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【インフォマート × invox対談】経理DXの有力SaaS経営者が見る「デジタル化」の現在と未来:前編

コロナ禍を経て日本のデジタル化は堰を切ったように進み始め、電子帳簿保存法改正やインボイス制度導入によってデジタル化への関心は高まりつつあります。一方で、思ったようにはデジタル化に取り組めていない企業もあり、特に取引先への影響もある請求書周りでの取り組みがボトルネックになっているケースもあります。 経理DXの有力SaaS経営者が見る「デジタル化」の現在と未来について、株式会社インフォマートの取締役 木村慎氏と、株式会社invoxの代表取締役 横井朗氏に、モデレーターとして株式会社BYARDの代表取締役 武内俊介氏を迎え、語り合ってもらいました。

【インフォマート × invox対談】経理DXの有力SaaS経営者が見る「デジタル化」の現在と未来:前編

最終更新日:2024年5月10日

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BtoBプラットフォーム 請求書』は、国内シェアNo.1* の電子請求書システムです!

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ご利用企業100万社以上
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請求書の発行も受け取りもデジタル化

目次

デジタル化を推進する両社、それぞれの強みとは?

武内:本日は経理DXの有力SaaS経営者対談ということで、企業の「デジタル化」やデジタル化した先にある働き方などについて、インフォマート取締役の木村さん、invox代表取締役の横井さんに大いに語っていただこうと考えています。まずは、両社のサービスについて簡単にご説明いただけますでしょうか。

横井:invoxは、アナログな書類をデジタルデータにして処理をスムーズにするサービスを複数提供しています。創業時からずっと提供しているのが請求書受取サービス導入社数実績No.1(※)の『invox受取請求書』で、紙(郵送)やPDFなどの様々な形式で送られてくる請求書を取り込んでAI-OCRで処理し、その後の入力作業や会計ソフトへの連携などをスムーズにするサービスです。

他には、逆側の請求書を発行するサービスである『invox発行請求書』と、電子帳簿保存法の電子取引とスキャナ保存の要件に対応した文書管理サービスである『invox電子帳簿保存』を提供しております。

コロナ禍での「経理だけ出社しないといけない」問題や、電子帳簿保存法改正やインボイス制度導入などの環境の変化もあり、近年は非常に多くの引き合いをいただいております。

(※)株式会社富士キメラ総研『2023 SX/GXによって実現するサステナビリティ/ESG支援関連市場の現状と将来展望』(2023年8月8日発刊)<2022年度・数量>

木村:インフォマートは、企業間で発生する取引をデジタル化するサービスを提供しております。創業時の25年前から飲食店・宿泊業といった特定の業界向けの企業間取引のためのプラットフォームを提供してきており、『BtoBプラットフォーム』シリーズは企業間取引における契約書・発注書・見積書・請求書などのあらゆる書類のやり取りが、プラットフォーム上で完結するサービスです。

DXという言葉が言われる遙か前から徹底してデジタル化には向き合ってきておりまして、今でこそ『BtoBプラットフォーム』の各種書類は印刷や、PDF化が可能ですが、サービス提供開始時は印刷ボタンすらもないという徹底ぶりでした。とにかく「デジタル化によってビジネスは絶対に効率化する」という信念をもってやってきた会社です。

武内:印刷ボタンすらない、というところに「絶対に印刷させない」という強い意志を感じますね。

木村:はい、お客様からも要望がないわけではなかったのですが、特に飲食店や宿泊業という業態ですと書類を保管する場所もありません。デジタル化によるメリットしかないと私たちは考えていたので、創業時からここについて強い想いを持ってやってきたということです。

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バックオフィスのデジタル化の進捗状況は?

武内:まずはinvox社で調査をされたこちらのデータを見ていただきたいのですが、2023年10月からインボイス制度がスタートしました。請求関連のサービス各社が様々なところでアピール活動をしていたにも関わらず、約半数の企業は「発行する請求書の10割(全て)が紙の請求書である」と回答するなど、思ったよりもデジタル化が浸透していない印象を受けます。こちらのアンケート結果について、横井さんはどのようにお考えですか。

■調査概要
調査方法 インターネット調査
調査名 請求書サービスに関するアンケート
調査期間 2024年01月31日(水)~2024年02月01日(木)
調査対象 財務・経理部門に所属し、請求書の受領もしくは発行の関連業務を行っている会社員
有効回答数 412回答
割付条件 従業員 1-29名の企業に所属:103回答
従業員 30-99名の企業に所属:103回答
従業員 100-299名の企業に所属:103回答
従業員 300名以上の企業に所属:103回答

横井:そうですね、少し細かく従業員規模別に見ていきますと、紙の請求書の発行が10割(全て)の割合が、300名以上の大企業では32%、30名以上299名以下の中堅企業では約41%、30名未満では約73%という風に、大企業ほどデジタル化が進んでいるという実態も見えてきます。

30名未満の規模では発行したり受け取ったりする請求書の枚数もそこまで多くないと思うので、デジタル化しなくてもやっていける、逆に大企業では枚数が多いのでデジタル化に積極的に取り組むという傾向があるとは思います。

問題はその間にある中堅企業ですね。枚数が少ないということはないと思うのですが、いまいちデジタル化に踏み出せていない状態だといえます。

武内:コロナ禍を経て、企業のデジタル化に対する意識は変わってきたのでしょうか。

横井:先ほど、「あまりデジタル化が進んでいない印象を受ける」というコメントがありましたが、新型コロナによってロックダウンが発生する前は、もっとデジタル化に対する取り組みは進んでいませんでした。

コロナ禍で出社できなくなった期間を経て、特に請求書を受け取る方のデジタル化についての関心は高まりましたし、2024年秋の郵便料金の値上げ予定も控え、発行する方も含めて請求書のデジタル化に対する関心は今後も更に高まると思っています。

武内:逆に紙の請求書にこだわっている企業はいるのでしょうか。

横井:紙の請求書を発行されているお客様に対して、「デジタル(PDFでの発行)に変えませんか」という風にご案内すると、5〜7割ぐらいのお客様はすぐに切り替えてくださるので、そこまで強く「紙の方がいい」と思っているという印象はありません。各企業の経理同士ではなかなか「デジタル化してもいいでしょうか」といったやり取りもしないでしょうし、切り替えるきっかけがないだけかもしれません。

武内:『invox』でやり取りするお客様の傾向と、このアンケート結果は一致していますか。

横井:肌感としては概ね一致していますね。ただ、IT業界のお客様も多いので、『invox』のお客様層ではこのアンケート結果よりデジタル化は進んでいる印象を持っています。もはやIT業界では紙の請求書が届くことはほとんどありませんからね。

武内:インフォマートで接点があるお客様についてはどうでしょうか。

木村:『BtoBプラットフォーム』を導入されるお客様は大手企業が多いこともあって、アンケートの「大手企業の方がデジタル化は進んでいる」という結果は私たちの肌感と一致します。『BtoBプラットフォーム』を導入していただければ企業間の取引がオールデジタルになるので、請求書の発行側も受取側も一気にデジタル化できます。

ただ、企業間の取引なので一方の都合だけで導入できない場合もあり、そういう観点でも中間層がまだ迷っているのかな、という印象を受けますね。

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デジタル化のメリットは?

武内:本日は「デジタル化」についての対談ということでお時間をいただいているわけですが、デジタル化のメリットをインフォマートとしてはどのように考えていらっしゃいますか。

木村:まず大前提として、「デジタル化」という施策は即座に効果が出るものではありません、とサービス導入をお考えのお客様にご説明しています。紙がなくなることによって業務時間が大幅に削減できる効果は期待できるものの、既存の紙を前提としている業務フローを変更しなければいけませんし、デジタル化に対する慣れが必要になるので、ある程度の時間がかかることへのご理解が重要だと考えています。

武内:具体的にはどの程度の時間がかかるのでしょうか。

木村:感覚値ではありますが、だいたい3年ぐらいすれば馴染んでくる感じですね。現場からすると変化を求められるわけですから最初は確かにしんどい。その最初のハードルをいかに超えるかがポイントとなり、そこは企業規模や業態によって状況はかなり違います。

武内:どのような違いがあるのでしょうか。

木村:先ほど、「大企業とIT企業はデジタル化が浸透している」という話がありました。大企業は情報システムなどの専任担当者がいて、デジタル化のプロジェクトをしっかりとリードしてくれる体制がすぐに作れます。規模の問題もありますが、組織的に進めやすい傾向はあります。

また、IT企業は所属するスタッフのITリテラシーが総じて高いので、デジタル化に対する抵抗がほとんどなく、こちらもスムーズに進むと思います。

一方で、デジタル化がなかなか進まない中間層の企業群は、専門の部門や担当者をおくような余裕がありません。経理や総務の方が兼務で担当されるケースがほとんどで、本業が忙しかったり、社内をなかなか巻き込めなかったり、とブレーキがかかりがちです。

『BtoBプラットフォーム』の導入においては、機能のご提供だけではなく、担当者にしっかり寄り添って、導入をスムーズに進めていただけるようにプロジェクト全体をサポートしています。

武内:両社のサービス導入は、どのようなきっかけが多いのでしょうか。

横井:『invox』の導入の場合は、業務の効率化に取り組むためと、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法対応の2つが多いですね。

最近、ご相談が増えているケースとしては、経理の方が退職されてしまって業務が回らない、なんとかしたい、というものがあります。これまでは経理の方が1人で属人的に対応されてきたものが、後任の採用もなかなか難しく、ここでデジタル化しなければ回らないという状況に直面して、導入の意思決定をされるという形です。

本気で取り組まれると、結構早期にコスト削減効果がでるので、経営としてのインパクトも大きく、導入いただいた後の満足度は非常に高いと思っています。

木村:『BtoBプラットフォーム』は大手企業での利用が多いこともあり、大手1社が導入することで取引先数百社にも利用いただく、という図式で導入いただくケースが比較的多いです。ネットワーク効果として、お客様が増えるほどに『BtoBプラットフォーム』の認知も広がり、最近はスムーズに導入いただけることも増えております。

導入から3年ぐらいお使いいただくと、業務時間ベースで関連業務の7〜8割ぐらいの削減が可能だと考えています。ただ、急激にではなく、請求書の発行や受取は相手先もあることです。緩やかに変化していきながら、最終的にはそれぐらいのインパクトがでる、費用対効果も非常に高い投資だといえます。

武内:『invox』と『BtoBプラットフォーム』は連携サービスも提供されていますが、この連携サービスはどういった企業が導入されていますか。

木村:『BtoBプラットフォーム』は請求書や契約書などのオールデジタル化を前提としていますが、取引先との関係や社内業務の事情などで、すべてをデジタル対応に移行することに障壁がある場合などに『invox』をご活用いただいております。

最終的には、オールデジタル化によって業務上多くのメリットがでることは先ほどお話しした通りです。ただ、そうはいってもすぐにその切替ができる企業ばかりでもありません。『invox』のご利用によって、デジタル対応に完全移行するまでの過渡期の対応ができるということです。

『BtoBプラットフォーム』上でのやり取りに移行できるものは移行しつつ、紙の帳票が残る部分は『invox』で取り込んで、『BtoBプラットフォーム』に連携するという仕組みであれば、取引先にも社内にもあまり大きな負担をかけずにデジタル化を進められます。私たちとしても非常に良い連携だと考えています。

武内:デジタル化がスムーズにいかないお客様はどのようなところが多いのでしょうか。

木村:企業によって事情は様々ですが、紙を中心とした業務フローが社内外で固まってしまっている場合などは、移行に時間がかかるケースが多いですね。例えば、指定の紙伝票があったり、業界で様式が決められていたりすると、1社だけが紙をなくしてデジタル化しようとしても難しい。

また、請求書だけデジタル化されても困る、という場合もあります。見積書と納品書と請求書が3枚綴りになっていて、それで納品を管理している業務というのは現場ではまだたくさんあります。そういう事情もくみ取りながら、全体としての調整を並行して進めていくことが必要だと思っています。

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デジタル化のデメリットは?

武内:invox社ではアナログからデジタルに移行していく過渡期のケースをたくさん見られていると思いますが、横井さんの目から見て、デジタル化するデメリットというのは、何か思い浮かびますか。

横井:長期的に見ればメリットしかないとは思っています。人材獲得の面でも、デジタル化が遅れている企業は選んでもらえなくなるんじゃないかと思っていまして、例えば、「入社書類に判子を押してください」と言われるような企業には入りたくないとか、そういうことがもうすでに起こっているのではないでしょうか。

受取請求書サービスに関わらず、サービス提供者から見て単価の低い中小企業がデジタル化から置いていかれてしまっている印象があります。

例えば請求書を処理するのに月100件まで3万円から、といったようなプランのサービスでは、月50件しか請求書がないと1件の処理に600円かかる計算です。中小企業がデジタル化を進めたいと思っても「コスパが合わない」となってしまいます。価格面含め、中小企業の方々でも気軽に利用できるサービスが出てこないとこの状況は変わらないと思っており、invoxもそこに取り組んでいます。

ただ、私の感覚では「中小企業の1社に1名、経理担当が常駐している」という状況が、そもそも贅沢な状況だったと言われるように価値観が変わってくるのではという気がしています。前提としてデジタル化していなければ働いてくれる人がいない、業務が処理できないといった状況になってもおかしくないと思います。

武内:たしかに人手不足の話は前にも増して聞くようになりましたよね。特に経理などの専門職の人材は、いったん前任者が抜けてしまうと後任の方を見つけるのが難しいという声を中小企業ではよく聞きます。特に地方の中小企業などはその傾向が顕著ですね。

横井:請求書の処理に関して言えば、デジタル化されていれば出社する必要もありませんし、業務も効率化でき、フルタイムの経理が必要ないことも少なくありません。確かに新しいシステムを導入する際には、今までかかっていなかったコストが追加で発生するように感じてしまうかもしれませんが、人件費の低減や業務の効率化などを含めて総合的には必ずプラスの効果がでるはずなんです。

先ほど木村さんのお話でも「いきなりのオールデジタル化はハードルが高い」というお話しもありましたが、最初から完璧にやる必要はありません。『invox』のようにアナログな書類をデジタルデータにするサービスは導入のハードルはそんなに高くないので、中小企業だからこそ導入を検討していただきたいですね。

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監修者プロフィール


『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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*2023年6月現在 東京商工リサーチ調べ

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