大阪市中央卸売市場を拠点に、青果の卸売業を営む株式会社山岩様。長い歴史を持つ同社では、請求書発行にかかる膨大な紙の処理と封入作業が経理部門の大きな負担となっていました。業務効率化と将来の制度対応を見据え、『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入。顧客へ電子化の依頼と丁寧な説明を重ねることで、取引先の90%以上がデジタル請求書での受取に移行しました。
サービス導入の
背景と効果
- 課題
- 月に複数ある締め日ごとに、請求書作業が膨大で残業が発生
- 手作業によるミスや封入トラブルが頻発、プレッシャーに
- 封筒や紙代などの印刷コストや郵送コストも大きな負担
- 決め手
- 長年の実績と信頼性、データ保存期間の優位性を評価
- 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が円滑に行える
- 従業員の業務負担軽減とミスの削減が期待できた
- 効果
- 発行業務が1回2~3人で1~1.5時間→1人5~10分と大幅に時間を削減
- 紙類のコスト削減に加え、従業員の精神的な負担も大きく軽減
- インボイス制度や電子帳簿保存法へのスムーズな対応が可能に
日本の果物を、関西から世界へ
御社の事業内容とこれまでの歩みについてお聞かせください。

代表取締役社長 冨上 氏
代表取締役社長 冨上 氏(以下、冨上社長):
当社は大正5(1916)年創業で、私の曽祖父の代から事業を続けています。元々は自家農園のみかんを販売することから始まり、果物専門の卸売業へと発展。現在は大阪市中央卸売市場を拠点に、関西一円の小売店に向けて青果を卸売しています。取引先はスーパーマーケット様や百貨店様、街の果物屋様など約50~70社ほどの取引があります。台湾や香港、カナダなど海外への輸出も手がけており、日本の高品質な果物を世界に届けることを目指しています。
日本の果物は海外で人気が高いそうですね。
冨上社長:
はい、海外出張のたびに「日本の果物は世界一だ」と言われます。日本の農家さんは、良い意味で“変態”と表現できるほど、技術にこだわり、果物づくりを極めているからだと思います。たとえば、シャインマスカットでは、適切な実を残し、美しく育てるために繊細な剪定を徹底します。そうした努力の積み重ねが、味、見た目、品質のすべてにおいて世界トップレベルと評価される理由です。他の果物も同様で、海外でも高く評価されています。
理想としては海外でも非常に良いものがたくさん売れて、何度もリピートされることですが、やはり現実的には適正な価格設定が重要だと考えています。私たちは「品質の良いものを、適正価格で皆様にお届けしたい」という思いを大切にしていて、不当な利益を得ることなく、適正な値段で納品し続けることを心がけています。そうすれば自然と、世界にも広がっていくと信じています。
請求書の「紙文化」による業務負荷が課題に
従来の請求業務では、どのような課題がありましたか?

経理部 係長
経理部 係長(以下、経理係長):
当社は締め日が月に何度もあり、10日、15日、20日、月末など複数回にわたり請求書を発行していました。特にスーパー様は支払いまでの期間が短く、締めるたびに即座に請求書を発行しなければなりません。月末は特に多く、請求書が200枚以上になることもありました。販売管理システムからすぐに請求書は印刷できますが、その後の封入や郵送の作業がとにかく大変で、かなりの時間と手間がかかっていたのです。
具体的な作業の流れを教えて下さい。
経理係長:
まずは伝票と請求書の金額が一致するかを、Excelで事前に伝票を合計したものと照合し、一社一社確認します。請求書を印刷したら、企業ごとに分けて封筒に入れます。その封筒は窓付きではないので、宛名を印字する必要があります。封筒の印刷は、請求業務で忙しくない手の空いたタイミングで少しずつ行っていたのですが、封入作業中に封筒が不足して急遽印刷することもあり、本来の作業が進まないこともよくありました。
封入までの作業も煩雑です。午後2時から3時頃に金額の合算確認をスタートし、請求書と照合し、印刷を開始します。その後、企業ごとに封入する際に封筒の社名と中身が一致しているかを人の目でダブルチェックしてから切手を貼り、郵便局に持ち込むのは夕方5時頃でした。
担当従業員は、私を含めて5人いますが、月末は他の業務を終えた後に請求書作業に取りかかるので、実際に携われるのは2、3人。月に少なくとも4回は印刷から封入の作業を繰り返していたため、業務負担の大きさが課題でした。A4サイズの紙も、月末だけで約300枚消費しており、封筒などを含めれば紙類にかかるコストはかなりのものです。時間に追われるなかで、ミスへのプレッシャーを感じながらの作業も負担でした。
電子化に踏み切るきっかけは何だったのでしょうか?
冨上社長:
社内で「業務負担の大きい業務から効率化しよう」となったとき、真っ先に挙がったのが請求書でした。封入作業や郵送費用など、目に見えるコストも多かった上に、大掛かりなシステム導入が不要で、すぐに取り組めるのもポイントでした。いくつかのサービスを検討しましたが、数年間データ保存が可能なサービスはインフォマート社以外にはあまりなかったので、『BtoBプラットフォーム 請求書』に決めました。
実は導入前の試算では、デジタル化によってトータルのコストが大きく下がるわけではなかったんです。それでも、業務効率化や作業ミスの防止というメリットが、目に見える効果を上回るだろうと考えてシステム化に踏み切りました。結果的に想定よりも大きくコストを減らせたので、今では導入して本当によかったと思っています。
お客様への導入説明やサポートで工夫した点はありますか?
冨上社長:
取引先それぞれに対して、一社ずつ丁寧に根気強く説明を続けました。電子化を推進する担当者、いわば「電子化のプロ」を社内に配置し、その人材が徹底的にフォローを行ったのがよかったと思います。「しっかりと説明し、責任を持って最後まで理解していただけるよう努めますので、何とかご協力ください」とお願いをしました。その結果、現在では90%以上の取引先に電子請求書で受け取っていただいています。
経理係長:
導入時にはログインIDを記載した書類を請求書に同封して、何度か送りました。いただいたお問い合わせには、一社一社、電話で丁寧に説明しました。皆さん前向きに受け入れてくださることが多かったです。社会全体の流れとしても、インボイス制度や電子帳簿保存法の影響もあり、後押しになりました。
郵送コストは大幅削減、残業時間も減ってゆとりが生まれた
導入の効果はいかがですか?
経理係長:
請求金額の確認作業は電子化後も変わらず、Excelで事前に伝票を合算し、販売管理システムの金額と照合しています。ここはミスが許されないため、従来通り丁寧に確認しています。
しかし、入金確認後、ボタンを押して請求書を発行する段階から大きく変わりました。以前は印刷後に封入作業があり、2〜3人がかりで1~1.5時間かかっていましたが、今は担当1人で請求書データをアップロード、確認後送信と、要する時間は5〜10分です。封筒や紙など消耗品の購入頻度も減りました。人件費の削減は言うまでもありません。
同僚からもミスを誘発する作業そのものがなくなり「精神的に非常に楽になった」という声も多く聞かれます。以前は5日、15日など、月に複数回の締め日は休暇を取れない雰囲気がありましたが、それもなくなりました。
電子化によって浮いた時間は、スーパー様ごとのWeb入力業務に充てています。この作業は、各スーパー様の専用サイトに納品内容を入力するものです。今まではこれが後回しになることもありましたが、請求書の電子化によって業務負担が軽減されたおかげで、この入力作業にも余裕をもって取り組めるようになりました。
今後の展望を教えて下さい。
経理係長:
現在、約90%の取引先が電子請求書に切り替わっています。新規取引先は電子化前提で進めていますので、新規取引が増えるにつれて、対応率はさらに上がっていくでしょう。業界全体が従来の慣習から抜け出せずにいる部分も多いですが、こうした取り組みが少しでも刺激になればと思っています。
※掲載内容は取材当時の情報です。
ご利用サービス
BtoBプラットフォーム 請求書 - 請求書の受取・発行どちらも電子化
株式会社山岩
創業:1916年
事業内容:卸売業
企業サイト:https://yamaiwa.co.jp/