学校給食費の公会計化に伴う 請求書DXの効果

2024/10/04

最近、教育委員会の職員の方からも「学校給食に関わる請求書を電子化したい」というお問合せを多く承ります。昨今、学校教員の長時間勤務が問題となり、それまで学校単位で会計処理を行なっていた給食費を公会計化する動きが起きています。透明性の向上や不正防止の観点からも、学校給食費の公会計化は今後、全国の自治体で進むことが予想されます。しかしながら、公会計化によって自治体職員や事業者の業務負担は一層増えることになりました。

増えた負担を軽くするためにも庁内の会計事務DXは大きな役割を担います。例えば教育委員会に送られてくる請求書をデジタル化することで、各学校との紙の請求書による煩雑なやり取りが解消され、財務会計システムとの連携によって支出命令書の作成までスムーズに行えます。今回は学校給食費の公会計化に伴う、目指すべき請求書DXとその効果について詳しくお伝えします。

学校給食費公会計化の進捗状況と課題

学校給食費の公会計化等の実態・検討状況
2022年文部科学省 報道発表資料より抜粋
学校給食費の公会計化等の実施・検討状況

2022年の段階で、学校給食費の公会計化を「実施している」または「準備・検討している」自治体は全体の62.2%と、「実施を予定していない」自治体を上回っています。文部科学省は教員の業務負担の軽減を目的に、全国の自治体に学校給食費の公会計化を促しています。不正の防止や公平性の確保、給食の安定的な実施など様々な効果も期待されるため、公会計化を検討する自治体は増加傾向にあります。

しかし、公会計化に伴って会計業務が各学校から教育委員会に移管されても紙の帳票類によるやり取りのため、学校側には事業者から届いた紙の請求書と納品書の照合作業郵送作業など煩雑な業務が残り、郵送費もかかります。教育委員会では膨大な枚数の紙の請求書をもとに財務会計システムへの手入力という作業が追加され、職員の業務負担は重くなるばかりです。こうした新たな課題を解決するため、請求書のデジタル化を検討する教育委員会が増えています。

学校給食費を公会計化するメリット

①教員の業務負担の軽減→督促業務等から解放され、子どもに向き合う時間や授業改善の時間を確保できるため、学校教育の質が向上する。

②保護者の利便性の向上→クレジットカードやコンビニ払い等、納付方法を多様化できる。

③徴収・管理業務の効率化

④透明性の向上、不正の防止

⑤公平性の確保

⑥給食の安定的な実施・充実→効率的・効果的な食材調達や、他部局との協働で地産地消の取組などもしやすくなる。

公会計化後の理想的な会計事務フロー

公会計化により、教育委員会では紙の請求書の処理に追われる状況が見られます。

教育委員会と学校・事業者がプラットフォーム上で電子請求書の授受を行うことで、請求書受領時の煩雑化が回避され、財務会計システムとの連携も可能になります。
また、事業者も学校も請求業務における効率化が図れます。

公会計化後の
会計事務
フロー

公会計化後の会計事務フローイメージ図

理想的な
会計事務
DXのフロー

理想的な会計事務DXのフローイメージ図

学校給食費公会計化における請求書DXの効果

  • 請求書受領までの日数が短縮できる。
  • 財務会計システムと連携することで、支出伝票の起票が半自動化される。

教育委員会A
(人口規模約40万人)

  • 請求書をわざわざ本庁に郵送しなくてすむ。
  • 事業者、本庁、学校間で共有漏れを無くすことができる。

学校 栄養士B

  • 請求書の発行作業がWEBで完結できる。
  • 郵送コストが削減できる。
  • 郵送作業の手間が削減できる。

事業者C

まとめ

学校教員の業務負担を減らすための公会計化が、教育委員会の業務負担を増やしてしまっては、本当の意味での問題解決にはなりません。学校給食費に関わる業務負担を軽減し、教育委員会・学校・事業者が請求業務の効率化を図れる請求書DXをぜひご検討ください。

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