第五回 会計事務等DX研究会庁内会計事務DXのリアル
‐ 鹿屋市・多可町の会計DXへのロードマップ ‐開催レポート

鹿屋市は「鹿屋市DX推進計画」の一環として、会計事務のDXに取り組んでいます。ICTの活用によって行政運営の効率化と市民サービス向上を目指し、令和5年6月には財務会計の電子化を実現し、10月からは電子請求書の実証実験と運用を開始しました。システムには「BtoBプラットフォーム 請求書」を採用し、作業時間を63%削減（12,500時間→4,583時間）する効果を得ています。導入時には、事業者側がインボイス制度と混同し対応に苦慮したほか、職員のデジタル化への抵抗感も課題となりました。これに対して、説明会や操作マニュアルの提供、運用ルールの策定と周知により理解を促進しました。今後は事業者への利用促進や職員への利点周知を継続し、電子請求書の普及拡大を図る方針です。鹿屋市の事例は、行政のデジタル化を推進する自治体にとって貴重な参考になる取り組みです。

多可町は「第2次多可町総合計画」に基づき、行政のデジタル化を進める中で会計事務DXに取り組みました。電子決裁・電子請求書導入を3段階（STEP1〜3）で計画し、令和4年から2年半〜3年をかけて段階的に推進。財務会計システムのクラウド移行を挟みつつ、職員の負担を最小限に抑えた形で導入しました。導入以前は、1日80件の支出伝票処理に紙文書が使われ、差し戻しや書類提出でタイムロスが発生。出先機関からの書類提出にも時間がかかり、業務効率に課題がありました。職員の抵抗感を軽減するため、スモールスタートと勉強会の実施、システムのカスタマイズを行い、理解と賛同を得ました。事業者側には対面案内やWeb説明会、操作マニュアルの提供でサポートし、多くの登録を得ることに成功しました。導入後は、支払遅延のリスクが解消され、請求書管理の効率化やコスト削減を実現。今後は補助団体への対応やシステムの汎用性確保が課題です。