無料オンライン相談

インボイス制度開始まであとわずか!内容と対応をわかりやすく図解で解説

2023年10月から開始されるインボイス制度。事前の申請期間を踏まえると、時間的余裕はそうありません。しかし、日々の業務に追われて対応はおろか制度もあまり理解していない担当者もいることでしょう。本記事では、図解を用いてインボイス制度の仕組みやスケジュールについてわかりやすく解説します。制度を理解し、残された時間で効率よく準備をしていきましょう。

インボイス制度開始まであとわずか!内容と対応をわかりやすく図解で解説

最終更新日:2023年01月16日

目次

インボイス制度はなんのため?

インボイス制度が何のための制度なのか、簡単に振り返ってみましょう。
まず、インボイス制度は消費税を正確に把握することを目的とする制度です。消費税の正確な把握は取引の透明性を高めるため、税負担の公平性を図る意義も持ちます。

インボイス制度の概要

インボイス制度の概要は、売手側が適格請求書を発行、買手側が適格請求書を受領することで仕入税額控除を受けられるというものです。適格請求書は従前の請求書と比べると、「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」などが新たに記載されます。

・売手側の影響

適格請求書発行事業者となることで適格請求書の発行ができます。適格請求書発行事業者は、買手の求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じます。

・買手側の影響

受領した適格請求書を適切に保存します。また、仕入れにかかった消費税額を税率ごとに正確に計算することが求められます。なお、仮に請求書の記載漏れや誤りがある場合は、訂正を依頼しなければなりません。

売手側は新たに適格請求書の要件を満たした請求書を作成しなければなりませんし、買手側は受領した請求書が適切かどうか見極め、しっかりと保存していかなければなりません。双方の事務作業は煩雑化しますが、消費税が複数税率となっている今、正確に消費税等を伝え、把握することは事業者として必要なことといえるでしょう。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き(国税庁)P1(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf)を加工して作成

インボイス制度をわかりやすく図解

企業は仕入れや販売を行う過程で、消費税の支払い・受け取りを行います。税率が異なる物品の仕入れや販売を行った場合は特に消費税額が分かりにくくなりがちです。しかし、インボイス制度の適格請求書を授受することで消費税額が明確になります。

消費税の申告・納付の流れとは

企業活動では通常、消費税を支払う場合と受け取る場合があります。卸売業者Aの場合を例に考えてみます。まず、生産・製造業者から5万円で商品を仕入れます。その際、卸売業者Aは5,000円の消費税(支払い消費税)も支払います。次いで卸売業者Aが小売業者Bに商品を7万円で売る場合は7,000円の消費税(預かり消費税)を受取ります。

卸売業者Aは、受け取った消費税7,000円すべてを申告・納税するのではなく、預かり消費税と支払い消費税の差額である「2,000円」を申告・納付することになります。

なお、小売業者Bが消費者に10万円で商品を販売した場合は、消費者から受け取る消費税は1万円です。小売業者Bは支払い消費税7,000円と、預かり消費税1万円の差額である「3,000円」を申告・納税することとなります。

※消費税率はすべて10%とします

適格請求書等保存方式の概要(国税庁)P1(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf)を加工して作成

上でお伝えしたように、多くの企業は「売手側」「買手側」双方の立場を経験します。インボイス制度においては取引ごとに自社の立場が異なります。双方の立場を理解していくと、取引先からも喜ばれる対応ができるのではないでしょうか。

買手の立場と対応

自社が「買手」になるときの一般的な立場は次のとおりです。

・消費税額を支払う側

・適格請求書等を受取る側

・仕入税額控除を行う側

ただし、取引先の状況も確認しながらインボイス制度への対応を進めなければなりません。買手として、押さえるべきは次のポイントです。

・取引相手がインボイス制度に対応するか確認する

・対応しない事業者が生じる場合は、取引を続けるか、それとも他の取引相手を探すか検討。なお、仕入税額控除を受けたいと考えるなら、インボイス制度に対応した取引相手でないとならない

インボイス制度に対応しない事業者とも取引を続ける場合、適格請求書発行事業者とそうでない事業者において税額控除の手続きを分ける必要が生じます。例えば受け取った請求書などを、適格請求書かどうかで分けて保存して、仕入税額控除の計算も分けて行います。

業務上の手間だけを考えるならば、インボイス制度に対応している事業者だけと取引をするという選択肢もありますが、未対応の事業者も今後インボイス制度に対応するかもしれません。長期的な視野で対応を検討するといいでしょう。

売手の立場と対応

自社が「売手」になるときの一般的な立場は次のとおりです。

・消費税額を受取る側

・適格請求書等の発行側

ただし、インボイス制度に対応するには手順を踏みつつ、開示時期に間に合うように準備していかなければなりません。売手としてとして、押さえるべきは次のポイントです。

・インボイス制度に対応する場合は、対応スケジュールを具体的に立てていく。免税事業者の場合は新たに消費税の納税義務が生じるので注意

・インボイス制度では、発行した適格請求書の写しの保存方法も確認

・万が一請求書にミスが生じた場合、受領側で修正することはできない。修正依頼などがきたときには速やかに対応できるようにしておく

これらの変化に手作業で対応するのは難しいため、必要に応じてITツールの導入を検討することも重要です。

現状で免税事業者の場合は「インボイス制度に対応しない」という選択肢もあるかもしれません。ただし、その場合は取引先が仕入税額控除をうけられなくなります。取引先が仕入税額控除を受けられないことを嫌い、取引を縮小させることも考えられます。

なお、取引の相手方が消費者のみの場合は、取引先(消費者)が仕入税額できるかどうかは考慮しなくとも問題ないと考えられます。取引の相手方も考慮したうえでインボイス制度への対応を考えていくといいでしょう。

請求書は電子帳簿保存法の対象書類

インボイス制度に対応する事業者の多くは、この機に電子インボイスを導入することでしょう。電子取引データで請求書をやり取りした場合、該当データを電子帳簿保存法の方式にのっとって保存しなければなりません。

また、請求書の電子化は取引先と受け渡し方法や様式などについての調整も必要です。お互いにやりやすい業務フローに落とし込めれば、業務が効率化できるため、早めに話し合っていきましょう。

インボイス制度の準備はいつから

インボイス制度の開始は2023年10月1日からですが、適格請求書発行事業者になるためには、2023年3月31日までに登録申請手続きをする必要があります。

適格請求書等保存方式 の概要(国税庁)P18(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf)を加工して作成

手続き面とともに準備しなければならないのが、適格請求書を発行できるように社内体制を整えることです。自社の請求書システムや会計システムがインボイス制度に対応しているのか、対応していない場合は対応するシステムへ移行するかどうか決めなければなりません。また、業務フローの見直しも必要でしょう。広い視野で変化を見通し、現場の業務をインボイス制度に対応させていくことが必要です。

新たなシステムを導入したい場合、コストがネックになることも多いでしょう。そのような場合は、IT導入補助金が利用できるかもしれません。IT導入補助金を利用するのであれば、補助金申請のスケジュールも確認しておきましょう。

※IT補助金については「IT導入補助金2022!通常枠とデジタル化基盤導入枠との違いやスケジュールを詳しく解説」をご覧ください。

インボイス制度を理解して準備を進めよう

インボイス制度の本来の目的は、複数税率となった消費税の詳細を分かりやすく買手側に伝えることです。しかし売手側と買手側で対応が異なるため、「理解しにくい」「何のための制度なのか」と疑問を感じる企業も多いかもしれません。

制度自体は決して難しいものではありませんが、自社だけで完結する制度でない点に注意が必要です。取引相手の立場も考慮したうえで、インボイス制度にどう対応していくか決定していくと、今後の取引がより発展するのではないでしょうか。

インボイス制度については次の記事もご参照ください。
インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法

参考:
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁(PDF)
IT導入補助金2022|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

請求書を電子化して、経理業務のコスト削減!
BtoBプラットフォーム請求書の詳細はこちら

BtoBプラットフォーム 請求書 資料ダウンロードはこちら

電帳法・インボイス制度の対応も
業務効率化もこれ一つで!

BtoBプラットフォーム 請求書
資料ダウンロード

詳しくわかる資料をプレゼント
  • 01.本サービスの概要、特徴
  • 02.導入により改善・削減できる内容の事例
  • 03.本サービスの料金体系
  • 04.他社サービスとの機能比較一覧