メーカーの規格書を自動転送機能で漏れなく提出。
規格書変換システム『変助さん』で形式変更も容易です。

洋菓子材料を専門に扱う商社・池伝株式会社は、食品業界のサプライチェーン改革に挑んでいます。規格書業務を効率化するため、規格書変換システム『変助さん』を推進。さらに、『BtoBプラットフォーム 規格書』とデータ連携し、食品業界全体のDXを後押しする存在となっています。
ココがPOINT!
- 1自動転送機能で、メーカーの規格書を手間なく得意先に提出
- 2規格書の対応状況を一覧把握でき、提出漏れを防止
- 3規格書データ変換システム『変助さん』で、様々な形式で提出可能
2万件超の規格書対応がもたらす現場の負担
― 御社の事業概要について教えてください。
代表取締役社長 小林 孝彰 氏(以下、小林社長):当社は洋菓子材料の専門商社として、チョコレートや乳製品、ナッツ、フルーツピューレなど、2万点以上の商品を取り扱っています。仕入先はメーカーから輸入商社まで400社以上。得意先はケーキ屋さんや洋菓子製造業、製パン店、ホテル、テーマパークなど多岐にわたり、全国約6,500店舗に上ります。全国8拠点に自社物流網を展開し、安定した供給体制を整えています。
また近年は、業界共通の規格書データ変換システム『変助さん』を通して、サプライチェーン全体のDX促進にも積極的に取り組んでいます。
代表取締役社長
小林 孝彰 氏
― システム導入以前、規格書に関連する業務では、どのような課題が?
仕入部 食品安全課 課長代理(以下、食品安全課 課長代理):規格書は、原材料やアレルゲン、原産地、栄養成分などの食品の詳細情報を記した“食品のカルテ”のようなものです。得意先(主に小売店)からの依頼に応じ、仕入先(製造メーカーや卸業者など)から情報を集め、得意先ごとの指定フォーマットで提出します。アレルゲン表示の欠落などは重大リスクにつながるため、私たち卸業者には、正確かつ迅速な情報伝達が求められます。
この規格書業務は、想像以上に煩雑です。ExcelやPDF、各社のシステムを含め、当社が年間で扱う規格書は約2万件。システム化されていない場合、依頼メールの作成、規格書データの転記、確認、送信と1件ごとに手作業が必要となります。加えて、「規格書の提出はいつ頃になりますか?」といったリマインドや進捗フォローも欠かせません。担当ひとりが数十、数百という案件を抱える中で、この業務負担は非常に大きなものでした。
仕入部 食品安全課 課長代理
規格書DXで、現場の手間とリスクを削減
― 現場の課題に対し、どのように対応されたのでしょう?
食品安全課 課長代理:まず、2006年に『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入し、業務の一部をシステム化しました。仕入先への依頼フローは従来通りですが、このシステムを導入している企業であれば、メーカーから提出された情報がそのまま得意先に自動転送されます。確認・再送の手間がなくなり、大幅な業務効率化につながりました。
現在、当社では食品安全課の7名のうち4名が、『BtoBプラットフォーム 規格書』を使って依頼業務を行っています。提出状況がシステム上で一覧表示されるため、誰がどの案件を進めているか、提出漏れがないかといった進捗も可視化され、課内で情報を共有しやすくなりました。これも大きな導入効果だと実感しています。
小林社長:私たち卸業者にとって、依頼・回収・提出という一連の業務は避けられません。一方で、『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入している仕入先は、すでに社内体制やデータ整備が進んでいるケースが多く、依頼への対応も非常にスピーディーです。全体のリードタイムで見ても、非常に効率的だと感じています。
情報システム部 部長:『BtoBプラットフォーム 規格書』を活用したやり取りでは、仕入先からの規格書回収率は99%、得意先への提出率は98%と高い水準を維持しています。こうした実績が、取引先からの信頼獲得にもつながっています。
情報システム部 部長
― そのうえで、『変助さん』を推進する理由とは?
小林社長:『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入したことで、一定の効率化は実現しました。ただ、すべての取引先がこのシステムを使っているわけではなく、現場では依然として、複数の他社システムや独自のExcelフォーマットなど、取引先ごとに異なる書式に対応する必要があります。その作業が大きな負担になっていました。それは仕入先にとっても同様で、“雨あられ”のように様々な書式で提出依頼が届き、最終的には、その負担が商品価格に跳ね返ってくる。もはや一企業の努力では限界があり、業界全体で仕組みそのものを変える必要があると考えました。
理想は規格書の共通化ですが、それは難しいので、どの形式でも変換できる仕組みをつくろうと発想を転換しました。そうしてSWEETS&BAKERY 規格書変換協会を発足し、推進しているのが規格書変換システム『変助さん』です。これは、『BtoBプラットフォーム 規格書』をはじめ、複数の他社システムや個別のExcel書式など、41種類以上のフォーマットに対応したクラウド型の変換ツールです。現在64社にご利用いただいており、変換するフォーマットは70種類ほどを目標にしています。名前には、“変換を助ける”という意味があります。
食品安全課 課長代理:従来は、特定のExcel書式で規格書を1件作成するのに2時間近くかかっていました。『変助さん』を使えば、ベースとなるデータを20秒ほどで自動変換し、そこで変換しきれなかった部分だけを補足・確認するだけで済むので、今では1件あたり20~30分で作業を完了できています。作成の負担が減った分、確認にしっかり時間をかけられるようになり、間違いのない規格書を提出できるという自信が持てます。それは結果的に、食品安全の担保にもつながっていると感じています。
小林社長:『変助さん』の会員企業は60社に達しています。社内の効率化だけでなく、業界全体の負担軽減にもつながる仕組みとして、今後さらに活用を広げていきたいと考えています。
『変助さん』×『BtoBプラットフォーム 規格書』の威力
― 2024年から、『変助さん』と『BtoBプラットフォーム 規格書』がデータ連携を開始しました。その背景を教えてください。
小林社長:5年ほど前まではExcelの規格書が大半を占めていましたが、直近の3年間で、システムを利用した規格書の提出依頼を受ける比率が大きく伸びました。なかでも『BtoBプラットフォーム 規格書』の利用率が最も高く、当社では60%近くの仕入先が導入している状況です。そういった背景もあり、今回の連携は実効性の高い取り組みでした。
― データ連携により、どのような効果があるのでしょうか?
小林社長:『変助さん』が、『BtoBプラットフォーム 規格書』と1日1回のデータ連携を行い、アレルゲンや原材料といった情報が毎日自動で取り込まれるようになりました。常に最新の規格書データをシステム上で担保できるようになったのは、食の安全の観点から見ても、大きな前進です。
情報システム部 部長:SWEETS&BAKERY 規格書変換協会の立場からいえば、『変助さん』を新規にお申し込みいただいた企業様から、「インフォマートの規格書システムを使っています」と聞くと、正直、「よし、助かる!」と思えるんです。というのも、すぐに連携できて、会員様が規格書データを登録する準備も格段に楽になるからです。一方、『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入していない会員様の場合、規格書データ登録に2週間程度かかることもあります。
業界の未来なくして、私たちの未来はない
― 製菓業界の発展には、何が必要でしょうか?
小林社長:コロナ禍で痛感したのは、お客様の商売が立ち行かなくなれば、当社のような商社も何もできないという現実でした。連鎖的に業界全体の流れが滞ってしまう。だからこそ、業界の発展は、私たち自身の事業の存続や成長にも直結していると強く感じています。
たとえば、小規模なケーキ屋さんにとっては、システム導入はコスト的にもハードルが高く、手作業のままで十分という声が根強いのも実情です。しかし、やはり少しずつでもDXに踏み出していくことが大切だと考えています。その一歩を私たちが支援していきたい。
5年、10年という時間をかけながら、ITに任せられる仕事は徐々に任せていく。そうすることで、現場の皆さんが“人間にしかできないこと”、たとえばモノづくりやお客様とのコミュニケーションに、より集中できる環境が整っていく。それが最終的に、業界全体の底上げにつながると信じています。
業界の維持・発展なくして、私たちの未来もありません。小さなことの積み重ねを地道に取り組み、これからも丁寧に続けていきたいと考えています。
― 20周年という節目を迎えた『BtoBプラットフォーム 規格書』について、今あらためて思うことがあれば教えてください。
小林社長:20周年、おめでとうございます。今でこそDXという言葉が一般化していますが、インフォマートはそのずっと前、まだ電子化そのものが受け入れられるかどうかも分からない時代に、この領域に目をつけて事業を立ち上げられた。大変なチャレンジだったと思います。それでも、今日に至るまでマーケットを作り、業界の効率化に大きく貢献されたことには、感謝の気持ちしかありません。日本の食文化の発展にはDXが不可欠です。共に協力し合い、歩んでまいりましょう。
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BtoBプラットフォーム 規格書
- 「食の安心・安全」に対応
池伝株式会社
設立 | : | 1951年2月5日 |
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代表者 | : | 代表取締役社長 小林 孝彰 |
本社所在地 | : | 東京都港区新橋2-12-5 |
企業サイト | : | https://www.ikeden.com/ |
一般社団法人 SWEETS&BAKERY 規格書変換協会: https://sites.google.com/hensuke.or.jp/sweetsbakery(Microsoft Edge対応) | ||
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