
公務員の業務のやりがいと現実
公務員のなり手不足が課題となっていますが、一方で自然災害対応をはじめとした様々な課題により、「行政の重要性」や「公務員の重い責任・やりがい」等があらためて世の中に認識され、公務員の魅力が高まってきています。
自治体職員の採用パンフレットには、挑戦・創造・自ら考え、自ら行動といった言葉が並んでいると感じます。
しかし、現実には、コピー・計算・書類の運搬や受取・書類の数字チェック・データ入力等の単純作業に、職員の方々の多くの時間と労力が消費されているのではないでしょうか。
より魅力的な地域を目指しDXの推進を
住民の幸福を創造する新たな政策を考えるためには、お金や情報・意欲と労力・まとまった時間が必要となります。
その中で、最も有限なのが「時間と労力」です。
限られたお金の使い方を決める予算編成と同じくらい重要なことは、職員の方々の時間とエネルギーを”新たな政策の企画立案”などの職員にしかできないことに使ってもらうことです。そのためにも機械でできる業務・必ずしも職員がやる必要が無い業務を無くすことが重要ではないでしょうか。
優秀な人材に高いモチベーションで能力を存分に発揮してもらうことで、さらに優秀な人材の確保や職員のモチベーションがアップし、結果としてのさまざまな政策の立案という好循環を生み出すと思います。
デジタルに慣れていない住民や職員の存在に配慮しすぎて住民や職員に不必要な負担をかけては本末転倒です。
DXにより能力を存分に発揮したい住民や公務員の方々が活躍する場を創造することが、多くの意欲的な職員や住民が集まる魅力的な地域となる第一歩ではないでしょうか。
本コラムの著者プロフィール

一般社団法人 未来創造ネットワーク 代表理事
松藤 保孝 氏
自治省(現総務省)入省後、三重県知事公室企画室長、神奈川県国民健康保険課長、環境計画課長、市町村課長、経済産業省中小企業庁企画官、総務省大臣官房企画官、堺市財政局長、関西学院大学大学院 法学研究科・経営戦略研究科教授、内閣府地方創生推進室内閣参事官等を歴任し、さまざまな政策の企画立案、スリムで強靭な組織の構築、行政の業務方法や制度のイノベーションを推進。一昨年退官後、地域の個性や強みを生かすイノベーションを推進する活動を行う。