店舗の悪化につながる現場のルール改変を防止。
アルバイトの定着率が向上し、採用費ほぼゼロです。

大阪・堺市で炭火焼鳥専門の居酒屋「炭火焼鳥 杉の屋」を4店舗運営する株式会社杉の屋様。人手不足といわれる飲食業界で、アルバイト3名募集に対し50名の応募があり、新店オープンや卒業シーズン以外は採用コストがほぼ0円といいます。
同社代表の杉野原佑治氏は、人事評価やまかないなどでアルバイトが働きやすい環境を追求。また、店舗の悪化につながる現場の小さなルール変更を防ぐため、店舗管理ツール『V-Manage』を導入。従業員が長く働き続ける環境づくりについてお話を伺いました。
ココがPOINT!
- 1毎日の必須業務をV-Manageで写真報告させヌケモレを解消
- 2業務マニュアルを蓄積して、新人の教育ツールとして活用
- 3店舗の運営悪化につながる現場でのルール変更を防止
こだわりの地鶏と炭火焼で焼き上げた、うまい焼鳥を提供したい
― 炭火焼鳥居酒屋4店舗を展開されていますね。
代表取締役 杉野原 佑治 氏(以下同):「炭火焼鳥 杉の屋(以下、杉の屋)」を堺市内でテイクアウト専門店を含めて4店舗展開をしています。当店は、生産者がひよこのときから与える飼料にこだわった地鶏を厳選して仕入れています。やわらかく旨みたっぷりの宮崎県産「うなま山地鶏」や、歯ごたえのある肉質の「薩摩地鶏」を土佐備長炭で焼き上げているのが特徴です。
鶏肉のおいしさは、内臓の味でわかると思っています。当店が提供する鶏は内臓のおいしさに自信があります。そして、焼き方には水分も重要です。私は芸術系の大学を卒業していまして、アートでは対比がとても大切。大きい・小さい、高い・低いといった、バランスが良いものは美しい。焼鳥も同じで、パリパリとしっとりの差をしっかり表現することがおいしい焼鳥だと思っています。
炭火焼の技術を身に付けるには、最低でも1年必要です。炭火を一定の温度に保つことも、一度に大量の焼鳥を均等に焼き上げる技術も簡単なことではありません。だからこそ、アルバイトも大切な戦力として考えていますし、長く働いてもらいたいという意識があります。そのための環境づくりに取り組んでいます。
代表取締役 杉野原 佑治 氏
長く働きたいと思わせるまかないの提供と評価制度
― アルバイトが定着するための取り組みについて教えてください。
私たちは飲食店ですから、食べることを大事にしたいと思っています。まかないでも、「これ残ったから食べて」とか「廃棄だから食べて」というものは出しません。しっかり一食一食、まかないを作ります。アルバイトの多くは学生さんで、一人暮らしの子も多い。おいしいまかないを出すことで、それを楽しみに出勤してくれます。杉の屋のアルバイトは、平均勤続年数が3年です。新店オープンや卒業シーズンは別ですが、基本的には採用活動を行っていません。今では3名の募集に50名の応募が来るほどです。しっかりしたまかないを毎日作るほうが、採用コストよりも安く済みます。
― 目標設定シートを運用されているとお聞きしました。
お店がダメになる理由のひとつに、自己評価と他者評価のズレがあります。例えばリーダーや店長になったことで自分が偉くなったように勘違いしてしまい、態度や指示が高圧的になってしまう人がいたとします。「あの人変わってしまったな、前のほうが良かった」という思いが生まれます。そのスタッフは店長や本部の人間に相談しづらいという状況もあり、嫌になって辞めてしまう人も出てきます。
そこで、人で飲食店を面白くするための「目標設定シート」を作りました。自分個人とチームでの自分というカテゴリに評価項目を分けています。話し方、聞き方、考え方を振り返り、接し方が高圧的になっていないか。記載されているのは「道徳心」に関することが多いですね。面談という形式を取ると緊張したり、取り繕ったりしてしまう人もいるので、さきほどのまかないを食べながらざっくばらんに話せる雰囲気で実施しています。自己を省みる機会を何度か行っていくことで、振る舞いが紳士的に変わっていくのです。
小さなルール変更と改変をなくすため、『V-Manage』の導入を決意
― 『V-Manage』の導入は、どんな理由からですか?
1日の業務の流れを決めたいと思っていたところ、インフォマートのセミナーで担当者から店舗のタスクを管理する『V-Manage』をうかがったのが導入のきっかけです。
お店がダメになる理由としてもうひとつ挙げられるのが、小さなルール変更と改変です。アルバイトの子たちは、自分たちの都合のいいようにルールを変えてしまうことがあります。少しずつ変えられていくと変わっていることにも気付きにくいし、本人たちも良かれと思ってやっている場合が多い。ルールとは、運営側の目的を達成するために定めているものです。杉の屋ではアルバイトの方も立派な戦力。彼らに業務をお願いする以上、ルールをしっかり定めたいと思っていました。
また、このツールで誰がどの作業をしたのかがわかる点も魅力でした。例えば、グリストラップの掃除を誰がやっていて、誰がやっていないのか。このシステムを導入すれば明確になるし、評価制度として取り入れることができるのでは、という思惑もありました。
― 『V-Manage』導入の際、どのように進められましたか?
システムを現場に落とし込むのは、時間がかかります。1年くらいかけて、どう馴染んでいくかを探っているというのが正直なところです。会議などで何らかの問題が挙がったときに「V-Manageで解決してみよう」と提案して、そこからまたブラッシュアップが始まっていく。私たちの成長と『V-Manage』の使い勝手を並行して合わせていくようなイメージです。
現場ではレジのそばなど、操作しやすい場所にタブレットを置くようにしています。あとは意識的に『V-Manage』を現場のスタッフとの話題に挙げていくようにしていますね。「なんでこれやってないの?」とか話しながら、業務の中に溶け込ませる。最初から100%やらせよう、という取り組み方ではないのですが、そのおかげで受け入れてもらえているように思います。
タブレットでのV-Manage
操作イメージ
居場所をつくり、まかないを通じて気持ちを伝えることで定着率を向上!
― 従業員を定着させるコツは何だと思いますか?
食事をする場所がある、ということは居場所があるということ。言葉で「ここにいても良いよ」と伝えるのではなくて、一緒に食事をする場所があり、人がいることが重要です。それに「食べられたら何でもいい」のではなく、風邪が流行っているから野菜がたくさん摂れるメニューにしようとか、気持ちを乗せてあげる。その気持ちが食事を通じて伝わって、この場所で頑張ろうと思ってもらえるのではと思います。
実は私自身、結構厳しいタイプでアルバイトに対してもダメなことには容赦なく厳しく注意をします。それでもみんな、私のまかないがおいしいから辞めないのです。「うっとおしいけど、あいつのまかないおいしいからなぁ」と思ってもらえているのでは(笑)。
まかない以外でも「ここで働き続けたい」と思ってもらえるよう、環境を整えていく。目標設定シートや『V-Manage』も、働きやすいと思ってもらうための取り組みです。居心地が良い場所となるよう、いくつかのアプローチで改善していくことが、定着率の向上に繋がっていると思います。
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V-Manage
- 飲食店に、もうひとりのマネージャーを
株式会社杉の屋
本社所在地 | : | 大阪府堺市北区百舌鳥梅北町四丁161番地2 |
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代表者 | : | 代表取締役 杉野原 佑治 |
事業内容 | : | 飲食店の経営 |
企業サイト | : | https://yakitorisuginoya.com/ |
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