
請求書DXが大きな成果を上げた自治体病院の事例をご紹介します。高齢化や人手不足により、地域医療を担う自治体病院の現場は切迫しています。会計事務DXによるバックオフィスのスマート化が、医療現場の充実に繋がります。会計課で請求書の入力から処理まで担っている場合が多く、その分DXによって業務負担の大幅軽減が期待できます。名寄市立総合病院の取組みは、地域医療の課題を解決する上で、大きなヒントとなり得るでしょう。自治体病院の会計業務に携わる方・本庁で自治体病院と併せてDXを推進したいご担当者様は、本記事をご参考いただけたら幸いです。
システム導入前の支払い業務の課題

少人数での対応による苦労
経理係は3名で会計業務以外にも様々な業務を担っています。支払い業務には正確さとスピードが求められ、請求書の紛失や伝票の誤入力などのミスは許されません。しかし、繁忙期にリソースを割いて対応しても病院の業績向上には直接繋がらず、むしろ、在庫管理や価格交渉などに注力したほうが収支は改善する可能性があります。システム導入で省力できる業務はデジタル化し、経営改善に向けた取り組みを強化したいと思っていました。
また、地方公共団体の会計制度は単式簿記が一般的ですが、病院は複式簿記を採用しています。数年おきの人事異動の度に、新任者がすぐに業務を把握するのは困難です。システム導入で仕訳の精度を高めるなど、効率の良い運営を考えていかねばならないと感じていました。
85kgの紙帳票との闘い
物品購入などで所定の手続きをした支払伝票は年間約4,000~5,000枚、請求書や明細も併せると年間約2万枚に上ります。保管用ファイルに綴じた状態で重さを量ると、約85kgもありました。月締めの請求書は1事業者の明細だけでも最大で数十枚になり、少人数では明細の全てを手入力できないため、伝票には合計金額と最低限の情報のみ入力し、詳細は糊付けした紙の請求書で確認していました。過去の取引の詳細を確認したい場合は、書庫で紙のファイルから探さねばなりません。
月末には全ての帳票類を衣装ケース2箱に詰めて、審査を担う市長部局へ車で運んでいました。相当な重量のため1人での運搬は難しく、腰を痛めるリスクもありました。
システムを選んだ際のポイント
システム導入に期待する要件 |
〈BtoBプラットフォーム 請求書〉を選んだ理由 |
|
---|---|---|
請求書だけでなく、従来は紙で回していた稟議・承認フローもペーパーレス化して、本当の効率化に繋げたい。 | 財務会計システムなど他システムとの連携が可能。CSVなどでデータ出力ができて、費用対効果が高い。 | |
請求書の記載が間違っていた場合、電話で確認後に再度郵送してもらうタイムロスをなくしたい。 | 差戻し行為も画面上で完結でき、時間的な余裕が生まれる。 | |
新任者でも把握できて支払業務が担えるように、仕訳の精度を高めたい。 | 機械学習機能があり、一度入力すれば以降の勘定科目が自動選択されるので、仕訳の精度が高められる。 |
名寄市立総合病院の電子請求書フロー
電子請求書
アップロード
会計データ
ダウンロード
データ連携
会計データ
(CSVファイル)

伝票発行
決裁
支払い処理
…
導入後の効果

定期的に取引のある事業者の6割が〈BtoBプラットフォーム 請求書〉で請求書を発行しています。残りの4割は、既に別のシステムを利用していたり、パソコンに慣れていなかったりで導入が難しい事業者です。
それでも、4割の紙請求書を別途電子保存することで、前述の課題を全て解決し、毎月の衣装ケース運びの重作業からも解放されました。紙の量が減り、年間の重量は85kgから37kgと、48kgも軽くなりました。重量が半分以下なので枚数に換算すると、8,000枚ぐらいまで減った試算です。
現在は〈BtoBプラットフォーム 請求書〉で受け取った請求データをCSVでダウンロードし、財務会計システムへ連携しています。明細までデータ化されて検索性は大いに向上しました。
名寄市立総合病院様からのコメント
人口減に伴うサービスの縮小は行政が抱える課題です。そんな中でも医療は提供できる体制を構築し続けないといけません。できるうちにバックオフィス業務をスマート化させ、少人数でも負担なく対応可能な体制を築きたいです。組織運営に必要な事務は、別々に動いているようでもどこかで繋がっています。
請求書業務以外のデジタル化、スマート化も前提とした業務の構成も考えていきたいですし、〈BtoBプラットフォーム 請求書〉はその実現に向けた、効果的なツールだと期待しています。
本記事はダイジェスト版となります。是非、インタビュー全文もご一読ください。