナ禍が直撃。それでも3割を電子化できた秘訣

「試算では、全体の2割ほど賛同いただければ費用対効果がでる状態でした。取引先へ事前に伺ったアンケート結果で2割は見込んでいたものの、初の緊急事態宣言も重なり、お客様も出社できない、業務を変えたくないとなかなか導入していただけませんでした。それでも丁寧に対応していったことで現在の電子化率は全体の3割あまりです。3枚に1枚というのは電子化を実感できる数字で、社内の雰囲気も変わってきます。特に発行通数が多い取引先に導入していただくと、電子化率がぐっとアップします。また、複数の窓口がある取引先は、ひとつの窓口が電子化に賛同すると、別の窓口もOKになる可能性が高いので、社内の情報共有は欠かせません。

コロナ禍でオンライン会議ツールやビジネスチャットといったITツールも充実してきたので、比較的ご案内のスケジュールもとりやすくなっています。先方も経理部門なのでそれなりに興味を持っていただけますが、社内承認を紙で回しているといった場合、無理強いはできません。ただ、断られることはあっても、今後もコロナ禍のような状況になったらどうするかを考える企業は多いので、一度断られてもあきらめる必要はありません」

また、セキュリティ関連やインボイス制度への対応など、取引先が知りたいことはある程度共通しています。取引先の声を蓄積して想定問答をまとめておくことで、案内もスムーズになるといいます。

電子化の社内推進、導入前から導入後までのノウハウ

「さらなる電子化率向上のためには、社内推進も欠かせません。発行を申請する側の各事業部は、紙だったものが電子になっても大きなメリットを感じません。電子化の経緯やメリットはしっかりと社内で共有することが大事です。我々の場合、電子請求の導入を検討しはじめた2019年より全社事業本部の代表が集まる委員会で定期的に説明を実施、また事業部単位でも説明会も行いました。新型コロナウィルスの影響で、対面ではなくWebでの開催となりましたが、コロナ禍で出社制限があり、紙の請求書が出せないということが何度かあると、各事業部も電子化のメリットを実感しているようです」

事業部毎の電子化率は明細にしてWebで配付。見える化によって自然な競争を促しているといいます。また、ポータルサイトを設置して、取引先への案内で必要なマニュアルなどの資料やシステムのセキュリティ、受賞歴などを掲載しています。社内の問い合わせ専用アドレスも設置し、質問があれば適宜回答するスキームも作りました。

冨嶋 亘 氏

「30%の電子化率を100%にするためには、努力を惜しんではいけません。まず必要なのは、電子化のメリットを取引先にご理解いただくための努力。それから社内もメリットを理解し、事業部門・本社部門が一体となって推進する土壌形成です。コロナ禍という思いがけない状況は、取引先も電子化を検討してくれるきっかけにもなります。話を聞きたいとおっしゃる相手にはとにかく丁寧に対応することが重要です」

電子化率100%を目指し郵送代行サービスを検討

野村総合研究所では、電子請求への切り替えが難しい企業のニーズに応えるため、『BtoBプラットフォーム 請求書』のオプション機能である「郵送代行サービス」の2021年内利用開始を目標に、準備を進めています。

「また、請求書以外の帳票の電子化要望の声にもお応えし、他の電子化サービスもよりいっそう活用していければと考えています。2020年7月から契約書を電子化する『BtoBプラットフォーム 契約書』と『ワークフロー』も導入し、社内ルールを作って受け入れる体制を整えています。

現在のコロナ禍は請求書の電子化を後押しする形となっていますが、2023年10月のインボイス制度適用もポイントとなるでしょう。お客様のご都合もあるので決して無理強いすることなく、これからも電子化率向上を目指していきたいと思っています」

紙で受け取った請求書を
電子データ化できる

BtoBプラットフォーム 請求書

パネルディスカッション
~先進3社に訊く!「未来の経理」へ向けて、1歩踏み出すためには?~

パネルディスカッション

新型コロナウィルスの影響もある昨今、働き方の見直しが急速に進んでいるといわれています。その中でも特に経理業務は、電子帳簿保存法の法改正やインボイス制度の開始など、働く上での環境も大きく変わりつつあります。
そこで、『BtoBプラットフォーム 請求書』を活用し、経理DXを推進している企業・学校法人様の現状の取り組みや今後の見解について、様々な視点からお話を伺いました。

登壇者紹介※50音順

上野 篤 氏

上野 篤 氏

花王ビジネスアソシエ株式会社

ビジネスサポートセンター・会計サービスグループ 部長

国内花王グループ各社の支払、決算や財務処理、経費精算などのシェアードサービスを実施。最近は電子請求書の受け取りおよび発行、決算プロセスの可視化と効率化に多くのリソースを投下。RPAやAI-OCR活用も進む。

下山 千尋 氏

下山 千尋 氏

学校法人慶應義塾

デジタルアドミニストレーションオフィス 課長

国内有数の規模を誇る大学施設においてDXを推進する慶應義塾大学デジタルアドミニストレーションオフィスが、2020年11月に新設。経費精算システム「コンカー」の導入プロジェクトを進める。

下山 千尋 氏

高橋 史枝 氏

野村ホールディングス株式会社

経費購買戦略部 ヴァイス・プレジデント

野村ホールディングスと野村グループの中核企業である野村證券において、全社の経費コスト削減、経費や購買ガバナンスの構築を担う経費購買戦略部に所属。主に請求書処理と送金を担当。

経理DXの現状。注目のRPA、AI-OCRの活用はこれから

IM まずは、みなさまの「経理DX」の現状についてお聞かせください。

上野氏:電子請求書受け取りおよび発行、決算業務効率化、キャッシュマネジメント自動化などの領域でクラウドやRPAやAI-OCRの活用を実施しています。最もリソースを投下しているのは、電子請求書の受取です。『BtoBプラットフォーム 請求書』により、お取引先からクラウド上で請求書を受け取り、承認とRPAチェックプロセスを経てSAP*にデータ連携させています。また、クラウド上で受け取れない場合でも、PDFで受け取りAI-OCRを活用して、クラウド上で受け取った場合と同じようにデータ連携させています。これにより、これまでは請求書を貼って手書きサインしていた紙依存のプロセスが電子化され、テレワーク適性が格段に向上しています。年間23万件程度発生する紙の請求書のうち、eマーケットプレイスの推進と合わせて既に半分近くの電子化が進んで来ました。まだまだこれから難易度の高い領域が控えていますが…。

*SAP…個別に機能していたシステムを統合するパッケージ

下山氏:23万件の半分が電子化できているとは凄いですね。電子請求書とAI-OCRを組み合わせることで効果が最大化させるのが重要ですね。ひるがえって、大学での経理業務は依然紙中心のフローが大部分です。電子帳簿保存法に対応しておらず、税務帳票保管の必要性、監査への対応がシステム的に難しいということがあります。特に監査については、税務監査以外の、官公庁や資金元への対応が基本紙ベースであり、システム的な対応が見通せていません。

IM 確かに教育界は紙の多い現場のイメージがあります。業界としては、少しずつでも電子化という動きはあるのでしょうか。

下山 千尋氏

下山氏:はい、昨今のデジタル化の流れもあり、文科省より不正防止システムの強化(*1)があげられました。これが慶應義塾大学でもコーポレートカードとコンカーを連携させるソリューションの導入に向けて現在調整している背景になります。また同じく文科省が、「研究者が自らの研究に集中して取り組める研究環境の整備のため」に、関係府省申し合わせて統一的なルールを定め、令和3年(2021年)度から各種事務手続きの簡素化、デジタル化、迅速化を推進しています(*2)

*1「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)の改正概要(令和3年2月改正文部科学大臣決定)」
*2「競争的研究費における各種事務手続き等に係る統一ルールについて」内に「研究機関における証拠書類の保管に当たっては、電子データ保管も可能であること及び研究者に対し必要以上の証拠書類を求めないよう配慮することを明示すること。」と記載

高橋氏:文科省からの明示は、電子化への追い風になっていきそうですね。弊社の場合、部署を横断したDX推進に特化したチームはなく、各部署が各々デジタルツールを導入して、業務の効率化を図っています。請求書処理の分野では、現在、AI-OCRとRPAを組み合わせた請求書の処理フローを設計している段階です。

IM AI-OCRは業務効率化の観点からも最近注目されていますね。

高橋氏:AI-OCRの読み取り精度の向上と、RPAで会計計上まで実施する案を採用したことで、請求書処理コストの削減が見込めるようになりました。業務集約化とデジタルツールの導入→見える化・データ化を実現→データを数字で分析し課題を発見する→業務効率、ガバナンスの強化、コスト削減など新しい施策を提案・実施、というサイクルを回しています。

請求書処理の例でいうと、まずは全社的に取引のマスタの整備を実施しました。整備したマスタを利用してどこにどのくらい支払っているのかをシステムに記録、同時に請求書の処理機能を集約。業務の集約化と、見える化・データ化させたことにより、紙の請求書の処理(保管代、検索コスト等含む)コストを数字で把握。見えてきた数字をもとに、請求書枚数が多い取引先に対して個別の請求ではなく本社一括宛の請求に切替えの交渉を実施して請求書枚数を削減、発注から請求データをつなげるシステムを導入して個別の請求書を減らす、個別の請求書は『BtoBプラットフォーム 請求書』に切り替える、といった請求書の処理コストの削減案を実現しています。

その申請、本当にハンコが必要? 取り組んで効果の出た施策とは

IM では、次のテーマに移っていきたいと思います。具体的に取り組んで効果の出た施策があればお聞かせください。

下山氏:意思決定するためのプロセスとして稟議決裁があり、2020年4月に紙決裁から電子ワークフロー化を行い、コロナ禍の決裁システムとしては効果を発揮しました。紙から電子の切り替えで、ネガティブな意見も一定数ありましたが、はじまってみると、システムに切り替えてよかったという意見が大半を占めています。現在、稟議決裁のみならず、他の様々な紙の申請をワークフロー化すべく取り組んでいます。

単純な申請や集計はGoogleフォームからスプレッドシートが便利ですが、承認を伴うもの、いわゆるハンコが必要なものはワークフローを使うことになります。ただ、重要なのは、本当にその申請にハンコが必要なのかを考えるところからではと感じています。またワークフローの管理体制をどう構築するかの視点も大事なところでして、我々のような従来のIT部門とは独立して現場の業務にコミットする部隊ができたことも、推進のきっかけになったのではないかと考えています。

高橋 史枝氏

高橋氏:弊社の具体的な施策は、3点です。1つ目は『BtoBプラットフォーム 請求書』への切り替えで、請求データを一括ダウンロードして計上作業も一括処理している点です。紙の請求書の物流・保管コストの削減と、処理するためのリードタイムの短縮ができました。

2点目は、社員の個人立替経費の分野になりますが、経費精算システム「コンカー」を導入している点です。交通系ICカードや法人カードの利用データ等をコンカーに自動連携させてレポートに反映し、経費精算を効率化。上流からデータを連携しているので誤申請を減らして、統制強化にもつなげています。また証憑(領収書)は、コンカーに画像に取り込んでおり、ペーパーレスで申請・承認が可能となっています。

3点目は電子保管システムの導入です。紙の請求書の電子保管を実現しました。紙保管をやめ、同時に経費関連の押印作業を廃止しています。契約書も電子保管を行うことで、検索性の向上、保管コストの削減につながっています。

下山氏:電子保管について聞きたいのですが、申請から保管までどのように実施していますか?

高橋氏:弊社はちょうどコロナ前に、紙の請求書の電子保管をスタートしています。まず、社内のワークフローシステムで、PDF化した請求書を添付して申請。経費計上を実施した後、PDFファイルと会計情報をダウンロードし、その2つの情報を紐づけて、電子保管システムに保管。電子保管システムではタイムスタンプを付与したものを保管しています。あとは、正しく電子化しているかを確認するためランダムに対象をピックアップして、定期検査をする運用をしています

2022年の電帳法改正では、要件が緩和されて事前申請と定期検査が不要になるなどハードルが下がります。弊社は、「請求書・領収書」に続いて、まだ検討段階ではありますが、「納品書」も電子保管に切り替えたいと考えています。各部書に散らばっている「紙」をなくしたいですね。

上野氏:弊社の施策は、支払や決算業務および関係会社間取引の集約(シェアードサービス化)による業務標準化ですね。シェアード化を進めるためには、まず標準化は置いて、違ったまま一箇所に集めるのがポイントです。通常ですと、プロセスを統一してから集約する流れを考えたくなりますが、互いの違いが認識されることで、課題精査やベストプラクティスを志向するようになります。

未来の経理に向けて~今後想定される経理・財務部門の変化とは

IM では、ここからは「未来の経理へ」というテーマにあわせ、今後想定される経理・財務部門のスキルや働き方の変化への見解をお伺いたいします。

高橋氏:DXが進むと、請求書だけとか契約書だけといった単一管理の機能だけではユーザーのリクエストに応えられなくなるでしょう。これからは、請求書と契約書の組み合わせや、上流から下流までを連携するプラットフォームやパッケージのようなデジタルツールがいっぱいでてくると思います。

今後、経理DXを推進する上で、本当に必要なツールを選択する力、ツールを理解して業務に落としこむ力、情報管理リスクの管理スキルが必要になっていくはずです。ポイントは判断するための情報と想像力ですね。どうやればよいか分からない場合は、他社と情報交換をして生の声を聞いてヒントを得たり、先進事例を取り込んだりと、外から情報を仕入れるのがよいでしょう。

また、DXが進めば進むほど、業務は自動化、スリム化と標準化されます。ただオペレーションをする人材ではなく、判断したり価値を創造したりする社員像が求められると思いますね。

上野 篤氏

上野氏:まさに、基幹システムへのデータ入力や単純に決算プロセスを回すだけの仕事は人がやり続けるわけにはいかなくなります。ESG*に資する予測や分析提案、内部統制強化などの変革チャレンジが業務の主軸になるでしょう。チャレンジできる環境づくりで重要なのは、なんといっても人財育成です。そのためe文書適法プロジェクト、RPA導入、AI-OCR活用などの最新ソリューションベンダー様との協働の機会を多く持ち、その先頭に多くのメンバーを立たせています。社内の何も分からない者同士でああだこうだ言ってる時間は減らさねばなりません。

*ESG…「環境・社会・ガバナンス」の頭文字を取った言葉。投資家や金融機関の投資判断の新たな観点として注目されている。

下山氏:経理業務のリモートワーク実現のために、電子化は必須と考えています。現状は紙中心の業務フローのため、出勤を余儀なくされています。経費精算システム「コンカー」を昨年契約し、導入に向けて調整中ですので、発生源入力によるシステム化・効率化を実現させたいと思っています。
大学における経費精算は、一般企業で利用されているモデルケースがあてはまりづらいという課題があります。研究費を使って、物品を購入したり、立て替えをしたりする研究者(教員)は、同じ教職員でも事務からするとほとんど顧客に近い感覚です。事務職員の部門も多岐に渡り、なかなか一気通貫にいきません。結局、地道に各部署に話しをしてまわるしかない状況で、現在でもコンカー導入のプロジェクトは進行中であり、調整を進めています。

「未来の経理」に一歩、踏み出す勇気をもとう

下山氏:まだ我々も踏み出せている訳ではありませんが、特に大学業界で同じように悩んでいる皆様と効率化に向けて是非少しでもDXを実現していきたいと考えております。

高橋氏:低コストで導入可能なデジタルツールやクラウドシステムは存在しています。また、現業に合わせようとする、100点満点の業務フローを設計しようとすると次に進めない状況に陥りやすいです。現業にあわせるのではなく、デジタルツールに沿った業務プロセスに再構築するのも一案です。
何からはじめたらよいのか分からない場合は、デジタルツールやシステムを開発・提供している企業のHPを見てはいかがでしょうか。他社事例が掲載されているケースが多く、ヒントが見つかるかもしれません。

電子帳簿保存法に対応した
電子請求書サービス

BtoBプラットフォーム 請求書

郵送代行サービスの裏側をお見せします!

足立守伸氏

『BtoBプラットフォーム 請求書』のオプション機能のひとつ、「郵送代行サービス」。帳票データをアップデートするだけで、紙帳票が作成され取引先にハガキや封筒などで発送されます。紙での受取を希望する取引先の要望に応えながら、印刷・封入といった発送作業が不要になるサービスです。この郵送代行を引き受けているのが株式会社KDC。印刷・情報ソリューション部担当課長の足立守伸氏に、その仕組みをご紹介いただきました。

登壇者紹介

足立 守伸 氏

足立 守伸 氏

株式会社KDC

印刷・情報ソリューション部 東京支店担当課長

実績31年のセキュリティと高品質なスピード処理

「株式会社KDCは1990年より請求書発送業務を行っており、強固なセキュリティと管理体制で、細かなミスも未然に防ぐチェック機能を保持しています。高速処理・短納期を得意とし、圧着はがきサイズなら最大で日に40万通、圧着A4サイズは日に14万通を処理できます。また、定形封書であれば同封1点で日に80万通、2点なら75万通の処理が可能です。このスピード印刷・スピード発送で年間約1億通の信書を発送しています」

このスピード処理を可能にしているのが、バリアブル印刷という技術。版作成が不要なデジタル印刷で、一通ごとに異なるデータを一括で印刷できるのです。印刷機は毎分、A4サイズ最大2,000枚(4,000ページ)の印字が可能です。また、封入封かんは毎時、最大22,000通(44,000枚)が可能。併設の情報システム部門が、急なシステム変更や仕様追加などにも迅速かつ正確に対応しています。

「お客様の個人情報をお守りするセキュリティ体制はレベルを3種別に分け、オフィスエリアではICカード(社員証)による入退室管理、警備会社の防犯装置や監視カメラの設置といった物理的な対策を実施しています。加えて第三者認証(ISMS・QMS・PMS)を取得し、従業員全員にセキュリティに対する意識を定着させるため月に1度テストを実施するなど、継続的に理解を深めています。

さらに情報取扱エリアである印刷・封入封かん室は、オフィスエリア同様のセキュリティ対策に加え、入室者の制限を行い、非常扉開放時の警報器を設置するといった対策を実施しています。最もセキュリティレベルの高いサーバー室は、生体認証による入退室管理で入室者を制限し、半可視化ガラス窓による間仕切りや監視カメラ設置による厳重なチェック体制を敷いています」

各工程ではデジタル検査装置による品質チェックを行い、高品質を担保しています。印刷では印字抜けや裏表に正しく印刷されているか、インク漏れがないかといった印字品質をチェック。印字済みの紙の帳票はすべてカメラ撮影して印刷用のPDFデータと照合するビットマップ検査によって、印字障害を検査しています。封入封かん機でも、カメラ撮影で印字した連続番号に欠番がないか、また封入封かんされた厚みをはかって理論値と実測値とを比較検査。

さらに、はがきの圧着工程では、独自開発による測定器で圧着強度検査を実施。無作為にサンプルを抽出し、有資格者による手検査の開封チェックを行います。同時に、デジタル検査でもあらかじめ設けている基準設定値と差異がないか、めくり始めからめくり終わりまでを測定、記録しています。サンプルはエビデンスとして一定期間、施錠保管され、さらに発送直前に保管した中からランダムにもう一度、手検査とデジタル検査を実施しているのです。

KDCがインフォマートと目指す、トランスプロモーション

足立守伸氏

「郵送代行で取引先の手元に届く請求書は、開封率も信頼性も高いという性質があります。この特性を活かし、請求書の紙面を広告媒体として利用することで、今後は通常のDMと比較して効率的なプロモーションが可能です。請求書×プロモーションの実現は、無駄なDMの発行の削減にもつながり、環境負荷を下げ持続可能な成長を目指すサーキュラーエコノミー(循環型経済)にも寄与するものと考えています。

さらに、急に必要になったお取引先様やお客様への案内状やチラシといった郵送物を、BtoBプラットフォーム上で製作・発行するサービスも構想しています。豊富なデザインテンプレートを揃えたグラフィックデザインプラットフォームとの連携により、直観的なデザイン作成が可能です。製作から発注、発行までWebで完結するため短納期・高品質・低コストが実現します。

先の見えないコロナ禍という苦しみの中にありますが、これからも私たちはお客様視点に立ち、最新の設備や技術力・ノウハウを駆使した、高品質の製品・サービスの提供に取り組み続けていきたいと思っています」

7月リリース 新サービスのご紹介

寺野 智史

経理フェスティバルの最後に、株式会社インフォマートより、「BtoBプラットフォーム」新サービス、「BtoBプラットフォーム TRADE(トレード)」の正式リリースをお知らせしました。

「BtoBプラットフォーム」はフード業界向けの商談・受発注・規格書、全業界向けの請求書・契約書・見積書といった、企業間で発生する取引を電子化するサービスを提供しています。2021年7月より新たに加わる「BtoBプラットフォーム TRADE」は、"見積・発注・受注・納品・受領・検収"までの取引を電子データ化し、クラウド上での一元管理を可能にするシステムです。すべての業界の業務効率化、DX推進を後押しする新サービス誕生の背景を、事業推進1部コンサルティング1課主任の寺野智史は以下のように語りました。

登壇者紹介

寺野智史

寺野 智史

株式会社インフォマート

事業推進1部コンサルティング1課 主任

テレワークにより、業務の電子データ化のニーズが高まる

「昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークニーズの増加により、企業の請求書業務における電子データ化を求める声は高まっています。そして、すでに電子請求書サービスをご利用の受取モデル導入企業様から、“請求業務だけでなく、見積もりから発注、検収業務も電子データ化したい”“出来高請求を電子化したいが出来高のやり取りがプロットフォームでできず、電子化できない”といったお声を、導入をご検討中の企業様からも“マスタを持たない受発注サービスがなかなか見つからない”といったご要望が寄せられていました。

そこで、"見積・発注・受注・納品・受領・検収"を一つのプラットフォーム上で管理ができ、さらに『BtoBプラットフォーム 請求書』『BtoBプラットフォーム 契約書』との連携により、請求・契約業務までをシームレスに完結できる全業界向けの受発注システムービスとして、『BtoBプラットフォーム TRADE』を2021年7月にリリースするはこびとなりました」

これまでインフォマートが提供してきた受発注サービスには、飲食業界向けの「BtoBプラットフォーム 受発注」、製造業界向けの「BtoBプラットフォーム for 製造業」があります。これら長年培ったシステム構築・運用実績をもとに、「BtoBプラットフォーム TRADE」は、業界や商材を問わずにご利用いただけるため、すべての業界・業種の企業様の受発注業務デジタル化が実現します。商品マスタを持たないで、直接材だけでなく、間接材の受発注も電子データ化が可能です。今後、購買管理システムなどの基幹システムと容易に連携できるAPIの公開も予定しています。

寺野 智史

「企業間の商取引に必要な、見積・発注・検収といった業務を電子データ化することで、従来、電話やFAX等をベースにやり取りされてきたアナログな取引業務がクラウド上でスマートに管理できるようになります。また、取引形態によっては、“見積は紙で出したい”といったご要望もあるかと思います。その際は、電子化したい帳票だけでのご利用も可能です。請求書は発注から検収まですべての電子データが紐づけられ、『BtoBプラットフォーム 請求書』で、おもて情報と明細情報の確認や会計システムと連携ができます。『BtoBプラットフォーム 請求書』の画面上からは<関連データ>のタブをクリックすることで、請求書に紐づいた『BtoBプラットフォーム TRADE』の取引履歴の確認が可能で、照合作業が大幅に削減されます」

同じプラットフォーム上で受注する取引先も、受注・納品・請求が行えるため、双方のペーパーレス化による業務コスト削減やテレワークの推進はもちろん、取引データの一元化による企業DXも後押しします。また取引先には無料でご利用いただけます。

「2021年7月の正式リリース後も段階的に機能アップデートを予定しています。今後も、より利便性の高いサービス構築を目指してまいります。オプション機能としまして、建設業界に向け、出来高請求の電子データ化を実現させる『出来高管理オプションサービス』を提供予定です。これからも世の中の役に立つ事業を通じ、お客様と一緒に成長しつづける企業でありたいと思っています。ぜひ、DX推進の一助としてご検討いただければ幸いです」

見積から発注・請求までを
クラウド管理

BtoBプラットフォーム TRADE

未来の経理へ向けて、最初の一歩を踏み出す時

木村 慎

インフォマートの事業推進・戦略営業 執行役員、木村慎は閉会の挨拶で、電帳法改正やインボイス制度などで注目が高まる電子請求書について、「ゴールはデータでのやりとり」だと訴えました。

「コロナ禍におけるテレワークで、請求書をPDFでメールに添付するケースも増えましたが、最初からデータで発行しデータで受け取ればより効率化がはかれます。今は、電子請求書が導入しやすい環境下にあります。本日のご登壇の中で“電子化率”という言葉が何度か出てきました。2015年1月から『BtoBプラットフォーム 請求書』サービスがスタートし、お客様からこの単語を使っていただけるようになるまで5年ほどかかりました。一緒に歩みながら実践していただいた賜物だと思っています。

コロナ禍の中、お客様のために何かできることないかと考えて立ち上げたイベントです。経理業務のデジタル化に向けて、お客様同士でアイデアを出しあう、インフォマートがサポートする、そんな体制を築いていければと考えています。来るインボイス制度も楽しく迎えられるように、これからも一緒に経理のDXを目指し、共に歩き続けてまいりましょう」

「BtoBプラットフォーム 請求書」
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資料の内容例

  • 本サービスの概要、特長、他社との違い
  • 改善・削減できる内容、削減試算例
  • 詳しい料金体系