公務員が自治体の成果を最大化する4つのポイント

2024/11/05
公務員が自治体の成果を最大化する4つのポイント

知識労働者としての公務員が自治体の未来をつくる

アメリカ大統領選挙に関して使われる「もしトラ」という言葉は、ベストセラーで映画化もされた「もしドラ」(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」〈岩崎夏海著、ダイヤモンド社〉を想起させます。世界の多くの経営者に影響を与え続けている経営学者ドラッカーは、マネジメントを『決められた内容の業務を決められた通りにミスなく処理する単純作業労働者(マニュアルワーカー)の管理』ではなく、知識労働者(ナレッジワーカー)による既存業務の廃止・新規事業の企画立案などの『組織の成果の最大化に貢献する働きや仕組み』としています。

公務員は知識労働者として各人の専門的な知識や経験、さらに現在の科学技術や社会経済情勢を活かし、住民の幸福の創造という自治体の成果を最大化することが期待されています。

自治体の成果を最大化する4つのポイント

①各人の使える時間、予算、情報などの確保

特に、時間を確保する必要があります。機械で代替できる業務やあなた以外の方でもできる業務に、時間やエネルギーを割くことは本当にもったいないと思います。

②情報を集め活用する

科学技術の進歩や社会経済情勢の変化を住民の幸福を創造するチャンスと捉え、情報を収集し活用することです。常に新しい情報にアンテナを張り、住民のための活動を心がけましょう。現状維持では周りの変化に取り残されてしまいます。

③適材適所を見極めること

職員・住民・機械それぞれの強みを活かすことです。かけがえのない職員や住民の強みや個性を大切にするとともに、そのエネルギーや時間を非生産的に使わせてはいけません。住民のお金や時間、チャンスを極力奪わない政策や仕事の方法を実現してください。特に時間は絶対的な限りがあります。また、強みを活かすことは機械にもあてはまります。目的達成の手段として人間よりも機械が最適な場合には機械を活用すべきです。例えば、事実確認の業務は人間が神経をすり減らして行わなくても機械の強みが活かせます。

④挑戦を続けること

成功を掴むために重要なことは、失敗を恐れずに何度も挑戦することです。あの大谷選手も、7割近くはアウトになっています。失敗を恐れて何もしなければ、決してホームランやヒットは生まれません。打席に立ちバットを振る、つまり、挑戦することが大切です。挑戦すれば、色々な課題や解決策も見えてきます。最近は無償のお試しが可能なサービスも増えています。まずは、住民の幸福づくりに挑戦しましょう。

4つのポイントを挙げましたが、最も重要なことは住民の幸福創造に対する真摯さです。何が何でも住民の幸福を創造してください。

本コラムの著者プロフィール

松藤 保孝 氏

一般社団法人 未来創造ネットワーク 代表理事
松藤 保孝

自治省(現総務省)入省後、三重県知事公室企画室長、神奈川県国民健康保険課長、環境計画課長、市町村課長、経済産業省中小企業庁企画官、総務省大臣官房企画官、堺市財政局長、関西学院大学大学院 法学研究科・経営戦略研究科教授、内閣府地方創生推進室内閣参事官等を歴任し、さまざまな政策の企画立案、スリムで強靭な組織の構築、行政の業務方法や制度のイノベーションを推進。一昨年退官後、地域の個性や強みを生かすイノベーションを推進する活動を行う。

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