有限会社ホテル昭和園
掲載日 2024年6月25日
利用サービス 受発注(発注) | エリア 北陸・甲信越 | 業種 ホテル・旅館 | 取材日 2024年5月7日
長野県の湯田中温泉で客室19室のホテル椿野を運営する有限会社ホテル昭和園様。コロナ禍をきっかけに団体客から個人客向けにシフトし、経理などバックヤード業務のIT化を進めました。
食材やアメニティなどの発注に『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入し、経理担当者は在宅勤務できるほど作業を削減。現場にゆとりが生まれ、お客様対応に時間を割いて口コミ評価が向上したといいます。
代表取締役社長 湯本 秀明 氏(以下同):当館の前身は私の祖父が運営していた旅館です。2代目の父が1960年に建て替えて、有限会社ホテル昭和園を設立しました。私は大学卒業後に旅行会社で2年間修行した後、3代目として家業を継き、1998年に現在のホテル椿野を新築しました。
湯田中温泉のご利用客はコロナ禍と比べて回復しています。特にここ最近は外国人観光客が増え、12~4月までの冬季は3~4割が海外からのお客様です。当館では館内インフォメーションにイラスト付きの英語版を充実させて、外国人のお客様にもお分かりいただけるようにしています。従業員も必要な英語は話せるようになってきました。日本人のお客様の多くは1泊なのに対し、外国人観光客は2泊、3泊される方が多い印象です。スキーシーズンは5泊以上の方も珍しくありません。今後もインバウンド需要は増えると予測しています。
代表取締役社長
湯本 秀明 氏
2020年に新型コロナウイルスが流行した際は、2カ月間にわたり休館を余儀なくされました。これをきっかけに、今までお客様全体の25%を占めていた団体客から個人客中心に切り替えることにしたのです。個人のお客様にシフトするには、何よりも質の向上が必要不可欠です。まずは2部屋を1部屋に改装し、源泉掛け流しの露天風呂付き客室を増やしました。客室を5部屋減らし、1部屋あたりの単価を上げたのです。
もちろんハード面だけでなく、料理の内容や提供の仕方、おしぼりを出すタイミングなどすべてのソフト面も徹底的に見直しました。その流れで、IT化によるバックヤード業務の省力化も進めたのです。経理など手作業のバックヤード業務を1秒でも短縮できれば、空いた時間でお客様対応に時間を割けるようになり評価も上げられると考えました。
コロナ禍の休館が明けた2020年6月、ITに詳しい従業員を責任者にしてDX推進担当部署を作りました。まずは従業員同士で使うオンラインチャットツールを導入し、スプレッドシートでシフト表を作成したのです。シフトは皆が見るところですから、手始めに導入するITツールとして良かったと思います。
ITツールは実際に触りながらの勉強会を開催し、若いスタッフが先輩にマンツーマンで教えてもらうことにしました。その結果、多くの従業員がスプレッドシートを使いこなせるようになり、今までアナログな作業が当たり前だと思っていた調理スタッフもデジタルは意外と便利でおもしろいと、料理の仕込み表やHACCP制度の衛生管理チェック表などを自ら作成するようになりました。
以前は経理担当者が事務所に常駐していましたが、事務所に来なくても在宅で仕事ができるよう『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入しました。今までは納品書や請求書のほか、FAX用紙、電話でのやり取りに時間をとられ、金額のミスがあるたびにいくら違っているか細かな確認作業に追われたり、帳票をチェックして綴る作業に時間をかけたり、かなり非効率的だったのです。もちろん数字の確認は必要ですが、いくら電卓を叩いて時間をかけてチェックしても、1カ月に数百円のミスを正すくらいです。デジタル化すれば、その確認作業がカットできると考えました。
インフォマートにシステムの説明会を2回開いていただき、8割の取引先に導入していただきました。取引先のなかにはご年配の方もいらっしゃいますが、丁寧に説明を行ったことで皆様問題なく使えているようです。
最も大きかったのは、経理担当者が在宅勤務できるようになったことです。月次決算のまとめ作業はずいぶん楽になり、出社は月に4日、1回に2時間ほどで済むようになりました。月次決算が毎月10日で締まるようになったのもうれしいですね。以前は請求書が紙で送られてきたので、20日ほどかかっていたのです。現在は受発注システムを使っている8割の取引については、月初3営業日には数字が揃います。仕入れ品の単価変更も簡単に分かるし、棚卸の精度も上がりました。
旅館業に機械化はそぐわないとの考えもありますが、私はまったく逆だと思います。白鳥の水かきということわざのように、我々はお客様の前では優雅にゆとりある表情で接客しつつ、水面下では必死に足を動かす必要があるのです。この水面下での作業を、いかに効率よくできるか。本当によいサービスを提供するには、とにかく無駄な作業を1秒でも削って現場のゆとりを生み出さなくてはなりません。それにはデジタルの力が絶対に必要だと思います。
デジタルツールによって、お客様の細かな情報を迅速に共有できるのもメリットです。我々は、些細なミスやクレームもすべて従業員同士で共有するようにしています。従業員ひとりが1度だけミスしたとしても、別の従業員がミスをすれば大きなクレームになりかねません。些細な点やお客様のニーズを逐一共有することで、できるだけ早い段階で対応できるのです。
実際にこの数年、IT化を進めたことでおもてなしの精度が上がり、宿泊予約サイトのお客様からの口コミ評価も大きく向上しました。結果として粗利率が上がり従業員の待遇改善もできて、よいサイクルになっていると感じます。これからもデジタルを活用しつつ、さらに高品質なおもてなしを提供していきたいです。
株式会社ダイヤモンドソサエティ
取材日 2020年1月29日
利用サービス 受発注(発注) | エリア 関西 | 業種 ホテル・旅館
会員制リゾートホテルの先駆けとして全国に12の宿泊施設やゴルフ場を持つ、株式会社ダイヤモンドソサエティ様。内部統制の強化のために受発注システムを導入し、確実な購買管理だけでなく従業員の残業時間も削減。働き方改革につながりました。職場環境を改善してスタッフ同士の社交場にすることが、お客様へのサービス向上になるという中田社長。その意図を伺いました。
代表取締役社長 中田将道氏(以下、中田社長):1973年にオープンした「ダイヤモンド軽井沢ホテル」にはじまり、現在は、国内12ヶ所のホテルとゴルフ場1施設を運営しています。煌びやかなハイクラススタイルというより、「おかえりなさい」とお出迎えするような、温もりのあるおもてなしを心がけてきました。
個人と法人をあわせ、2万人近いお客様に、別荘のようなプライベート空間でおくつろぎいただいています。
社名どおりの、“至高の社交場”が弊社の企業理念です。長く会員制を貫いていますので、ホテル滞在を通じた会員様同士の交流もうまれています。また、ありがたいことに弊社スタッフに会うのを楽しみにお越しになるお客様もいらっしゃいます。そうしたつながりに加え、昨今はスタッフ同士の交流も深まる場であるべきだろうと考えるようになりました。社会的な働き方改革の波もあり、特にスタッフ間の関係性を重視した職場環境の改善を意識しています。
代表取締役社長
中田 将道 様
ダイヤモンド滋賀料理長(以下、料理長):同じ空間で同じ仕事をする以上、スタッフ同士のコミュニケーションを図らなければ、お客様に喜びをご提供できません。上に立つものは「自分たちがそうだったから」という意識を変えるのが肝心だと思っています。
我々は、料理の世界に入った以上はどんな指示でも修行と考えた世代です。サービス残業という概念すらなく、仕事とプライベートに境界もありませんでした。しかし、同じことを今の20代、30代のスタッフに求めるのは時代錯誤です。彼らはスキルアップには意欲的ですが、関係ない、ムダだと感じることはやりたがりません。オンとオフのメリハリをつけて、やりがいのある仕事と充実したプライベートを求める世代です。
その価値観を理解し、彼らが気兼ねなく休めるよう、私も公休だけでなく有給を率先して使うようにしています。私がしっかり休めているという姿を見せないと、誰も料理長を目指さないでしょう。時間の使い方も考え、任せられる仕事は意識的に任せるようにもしています。そうすることで、責任ある仕事にやりがいも感じてもらえます。何より心がけているのは、置かれている状況すべてにおいて、まず自分自身が楽しむことです。自分が楽しくないのに部下が楽しいはずがありません。
中田社長:適正な人件費率はホテル全体のテーマです。単純な効率化だけではなく、スタッフの意識の持ちようもあわせて利益体質を目指しています。加えて、レストラン部門はホテル業の中でも一番残業が多く高いコストを占めますので、食材が適正な原価率を保っているかのチェックも欠かせません。原価管理は日々、食材の発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注』を使ってしています。
中田社長:大きな目的は、内部統制による食材の購買管理のためです。その背景には、恥ずかしながら過去に発覚した、従業員の不正があります。仕入れ業者と癒着しリベートを受け取っていたのです。内部統制の導入後、全国のホテルで複数の料理長が去っていきました。
料理長:私が着任したのは、その数年後です。ただ、以前在籍していた別の大手ホテルでも、まったく同様の出来事がありました。不正は起こす人間のモラルの問題もありますが、そもそもできない、発生しにくい体制づくりが必要でしょう。とはいえ、そのためには仕入れ業者を選定する段階から、食材の購買、在庫管理まですべて記録に残し監視しなければなりません。これらをアナログで実施するのは相当な手間がかかります。結局おざなりになって不正につながってしまう、という構造が、どこにでもありうるのだと思います。
ホテル事業部係長:実際、不正発覚後は厳格なルールを設けて、エクセルで作ったフォーマットに日々の仕入れ品をひとつずつ打ち込むようにしました。しかし作業に時間がかかるうえ、膨大な量の書類を確認しないとチェック機能は果たせません。管理体制を強化しても、手作業では防止対策として限界があります。システム化は必須だと痛感しました。
中田社長:受発注システムなら取引の履歴がすべて残り、改ざんもできません。これまでアナログで行っていた作業が一気通貫で完了し、どの業者とどんな取引をしているのか、画面上の履歴から一目で確認できます。購買の状況が目標値から大きく逸脱していないか、毎日チェックをしています。システム管理の必要性と同時に手作業で行う大変さもよくわかったので、本当に便利だと感じます。
ホテル事業部係長:すべての取引が可視化され、誰がいつ見ても状態を把握できるのがありがたいですね。全国の現場の様子が、管理部門でも正確かつ詳細にわかります。たとえば、原価が月半ばで適正値を超えてしまう場合、紙の伝票だと本来当月支払いするものを来月に回して帳尻をあわせる、といったことができてしまいます。『BtoBプラットフォーム 受発注』では、それはできないので、コストやコンプライアンスに対する現場の意識もすごく変わったと思います。
料理長:パソコンやスマホに馴染んでいる若いスタッフたちは、紙に手書きするよりも圧倒的に作業が早いですね。
システムの基本的な使い方を教えたら、私以上に、「ここにこんな便利機能がありますよ」と、あっという間に使いこなしています。発注頻度の高い業者順に並べるなど、より使いやすいように、どんどん工夫しながらやってくれています。
発注作業は必要とはいえ、できるだけ時間をとられたくないものです。料理人は調理がしたくてこの仕事を選んでいるわけですから。発注でムダな時間を割かれず、そのぶん料理人本来の仕事に携われるのは、ありがたいですね。
中田社長:先ほど申し上げた、スタッフ同士の関係性を高める意味での“至高の社交場”を、とりわけ磨いていきます。それがひいてはお客様にとっての付加価値を高めることにもつながると考えるからです。人手不足は業界全体の課題となっており、採用活動には時間もコストもかかります。まずは、一緒に働いてくれているスタッフが、より働きやすく、やりがいを感じて長く働ける職場環境の整備を進めます。今いるスタッフが「すごくいい職場だから、ぜひおいでよ」と、自信と誇りをもって新たな人材を呼びこんでくれたら嬉しいですね。我々なりの働き方改革を進めていけば、それこそダイヤモンドのように何にも変えがたい、社交の場にできるのではないかと考えています。
公立学校共済組合 福岡宿泊所 福岡リーセントホテル
掲載日 2021年9月16日
利用サービス 受発注(発注) | エリア 九州 | 業種 ホテル・旅館 | 取材日 2021年7月13日
公立学校共済組合の宿泊施設として、教職員のほか一般のお客様をお迎えする福岡リーセントホテル様。社員の働き方改革や内部統制の強化を目的に、発注や棚卸業務をシステム化しました。発注にかかる時間は1時間から10分になり、調理場からの発注を承認制にしたことで内部統制の強化にもつながったそうです。管理課の担当者を中心に、システム導入の経緯を伺いました。
管理課長(以下、管理課長):当館は全国に36ある公立学校共済組合の宿泊施設のひとつで、学校教職員の福利厚生施設として運営しています。福岡周辺の企業様、福岡にお越しのビジネスマン、一般の方向けの会議や宴会、宿泊などさまざまなニーズにも対応しています。共済組合の施設とはいえ、独立採算制なので一般のホテルと運営上の違いはありません。おもてなしや料理にこだわり、レストランで提供する食材はできるだけ地産地消を心がけています。
ただ、福岡県は2020年4月から緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のエリアにたびたび指定されていて、これまで需要があった大人数の会議も大きく減り、特に宴会需要はほぼゼロになりました。宿泊についても、出張の自粛でこれまで80%台だった客室利用率が30%台まで減少しています。現在は地域や個人のお客様へ向けて、レストラン利用のPRに力を入れています。
管理課長
管理課長:もともとは宿泊業のコンサルタントの話から、受発注システムというものがあることを知りました。それまでは発注の際、ホテル内の調理場が紙の仕入れ伝票を用度へ提出し、用度がまとめて取引先へFAXか電話で発注していたのです。伝票が多いときで1時間以上もかかっていました。このムダを何とかしたいと考え、複数ある発注システムを検討してインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』に決めたのです。
インフォマートを選んだポイントはふたつあります。ひとつ目は、現場から取引先へ直接発注するのではなく、発注内容を用度に申請して、用度がその都度チェックする『申請発注』機能がついている点です。当館の従業員は、公共性や公益性の高い業務を担う、みなし公務員にあたるため、内部統制の観点から現場の担当者と取引企業が密になってはいけません。チェック体制を充実させるためにも、「申請発注」機能は決め手となりました。本部の監査にシステム導入について説明した際も、用度の承認機能、発注内容の見える化は高い評価を受けています。
採用理由のふたつ目は、取引先の賛同率の高さです。価格面では他社と大きな差はなかったので、導入前に取引企業にアンケートを取り、インフォマートは導入事例が多く賛同率は80%ほどと高いことがわかりました。我々より取引先のほうがインフォマートのシステム導入をスムーズに進めていたようです。導入時も、インフォマートのシステムを利用したことのある従業員もいましたし、若いスタッフもすぐに覚えてくれたので難しい面はありませんでした。
管理課 総務係 主任(以下、管理課主任):もともとは調理課が手書きした発注伝票を、用度でエクセルの一覧にまとめて発注していたのですが、数量のミスや重複発注などが頻発していました。ひとつひとつミスがないかチェックしなければならず、早いときで30分、長くて1時間かかっていたのです。宴会前や週末などは、エクセルへの入力だけでさらに1時間かかることもありました。それが10分に短縮でき、業務効率が改善したのです。当館には和洋中のレストランがあるのですが、野菜などの発注量が多いときは、スケールメリットを活かした価格交渉もできるようになりました。
管理課主任:以前は紙の伝票を1枚1枚めくりながら、会計システムに手で打ち込んでいたので、その作業だけで丸一日かかっていました。特に月末は3~4日分をまとめて打ち込んでいましたから、余計な残業も多かったと思います。それが今では、設定した書式でCSVに書き出したものを読み込ませるだけなので、すぐに終わります。
管理課 総務係 主任
管理課主任:棚卸業務も、圧倒的に速くなりました。もともとは各部署から紙ベースで集まったデータを、用度がまとめてエクセルに打ち込んで計算していたので、それだけで半日がかりでした。今はインフォマートのシステムに入力すれば自動で計算してくれるので、1時間か2.5時間くらいでできるようになり助かっています。
管理課長:食材は時価なので、そのときの担当者ごとに価格が変わっていたのですが、これもシステム化で統一されました。
管理課主任:食材の原価計算は、ホテル向け販売管理システムで日々行っています。日ごとの売上と原価の推移が分析できるので、料理長と結果を話し合っています。
そのほかにも、受発注システムでやり取りしている仕入先からの、請求額の確定が早くなりました。以前は請求書が来るまで金額が分かりませんでしたし、請求書が届くまで何日も待ったり、電話して確認したりといった作業で、締め作業に1週間以上かかることもありました。それがシステム導入後は3日ほどで確定できるようになり、非常に助かっています。月1回の経営会議に提出する資料の作成も早くなりましたし、確かな数字が出せるようになったのは大きいです。現場でも、紙で発注していた頃とは違って1日1日の仕入額が見えますから、原価意識の向上につながっていると思います。
管理課主任:仕入れ伝票の入力をもっと簡単にしたいです。今はすべての従業員が100%システムを使いこなせているわけではないので、定期的に使い方などを指導するなどして、全員がしっかりITに馴染めるようにしていきたいと考えています。システム化で業務効率が上がれば、現場でお客様に使える時間も増えるでしょう。用度なら業者と折衝する時間、調理課ではメニュー開発など、従業員が本来やるべきことに時間を当てられるよう、さらにITの導入を進めていきたいです。
管理課長:これからは働き方改革が重要になります。私たちは独立採算ですから、残業代などのコストはシビアに考えています。機械ができることは機械にやってもらって、従業員はホテルならではの接客に力を割いてもらいたいですね。
(中央)総支配人
佐藤義一 氏
株式会社指宿白水館
取材日 2020年1月19日
利用サービス 受発注(発注)/規格書(買い手) | エリア 九州 | 業種 ホテル・旅館
砂むし風呂で知られる鹿児島・指宿温泉で屈指の老舗旅館、指宿白水館様。国内外から多くの宿泊客が訪れ、著名人からも愛されています。業界共通の悩みとなる人手不足に際して、働き方改革の一環で発注業務をシステム化。調理現場から用度課、経理部門までデータ連携が実現し、業務効率が大幅にアップしたそうです。取締役社長室長の金丸芳久様に、その効果を伺いました。
取締役 社長室長 金丸芳久様:指宿は薩摩半島南部に位置し、鹿児島を代表する温泉観光地です。白水館は鹿児島市内で1947(昭和22)年に創業し、指宿に移っての営業も60年を超えました。風光明媚な錦江湾を望み、東京ドーム約4個分の広大な敷地に、本館と4棟205室の客室、プールや庭園、美術館などを備えています。
一年を通じて日本全国、また海外からも多くのお客様がお越しになります。江戸時代の銭湯の歴史を再現した1000坪の大浴場や、名物の砂むし温泉などさまざまな浴場と、地元の旬の食材をふんだんに用いた料理の数々でお楽しみいただいています。近年では、将棋の竜王戦で対局の舞台ともなりました。
指宿を代表する旅館のひとつとして、郷土色豊かなおもてなしを心がけ、地域全体を盛り上げていきたいと考えています。
取締役 社長室長
金丸 芳久 様
我々に限らず、宿泊業は24時間365日の営業が基本です。もちろん交替制ですが、不規則な長時間労働、世間がお休みの時はかき入れ時で逆に休めない、といったイメージもあります。人手不足と高い離職率は、業界全体の深刻な課題です。「旅館とはこういうもの」という既成概念を覆していかないと、どんな老舗も遠からず廃業に追い込まれかねないとすら感じています。従業員、特にこれからを担う若い人たちに、楽しく長く働いてもらうために、業務改善は必須です。問題意識と危機感を持った取り組みは経営陣の使命であると考えています。
たとえば、今年2020年から実験的に休館日を設ける予定です。閑散期を選び休館することで、従業員にリフレッシュしてもらうだけでなく、騒音の出る大がかりな設備改修などが行えます。お客様の安全を守り、快適にお過ごしいただくためにも耐震工事やリニューアルは不可欠で、休業して売上が落ちても、それ以上の効果があるでしょう。
休館に関しては、お客様や旅行会社からも理解を得られやすいのではと感じます。結局、従業員が楽しく幸せに働けないと、お客様に心からのサービスも提供できません。他にも、2019年から内閣府所管の企業主導型保育事業として「いずみ保育園」を社内で運営し、従業員の家族だけでなく地域のお子様も受け入れています。また、料理場や経理の作業効率をアップさせるために、食材などの仕入れは『BtoBプラットフォーム 受発注』を使ってシステム化しています。
私はもともと用度課を担当しており、以前から発注業務で「これは非効率では」と気になる面があったのです。伝票はすべて手書きされたもので検品、経理チェックを行い、毎日商品管理システムに入力します。中には字がかすれて読めなかったり、略称で書かれていたりと、慣れた人でもかなりストレスのかかる作業です。月末には社員3人がかりで1カ月分の伝票を精査し、請求書と照らし合わせます。月末から月初の5日くらいまではその作業だけに集中する状況で、雰囲気もピリピリしますし、その間、検品作業など他の業務は滞りがちでした。それなのに、「今までこのやり方だったから」という考えが強く、改善しようという動きもなかったのです。
ですが、他の業界を見れば、たとえば宅配業者さんなどは、荷物の運搬情報をデータ管理して効率化しています。我々の場合は、受発注システムというものがあると知り、これで状況を打破できるのではと感じました。
いくつかシステムを検討したところ、サポート体制が充実しているのが『BtoBプラットフォーム 受発注』でした。実際に導入している企業数社からも、「すごく業務効率がはかれますよ」との声を聞いています。従来の手作業を続けた場合の人件費や経費を試算すると、システムを導入してもコストはペイでき、さらに人手を減らせる分、他の業務へ注力できます。伝票のペーパーレス化でかなりの効果が期待できると、調理場や経理など、関係部署を説得してまわり導入に至りました。
現在、主な仕入れの取引はほぼ受発注システムを使っています。データで管理できるので「和食は今月こんな提案をしている、これだけ仕入れている」といった業者との取引内容や金額も一目でわかります。これまでは計算しないと分からなかったので、調理場はいちいち用度課へ、今どれくらい使っているか聞きに来ていたのです。今は、自分たちで確認できますし、FAXや電話での発注と違って、「あの商品発注したか?」「いつ届くのか」も一目瞭然です。また伝票の手入力には紛失リスクや入力ミスがありましたが、今は取引履歴が残るので、経理でもチェック作業の負担が減り、非常に喜んでいます。ゆくゆくは会計ソフトとも連携させて、さらなる効率化をはかりたいと思っています。
料理は旅館の顔でもありますので、衛生管理は義務化されるHACCPの考え方を取り入れて厳しく実施しています。またアレルギーについては、予約の時点でお客様に伺い、実際に料理を提供する際も念には念をいれて、何重ものチェックを実施しています。特にアレルギーはお客様の命にも関わり、万が一のことがあると「すみません」では済まされません。お客様は我々を信頼して口に入れてくださっているのだから、その信頼を裏切ってはいけないと、従業員一人ひとりに伝えています。お客様へのアレルギー対応は、予約のカルテに書き込み、調理場、宴会場、フロントも情報を共有することを徹底しています。
お客様に安心して召し上がっていただくためにも、料理に何が使われているのか、確実に把握する必要があります。以前は商品ラベルを頼りにするしかなかったのですが、今は『BtoBプラットフォーム 規格書』で調理場に情報提供しています。情報の更新は各メーカーが行い、私がチェックして承認するフローです。
旅館業は、従業員満足度をいかに向上させるかが最も大事だと思っています。従業員が楽しく働いていれば顔や態度にも出ますので、お客様も、自然と感じとられるでしょう。ITなどのハードを活用し、オペレーションの効率化をはかってより付加価値の高いサービスを提供していきたいです。効率が上がれば業務負担の軽減だけでなく福利厚生の拡充もはかれます。旅館業はしんどいというイメージを払拭させたいですね。実際、お金をいただきながらお客様から感謝の言葉もいただく、やりがいのある仕事です。「ありがとう、また来ます」と言葉をかけられたときのなんともいえない達成感、アドレナリンが出るといいますか。もっとお客様のために何ができるかという気持ちが沸き上がる、この気持ちをもっともっとスタッフに味わってもらえたら、魅力を伝えていけたらと思っています。
志戸平温泉株式会社
掲載日 2024年3月26日
利用サービス 受発注(発注)/請求書(受取)/BP Storage for 請求書 | エリア 東北 | 業種 ホテル・旅館 | 取材日 2024年2月14日
岩手県花巻市でふたつの旅館を運営する志戸平温泉株式会社様。従業員の働き方改革や業務改善に積極的に取り組み、県の「いわて女性活躍認定企業等」に認定されています。
同社では月間約2000枚におよぶ納品書と請求書の金額確認と経理ソフトへの手入力が課題で、受発注システムと請求書システムを導入。金額の誤差確認や入力ミスがなくなり、現場にはゆとりができたといいます。
代表取締役社長 久保田 剛平 様(以下同):岩手県の花巻温泉郷にある当社は1830年(天保元年)に創業し、現在は2軒の旅館を運営しています。1軒目は173室の「湯の杜ホテル志戸平」。豊沢川の渓流に沿って自然を眺望できる全長25mの露天風呂をはじめ、3つの源泉と20種類のお風呂、100種類のメニューがあるビュッフェレストランなどをご提供するリゾートホテルです。もう1軒は客室26室の「游泉志だて」で、全客室に源泉100%の露天風呂を設け、渓流と対岸の山々を一望いただけます。
当社は従業員の働き方改革や業務改善にも積極的に取り組んでおり、2022年には「いわて女性活躍認定企業等」に認定されました。
仕入れ業務の効率改善と、さらなる収益向上のためです。これまでは、料飲など各部署から上がってきた発注内容を仕入課がまとめて仕入業者にFAXを送り、経理課が納品書の金額を集計して請求書と合っているか確認していました。
1カ月に約2000枚の伝票を、業者ごとに整理して経理ソフトに手入力していたのです。業者さんによっては1日の納品だけで20枚にのぼることもあります。手作業だと金額の間違いも起きますし、月初に請求書が届くのを待つ時間があるなど、月次決算書の作成に日数を要していました。
こういった課題をなくすため、2021年3月からインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を使って仕入れ業務のデジタル化を進めることにしたのです。
実は、導入するまでインターネットを使った受発注システムがあること自体知りませんでした。当時、ホテル予約管理システムを導入したのですが、たまたまインフォマートの担当者からご案内いただいたのがきっかけです。近隣の旅館様も導入しているということで採用いたしました。
はじめは社内外ともに、反対意見が多かったです。「これまでのFAXによる受発注で何の問題もない」「仕入先と調理担当が電話で直接コミュニケーションしないと、当日のおすすめなど鮮度の高い食材が仕入れられない」などの声もありました。
当初はFAXと受発注システムを半分ずつ使うことも考えたのですが、一部だけデジタル化しても効果は限定的ですし、紙とデータが混在することでかえって混乱を招くおそれもあります。デジタル化は100%やらなければ意味がないのです。こういった理由で一斉に切り替えました。
従業員の理解を得るには、まず各部署の部門長からコンセンサスを得ることが大事です。そこで「BtoBプラットフォーム導入委員会」を部門長レベルで立ち上げ、全社でDXを推進するという姿勢を打ち出しました。デジタル化を会社の取り組みとして認識してもらい、できない理由を探すより、どうすればできるかを考えるべきだと粘り強く説得したのです。思い切ったトップダウンの決断でしたが、結果的にはスピーディーな意志決定ができました。
志戸平温泉株式会社
代表取締役社長
久保田 剛平 様
受発注システムの導入当時、取引のある業者さんのうち6割ほどがすでに『BtoBプラットフォーム 受発注』を利用されていました。未利用の業者さんには参加の強制はしませんでしたが、新規の業者さんと取引を始める場合は、受発注システムの利用を条件にしました。できるところから徐々に広げていったことで、現在は仕入れ先の利用率は9割まで増加しました。デジタルツールの利用を前提に取引を開始する方法は、DXを進める上で有効だと思います。
これまでは1カ月に約2000枚の納品書を手入力していたのが、今ではCSVデータを経理ソフトに読み込ませるだけで集計が完了します。1カ月に1度、1時間もあればすぐに取り取り込めるので、手入力にかけていた手間を削減できました。
仕入額に関わるミスも減っています。部署ごとに紙でやり取りしていた頃は、請求書と納品書の金額に差異があった場合、当社と仕入れ先のどちらが間違えているのか確認しなければいけませんでした。このチェックが必要なくなったことは画期的でした。人の手が入るとどうしてもミスの可能性が高くなるので、システム化で正確性が増したことは大きなメリットです。
また、業者さんとの間で売上を翌月に回すなど個別のルールがあることもしばしばでした。『BtoBプラットフォーム 受発注』を使うことで締日が明確になり、社員の管理意識も向上したと思います。たとえば原価や在庫の数字にズレがあれば、その理由を現場が主体的に考えるようになりました。以前はバラバラだった原価率が安定し、現在はほぼ目標を達成できています。
請求書は『BtoBプラットフォーム請求書』を使って、インターネット上でデジタルデータとして受け取っています。また、インボイス制度の開始をきっかけに、一部残っている紙やPDFの請求書も自動でデジタル処理するシステム『BP storage for 請求書』を導入しました。請求書をデジタル化したおかげで、明細内容を仕分けして経理ソフトにCSV取り込みしています。入力作業がなくなり、最終的な金額確認だけで済むようになりました。
仕入先によっては今でも紙の請求書が届くことがありますが、『BP storage for 請求書』で読み取った紙のデータを『BtoBプラットフォーム請求書』に自動連携することで、紙を含むすべての請求書を一元管理できるようになりました。受発注システムと合わせて、もっと早く導入していればよかったと思うほどです。
仕入れ業務と請求業務を効率化できて、現場には時間的、精神的なゆとりが生まれました。今後はその時間を有効活用し、取引データを分析してさらなる業務改善ができればと思います。これまでは入力作業や資料作成に追われていましたが、資料に対し「ここはこう思う」「こんなふうに改善できるのでは」など意見が出る機会も増えました。そうした意見を取り入れつつ、これからもデジタル化を進めて職場や業務を改善していきたいです。
株式会社スーパーホテル
掲載日 2024年8月27日
利用サービス 受発注(発注) | エリア 関西 | 業種 ホテル・旅館 | 取材日 2024年6月20日
全国とアジアに172のホテルを展開する株式会社スーパーホテル。宿泊客にLOHASの考えを根底とした「Natural」「Organic」「Smart」を感じてもらえるような様々な取り組みをされています。
そうしたなか、朝食関連の発注の自社化をきっかけに、『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入。システムの導入により、年間約30万枚におよぶ紙の発注書が削減されたといいます。
サービス管理部 係長 大麻 那於 氏(以下同):スーパーホテルは1989年に設立し、現在では全国に171店舗、ミャンマーに1店舗のホテルを展開するホテルチェーンです。私たちは、ブランドコンセプトにLOHAS(lifestyles of Health and Sustainability)を掲げ、お客様に「Natural」「Organic」「Smart」な体験をしていただけるホテルを目指しています。
スーパーホテルは、ほとんどの店舗でベンチャー支配人制度(業務委託契約)を展開しており、受託者の方でホテルを運営するビジネスモデルです。当社が実施している「Super Dream Project®」への参加者がホテルを運営します。「Super Dream Project®」は、夫婦やカップルなど2人1組のパートナーと一緒に、将来の起業や自分のお店を構えるなどご自身の夢を叶えるために、スーパーホテルの運営に携わっていただき、現地で経営ノウハウを学びながら起業するための資金を蓄えることが可能です。ベンチャー支配人制度の店舗は、本部の専門スタッフがサポートしながら、ホテル1棟を運営しています。
サービス管理部 係長
大麻 那於 氏
オーガニックでヘルシーな朝食で、「お客様に元気な1日をスタートしていただきたい」という思いがあるからです。オーガニック野菜を使ったサラダや、健康を意識したオリジナルドレッシング、お米も環境に配慮した特別栽培米を利用するなどしています。
私はサービス管理部の朝食担当として各店舗を回り、食材やメニューのことはもちろん、朝食会場の演出や衛生管理、接客など、朝食をしっかりと運営できるようにサポートし、お客様の評価を上げるために必要なことを行っています。
人材教育についてはマニュアルもあり、適宜、研修も実施します。また、新たな試みとして、「朝食グランプリ」を社内で開催しており、頑張っているスタッフの取り組みを動画にして、良い事例として全店舗に配信するようにしているんです。
朝食食材のうち、メインとなる食材以外の大半は決まった食品卸業者から仕入れており、ホテルで使用する備品なども紙の発注書を使用してFAXで送っていました。発注で使用する紙を計算すると、1日5社以上は紙で注文をしていたので、各店舗がほぼ毎日365日発注し、それが約170店舗ですから、全体で年間30万枚以上の紙の発注書を使っていたことになります。
LOHASを掲げるエコ・ファースト企業である当社としては、大量の紙を消費する発注業務には長らく課題感を持っていたのですが、抜本的な解決策が見つけられずにいました。
以前の仕組みは、委託先企業を通してインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』で取引先へ発注するというものでした。ところが2021年の春頃、その仕組みが運営元の事情で使えなくなってしまったのです。あまりにも急なことで、朝食食材の発注ができなくなるという、いわば緊急事態に対応しなければなりませんでした。
それならば、この機会に自社で『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入して、直接システムから発注できるようにしようと決めました。
他企業様であれば、経理部などが業務効率化や紙の削減を目的としてシステムを導入するケースも多いと思います。ですが当社の場合は各現場の朝食を円滑に運営するために至急導入しなければならないという事情から、契約から約3カ月で稼働まで進めていただきました。
また、エコ・ファースト企業として、この機会に食材の発注だけでなく、さらなる紙の削減に取り組むという考えのもと、備品関係の一部の発注も『BtoBプラットフォーム 受発注』で行うことにしたのです。加えて経理部でも、毎月700枚にものぼる請求書が届いていたこともあり、それらもまとめて紙の削減に繋げたいという考えがありました。
まず、食材の取引先と直接契約をすることからはじめなければいけませんでした。ただ、従来の取引先とは『BtoBプラットフォーム 受発注』でのつながりはあるわけですから、導入に際しての大きなトラブルはなかったです。
また、日々の発注業務についても、各店舗にアカウントが付与されていますので、発注担当者が以前のやり方から『BtoBプラットフォーム 受発注』に変わるだけですので混乱もありませんでした。
朝食食材の発注については、紙の発注書を1枚1枚書いてFAXで送るという作業が、システム導入により削減されたので業務効率化につながっています。備品についても、すでに取引先が『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入しているケースが多く、スムーズに切り替えができました。現在、食材と備品合わせて、発注全体の約7割はデジタル化できています。
各店舗での効果もさることながら、本部としても大きな効果がありました。それは、各店舗の発注状況を細かく追えるようになったことです。食材の種類、量、発注頻度といったデータが一元管理できるので、店舗ごとの発注内容の分析がしやすくなっています。これはかなり大きな効果です。
以前は備品や食材の発注は店舗ごとにバラバラに行っていましたし、本部としては発注内容を知るには店舗に確認をしなければなりませんでした。もちろん、毎月経理部に発注書が集約されますが、それをすべて追うことはできません。
ホテルの運営において必要があれば、店舗運営者の裁量で発注先を増やすこともできます。そのため、本部側では店舗が購入している商品や価格や数量など、なかなか見えづらいものがありました。システム導入後は、本部側で商品と取引先を紐づけているので、店舗ではそのなかから選んで簡単に発注できるようになっています。
店舗側、本部側の双方で発注内容を把握できることに、大きなメリットを感じています。店舗では、似たような商品でもより安い商品が選べますし、本部側では原価管理がしやすくなりました。
また、新しい業者から商材のご提案をいただくことや、自社でメニューの開発をするにあたり、活用することが増えました。例えばスープ系の商材であれば、インフォマートから現状使用している、スープ系メニューの活用実績をすぐに出すことができるので、実績を元にコスト計画の見直しができてリスク回避につながりますし、慎重な経営判断ができるようになりました。また、取引先様との交渉もしやすくなっています。
経理部では、毎月約700枚届いていた紙の請求書の処理と保管が不要になりました。それから、紙の請求書では仕訳科目の入力に迷うことがありましたが、最初に科目設定をしているので自動で仕訳されるため、負担が軽減されました。請求書のフォーマットによっては、支払い額の欄がわかりにくいものがあり、稀に支払い金額の間違いがあったのですが、一切なくなっています。
お客様にはスーパーホテルに泊まったからこそ、「Natural」「Organic」「Smart」というコンセプトを感じていただき、環境や健康により一層意識を持っていただくことが当社の使命だと思っています。朝食もまさしく、そうしたコンセプトを感じていただくためのサービスとして、より良い朝食を提供していきたいですね。
大江戸温泉物語株式会社(現:大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社)
取材日 2016年7月26日
利用サービス 受発注(発注)/規格書(買い手) | エリア 関東 | 業種 ホテル・旅館
温泉施設という特性から家族連れの利用者も多く、本社に「商品本部 商品部」を設置して品質管理を行っています。施設の個性を重視する方針のため、仕入先数は390社、規格書依頼数は2万1千枚にも及びます。利用客からのお問い合わせも増える中、どのような対応を目指しているのかを伺いました。
大江戸温泉物語はお台場が有名ですが、全国18都道府県に27の温泉旅館やホテルを運営するほか、6の日帰り施設やテーマパークも有する会社です。有名どころではホテルニュー塩原や箕面観光ホテルなども当社の施設となります。16年2月期の売上高はグループで約382億円。年間で約650万人のお客様にご利用いただいております。
当社は、元々あった旅館やホテルを買収し、新しいスタイルで再生させる手法で拡大してきました。食事に関しては、バイキング形式を基本とし、宴会場があるところは宴会メニューにも対応しています。集中購買や厳密なロス管理による原価抑制、厳密なワークスケジュールとマルチタスクによる人件費抑制など、様々な工夫を積み重ねることで、平日一泊二食付きで1万円以下という価格を実現しています。昨年春からは外資系投資ファンドのベインキャピタルの傘下に入り、チェーンマネジメントの導入と強化を図っております。
調理は元の施設で働いていた方々がそのまま担当することが多く、使用する食材や調味料を選ぶのは料理長の裁量としています。それが料理長の腕を生かすことになり、館の個性につながるとの判断からです。現状では3~4割は本部対応の商品ですが、あとは現地の仕入先を使っています。ただこうすることで、チェーン店であればひとつの商品につき規格書1枚で済むところがそうはいかず、苦労する部分でもあります。例えば醤油ひとつとっても、地元のものを使っているところも多くあり、規格書は膨大な数が必要になるわけです。
このような状況の中、商品部はもちろん、現場の社員やレストランスタッフからお客様へ提供する食材に含まれるアレルギーやカロリー、塩分などの健康面に配慮できる情報をいつでも確認できるようにする必要があるのではという声が上がり、『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入しました。
現場では誰もがお客様の信頼にお応えするための情報管理に必要性を感じながら標準化するノウハウがなかったので、それぞれに手探りで対応をしています。料理長が仕入先に主にアレルギー成分を確認し、それをそれぞれのフォーマットに入力していたり、アレルギー成分を一覧化した紙を厨房に貼ったりします。
でもそれではメニューの改変が多く、十分な対応ができているとは言いがたい部分もありますし、コンタミネーションまでは意識が回りません。当社は規模も拡大し、リスクマネジメントへの取組みも重視される中、本部が仕組みを作ることで現場をサポートできるのではないかと考え、『BtoBプラットフォーム 規格書』の取組みを強化しているところです。
各館では現地の食材を使った料理をバイキング形式で提供している
私は外食産業や業務用食材一次商社を経験して入社しています。彼は二次商社に勤務していました。外食業界のいわば風上から風下まで、売り手から買い手まで熟知できているかと思います。
アレルギーを取り巻く環境や消費者の意識はいまや昔と比べられない高いレベルに達しています。
私が最初に勤務した20年前の大手ファミレスチェーン店では、アレルギーの「ア」の字もないような時代。管理者講習でもそれについて教わった記憶もなく、お客様からお問合せを受けたこともありませんでした。その後の商社では、規格書提出の依頼を受ける側。規格書は煩雑な存在でしかなく、取引先に言われればメーカーに依頼し、そのまま内容を精査確認せずにFAXしているような状態でした。規格書の重要性を重んじず完全に意識が低い時代でした。
規格書の重要性を実感したのは、その後に120店舗を展開する居酒屋チェーン本部でバイヤーをしていた時です。11業態の約1,250メニューレシピから使用食材を見つけ出し、仕入先・メーカーへ規格書を依頼。
その規格書を読み解きエクセル形式のファイルに転記する。膨大な時間を要しました。それが完成するとレシピへ紐づけ、業態毎のメニューアレルゲン管理表を作る。これもまた膨大な時間を要しました。この業務を本来のバイヤー業務と並行してすべて私一人で対応しておりました。このアナログ手法で苦労していた時に『BtoBプラットフォーム 規格書』を知り、導入した経験もありました。
商品本部 商品部
ご担当者様
商品本部 商品部
ご担当者様
『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入したことで最も便利なのは、メニューの食材を見れば、原料やアレルギー情報がわかる点です。また、取引先が情報をフォーマットに入力してくれるので、確認したい項目のチェック作業も楽になっています。
まだまだ仕入先やメーカーさんの意識に差があるので、情報が十分でないところも多いのは課題ですが、確認点や追加項目があった場合、再提出依頼が行え、履歴も残るシステムがとても助かります。
商社にいた経験を活かし、提出率の悪いメーカーや仕入先へアドバイスしたり、共に問題解決に向けて取組んでおります。メーカー、仕入先の協力なくしてはこの規格書システムは成立しませんから。
とはいえ、現場ではこのシステムの利便性を実感するところまでは、まだたどり着いていません。普及して運用させるには食品の安全を確保する情報量があることが前提となりますが、当社の体制は目指すところの3~4割にすぎません。今は本部が準備を整えている段階。そのため、規格書の回収スピードを上げることが急務です。
その対策として、現在は、原料・原材料はもちろん、原産国、副原材料や添加物、遺伝子組み換え情報なども重要視し、すべての項目を一緒に提出してもらっているのですが、これが、規格書を作成する側の作業を複雑にし、提出までの時間を費やす要因になっている面もあるので、まずはアレルギー情報を中心に集めてはどうかと考えています。
当社の強みであるバイキング形式では、トングや菜箸などの共用により、各料理のアレルギー物質を完全に防ぐことができません。規格書を全アイテム回収できたとしても安心できず、そこからがスタートであり、当社のスタイルにその情報をいかに融合させてゆけるかが大きな課題です。
『BtoBプラットフォーム 受発注』も導入しているのですが、パソコンに対する抵抗感を持ち、効率的に使いこなせていないと感じている料理長もいるので、店舗で規格書システムを操作してもらうまでは、メリットを十分に理解してもらわないと厳しいでしょう。
株式会社呉竹荘
掲載日 2024年7月23日
利用サービス 受発注(発注) | エリア 東海 | 業種 ホテル・旅館 | 取材日 2024年5月16日
株式会社呉竹荘はM&Aで事業を拡大し、現在はグループ企業11社でビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルを国内で57施設展開しています。
食材やアメニティなど同一商品でも仕入れ単価が各ホテルでバラバラだったため、管理本部が主導して管理を徹底。『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入して価格統一とスケールメリットを活かし、年間1000万円のコスト削減に努めています。
株式会社呉竹荘 管理本部 経理・購買マネージャー 宮崎比符美氏(以下同):当社はグループ傘下の11社で57のホテルを抱えているのに、仕入のスケールメリットを活かせていないという声が社内にありました。ホテルごとに別々の取引先様から食材やアメニティなどを仕入れていたため、同じ物品でも単価が高かったりしていたのです。
また、どの拠点でも過去の仕入れ内容を確認するには倉庫の段ボールをひっくり返して、大量の伝票の中から目的の1枚を探すなど、相当な手間がかかっていました。
社内では購買はもちろん、経理でもペーパーレス化を考えない者はいませんでしたし、労務も法務も人事も、とにかく業務を一元化、IT化しようというニーズがありました。IT化で業務を軽減し、残業時間の短縮を図ることは、離職率が高く採用難といわれているホテル業界では必要な取り組みだと思います。
管理本部
経理・購買マネージャー
宮崎 比符美 氏
2022年に全ホテルの業務を統括する管理本部が設置されました。私はグループ内のホテルで経理をしていたのですが、管理本部ができた際に異動して専任で担当することになりました。まず着手したのが、購買部門における仕入れのIT化です。管理の一元化で購買業務がもっとも効果が大きいと考え、システム選びを始めました。
システム導入前は、グループ内の担当者が、管轄のホテルをまとめて仕入などの経理業務をしていました。現場から経理担当者に送られた請求書と会計システムを突き合わせて、振込などの処理を手作業で入力していくのです。数字の正確性はもとより、照合作業だけで毎月どの施設でも数日かかっていました。
さらに、電話での言った言わないといったトラブルや、手書きのFAXが読めない、金額が合わないといった問題がありました。紙の伝票では、経理担当者と現場、取引先との間で煩雑なやり取りが発生します。そういったことを解消しようと、あらゆる受発注システムの会社に資料請求して、7~8社ほどを比較検討しました。結局、お取引先様の負担が少ないシステムが最もいいということで、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入することにしたのです。
50施設以上あるホテルのすべてのお取引先様を合計したところ、約400社600拠点ありました。まずは受発注システムを使っていただくために、ご協力をお願いする手紙やメールを送りました。法人ごとにエクセルで10ページほど、新聞1部以上あり、システム利用の案内を作ります。
幸いにもインフォマートのシステムが広く利用されていたことで、当社のお取引先様の中にもすでに利用しているところが多く、結果的に8割強のお取引先様にシステム導入を同意していただきました。少額取引の仕入業者様でも、インフォマートの料金プランには取引金額が10万円未満ならシステム利用料が無料になるものがあることをご案内して、ご協力いただきました。
問題は仕入れ品の単価統一でした。単価の調査では、グループ各拠点の仕入担当や調理担当には前職でインフォマートを使っていた者もおり、準備期間にはアドバイスももらいました。作業は大変でしたが、稼働後の期待が上回り負担とは思いませんでした。
グループ全ホテルの仕入れ価格を統一した効果は、やはり大きかったです。品目ごとに商品や仕入れ業者、単価を整理して統一を進めたのです。トイレットペーパーは特に効果がありました。以前は商社を介して仕入れていた施設が多かったのですが、製紙工場から直接納入するように変更し、かなりの金額を削減できたと思います。食材、備品、消耗品などを合わせれば、仕入れ価格の統一効果などで1000万円以上の削減効果が出ていると思います。
さらに、良い仕入品がグループ内に広がったことも嬉しい結果です。あるホテルでお取引先様からサンプル品の試食などの営業提案を受けた際、品質が良かったら「この商品を他のホテルも使ってみては」と提案が出るようになりました。現場から推薦された業者様を本部が招待して、全社に投げかけることもしています。
本部ではデータ入力がほぼなくなり、請求書との突き合わせもなくなったので、時短効果は大きいです。取締役からデータを見たいと要望があったときも、システムで検索してすぐ出せるようになりました。私自身の業務でいえば、月末の入力から解放されて、2~3日分の業務が削減されました。
また、各拠点の支配人の負担も軽減されたと思います。スタッフとインフォマートでの入力や突き合わせを分担することもできるようになったので、空いた時間をお客様とのコミュニケーションの時間に充てもらいたいというのが会社の考えです。
各ホテルの厨房では、お客様のご利用状況に応じて、どうしても締め時間ギリギリの発注になることがあります。その際の注文は、システムでなく電話に頼らざるを得ません。この改善は難しいですが、なんとか体制を整えていきたいと思います。
グループ全ホテルの購買・経理業務のDX化とはまだ端緒についたばかりですが、コスト削減や業務時短化のほか内部統制も強化でき、管理本部の体制は整いました。同時に進行していた採用、勤怠、給与といった人事システムのDX化も整っておりますので、全業務でペーパーレス化、IT化を図っています。グループ会社内の行動指針で「常に新しい価値へのチャレンジ」というものがあります。現状を最良と考えず、関わる全ての人にとって価値ある何かに挑戦することが大切という意味で、『BtoBプラットフォーム 受発注』の導入は、全社DX化の第一歩の挑戦として大成功であったと思います。
人手不足が業務負担を増加させ、サービス品質に影響が出るリスクが高まっている。
「おもてなし」を重視する一方で、特定のスタッフ依存が常態化し、ファシリティ・マネジメントにも影響が。
売上重視の運営が優先され、GOPやRevPARなどの指標に基づく原価計算が整備されていない。
紙伝票やアナログ発注が主流で、仕入れ管理の不透明さが運営リスクを招いている。
BtoBプラットフォーム 受発注は
このような課題を解決し、
最高のおもてなしを行う
ための運営基盤となります。
50,000社以上に
選ばれるには理由がある
01
発注から請求までをデジタルで一元管理。棚卸管理もシステムで行えるため、在庫状況の把握が迅速にでき、少人数でも業務を効率的に進められます。これにより、接客やおもてなしに集中できる環境を実現します。
02
日々の仕入れデータを分析し、最適な仕入れを実現。GOPやRevPARを考慮した経営を
可能にし、コスト管理を徹底して利益重視の経営を可能にします。
03
BtoBプラットフォームの機能連携(※) により、レシピごとの原価やアレルギー情報を管理。ピクトグラム出力にも対応しており、インバウンド対応にも役立ちます。
※本連携を行うには、「メニュー管理機能」及び「BtoBプラットフォーム規格書」の有料契約が別途必要となります。
04
「いつ、誰が、何を、どれだけ購入したか」をデータで記録し、コンプライアンスを強化。仕入や施設管理の透明性を高め、旅館・ホテル運営におけるリスクを大幅に低減できます。
05
すでに45,000社以上の卸・メーカーが導入済み。取引先の賛同を心配することなく、
旅館・ホテル運営においても安心してご利用いただけます。
ご利用イメージ
買い手企業様
(発注)
\データ発注だから/
様々な課題を改善
売り手企業様
(受注)
\データ発注だから/
様々な課題を改善
BtoBプラットフォーム 受発注によって
業務効率があがる!
アレルギー対応やインバウンド需要に応えるため、メニューと規格書情報を一元管理。施設運営の効率化を進め、安心・安全なサービスを提供します。メニュー管理機能により最新の原価管理を行い、材料やメニューごとの規格書情報を迅速に把握可能な体制を構築。多様なニーズに対応し、信頼される旅館・ホテル運営を支援します。
サービス導入後も、旅館・ホテル運営を支える伴走型サポートを提供します。取引先への導入告知・説明会・操作講習を実施し、電話・メールでの問い合わせ対応やカスタマーセンターでのフォローアップも充実。さらに毎月の実践型操作講習会「インフォマート塾」や会員専用の操作マニュアル・FAQを通じて、スムーズな業務運用をサポートします。
専任担当者が売り手企業様1社1社に丁寧にサポートし、円滑な取引を支援します。説明会を開催して売り手企業様へのフォローアップを徹底し、売り手参加率100%を達成した実績も!安心して取引を進めていただける体制を整えています。
常に高レベルのセキュリティを確保できる体制を構築し、24時間365日の監視を実施しています。
法令改正等にも自動で対応。自社内でシステム改修の必要がないため、メンテナンスの手間とコストを削減できます。
貴社の社内システムや販売管理システムとのデータ連携が可能です。データ連携により、更なる業務効率化や作業時間の短縮が期待できます!
数量・納品日を設定するだけ
STEP 01
注文商品の数量を入力
STEP 02
納品日を選択
STEP 03
発注完了
多くのホテル・旅館事業者様に
ご利用いただいています
有限会社ホテル昭和園
30室以下~99室
エリア|北陸・甲信越
詳しくみる
株式会社ダイヤモンドソサエティ
30室以下~99室
エリア|関西
詳しくみる
公立学校共済組合 福岡宿泊所 福岡リーセントホテル
30室以下~99室
エリア|九州
詳しくみる
株式会社指宿白水館
30室以下~99室
エリア|九州
詳しくみる
志戸平温泉株式会社
30室以下~99室
エリア|東北
詳しくみる
株式会社スーパーホテル
100室以上
エリア|関西
詳しくみる
大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社
100室以上
エリア|関東
詳しくみる
株式会社呉竹荘
100室以上
エリア|東海
詳しくみる
資料ダウンロード
主に卸/メーカーへ「注文をする」
ホテル・旅館様向け資料です。
機能の詳細・料金などを掲載しています。