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会計処理に欠かせない減価償却!関連用語やその対象、特例などをわかりやすく解説

減価償却の仕組みは複雑なため、わかりにくい・知らない点がある人も多いと考えられます。ここで改めて減価償却について、振り返ってみてはいかがでしょう。この記事では減価償却をおこなう理由、メリットや関連用語、該当する資産と該当しない資産、中古資産や特例などから、「減価償却」について見ていきます。

会計処理に欠かせない減価償却!関連用語やその対象、特例などをわかりやすく解説

最終更新日:2022年03月09日

目次

減価償却とは?

減価償却とは、固定資産の費用を定められた年数に従って分割し、経費に計上していく会計処理のこと。つまり減価償却に該当する資産は、一括で経費に計上できません。なお減価償却は「時間の経過とともに資産価値は減っていく」という考え方にもとづいています。

どうして減価償却をするのか

どうして減価償却をするのでしょうか。それは時間の経過とともに資産を費用計上して、経営の状態をより正しく伝えるためです。

たとえば年商1億円の町工場が1,500万円の機械を購入したとします。もしその年に1,500万円を一括で経費として計上したらどうなるでしょう。その年は大幅な赤字決算になってしまう可能性があります。もし反対に翌年の年商が変わらなかったとしても大幅な黒字決算となって、経営の本当の姿が見えなくなってしまうのです。

そこで機械の耐用年数に従って購入費用を分割し、経費に計上していく会計処理を行います。

減価償却はいつ行うのか

減価償却は「対象となる資産を事業のために使い始めた」ときから行います。買った日や支払った日に行うわけではない点に注意しましょう。

減価償却をするメリット

減価償却は、定められた法定耐用年数に沿って行います。つまり何年かにわけて費用を計上することで利益を圧縮できるため、法人税を抑えられるのです。

減価償却に関する用語

減価償却には、いくつか関連用語があります。減価償却に関する用語を4つ見ていきましょう。

減価償却に関する用語①耐用年数

耐用年数とは資産を使える期間のことで、年数は税法で定められており、種別ごとに決まっています。いくつかの資産とその耐用年数を見ていくと下記のようになります。

・木造や合成樹脂でできた事務所用の建物:24年

・金属でできた日よけの設備:15年

・運送事業に使われる総排気量が3リットル以上の大型乗用車:5年

・サーバー用ではないパソコン:4年

・看板:3年

・手提げ金庫:5年

減価償却に関する用語②取得価額

取得価額とは、減価償却の対象資産を入手するために支払ったお金のことで、物の費用だけではなく、買ったときの手数料や運送にかかった保険料なども含まれます。なお「買った」以外の状況における取得価額は、下記のようになります。

交換や贈与で手に入れた場合:手に入れた費用と事業に使うためにかかった費用も含まれる

自分たちで建設した建物:材料や事業に使うためにかかった費用なども含まれる

減価償却に関する用語③残存簿価

残存簿価とは、定められた耐用年数がすべて経過したあとに残る資産価値のこと。以前は取得価額の10%が残存簿価として扱われていました。しかし平成19年度に行われた税制改正で残存簿価を残す必要はなくなり、下記の額まで減価償却が可能になったのです。

無形資産や坑道の場合:全額

それ以外の場合:1円

なぜ1円を残すかというと、「資産がまだある」と帳簿で明らかにするためです。

減価償却に関する用語④未償却残高

未償却残高とは、帳簿に残っている「減価償却が終わっていない残高」のことです。

減価償却の対象になる資産と対象にならない資産

減価償却はどういった資産が対象になるのでしょうか。ここでは減価償却に該当する資産と該当しない資産について見ていきます。

減価償却の対象資産:建物や設備、機械車両やソフトウェア、商標権や樹木

該当するのは「時間の経過で価値が下がる」と考えられる資産です。また棚卸資産や建設中の資産も該当します。棚卸資産は売上原価として計上され、建設中の資産は完成のち使ってから対象となるからです。

減価償却の対象にならない資産:骨董品や美術品、土地や白金製の溶鉱炉など

「時間の経過で価値は下がらない」と考えられたり、価額の多くが貴金属となったりする資産が該当します。

中古資産の場合、どう減価償却するのだろうか

前述のとおり、耐用年数はあくまで新品に適用されます。では中古資産の場合、どう減価償却するのでしょう。中古資産の場合、「簡便法」と呼ばれる計算式によって導き出された耐用年数で減価償却を行うのです。その例を見ていくと下記のようになります。

・一部だけ、耐用年数を消化

「法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%」で耐用年数を計算して減価償却します。

・すべて耐用年数を消化

「法定耐用年数×20%」で耐用年数を計算して減価償却します。

なお「1年未満の端数がある」場合、どちらも端数を切り捨てるのです。もし2年にならない場合は、「2年」で減価償却します。

30万円未満の資産に適用される「減価償却の特例」

減価償却の特例とは、30万円未満の取得価額となる資産を事業に使った場合、300万円を限度にすべて損金算入できる仕組みのこと。こうした30万円未満の取得価額となる資産を「少額減価償却資産」と呼びます。

減価償却の特例対象者

減価償却の特例対象者は、「使用する従業員がつねに1,000人以下の個人事業主」もしくは「出資金または資本金が1億円以下の法人」。ただし「つねに使用する従業員が500人を超える」「適用したい年度の平均所得金額が年15億円以上」といった法人には、特例が適用されません。

減価償却の特例対象となる資産

減価償却の特例対象は前述のとおり30万円未満の取得価額となる資産で、新品・中古どちらも対象となります。消費税は会計処理を「税込みで行っているか」「税抜きで行っているか」によって、判定が変わるのです。なお免税事業者における消費税の判定は、「税込みで30万円未満かどうか」となります。

減価償却の特例における金額の上限

「事業年度のなかで買った少額減価償却資産」かつ「それらをすべて合わせた金額の300万円まで」が上限です。また事業の年度が1年にならない場合、「300万円÷12」で出た数値を事業年度の月数と掛けて計算し、上限額を決めます。

金額ごとに見る減価償却の特例

金額ごとに減価償却の特例は変わります。

・30万円未満:前述のとおり要件を満たせば300万円まですべて損金算入できる

・20万円未満:取得価額のすべてもしくは一部を3年間で減価償却できる

・10万円未満:取得価額のすべてを損金算入できる

減価償却の計算方法は2つ

減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2つです。

1. 定額法:原則、毎年同じ額を償却していく計算方法のことで計算式は「取得価額×(償却率)」。償却率は耐用年数によって変わる

2. 定率法:最初の年に最も多く、以降は償却額が少なくなっていく計算方法のこと。計算式は「未償却残高×定率法の償却率」でこれを「調整前償却額」と呼ぶ。償却率は耐用年数によって変わる

減価償却が理解できれば、正確な利益の計算や経営状況の把握が可能になる

減価償却とは、固定資産の費用を定められた年数に従って分割し、経費に計上していく会計処理のこと。「時間の経過とともに資産価値は減っていく」という考え方にもとづいています。そのため骨董品や美術品といった「時間の経過で価値は下がらない」と思われる資産は減価償却できません。

なお耐用年数の対象は新品の資産です。よって中古の資産では、「簡便法」と呼ばれる計算式を使って出た耐用年数をもとに減価償却を行います。ただし減価償却の特例(30万円未満の取得価額となる資産を事業に使った場合、300万円を限度に損金算入できる仕組み)では、新品・中古どちらも対象です。

減価償却は一見複雑に見えるでしょう。しかし「自社が持つ資産のうちどれが対象なのか」「それの耐用年数は何年なのか」しっかり確認すれば、式に当てはめて計算できるのです。また減価償却は何年かにわけて行っていくため、法人税を抑えられるうえ、正確な利益の計算や経営状況の把握も可能になります。

メリットを多く得るためにも今一度減価償却についておさらいしてみてはいかがでしょう。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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