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税込表示の義務化とは何?理由や表示の方法などを知ろう

2021年4月から税込表示が義務化されました。なぜ税込表示が義務化されたのでしょう。またその対象は何で、どのように価格を税込表示すればよいのでしょうか。経理にも深くかかわる税込表示について、消費税や仕入税額控除、インボイス制度などとともに解説します。

税込表示の義務化とは何?理由や表示の方法などを知ろう

最終更新日:2022年10月13日

目次

税込表示の義務化

2021年4月から始まった税込表示の義務化は、正確には「総額表示の義務付け」と呼びます。義務化の対象は、消費者に向けて事業者が表示する価格で、「口頭で伝える以外」のものです。よって価格が表示されていないときは、義務付けの対象になりません。

なお「口頭で伝える以外」についてはたとえば店頭やWebサイト上での表示、テレビやチラシでの広告など表示媒体を問わないとされています。

税込表示が義務化された理由

なぜ税込表示が義務化されたのでしょう。まずその理由についてみていきます。

・2014年:8%

・2019年:10%(新聞や飲食料品といった一部の品物は8%)

と消費税が増税された際、「消費税転嫁対策特別措置法」により特例が設けられました。

内容は「消費税の総額表示義務について、表示する価格がその時点における税込価格であると誤認されないための措置を講じている場合に限り、税込価格を表示することを要しないための必要な法制上の措置を講じる。」というものです。引用元:(消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための 消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法及びガイドライン等について|消費者庁)

またこれは2013年10月1日から施行し、2021年3月31日限りでその効力を失う期間限定の法律となります。よって2021年3月31日で特例が終わり、2021年4月から税込表示の義務化が施行されたのです。

税込表示する媒体は?

「口頭で伝える以外」の表示媒体について、店頭やWebでの表示、テレビやチラシでの広告などを問わない、とお伝えしました。ここでは媒体ごとにもう少し細かく税込表示をみていきます。

インターネットを用いた商品の販売やサービスの提供

インターネット上で商品の販売やサービスの提供をする場合、どうなるのでしょう。

この場合も、税込の表示が必要となります。こうした媒体は、不特定多数の人に商品やサービスをアピールしながら販売や提供ができるからです。たとえば、下記のようになります。

・ECサイトで商品を販売する際:価格は税込表記

・電子メールで宣伝:電子メールでキャンペーンやイベント、商品といった何らかの宣伝をする際も、税込表示が必要

・見積もり例の表示:見積書は総額表示義務の対象外ですが、サイト上で見積もりの例を表示している場合は、価格は税込表記にする

店舗での掲示や値札

店舗では掲示や値札によって、商品やサービスの紹介、キャンペーンやイベントの告知を行います。これらは不特定多数の人の目にも触れるでしょう。そのため税込表示にして、消費者にわかりやすく伝える必要があります。

・店舗内商品につける値札:商品につける値札やパッケージでの印字、陳列棚での価格は、税込表示にする

・店舗内や店頭で掲示するポスターやチラシ:税込表示が必要

広告の類い

世間ではテレビや新聞、Webサイト上やフリーペーパーなどさまざまな広告で、商品やサービス、キャンペーンやイベントを告知しています。こうした媒体も不特定多数の人が目にするため、税込表示が必要になるのです。もちろん見積もり例の提示であっても税込表示にします。

看板の類い

街中にある看板も税込表示の対象です。よく目にしやすいのはガソリンや灯油といった看板でしょう。この場合、単位ごとに税込表示にします。また量り売りでいくらか、といった価格を示す際も、税込表示が必要です。

税込表示の場合、どう価格を記載すればよい?

ではどのように価格を税込表示すればよいのでしょう。国税庁では、下記のような表示を「税込表示」として認めています。なお下記は10%が適用される例です。
・11,000円
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10%)
・10,000円(税込価格11,000円)

実は「11,000円」でも、国税庁の例として挙げられているため問題ないといえます。しかし(税込)で明確に税込価格と表記したり、消費税や税抜き価格がいくらか表示したりしたほうが、消費者にも正確な税込価格が伝わりやすいでしょう。

外税と内税

税を表記する際、外税と内税という言葉があります。前述した税込表示の例からみてみましょう。
・外税:10,000円+税1,000円 税を別個表記した表示のこと
・内税:11,000円(税込) 税を含んだ総額表示のこと

事業者に関係の深い消費税について

事業者に関係の深い税のひとつに消費税が挙げられます。消費税とは、商品の販売やサービスの提供といった取引をした際に課せられる税金のこと。消費税は基本、消費者側で支払い、納付は事業者側が行います。世の中にある多くの取引に課せられる税金といえるでしょう。

買う側が税を払う「特定課税仕入れ」

消費税は一般的に、サービスや商品を提供する側事業者が納めるとお伝えしました。しかし特定課税仕入れでは、買う側が消費税を納めるのです。
詳細は「消費税の特定課税仕入れとは?仕入税額控除の際の注意点」を参照してください。

仕入税額控除

仕入税額控除とは、売上に係る税額から仕入れに係る税額を差し引く制度のこと。

事業者は基本、消費税を納付します。しかし生産や委託といったすべての段階で課税してしまうと、人によっては何重にも税金を払う状況になりかねません。よって課税が重複しないよう、それぞれの取引でこうした仕入税額控除をしているのです。

詳細は「消費税仕入税額控除の計算方法2つと、個別対応方式と一括比例配分方式、変更のタイミングを解説」を参照してください。

2023年から始まるインボイス制度とは?

インボイス制度とは、今後仕入税額控除をするには、適格請求書が必要になる制度のこと。2023年10月から始まります。現在適用されている「区分記載請求書等保存方式」から、「適格請求書等保存方式」に代わり、これまでの請求書に追加される項目があります。

詳細は「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法」を参照してください。

請求書に税込表示の義務化は適用される?

ここまで税込表示が義務化されたとお伝えしました。さて請求書には税込表示が義務化されるのでしょうか。その答えはNOです。請求書は「もとから価格を表示する媒体」ではありません。よって税込表示の義務化における対象にならないのです。

システムの導入で、請求書を上手に管理!

2021年から義務化された税込表示。そのため商品やサービスの表示を慌てて変更した企業も多く存在したでしょう。しかし同じように価格を表示するものでも、実は見積書はこの義務化から外れているのです。

なお請求書は、2023年10月から始まるインボイス制度により、変更が生じます。たとえば「仕入税額控除をするには適格請求書が必要」「適格請求書は、適格請求書発行事業者として登録された事業者でないと発行できない」などです。

もし請求書の管理が難しい場合は、請求書管理システムの導入を検討してみましょう。たとえば「BtoBプラットフォーム 請求書」なら、インボイス制度に対応。インボイス制度導入後も安心して、請求書の作成や管理、保存を進めていけます。

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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