現在、全国の自治体に会計事務DXへの関心が広がっています。その第一歩として、紙の帳票をPDF化し、メールでやり取りする自治体が増えてきました。
しかし、紙書類のPDF化だけでは根本的な事務負担の解消には至りません。PDFはデジタルな紙であり、データ入力や内容確認といったアナログな工程は依然として残っているからです。
そのような実情を知るため、当社は独自に「自治体の会計業務に関する実態調査」を実施しました。
今回は調査で浮き彫りとなったPDF化=DXという誤解を解き、自治体が目指すべき真の会計事務DXについて考えてみたいと思います。
《現状》増え続けるPDFと、減らない業務負担
当社の最新調査(2025年)によると、自治体が受け取る請求書は未だに約7割が紙ですが 、一方でPDFでの受領も前年の26.4%から44.2%へと急増しています 。一見、デジタル化が進んでいるように見えますが、現場では「形式が変わっただけで、手間は変わっていない」という実態があります。
情報をシステムが自動で読み取るデータとして直接取り込めない限り、真の意味での業務改善=DXとは言えないのです 。
PDF化では減らない業務負担
手入力の発生
画面でPDFを開き、内容を目で追いながら、財務会計システムへ一文字ずつ打ち直す手間は、紙の場合と変わらない。
目視による確認作業
事業者名や口座番号がマスタと一致しているか、一通ずつ目視でチェックする負荷も以前のまま。
PDFと紙の二重運用
受領したPDF帳票を支出命令書に貼り付けるため、紙に印刷し直す。デジタルからアナログへ逆戻りの非効率な作業が続く。
《障壁》自治体と事業者の間にある認識のズレ
当社の調査で、自治体と事業者の間に以下のような意識のミスマッチが起きていることがわかりました。会計事務のデジタル化を阻んでいるのは、技術ではなく、認識のズレである可能性があります。自治体が率先してデジタル化を進めることで、取引事業者のDXも進み、地域の生産性が大きく向上できるのではないでしょうか。
自治体の懸念と事業者の本音
《DXの目的》作業を減らし、考える時間を創る
本当の意味で業務負担をなくすには、情報をシステムがそのまま処理できるデータとして受け取ることが不可欠です 。会計事務をデータ授受(DtoD)に置き換えることで、手入力の負担や書類移動の時間が削減され、職員を本来注力すべき住民サービスや政策立案へ再配置できるようになります 。また、デジタル化によって蓄積されたデータは、差戻し項目の分析や地域事業者への支出分析など、根拠に基づいた行政運営(EBPM)を支える判断材料となります 。
DXの本質は、自治体職員が本来注力すべき業務に専念できる環境をつくることです。 さらにデータを活用した会計事務DXは行政経営を支え、地域の生産性を高める確かな基盤となります。
会計事務DXがもたらす2つの価値
まとめ
PDFという“デジタルな紙”の先にある、貴庁にとってのDXのゴールが見えたでしょうか。本レポートが貴庁の会計事務のあり方を考えるきっかけになれば幸いです。会計事務に関するご質問やご相談も常時承ります。遠慮なくご連絡ください。


