社名小野建沖縄株式会社
業種その他

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建設・鉄鋼DXを沖縄から全国へ。受発注のデジタル化で、地方起点のビジネスモデル創出に挑みます。

小野建沖縄株式会社

小野建沖縄株式会社_写真

全国に拠点を置く小野建グループの一員として、沖縄県内の建設業界を支える小野建沖縄株式会社様。日々大量にやりとりする電話やFAXによる受発注は「言った・言わない」のトラブルのリスクや多大な処理時間が大きな課題でした。LINEを活用した受発注システム『TANOMU』の導入で、注文を可視化する新たなビジネスモデルの構築を目指し、沖縄発の建設・鉄鋼業界のDX推進へと挑みます。

ココがPOINT!

  • 受注処理の大幅な時間短縮と、将来的なシステム連携による自動化
  • 受注ミスを防ぎ、誤納品による無駄な物流コストを削減
  • 新たなビジネスモデルの構築、グループ会社や業界への波及も視野に

RC造の普及率日本一の沖縄で、鉄筋を主力に建設業界全般を支える

事業概要をお伺いします。

代表取締役 東恩納 寛隆氏(以下、東恩納社長):
当社は、全国展開する小野建株式会社のグループ企業です。2004年に沖縄営業所としてスタートし、2010年に現地法人化して小野建沖縄株式会社となりました。沖縄進出から20年以上、地域に深く根ざした事業基盤を確立しています。

私たちの強みは、メイン商材である鉄筋をはじめ、鉄骨鋼材、土木資材におよぶ多品種の建材を網羅する調達力と供給力です。「北部倉庫(名護市)」「中部倉庫(沖縄市)」「西崎倉庫(糸満市)」からなる3大物流拠点で本島内はもちろん、石垣島や宮古島、さらには波照間島や与那国島といった離島地域にいたるまで、県内全域をカバーする強固な供給網を有しています。鉄と建材の総合商社として、マンションや公共事業、リゾートホテル開発、米軍関連工事など、多種多様な重要プロジェクトへ資材をタイムリーに安定供給するとともに、現場における各種工事の請負を通じて沖縄の建設業を支えてきました。

当社では、鉄筋工事、鉄骨工事、屋根・外壁工事など、建築工事に関わる幅広い分野への対応を進めています。将来的にはさらに対応領域を広げ、建設業界におけるワンストップサービスの実現を目指しています。

営業部 建設事業部 次長(以下、次長):
県内大手の総合建設業者をはじめ、専門工事を担う各種業者まで主要な販売先は約500社に上り、仕入先を含めたサプライチェーン全体では約1,000社とのパートナーシップを形成しています。

沖縄は台風や塩害などの地域特性からRC造(鉄筋コンクリート造)が主流で、鉄筋は当社の主力商材です。また、離島県という地理的特性もあり、多くの建設資材を県外から調達しているため、安定した物流・供給体制が重要な役割を担っています。材料を県外から仕入れ、県内の建設業者に販売、また鉄筋業者・鉄工所などに実際の工事を行っていただくビジネスモデルになっています。

今回、受発注システム『TANOMU』導入による受注業務デジタル化に舵を切られました。これまでどのような課題を抱えておられましたか?

次長:
取引の各工程の中でも最も負担が大きかったのが受注業務でした。現場の職人さんからは電話による口頭での注文、鉄筋業者などからはFAX注文が主流です。私たちは、メイン商材である鉄筋だけでも直径や寸法、強度など規格ごとに約120種類の在庫を有しています。これらの規格や数量、いつどこへ納品するのかといった内容を、口頭で聞き取る電話対応は1件あたり5分~10分を要し、経験の浅いスタッフでは対応が難航する場合もありました。その後、受注情報を販売管理システムに手入力し、倉庫への出荷指示や配送業者との調整が必要で作業時間は1件に30分ほどかかります。会社全体で1日に何百件と注文を受けますし、鉄筋だけでも1日20~30件を2名の専用事務員がつきっきりで対応せざるを得ない状況でした。

属人化した運用では、ヒューマンエラーのリスクが心配ですね。

次長:
特に、口頭注文では聞き取りミスが発生しやすく、「言った・言わない」トラブルになりがちです。たとえばサイズや数量、納品場所を誤手配してしまった場合、発覚するのは現場への納品段階です。鉄筋資材の運搬には大型トラックの手配が必須で、倉庫から県内現場への往復運送費は1回あたり約6万円を要します。手配ミスで再配送が生じると、この運送費がそのまま実損として流出するので、仮に週に複数回のミスが発生すれば、月換算で数十万円規模の物流ロスが生じる計算です。

『TANOMU』導入の経緯を教えてください。

東恩納社長:
建設現場の高齢化は深刻なスピードで進んでいます。現状維持のままでは、将来的な業界の存続すら危ぶまれる状態です。次世代を担う若手人材を確保するためには、DXへの挑戦や新しい労働環境の整備を通じ、自分たちで業界の魅力を再構築しなければ、という強い使命感がありました。

何か仕組みを根本から変えたいと考えながらも、具体的なきっかけが掴めずにいたところ、紹介されたのが受発注システム『TANOMU』です。LINEから発注できる仕組みに、「あ、これこそが求めていたDXだ」と直感しました。

飲食業界と鉄筋業界、ビジネスの根幹にある受発注の構造は共通していた

『TANOMU』は主に飲食店や食品卸業界向けの受発注システムですが、業界の異なる鉄筋の受発注にも使えると思われたのはなぜでしょうか?

次長:
インフォマート社と打ち合わせする中で、ビジネスの基本構造は全く同じだと気づいたからです。『TANOMU』は、「あらかじめ販売先が決まっており、自社で在庫を持っている」ビジネスが前提です。実は、鉄筋も在庫の種類や数が決まっており、売り先や納入先もだいたい固まっています。

在庫管理機能を含め、受発注から納品に至るまでの業務プロセスは一緒なので、「これなら余裕で導入できる」と確信できました。逆にいえば、鉄筋以外の資材は県外から仕入れるため別の連携を考える必要があります。自社で最も在庫があって扱いやすい鉄筋を起点に効率化できれば、会社にとっても非常に大きい効果があると考え、導入を決めました。業界は違っても、ビジネスの根幹にある受発注の構造は共通していたのです。

数ある受発注システムで『TANOMU』を選んだ決め手は何だったのでしょうか。

次長:
最大の理由は、やはりLINEを使ってスマートフォンで発注できる手軽さです。職人のみなさんは現場で作業をしながら発注するため、ほとんどの人が持っているスマートフォンを利用できる点に注目しました。何より、パソコンを使ってメールを送るのが苦手な方でも、LINEなら使えるというケースは少なくありません。ITに馴染みのないご年配の方でも、ご家族とのやり取りで普段からLINEを利用されていて、簡単に操作できるという場合が多いです。さらに、LINEなら口頭発注とは異なり、テキストとして明確に履歴が残ります。「言った・言わない」のトラブルが解消されると思いました。

現在は、本格的な運用に向けて準備を進めている段階とうかがっています。

東恩納社長:
一度にすべてを切り替えると現場が混乱しかねないので、段階的な導入アプローチを採用しました。2026年8月からの本格稼働に向け、まずは継続的に受発注があり、デジタルツールへの親和性が比較的高いお客様約30社から、スモールスタートで導入を進めています。

「電話の待ち時間がゼロになる」「発注履歴が可視化され、手配ミスによる施工遅延を防げる」など、発注側にとっても明確なメリットがあるWin-Winの関係を丁寧に説明・共有しながら導入を進めています。まずはシステムへの「慣れ」を醸成し、そこで得られたフィードバックや課題を検証した上で、順次拡大していく現実的な運用体制を敷いています。

本格稼働にあたり、『TANOMU』にどのような効果を期待されていますか。

次長:
期待する効果は、大きく業務効率化、ペーパーレス、そして将来的な配送一元化の3点に集約されます。まず、電話対応の削減とシステム連携による、受注処理時間の半減です。注文履歴の可視化によって聞き間違いなどのミスがなくなり、誤手配に伴う大型トラックの無駄な運送費の流出を防げます。また、7年間の保管義務がある受発注書類のデジタル化により、倉庫の保管スペースやPDF化の手間も大幅に削減されます。

現在は、過積載を防ぐための「重量計算」機能をシステム上で構築する検証を進めており、これが実現すれば、お客様とのトン数データの共有が非常にスムーズになります。そして最終的な理想は、その先にある配送業務の一元化です。将来的には、GPSやAIなどの新しい技術の活用も視野に入れ、配送業務のさらなる効率化について検討していきたいと考えています。

地理的な不利のない真のデジタル化で、グループ全体、業界全体のDXを牽引

組織として、新しい取り組みに柔軟にチャレンジされる原動力はどこにあるのでしょうか?

東恩納社長:
地方だから、あるいはアナログな業界だからデジタル化はムリという先入観を変えたいという強い思いです。今の若い世代はFAXに馴染みはありません。昔ながらの受注体制のままでは人も集まらず、業界自体が衰退してしまいます。だからこそ、私たちがファーストペンギンとして困難な初期の導入プロセスを突破したいのです。その成功モデルを業界全体にオープンに共有して、人手不足に悩む建設・鉄鋼業界全体のアップデートに貢献したい。それが変革に挑む大きな原動力です。

今後の展望をお聞かせください。

東恩納社長:
将来的には、鉄鋼流通や加工のデジタル化をさらに進め、受発注から加工までを一元的に管理できる仕組みづくりを目指しています。単に資材をインターネットで注文できるだけでなく、鉄骨の切断や穴あけ加工といった専門的なオーダーまでもオンライン上で一元的に完結させる仕組みであり、グループとしても全く新しい領域への挑戦と位置づけています。

その実現に向けた第一歩が『TANOMU』導入であり、新たに導入した施工管理システムと合わせて、業務の属人化解消、記録のデジタル化に着手しています。

今回の取り組みは、自社の業務効率化や「小野建沖縄の成功事例」だけで終わらせるためのものではありません。人手不足への対応や受発注業務の効率化は、多くの企業に共通する課題であり、DXは今後の建設業界を持続可能なものにしていく「共通基盤」になり得ます。だからこそ、メーカー、流通会社、鉄筋業者、建設会社など、沖縄の建設・鉄鋼業界に関わる皆様と一緒に業界を良くしていくための一つのモデルにしたいと考えています。

沖縄は地理的なハンディキャップがあると捉えられがちですが、DXの本質は普遍的です。まずはこの沖縄の地で小野建沖縄が率先して挑戦し、その経験や課題も共有することで、デジタル化のモデルケースをいち早く作り上げます。

このノウハウが沖縄県内、そして全国の小野建グループ、さらには建設・鉄鋼業界全体へと広がっていく。ゆくゆくは「沖縄発のDX」として業界全体のDXを牽引していくことが、私たちの重要なミッションです。

※掲載内容は取材当時のものです。

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