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飲食店の利益率を上げる「1%」へのこだわり。多店舗展開に必要な棚卸し術

2018/07/06
飲食店経営を成功させるには、おいしい料理や良い接客サービスを提供する以外にも、さまざまな要素が必要です。感覚頼みではなく、正確な数字によるロジカルな経営判断も、カギを握る要素の一つになります。中でも「棚卸し」は、食材の在庫状況を管理し、店舗の利益を把握する重要な業務ですが、忙しさや手間を理由につい適当になりがちです。飲食店の財務に詳しい専門家は、「多店舗展開をめざす飲食店ほど正確な棚卸しをするべきだ」と指摘しています。そこで今回は、なぜ棚卸しが必要で、どう行えばよいのかを考えてみましょう。

経営判断の指針となる正しい原価率の把握

棚卸しは一般的に、月末の最終営業日の営業時間終了後に行われます。その目的は店によってさまざまで、在庫を資産として計上したり、期限切れの食材がないか確認したりするためと考える経営者もいるでしょう。 しかし、飲食店に特化した戦略財務コンサルティングサービスを提供する株式会社ビーワンフードの代表取締役 廣瀬好伸氏は、棚卸しの一番の目的は「正確な原価率の把握」にあるといいます。 「ある調査によると、飲食店はオープンから2年以内に5割が閉店するそうです。見方を変えると、1~2店舗程度の企業規模の飲食店が店舗数を増やしていこうとする段階が、成功と失敗の分かれ目ともいえます」 2店舗ほどであれば、オーナー自ら現場に立ち、売上や店の状況を見ることができます。数字を把握していなくても、感覚で経営できてしまうのです。しかし、実際は“経営できている気”になっているだけだといいます。 「飲食店の経営を車の運転にたとえるなら、メーターをまったく見ないでドライブしているようなものです。スピードメーターやガソリンメーター、それらを一切見ないで運転することがどんなに危険か、想像してみてください。スピードメーターを見ずに速度を出しすぎれば事故に遭う確率は高まりますし、ガソリンメーターを見ていないとガス欠になり車は止まってしまいます。 車が動かなくなるのが倒産だとすると、事故に遭わないようにスピードを調節し、ガソリンがなくならないようにガソリンを補給する必要があります。車の状況をメーターで把握するように、お店の経営状況を正確な数字で把握しないと、的確な判断はできません」 経営状況を把握するうえで最も重要な数字の一つが利益であり、その比率をあげることが求められます。 「利益率をあげるには、いかにコストを抑えるかが必要になりますが、家賃は固定していますし、人件費もオペレーションやサービスの質を保つため安易な調整はできません。 一番動かせるのが食材の原価で、そのコントロールには正しい原価率の把握が必要です。これは棚卸しをしていないと出せない数字なのです」 原価率の計算法
原価率=食材の使用量×単価÷売上高
食材の使用量=前月から残っていた食材+その月に仕入れた食材-月末に残っている食材>

うまくいかないのはなぜ? 棚卸しの注意点

では、実際に棚卸しを行う際、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ポイントとなるのは、「正確性」と「網羅性」です。 「在庫のカウントは統一ルールを作って正確に、かつ、できる限り細かく行うべきです。数え方は人それぞれですし、多業態展開で複数の店舗を持っている場合は共通のやり方ができない場合もあるでしょう。何をどこまで数えるのか、こだわりを持ってやらないと、数字がぶれてしまい意味をなさなくなってしまいます。ただ、やりすぎも辛いだけです。経営判断をするためであれば、0.0何%まで出す必要はありません」 規模の小さな店舗ほど原価率がぶれやすいので、より正確に細かく行う必要があるともいえます。たとえば原価に1万円のずれがあった場合、月の仕入れが100万円の店舗での比率は1%、1000万円の店舗では0.1%と、その影響は大きく変わってきます。 特に生鮮品などは相場変動が激しく単価が変わりやすいです。同じ商品で月初と月末の価格が違う場合もよくあります。棚卸しにはいくつか方法がありますが、一般的には、在庫商品の価格は最後に仕入れた際の価格をもとにする「最終仕入原価法」で計算します。 「棚卸し表をエクセルなどで作成しており、単価の更新ができていないケースも見受けられますが、これでは正確性に疑問が生じます。また、フェアなどで一時的に仕入れた原材料など、棚卸し表にない商品をどう扱うかという問題もあります」 棚卸しをなぜ行うのか、現場のスタッフや店長が理解していなければ、ただ言われるから数えているだけという状況になりがちです。必要性を理解していないと、棚卸し表にないものはカウントしないといったことが起きて網羅性が担保できなくなり、正しい計算ができなくなってしまいます。 「正確な棚卸しを行うために大事なことは、『なぜ棚卸しをするのか』を現場も含めた全員がしっかり理解し、必要なことなのだという意識を共有することです。 仕入れ単価や棚卸し表の更新といった煩雑になりがちな作業は、食材の発注システムなどITを利用して効率化するのもひとつの方法です。 仕入れがデータで管理されるので、最終仕入れ値で自動的に計算できます。現場の作業負担も軽減できますし、より正確な原価管理が可能です」

1%へのこだわりで、どんぶり勘定からの脱却を

従業員にモチベーションをもたせるために、利益率の変動を給料など評価と連動させる店舗の例もあります。 「1%の変化を誤差ととらえるか、こだわるかの違いは大きいです。飲食店の場合、本部費などをふくめた企業全体で黒字企業の利益率は4%弱くらいが平均値です。これを5%、6%にするには、原価率の改善が重要です。原価率を1%下げる、下がったら何故下げることができたか考える、この『1%へのこだわり』は非常に大事です」 そのためには、経営側も従業員に数字を報告させるだけで終わらず、情報を開示し共有することも必要になるでしょう。店舗がどれだけ利益を出しているか、あるいはどれだけ原価率が高すぎるかといった情報をオープンにすることで、スタッフも数字を意識した行動をとれるようになり、多店舗運営への展開も見えてくるのではないでしょうか。 取材協力:株式会社ビーワンフード

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