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インボイス制度の経過措置はいつまで?仕入税額控除の計算方法を解説

インボイス制度の経過措置はいつまで?仕入税額控除の計算方法を解説

最終更新日:2024年11月5日

2023年10月1日から、インボイス制度がスタートしました。これによって、消費税の納税額を計算する際の、仕入税額控除の扱いが変更されています。
さらに、2029年9月30日までは経過措置が設けられているため、該当の期間中は、従来のやり方とも経過措置終了後のやり方とも、異なる方法で消費税の処理を行わなければなりません。

そこで今回は、インボイス制度の仕入税額控除の経過措置期間中の仕入税額控除の扱い方や、計算方法と仕訳方法のほか、インボイス制度の導入にかかる負担を軽減するための支援措置などについて解説します。

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目次

インボイス制度の経過措置は2029年9月30日まで

インボイス制度導入以降、免税事業者からの仕入れが税額控除の対象外となりました。それに合わせて、2029年9月30日までは仕入税額控除の経過措置が設けられており、この期間内は一定の記載事項を満たした請求書の受け取りと帳簿の保存を行えば、インボイスがなくても一定割合の税額控除を受けられます。

具体的には、2023年10月1日~2026年9月30日は仕入税の80%、2026年10月1日~2029年9月30日は50%の仕入税額控除が可能です。
 
インボイスの経過措置の計算方法は、課税仕入消費税額が10%の場合と8%の場合で異なるため、詳しくは後述します。

仕入税額控除の経過措置期間と控除の割合

仕入税額控除の経過措置期間と控除割合は、2段階で設定されています。経過措置を受けられる期間と割合は下記のとおりです。
 
<仕入税額控除の経過措置を受けられる期間と割合>
・2023年10月1日~2026年9月30日:80%
・2026年10月1日~2029年9月30日:50%
 

出典:国税庁「適格請求書保存方式(インボイス制度)の手引き 2022
 
インボイス制度導入前は、すべての事業者からの仕入について100%の仕入税額控除が可能でした。ところが、インボイス制度導入後は、原則としてインボイスのない仕入の仕入税額控除は認められなくなります。
 
しかし、いきなり仕入税額控除を全額廃止するのは事業者にとって負担が大きいことから、インボイスのない仕入れに対する経過措置が設けられました。これにより、インボイス以外の請求書であっても、2023年10月から3年間は80%、2026年10月1日からの3年間は50%の仕入税額控除が認められます。
例えば、従来100万円の仕入税額控除が可能だった免税事業者からの仕入れについて、2026年9月30日までは80%の80万円、2026年10月1日~2029年9月30日は50%の50万円仕入税額控除が可能です。
 
この経過措置が設けられたことで、課税事業者は免税事業者との取引によって被る税負担を軽減できます。
また、免税事業者も、取引上不利になるリスクを、ある程度抑えられるでしょう。免税事業者は、経過措置のあいだに課税事業者になるかどうかを検討したり、取引上の強みを見つけたりといった対策をとることになります。

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仕入税額控除に関する経過装置の対象者と必要な要件

仕入税額控除に関する経過措置の対象者は、「適格請求書発行事業者以外の事業者と課税取引をしている課税事業者」です。それ以外の事業者については、経過措置を利用する必要がありません。
 
また、簡易課税制度や後述する2割特例を利用している事業者も、仕入税額控除の計算を行わないため経過措置の対象外です。
 
仕入税額控除の経過措置を利用するためには、仕入先から受け取る請求書に関する要件と、自社で作成する帳簿に関する要件の2つを満たさなければなりません。要件を満たすためには、仕入先の協力を得る必要もあるため、注意が必要です。

請求書に関する要件と帳簿に関する要件は、下記のとおりです。

請求書に関する要件

仕入税額控除に関する経過措置を利用する場合は、規定の項目を満たす請求書を仕入先に発行してもらわなければなりません。取引先からの請求書に下記の項目が記載されているかどうかを確認し、不足している場合は、請求書フォーマットの変更を依頼しましょう。
 
<仕入税額控除の経過措置を利用するために請求書に必要な項目>
・発行者の名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象の場合はその旨を記載)
・税率ごとに合計した税抜または税込の取引金額
・請求書等の宛先
 
請求書の記載例


ただし、取引が軽減税率の対象である旨と、税率ごとに合計した税込取引金額について記載がない場合は、売り手の確認を前提に請求書を受け取った側による追記が認められています。
 
とはいえ、一つひとつの請求書に追記を行うのは大きな負担になります。そのため、取引先に協力を求めるのがおすすめです。
 
なお、受け取った請求書は、必ず保存しておかなければなりません。請求書の保存は、仕入税額控除を受けるための要件のひとつのため、誤って請求書を処分しないよう注意が必要です。
 
出典:国税庁軽減税率・インボイス制度対応室「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A

帳簿に関する要件

仕入税額控除に関する経過措置を利用する場合、請求書と同様に帳簿の記載項目にも指定があります。インボイス以外の請求書を受け取った際は、下記の項目を帳簿に記載してください。
 
<仕入税額控除の経過措置を利用するために帳簿に必要な項目>
・課税仕入れを行った取引先の名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象である場合はその旨を記載)
・経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
・課税仕入れの取引金額

 
「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」については、「80%控除対象」や「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、※印を記載しておき、別途「※は80%控除対象」といった注釈を入れる方法でも対応可能です。
 
■帳簿の記載例


なお、帳簿についても、請求書と同様に保存が義務付けられています。


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経過措置期間中の課税仕入れの計算方法


仕入税額控除の経過措置の期間は、課税仕入れの計算方法に注意が必要です。経過措置の対象となる免税事業者から仕入れを行った場合の具体的な計算方法について、具体例を挙げながら解説します。
 
そもそも、課税仕入れの仕入税額の計算は、積上げ計算が原則です。ただし、売上税額を割戻し計算している事業者は、仕入税額も割戻し計算で計算できます。どちらを選択することもできますが、計算方法は統一しなければいけません。
 
ここでは、割戻し計算を行う場合の計算方法について紹介します。なお、消費税は国税と地方税に分けられますが、ここでは国税について解説します。

課税仕入れの消費税額が10%の場合

課税仕入れの消費税額が10%の場合、うち国税は7.8%、地方消費税が2.2%です。よって、課税仕入れにかかる消費税額は下記の計算式で求めます。
 
 <課税仕入れの消費税額が10%の場合の計算方法>
 仕入税額=税込の課税仕入額×7.8÷110
 
 例えば、免税事業者からの税込課税仕入額が1,100万円だった場合の仕入税額は、1,100万円×7.8÷110=78万円となります。
 
 また上記の取引が、2023年10月1日から2026年9月30日までの間だった場合、80%の仕入税額控除が受けられます。この場合の仕入税額控除の額は、78万円×80%=62万4,000円です。なお、1円未満の端数が出たときは、切り捨てとなります。
 
 一方、取引が2026年10月1日から2029年9月30日までだった場合は50%が仕入税額控除の対象となります。この場合の仕入税額控除の額は、78万円×50%=39万円です。
 
 なお、適格請求書発行事業者との取引と免税事業者との取引の両方がある場合、適格請求書発行事業者に支払った仕入税額は全額が仕入税額控除の対象になります。経過措置の対象になるのは、あくまでも免税事業者からの課税仕入れのみです。

課税仕入れの消費税額が8%の場合

課税仕入れの消費税額が8%だった場合は、国税が6.24%、地方消費税が1.76%です。国税の仕入税額の計算方法は下記のとおりです。
 
<課税仕入れの消費税額が8%の場合の計算方法>
仕入税額=税込の課税仕入額×6.24÷108
 
例えば、免税事業者からの税込課税仕入額が1,080万円だった場合の仕入税額は、1,080万円×6.24÷108=62万4,000円となります。
 
こちらも、取引が2023年10月1日から2026年9月30日までの間だった場合は80%、2026年10月1日から2029年9月30日までだったときは50%が仕入税額控除の対象となります。仕入税額控除の対象が80%となる期間であれば62万4,000円×80%=49万9,200円、仕入税額控除の対象が50%となる期間であれば62万4,000円×50%=31万2,000円が仕入税額控除の額です。

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仕入税額控除の経過措置の仕訳方法

仕入税額控除の経過措置の期間に免税事業者などから課税仕入れを行う場合、支払った消費税額の80%または50%が仕入税額控除の対象となり、残りの20%または50%は対象になりません。対象にならない部分の消費税額の仕訳方法を検討しておく必要があります。
 
経過措置期間中の仕訳として考えられる処理方法は、2種類あります。ひとつは仕入税額控除の対象にならない部分を該当費用に上乗せする方法、もうひとつは雑損失など別の勘定科目で処理する方法です。

ここでは、それぞれの方法について、具体例を挙げながら解説します。

該当費用に上乗せする場合

仕入税額控除の対象にならない金額を該当費用に上乗せするときは、仕訳の時点で仕入税額控除の額とそれ以外を区別して記帳します。
 
1万1,000円の商品を免税事業者から仕入れ、80%控除対象の経過措置を利用する場合の、実際の仕訳例を見てみましょう。
 
従来の仕訳例
借方 貸方
仕入れ 10,000 現金 11,000
仮払消費税 1,000
 
該当費用に上乗せする場合の仕訳例
借方 貸方
仕入れ 10,200 現金 11,000
仮払消費税 800
 
実際の消費税額は1,000円ですが、このうち仕入税額控除の対象になる分のみを仮払消費税として計上します。一方、仕入税額控除の対象にならない200円については、仕入額の一部として処理します。
 
この方法では、取引のたびに個別に仕入税額控除の対象になる消費税と対象にならない消費税を分けて計上しなければなりません。仕入税額控除の対象になる金額がわかりやすい一方で、仕訳に一定の手間がかかります。ただし、会計ソフトなどを使用することで、手間なく計算することも可能です。
 
決算時には、従来どおり仮受消費税と仮払消費税の合計を相殺し、未払消費税の計上を行います。
仮払消費税が800円、仮受消費税が2,000円だった場合の仕訳方法は、下記のとおりです。
 
決算時の仕訳例
借方 貸方
仮受消費税 2,000 仮払消費税 800
未払消費税等 1,200
 
なお、実際の決算時の仕訳では、年間の仮受消費税と仮払消費税を合計した金額と消費税の納税額をもとに計算を行います。

雑損失で処理する場合

仕入時に、従来と同じ仕訳方法をとりたい場合は、仕入税額控除にならない部分の金額を雑損失などで計上しましょう。この方法は、仕訳の時点では仕入税額控除の対象にならない金額も仮払消費税として処理するため、決算時まで実際の状況が見えにくいという難点があります。しかし、個別の計算が必要なく、ミスを防ぎやすいのが大きなメリットです。
 
雑損失で処理する場合の仕訳例は、下記のとおりです。
 
仕訳例(従来と同様)
借方 貸方
仕入れ 10,000 現金 11,000
仮払消費税 1,000
 
仕入時の仕訳方法は、インボイス導入前と変わりません。ただし、該当の取引が80%税額控除の対象であることがわかるようにしておかなければなりません。
決算時に正しい仕訳を行うために、インボイスのある取引と区別できるようにしておく必要があります。
 
その上で、決算時に雑損失として仕入税額控除の対象にならない20%分の仕訳を行います。
 
決算時の仕訳例
借方 貸方
雑損失 200 仮払消費税 200




 
これによって、仮払消費税が800円、雑損失が200円、仕入が10,000円という処理が完了します。
その後は、仮受消費税との差額を未払消費税等として計上し、納付してください。この流れは、該当費用に上乗せする場合と変わりません。
 
決算時の仕訳例
借方 貸方
仮受消費税 2,000 仮払消費税 800
未払消費税等 1,200

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仕入税額控除や売上税額の計算方法を具体例で解説

続いては、実際の仕入税額控除や売上税額の計算方法について、具体例をもとに解説します。ここでは、事業者Aが、課税事業者である顧客Bと取引をした場合を例に考えてみましょう。
 
事業者Aは、課税事業者の顧客Bに対して3万円の商品を販売しました。請求額は、本体価格3万円と消費税額3,000円の合計3万3,000円です。
 
事業者Aが免税事業者だった場合と、課税事業者だった場合の消費税額の違いは下記のとおりです。

事業者Aが適格請求書発行事業者に登録せず、仕入税額控除ができない場合の消費税額


まずは、事業者Aが免税事業者で、適格請求書発行事業者ではない場合について考えてみましょう。事業者Aは免税事業者のため、顧客Bとの取引で発生した金額すべてを売上として計上可能です。そのため、消費税の納税額は0円で、3万3,000円の全額が売上高になります。
 
一方、顧客Bは課税事業者です。事業者Aからインボイスがもらえないと、代金と合わせて支払った消費税額3,000円が仕入税額控除の対象になりません。

ただし、経過期間中は80%または50%の仕入税額控除が可能です。80%仕入税額控除の対象だとすると、3,000円×80%=2,400円、50%の場合は3,000円×50%=1,500円の仕入税額控除が受けられます。
 
仮に、2024年12月に顧客Bが購入した商品の課税売上高にかかる消費税額が1万円だった場合、1万円-2,400円=7,600円の消費税を納めることになります。

事業者Aが適格請求書発行事業者に登録した場合の消費税額

事業者Aが課税事業者として適格請求書発行事業者の登録を行った場合、免税事業者だったときと比べて、事業者Aと顧客Bの納める消費税額が変わります。それぞれが納めることになる消費税額は下記のとおりです。
 
・事業者Aの支払う消費税額
事業者Aは課税事業者になるため、消費税を納税しなければなりません。課税売上高にかかる消費税額が3,000円、仕入税額控除の額が2,000円だとすると、納税額は3,000円-2,000円=1,000円になります。
なお、事業者Aの仕入先が免税事業者の場合は、事業者Aも経過措置を利用することになります。
 
・顧客Bの支払う消費税額
事業者Aが適格請求書発行事業者になりインボイスを発行した場合、事業者Aから受け取ったインボイスをもとに、事業者Aに支払った消費税を仕入税額控除として自身の納税額から差し引くことができます。

仮に、課税売上高にかかる消費税額が1万円で、仕入税額控除の額が3,000円だとすると、顧客Bは1万円-3,000円=7,000円の消費税を納税します。事業者Aが免税事業者の場合に比べ、納税額が600円少なくなりました。
 

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簡易課税制度を選んだ場合はどうなる?

課税事業者になった場合、本則課税しか選べないのでしょうか。実は簡易課税制度という方法も選ぶことができます。簡易課税制度を選ぶと、下記のように計算式が変わります。
 
課税制度ごとの消費税額の計算式
本則課税 売上税額-仕入税額
簡易課税 売上税額-仕入税額(売上税額×みなし仕入率)
 
一見、複雑になったと感じるかもしれません。しかし簡易課税では、売上税額と自分の事業区分がわかれば、仕入税額が導き出せるため、納める消費税額もかんたんに計算できます。買い手としてのインボイスの保存も不要です。
 
また、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になり、前々(事業)年度の課税売上が1,000万円以下の事業者は、2割特例の対象となります。2割特例とは、税負担を「売上税額×20%」に軽減できる措置のことです。2割特例の対象期間は2023年10月1日から2026年9月30日を含む課税期間で、事前の届出は不要です。また、消費税の申告の際には申告書に2割特例を適用した旨を追記する必要があります。

簡易課税制度に関係する「みなし仕入率」とは?

簡易課税制度を選択した場合、年間の課税売上高に対して、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を乗じることで消費税の金額を計算します。
みなし仕入率は、事業区分によって下記のように変わります。
 
事業区分ごとのみなし仕入率
事業区分 事業 みなし仕入れ率
第一種 卸売業 90%
第二種 小売業、農林漁業(飲食料品) 80%
第三種 製造業、農林漁業(飲食料品除く)等 70%
第四種 その他事業(飲食店業等) 60%
第五種 サービス業等 50%
第六種 不動産業 40%

みなし仕入率を使った納める消費税額の計算例

例えば、前述の製造業者は製造業に当たるため、みなし仕入率は70%になります。
 
よって例えば、売上税額が1,000円だった場合、「1,000×70%」で仕入税額は700円。売上税額は1,000円なので仕入税額の700円を差し引くと、納める消費税額は300円になるのです。

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インボイス制度の負担を軽減できる支援措置

課税仕入れの消費税額が8%だった場合は、国税が6.24%、地方消費税が1.76%です。国税の仕入税額の計算方法は以下のとおりです。

<課税仕入れの消費税額が8%の場合の計算方法>

ここまで、免税事業者や適格請求書発行事業者への登録を行っていない事業者の経過措置について解説してきました。インボイス制度への対応は義務ではありませんが、課税事業者や適格請求書発行事業者と取引を行っている場合、インボイスを発行できないことで不利になる可能性があります。
 
まだ適格請求書発行事業者の登録を行っていない事業者は、経過措置の期間内に登録を行うかを決める必要があるでしょう。
 
インボイス制度の導入には、仕入税額控除の経過措置以外にも事業者の負担を軽減する、さまざまな支援措置が用意されています。ここでは、6つの支援措置の概要を解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、会計システムや受発注システムなどを導入する際に利用できる補助金です。「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」という枠が用意されており、インボイス制度に対応したソフトウェアやハードウェアが補助対象に組み込まれています。
 
※IT導入補助金の詳細については「IT導入補助金2024とは?インボイス対応の費用補助や申請方法を解説」をご覧ください。

2割特例

2割特例は、2026年9月30日までに、免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合、消費税の納税額計算において、課税売上高にかかる消費税額の8割を特別控除して納税額を求められる制度です。本制度は、2023年末までに適格請求書発行事業者への登録を行った事業者が対象となります。
 
参考:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要

少額特例

少額特例は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスがなくても仕入税額控除を認める制度です。課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象となります。2023年10月1日から2029年9月30日まで適用され、事務負担の軽減を目的としています。
 
参考:国税庁「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要

少額な返還インボイスの交付義務免除

インボイスを発行した取引で値引きや返金があった場合、通常は返還インボイスの発行が必要です。しかし、1万円未満の少額な値引きや返品については返還インボイスが不要です。
 
この制度は、すべての事業者が期間の定めなく利用できます。
 
参考:国税庁「少額な返還インボイスの交付義務免除の概要

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する制度です。持続的な経営に向けた経営計画にもとづく事業に対し、上限50万円を補助します。
 
さらに、インボイス制度対応のために「インボイス特例」が設けられており、通常の補助金額に加えて上乗せ措置が適用される場合もあります。
 
参考:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等がサービス開発や試作品開発・生産プロセスの改善などに対応するための設備投資等を支援する制度です。
 
本制度では、インボイス制度導入に伴うシステム改修や新規導入などの取り組みが補助対象となります。
 
参考:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト

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インボイス制度の経過措置にある計算方法と割合を覚えておきましょう

インボイス制度が導入されても、2029年9月30日まで段階的に経過措置が設けられます。適格請求書発行事業者になるかどうか迷う場合、経過措置の割合を見ながら考えてもよいでしょう。また、インボイス制度における仕入税額控除の計算方法も、「本則課税」だけでなく「簡易課税」があり、好きなほうから選べます。
 
 株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応。制度変更によってわからない点があっても、請求書の発行や管理を安心して進められます。適切かつ迅速な経理業務を目指すためにも、請求書管理システムの導入を検討してみましょう。

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よくある質問

Q. インボイスの経過措置とは?

インボイスの経過措置とは、2029年9月30日まで一定の仕入税額控除が認められる経過措置のことで、経過措置期間中は、インボイスがなくても一定の仕入税額控除が認められます。この経過措置は、免税事業者と取引を行う課税事業者の急激な負担を避けるために設けられたものです。
 
詳しくは「インボイス制度の経過措置は2029年9月30日まで」をご確認ください
 
Q. インボイスの経過措置の計算方法は?
 
課税仕入消費税額が10%の場合、仕入税額は「税込の課税仕入額×7.8÷110」で求めることができ、この取引が80%の仕入税額控除期間であった場合は「仕入税額×80%」が仕入税額控除金額となります。
 
 詳しくは「経過措置期間中の課税仕入れの計算方法」をご確認ください
 
Q. インボイスの経過措置の80%はいつまでですか?
 
インボイスの経過措置期間のうち、2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入税の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%を仕入税額控除の対象にできます。そして、2029年10月1日以降は仕入税額控除ができなくなります。
 
 詳しくは「仕入税額控除の経過措置期間と控除の割合」をご確認ください


監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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『BtoBプラットフォーム 請求書』
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