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デジタル課税とは?導入の理由や仕組み、グローバル・ミニマム課税とともにわかりやすく

2023年、「デジタル課税」という新たな税金の導入が見込まれています。このデジタル課税とは、一体どんな制度なのでしょうか。ここでは、導入の方向で進んでいる理由やその仕組み、そして、併せておさえておきたいグローバル・ミニマム課税について解説します。

デジタル課税とは?導入の理由や仕組み、グローバル・ミニマム課税とともにわかりやすく

最終更新日:2022年9月13日

目次

デジタル課税とは?

デジタル課税とは、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含めた136カ国・地域で2023年から導入される、「工場や支店を持たず国外進出を進めている企業」に課税する仕組みのことです。

デジタル課税が導入の方向で進んでいる理由

なぜデジタル課税は導入の方向で進んでいるのでしょう。ここでは、その背景を解説していきます。

① 制度が追いついておらず、一部企業に課税ができなかったため

これまで企業が国外進出する際、その多くが支店や工場を設置していました。こういった状況では、その企業が生み出した事業所得について、課税できます。しかし昨今見られるGAFA(※)といった巨大IT企業の場合、支店や工場を持たないため、課税ができませんでした。

まずGAFAのほとんどが、物理的な在庫を抱えません。提供するのはインターネット上でダウンロードするアプリケーションやツールといったサービスです。こうしたアプリケーションやツールは、一度作ればコピーや改訂もかんたんですので、物理的な在庫を抱える企業に比べてコストも低くなります。

よって大きな利益を生み出せるにもかかわらず課税が適切にできなかったため、問題が生じていたのです。

もう少しわかりやすくするため、日本を例に見ていきます。たとえば、日本国内で海外企業が事業を展開していたとしましょう。その海外企業が支店を日本国内に有していれば、日本は課税できます。しかし支店を日本国内に有していない場合、日本は課税できないのです。

※ GAFAとは?
GAFAとは、アメリカにある巨大IT企業の総称です。Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)の頭文字を取ってGAFAと呼ばれています。

いずれも耳にしたことのある巨大IT企業でしょう。なおGAFAにMicrosoft(マイクロソフト)を追加して、GAFAM(ガーファム)と呼ぶこともあるのです。

またGAFAは、その利益の巨大さから疑問視されたり説明を求められたりする点も多くあります。たとえばアメリカでは、独占禁止法にもとづいてGoogleが提訴されました。また、AmazonやFacebook、Appleも下院司法委員会が開いた公聴会にて、幹部に説明が求められるといった出来事もありました。

② 税収の低下や企業間競争を妨げるため

軽課税国へ所得を容易に移転できる点も問題となっていました。当然、本社がある国の税収は下がりますし、企業を誘致するために法人税の引き下げを行う国も一定数でてきます。こうなるとさまざまな国で税収が減るため、国家としての収入そのものにダメージが生じるのです。また、本社がある国での法人税の負担が軽くなったことによって、適切な企業間競争も損なわれてしまう事態を招きました。

以上のような、課税ができない、あるいは、適切な企業間競争を妨げてしまう、という問題点を省みて、多国籍企業グループへの課税として「デジタル課税」の導入に向かっています。

デジタル課税、仕組みはどうなっている?

そもそもデジタル課税はどのような仕組みになっているのでしょう。

デジタル課税の対象は?

下記の条件を満たす場合、デジタル課税の対象になります。

・売上高200億ユーロ超(制度開始から7年後に再検討。問題なければ100億ユーロに引き下げられる)

かつ、利益率10%超

・多国籍企業グループ

課税権はどうなる?

これまで課税権は、企業本社のある国に存在していました。しかしデジタル課税が導入されると、商品やサービスを利用する国に課税権が移転されることになります。

利益の配分はどうなる?

デジタル課税が始まると、超過利益(利益のうち売上の10%を超える部分)の25%が、多国籍企業グループの市場国(日本円でおよそ1.3億円以上となる100万ユーロ以上の利益を得ている国)に、多国籍企業グループの市場国での利益に応じて配分されます。


デジタル課税とともに覚えておきたい「グローバル・ミニマム課税」


デジタル課税以外にも、対象となった企業に対して最低税率を15%とすることが定められる「グローバル・ミニマム課税」の導入が検討されています。法人税率が低いタックスヘイブン(避税地)に子会社を設立している企業に対する課税を強化することが目的です。

グローバル・ミニマム課税の対象となる企業

グローバル・ミニマム課税の対象企業は、下記のとおりです。

・多国籍企業グループ

・連結売上高7.5億ユーロ

グローバル・ミニマム課税の仕組み

グローバル・ミニマム課税の対象になると、国際的に合意形成された最低税率の15%以上の税率にて課税がなされます。たとえば実効税率が15%未満の国に子会社がある場合、その所得は親会社がある国にて、15%まで引き上げられて課税されるのです。

もし親会社が軽課税国にあるといった状況のため、所得を合算するルールが適用できないときは、例外として「連結グループ内の支払いは税務上の費用として認められなくなる」のです。

デジタル課税で法人税収増が可能に

デジタル課税が導入されると、これまで課税することができなかった企業に課税することができます。課税による税収は、その企業が市場とする様々な国に分配されます。こうして不公平感が生じていた部分も整えることが可能になります。

また、これまで整備が追いついていなかったデジタル事業の法律が整備されることで、適切なデジタル事業がより一層増えると考えられます。

ただしデジタル課税を導入するには、OECDを締結しなくてはなりません。


監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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