IT専任者不在でも稼働。長年の課題だったFAX受注処理の属人化・煩雑化を同時解消できました。
佐藤木材工業株式会社 東京支社
ココがPOINT!
- FAX発注書の受注煩雑化・処理の属人化を同時解消
- 繁忙期でも受注作業の時間的・心理的負担を大幅軽減
- 『受発注ライト』で、先付け発注の出荷日管理を簡素化
「かゆいところに手が届く」小回りを利かせた営業スタンス
東京支社では、割り箸を取り扱っていますね。
当社は北海道に本社を置き木材加工全般を手がけていますが、割り箸事業を分離して東京支社で専門商社として運営しています。
業務用裸箸、袋入り加工箸、完封加工箸、箸袋、楊枝など、外食産業向けの消耗資材全般を取り扱っており、取引先の8割は問屋です。その他、メーカーや飲食資材の大型店にも卸しており、プライベートブランド(PB)にも対応しています。
当社の強みは、価格競争力と、「かゆいところに手が届く」ような柔軟な顧客対応です。取り扱う割り箸は、杉、桧、竹、白樺、白楊(アスペン)など6種類の素材に加え、元禄、小判、利休といった形状、さらには長さや太さもさまざま。裸箸、袋入り、完封など加工方法も多岐にわたります。PB商品も含めると、その種類は200以上にのぼります。
取引先のご要望に応じてこれらの商品を提案し、少ロットから対応するのはもちろん、「明日届けてほしい」といった緊急のニーズにも応えています。価格と品質に加え、こうしたきめ細かな対応が評価されています。
最大の課題は「読めない手書きFAX」と「ベテランの経験値」
多品種・小ロット対応では、受注業務は煩雑になるのではないでしょうか?
受注業務は長年の課題でした。注文は8割強がFAX、ほか電話やメール、LINEなどがあります。発注する側も素材や形、長さ、太さまで指定することなく、「いつもの箸」という発注がほとんどです。
FAX注文書を受信すると、まずは文字を解読して、該当する商品名を特定します。平常時は1日20件ほどで問題なく捌けますが、3月、8月、12月の繁忙期になるとFAX受注だけで40件超。ましてやPB商品になると、取引先独自の商品名で発注されます。
これを事務員2名で対応します。ベテランスタッフは独自の商品名やFAX用紙の読みにくい手書き文字でも「A社だから白楊の元禄、長さは○センチ」などとすぐに処理しますが、正確に受注するには経験が必要で、どうしても属人化せざるを得ないのです。ベテラン事務員がお休みすると仕事になりません。
さらに、繁忙期以外はさほど忙しくないので、長期的な人員補充ができないのです。スポットワーカーを募っても、商品名を覚えるだけで1日が終わってしまうので業務が進みません。繁忙期の人員不足には常に悩まされており、なんとかしたいと思い、2025年1月あたりから受注業務を簡素化できるツールを探していました。
『発注書AI-OCR(invox)』導入の決め手は、シンプル操作と基幹システム連携
いくつかのサービスを比較検討されたのですか?
4社のOCRサービスを検討しました。しかし、当社の基幹システム『弥生販売』との連携がスムーズではなかったり、設定が複雑だったり、トライアルなのに有料だったりと不都合があり、結果的にインフォマートの『発注書AI-OCR(invox)』に絞りました。
当社が求めていたのは、使いやすくて何よりシンプルなシステムです。その点、『発注書AI-OCR(invox)』は、インフォマートの受発注システムと組み合わせることで、基幹システムへスムーズに取り込める点が決め手となりました。
初期設定はスムーズでしたか?
商品マスタの登録自体は難しくありませんでした。基幹システムから商品情報のCSVデータを取り出し、インフォマートの担当者に渡して対応してもらいました。
ただ、基幹システムに入っている全商品データをそのまま渡してしまったため、膨大な量になってしまいました。今思えば、取引実績のある商品に絞り、不要なものを除いて渡すべきでした。
現在は最小限の商品を登録しなおし、必要に応じて追加しているので、画面が見やすくなっています。基幹システムに受注情報のCSVデータを取り込む際、『発注書AI-OCR(invox)』は項目名を変換してCSV出力する機能が優れているので、データ連携は非常にスムーズでした。
私を含め、登録・設定に携わったメンバーは、CSVの扱いやアップロード・ダウンロード作業に慣れていませんでした。社内にIT専任者がいないどころか、全員がITの素人でしたが、直感的に使えるシステムであったことと、インフォマート担当者の手厚いサポートのおかげで、時間をかけずに登録を完了できました。
導入効果は、業務効率化とストレスからの解放
導入後、FAX受注業務はどの程度効率化されましたか?
商品データの修正などをしながら3カ月ほどテスト運用を行い、少しずつ本格運用を始めています。最も大きなメリットは、『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』と連携して、FAXに記載された商品名を自動で特定してくれる機能です。これにより、『弥生販売』に受注内容をCSVでそのまま取り込めます。この機能だけでも、導入効果があったと言えるほどです。

これまではFAXの内容を手作業で解読し、基幹システムに手入力していましたが、その作業がほぼなくなりました。取引先独自の商品名で届いたFAXは特に入力に時間がかかっていましたが、AIが当社の正式な商品名に変換してくれるので非常に助かっています。
また、得意先ごとに異なる商品名の記載を、ベテランの経験に頼っていた状況も改善されました。AIが学習して自動で商品と紐づけてくれるようになったため、入力ミスがなくなり、属人化の解消につながっています。特に、出荷日ごとにFAXを振り分け、基幹システムに手入力していた手作業がほとんどなくなったことは、大きな効果でした。
繁忙期に2名で午前中いっぱいかかっていた作業が、今では数分で終わります。しかも、内容は確認するだけ。単純に3時間ほどの時間短縮になりますが、それ以上に、「ベテランでなければ対応できない」という精神的なプレッシャーから解放されたことが大きいです。業務効率が向上しただけでなく、誰でも受注処理ができる仕組みになったと感じています。今では、高齢のパートさんにも受注処理を任せられるようになりました。
その他に導入効果はありましたか?
受発注システムで受注管理することで、先付け発注(※発注日と納品日が異なる注文のこと)の納期把握が容易になったのは、想定外のメリットでした。
これまでは、FAX受信時に当日出荷分と先付け分を分類し、納品日が来たら過去のFAXを探してピッキングしていました。
現在は、『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』の取引カレンダー機能を見るだけで、出荷日ごとの発注書を管理できます。出荷日がひと目で分かるようになったので、先付け分を見落とすこともなくなりました。
今後の展望をお聞かせください。
『発注書AI-OCR(invox)』の導入で属人化が解消されたことは、この業務に縛られていた2名の事務員に時間が生まれたことを意味します。これが最大の効果であり、心理的・時間的な拘束から解放されました。
これは小さな働き方改革だと感じています。これまではベテランが休むと困ってしまう状況でしたが、今では誰でも代わりにできるので、「繁忙期でも有給を取ってください」と胸を張って言えます。空いた時間で、従業員みんなでバーベキューに出かけたいですね(笑)。
※掲載内容は取材当時のものです。
