
最終更新日:2026年3月11日
経理業務において固定資産の処理は重要な業務のひとつですが、「一括償却資産」と「少額減価償却資産」の違いや、実務での仕訳方法に迷う方も多いのではないでしょうか。
特に中小企業や個人事業主にとっては、税務上のメリットを最大限に活かしつつ、事務処理を効率化することが求められます。
そこで今回は、一括償却資産の定義や適用要件、少額減価償却資産との違い、仕訳方法、さらにメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
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目次
- 一括償却資産とは20万円未満の資産を3年で均等償却する制度
- 一括償却資産の適用要件
- 一括償却資産と少額減価償却資産との違い
- 一括償却資産として扱うメリット
- 事務処理を簡素化できる
- 通常より早期に費用計上できる
- 固定資産税を削減できる
- 資金繰りを改善できる
- 一括償却資産のデメリット
- 資産の除却を自由に行えない
- 少額減価償却資産の特例と比べて初年度の節税効果が限定される
- 償却方法の変更ができない
- 一括償却資産の仕訳方法
- 決算調整方式
- 申告調整方式
- 一括償却資産の注意点
- 税込・税抜経理で金額が変わる
- 取得時期に関わらず一律償却となる
- 少額減価償却資産の特例と併用できない
- 一括償却資産の活用には、正しい理解とデジタル管理がカギ
- よくあるご質問
- 一括償却資産と少額減価償却資産の違いは何ですか?
- 一括償却資産に該当する取得価額の範囲はいくらですか?
- 一括償却資産のデメリットは?
一括償却資産とは20万円未満の資産を3年で均等償却する制度
一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産を、使用を開始した事業年度から3年間で均等に償却できる制度です。一括償却資産は通常の減価償却とは異なり、資産の種類や耐用年数に関係なく、3年間で3分の1ずつ償却するため、実務上の負担を大きく軽減できる点が特徴です。
一括償却資産の最大のメリットは、償却資産の管理と会計処理の簡素化にあります。 例えば、同じ金額のパソコンや什器を購入した場合でも、通常であれば耐用年数にもとづき取得月から月数を数えて月割計算を行う必要がありますが、一括償却資産であれば年次ごとに3分の1の金額を計上するだけで完了します。
減価償却費の計算は以下のように行います。
- <15万円の事務機器を購入した場合>
- 1年目:15万円×1/3=5万円
- 2年目:同上
- 3年目:同上
※減価償却の詳細は下記の記事もご覧ください。
一括償却資産の適用要件
一括償却資産を適用するためには、まず資産そのものが以下の条件を満たしている必要があります。
- <一括償却資産の適用要件>
- ・取得価額が20万円未満であること
- ・減価償却資産であること
- ・事業の用に供した資産であること
一括償却資産は、法人だけでなく個人事業主も利用できる制度です。また、青色申告・白色申告を問わず適用できるため、企業規模や申告形態に関係なく幅広い事業者が活用できます。
中小企業者等のみに限定される「少額減価償却資産の特例」とは異なり、すべての事業者が対象となる点が大きな特徴です。少額減価償却資産の特例については後述します。
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一括償却資産と少額減価償却資産との違い
一括償却資産と少額減価償却資産はいずれも、取得金額が比較的小さい固定資産に対して簡易的な償却処理を認める制度ですが、適用対象や償却方法、税務上の扱いには明確な違いがあります。
主な相違点を以下の表で整理します。
- ■一括償却資産と少額減価償却資産との違い
-
項目 一括償却資産 少額減価償却資産 対象金額 20万円未満 30万円未満
※40万円未満に引き上げ予定償却方法 3年均等償却 取得年度に全額損金算入 対象者 全法人・個人事業主 中小企業者等※のみ 年間上限 なし 300万円 適用期限 なし 2026年3月31日まで
※2029年3月31日まで延長予定償却資産税 申告不要 申告必要
※資本金1億円以下の法人、従業員500人以下の個人事業主等。なお、令和8年度税制改正大綱において、従業員要件は400人以下に変更される予定
一括償却資産はすべての事業者が利用可能で、取得した資産を耐用年数に関係なく3年均等償却するため、会計処理が簡素化されます。
一方、少額減価償却資産の特例は中小企業者等に限定され、30万円未満なら即時全額損金算入が可能ですが、年間300万円の上限に注意が必要です。
一括償却資産は、少額減価償却資産の特例が使えない企業や、年間300万円を超える少額資産の購入がある場合に有効です。また、一括償却資産は償却資産税の申告が不要なため、固定資産税の負担を抑えたい場合にも活用できます。
なお、10万円未満の資産については、そもそも固定資産として計上せず、購入時に全額損金算入が可能です。このため、取得価額によって適用できる制度が変わる点に注意しましょう。

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一括償却資産として扱うメリット

一括償却資産は、通常の減価償却に比べて経理処理が簡素化されるだけでなく、節税効果や資金繰りの安定にも効果を発揮します。ここでは、対象資産を一括償却資産として扱うメリットを解説します。
<一括償却資産として扱うメリット>
事務処理を簡素化できる
一括償却資産は、資産ごとの耐用年数や月割り計算が不要となるため、経理処理がシンプルになります。通常の減価償却では、資産の種類や耐用年数に応じた複雑な管理が必要ですが、一括償却資産では3年間で均等に償却すればよいため、処理が容易です。
事務機器や什器などの複数の資産を購入した場合でも、すべて同じルールで処理できるため、台帳管理や仕訳作業の手間が大幅に削減され、経理業務の効率化につながります。
このように、日常業務の負担を減らし、経理業務の生産性向上に貢献する制度といえるでしょう。
通常より早期に費用計上できる
一括償却資産では3年という短期間で全額を損金算入できるため、初年度から節税効果が期待できます。
通常であれば、資産の耐用年数に応じて長期間にわたり費用計上を行う必要がありますが、一括償却資産なら年次ごとに3分の1ずつの損金処理が可能です。
固定資産税を削減できる
一括償却資産として処理した場合、償却資産税(固定資産税)の申告対象から除外されるため、税負担を抑えられる可能性があります。
通常、減価償却資産は償却資産として地方自治体への申告義務があり、課税標準額の合計が150万円以上になると、毎年1.4%の償却資産税が課税されます。しかし、一括償却資産として処理した資産は、この償却資産の合計額に含めません。
そのため、20万円未満の資産を一括償却資産として処理することで、その分の償却資産税の課税対象から外れます。ほかの償却資産の合計額が150万円以上であっても、一括償却資産として処理した部分については償却資産税が課されないため、制度を活用することで税負担の軽減につながります。
資金繰りを改善できる
一括償却資産は3年間で均等償却することによって、毎年の損金計上額が安定し利益の平準化が図れます。
これにより、年度ごとの税負担の見通しが立ちやすくなり、キャッシュフローの安定にもつながるでしょう。
経営計画や予算管理の精度を高めたい企業にとっては、大きなメリットといえます。
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一括償却資産のデメリット
一括償却資産には多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
<一括償却資産のデメリット>
資産の除却を自由に行えない
一括償却資産は複数の資産をまとめて償却するため、個別資産ごとの除却処理ができません。
通常であれば、不要になった資産はその都度除却損として計上できますが、一括償却資産では、残存簿価の処理が制限されており、途中での即時除却は認められていません。
例えば、3年の償却のうち2年目に特定の資産を廃棄したとしても、その残存簿価を即時に損金算入することは認められず、予定通り3年での償却を継続する必要があります。
廃棄・売却時も残存簿価を3年かけて償却し続けなければならない点には注意が必要です。
少額減価償却資産の特例と比べて初年度の節税効果が限定される
一括償却資産を選択した場合、購入初年度に計上できる経費は取得価額の3分の1に限られます。
一方、中小企業者等が利用できる少額減価償却資産の特例では、30万円未満の資産を購入年度に全額経費計上できるため、初年度の節税効果は少額減価償却資産の特例のほうが高くなります。
例えば、15万円のパソコンを購入した場合を比較してみましょう。
- ■15万円のパソコンを購入した例
-
制度 初年度の経費計上額 少額減価償却資産の特例 15万円を購入年度に全額経費計上 一括償却資産 購入年度は5万円のみ経費計上(残り10万円は翌年度以降に分割)
このように、一括償却資産では節税効果が3年間に分散されるため、単年度での税負担軽減効果は小さくなります。
償却方法の変更ができない
一括償却資産として処理を開始した資産は、途中で定額法や定率法などほかの減価償却方法へ変更することはできません。
そのため、資産ごとの状況にかかわらず一括償却資産を選択したら、3年間の均等償却を最後まで継続することが求められます。
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一括償却資産の仕訳方法
一括償却資産の会計処理においては、決算書上に償却費を計上する方法として、「決算調整方式」と「申告調整方式」の2つが存在します。
それぞれの仕組みと特徴を理解し、企業の運用実態に合った方法を選ぶことが重要です。
決算調整方式
決算調整方式では、3年間すべての年度で同じ金額を減価償却費にします。なお、取得したのが年度の途中でも、月割で計算はしません。
例えば、1台15万円のパーソナルコンピュータを3台買ったとすると、下記のような仕訳になります。
- ■購入時の仕訳
-
借方 貸方 一括償却資産 450,000 現金 450,000
- ■決算時の仕訳(1年目)
-
借方 貸方 減価償却費 150,000 一括償却資産 150,000
- ■決算時の仕訳(2年目)
-
借方 貸方 減価償却費 150,000 一括償却資産 150,000
- ■決算時の仕訳(3年目)
-
借方 貸方 減価償却費 150,000 一括償却資産 150,000
申告調整方式
申告調整方式は、法人税の確定申告書で減価償却費を扱う方法です。この方式では、買ったときは消耗品や事務用品といった科目を使います。そのため一括償却資産の勘定科目を使いません。
- ■購入時の仕訳
-
借方 貸方 消耗品 450,000 現金 450,000
- ■決算での仕訳
- 決算での仕訳は必要ありません。減価償却費の処理は、確定申告書上で申告調整を行います。
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一括償却資産の注意点

一括償却資産は便利な制度ですが、適用にあたっては注意すべき点も存在します。ここでは一括償却資産の注意点を解説します。
<一括償却資産の注意点>
税込・税抜経理で金額が変わる
取得価額の判定は、経理処理の方式によって基準が変わります。税抜経理方式を採用している場合は「税抜金額」、税込経理方式では「税込金額」で判定します。
この違いにより、同じ資産でも一括償却資産として処理できるかどうかが異なる場合があるため、経理方針にもとづいた正しい判断が必要です。
取得時期に関わらず一律償却となる
一括償却資産は、使用を開始した月に関係なく、年度内に取得した資産については一律で取得価額の3分の1を償却します。
通常の減価償却では使用開始月に応じた月割計算を行うため、期末近くに取得した資産は当期の償却費が少額になりますが、一括償却資産では年度末に取得した場合でも3分の1を償却できます。
裏を返せば、期首に取得しても期末に取得しても償却額が変わらないということです。取得時期にかかわらず償却額が一定になる点を踏まえたうえで、資産の取得計画を立てることが大切です。
少額減価償却資産の特例と併用できない
中小企業者等の場合、30万円未満の資産については、少額減価償却資産の特例を選択することも可能です。
ただし、同一の資産に対して両方の制度を併用することはできないため、どちらか一方を選択する必要があります。
初年度の節税効果を重視するなら少額減価償却資産の特例が有利ですが、年間300万円の上限に達している場合や、償却資産税の負担を避けたい場合は一括償却資産を選択するといった使い分けが求められます。
一度選択した方法は変更できないため、資産ごとに最適な制度を見極めることが重要です。
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一括償却資産の活用には、正しい理解とデジタル管理がカギ
一括償却資産は、取得価額が20万円未満の減価償却資産を、3年間で均等に償却できる制度です。資産の種類や耐用年数を問わず処理できるため、経理実務の負担軽減や償却資産税の負担軽減が期待できます。
少額減価償却資産の特例や、通常の減価償却制度との違いを正しく理解し、自社の経営状況や税務戦略に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
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よくあるご質問
Q. 一括償却資産と少額減価償却資産の違いは何ですか?
一括償却資産は10万円以上20万円未満の資産が対象で、3年間で均等償却します。一方、少額減価償却資産の特例は中小企業等が対象で、30万円未満(※今後40万円未満に引き上げ予定)の資産を購入した年に全額経費にできます。一括償却資産は償却資産税が非課税ですが、少額減価償却資産は課税対象になる点も違いです。
詳細は「一括償却資産と少額減価償却資産との違い」をご覧ください。
Q. 一括償却資産に該当する取得価額の範囲はいくらですか?
一括償却資産として処理できるのは、取得価額が「10万円以上、20万円未満」の減価償却資産です。この範囲内の金額であれば、パソコンやオフィス家具など資産の種類を問わず、本来の法定耐用年数に関係なく3年間で3分の1ずつ均等に経費計上(減価償却)することが税法上認められています。
詳細は「一括償却資産の適用要件」をご覧ください。
Q. 一括償却資産のデメリットは?
購入した年に全額を経費として落とせず、3年間に分けて償却するため、短期的な節税効果(利益の圧縮)を狙う場合には不向きです。また、3年以内にその資産を廃棄や売却した場合でも、残存簿価をその年に一括で経費(除却損)にすることはできず、原則として残りの期間もそのまま償却処理を続ける必要があります。
詳細は「一括償却資産のデメリット」をご覧ください。
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監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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