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適格請求書発行事業者とは?登録申請書の書き方や申請方法を解説

2023年10月1日から導入されるインボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、適格請求書発行事業者は登録番号記載の請求書を発行する必要があります。 この適格請求書発行事業者とは、どんな事業者を指すのでしょうか。また、適格請求書発行事業者として登録する場合、どのような申請手続きが必要なのでしょうか。 そこで今回は、適格請求書登録事業者として登録する場合の登録申請書の書き方や申請方法、期限などを解説します。

適格請求書発行事業者とは?登録申請書の書き方や申請方法を解説

最終更新日:2023年6月2日

目次

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インボイス制度における適格請求書発行事業者とは?

適格請求書発行事業者とは、2023年10月1日から開始されるインボイス制度において、適格請求書の発行が認められた課税事業者のことです。適格請求書発行事業者として、インボイス制度の開始と同時に適格請求書を発行するには、原則として2023年3月31日の期限までに税務署長宛ての登録申請書を作成・提出する必要がありました。しかし、それ以降の申請であっても、2023年9月30日までであれば、インボイス制度導入の2023年10月1日に登録を受けることが可能になりました。

インボイス制度とは適格請求書によって仕入税額控除を受ける制度のこと

インボイス制度は、要件を満たした適格請求書(=インボイス)を売り手側が発行することによって、買い手側が消費税の仕入税額控除を受ける制度のことです。

消費税率は、2019年の軽減税率導入によって、8%と10%が混在するようになりました。それ以降、取引における正確な消費税額と消費税率を把握しづらい状況が続いていました。

そこで、インボイス制度によって、請求書単位で税率や消費税額を明記したインボイスを通じて、請求書を発行する人(売り手)が請求書を受け取る人(買い手)に正しい消費税率と税額を伝えられるようにしたのです。

適格請求書とは?

売り手側が発行する適格請求書について、もう少し詳しく見ていきましょう。

適格請求書は、インボイス制度で定められた要件を満たした請求書などの書類です。インボイス制度で定められた要件を満たした請求書とは、従来の請求書の記載内容に加えて、軽減税率の対象品目である旨、税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)、登録番号、適用税率、消費税額などが記載された書類を指します。

適格請求書を作成する際には、2023年9月末までの経過措置として導入されている区分記載請求書等保存方式の区分記載請求書に、下記の項目を追加します。

<適格請求書作成時に区分記載請求書の記載項目以外で必要な項目>

・登録番号

・税率ごとに区分して合計した対価額(税抜または税込)および適用税率

・税率ごとに区分した消費税額など

なお、適格請求書は、請求書に限らず、必要な項目がすべて記載されている納入書、領収書、仕入明細書、レシートなどの書類を指します。インボイスの必須事項が記載されていれば、一の書類のみだけでなく、複数の書類を合わせてであっても、仕入税額控除を受けることが可能です。

適格請求書を発行できるのは適格請求書発行事業者

適格請求書発行事業者は、インボイス制度にもとづいて発行される適格請求書を発行できる事業者です。

適格請求書発行事業者になるには、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出し、審査を経て登録を受ける必要があります。適格請求書発行事業者として登録を受けた場合、登録番号や公表情報などが記載された登録通知書が税務署から送付されます。

適格請求書発行事業者になると登録番号が割り振られる

登録通知書で示される登録番号は、税務署長によって登録された適格請求書発行事業者に割り振られる13桁の番号のことです。適格請求書発行事業者の登録番号の構成は、法人事業者か否かによって異なります。

<登録番号の構成>

・法人の課税事業者の場合:「T」+法人番号(数字13桁)

・個人事業主、人格のない社団などの法人番号の指定を受けていない課税事業者の場合:「T」+数字13桁(※)

※法人以外の登録番号に使われる数字13桁は、マイナンバーや法人番号とは重複しない事業者個別の番号になります。

インボイス制度開始後、買い手側が仕入税額控除を受けるには、売り手が適格請求書発行事業者である必要があります。請求書を受け取った後、条件を満たした適格請求書発行事業者か否かを確認する際に用いられるのがこの登録番号です。

国税庁が公開している「適格請求書発行事業者公表サイト」で、受け取ったインボイスに記載された13桁の番号を検索すると、取引先が適格請求書発行事業者として登録された企業かどうかを確認することができます。

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適格請求書発行事業者の対象となるのは?

適格請求書発行事業者の対象となるのは、消費税の課税事業者に該当する事業者です。課税売上高が1,000万円を超える事業者が対象になると覚えておきましょう。従来の免税事業者が適格請求書発行事業者になるには、納税地を管轄する税務署長に消費税課税事業者選択届出書を提出し、あらかじめ課税事業者になっておく必要があります。

通常は、適用を受けたい課税期間の初日の前日(事業年度の最終日)までに消費税課税事業者選択届出書を提出すれば、翌課税期間から課税事業者となります。

ただし、2023年10月1日を含む課税期間中に適格請求書発行事業者として登録する場合、例外として登録した日から課税事業者になることができます。ただし、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑を受けた履歴がある場合、下記の2点をクリアしていないと登録することができません。

<罰金以上の刑を受けたことがある場合の適格請求書発行事業者としての登録条件>

・執行を終了している

・執行を受けなくなった日から起算して2年経過している

上記以外にも、税務署長が所定の規定にもとづいて不適と判断した場合、登録の取り消しを受ける場合もあるため注意が必要です。


適格請求書発行事業者に登録しないとどうなる?

適格請求書発行事業者として登録しない場合、売り手側と買い手側でそれぞれどのようなデメリットが想定されるでしょうか。それぞれ説明します。

売り手側のデメリット:従来の取引先から発注が受けられなくなるリスクがある

インボイス制度開始後は、取引先が「仕入税額控除を適用できる事業者かどうか」を判断基準として発注先を決定する可能性があります。これまで免税事業者として取引をしてきた売り手にとって、取引先の減少、ひいては収入の減少につながるリスクがあるといえます。

こうしたケースが予見される場合には、適格請求書発行事業者の登録を受けておくと安心です。

なお、買い手側が売り手側に対して、課税事業者になるよう要請するケースもあります。要請を行うこと自体は問題ないものの、買い手の働きかけにより、取引先が課税事業者にならざるを得ないような場合は、独占禁止法に違反する恐れがあることを覚えておきましょう。また、取引の継続を担保として、取引先免税事業者に対して不当な条件を一方的に提示して、その結果として取引の停止に至った場合なども、独占禁止法および下請法違反になる恐れがあります。

買い手側のデメリット:仕入税額控除が適用されない

インボイス制度の適用後、適格請求書発行事業者ではない事業者と取引する場合、買い手側は仕入税額控除を受けられなくなります。つまり、売り手側が適格請求書発行事業者でない場合に買い手側は損をすることになるため、適格請求書発行事業者とそうでない事業者と区分する必要があります。

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適格請求書発行事業者として登録しなくてもよいケースは?

適格請求書発行事業者にならなくても影響がないのは、下記の2つのパターンです。

<適格請求書発行事業者に登録しなくても影響がないケース>

・BtoC事業などを行う事業者の場合

・免税事業者で、消費税を上乗せしていない場合

適格請求書発行事業者になると、消費税納税の申告と納税義務が発生するため、現在免税事業者である場合は今後について慎重に判断する必要があります。


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適格請求書発行事業者の登録手順

適格請求書発行事業者に登録するには、どのように進めればよいのでしょうか。ここでは、適格請求書発行事業者の登録手順について見ていきましょう。

登録申請書を作成する

適格請求書発行事業者の登録申請書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

登録申請書に必要事項を記載し、納税地を所轄する税務署長に提出しましょう。個人事業者なら個人名、法人なら登記情報である会社名で申請します。個人事業者が屋号や主たる事務所の所在地などを公表する場合、適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書も合わせて提出しなくてはなりません。

登録申請書が完成したら、全国に12ヵ所あるインボイス登録センターのうち納税地を管轄するセンター宛てに送付、またはe‐Taxで登録の申請をします。

e-Taxで申請する場合、下記の2点を準備する必要があります。

<e‐Taxで適格請求書発行事業者に登録する場合に必要なもの>

・マイナンバーカードなどの電子証明書

・利用者識別番号など

取引先に通知する

申請書の提出後、書面送付の場合は約1ヵ月半程度、e-Taxの場合は約3週間で登録通知書が届きます。通知を受け取ったら、インボイス制度導入後も取引を継続する取引先に、登録番号と交付・受領方法について連絡しましょう。

※適格請求書発行事業者になるための登録申請書の申請方法については「電子帳簿保存法とは?対象書類・保存方法から導入時の疑問を解説」をご覧ください。

申請書の提出時期と期限は?

適格請求書発行事業者の登録手続きは、2021年10月1日からすでに開始されています。2023年10月1日の制度の開始とともに適格請求書発行事業者になるには、2023年3月31日までに申請書を提出する必要がありましたが、2023年9月30日までに実質、延長されました。

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インボイス制度にスムーズに対応するためのポイント

インボイス制度にスムーズに対応するためには、どのような準備をしておけばよいのでしょうか。ここでは、インボイス制度にスムーズに対応するためのポイントを2つご紹介します。

少しでも早く登録通知書がほしい場合はe-Taxで申請する

取引先からインボイス対応の有無を聞かれたり、少しでも早く登録番号を知りたいといわれたりした場合などは、できるだけ早く登録通知書を入手したいものです。登録通知書が到着するまでの期間を短縮するには、郵送ではなくe-Taxで申請するといいでしょう。

また、同時に電子データでの登録通知を希望しておくことをおすすめします。

インボイス制度に対応したシステムの導入を検討する


インボイス制度に対応した請求書受領システムの導入を検討することも、インボイス制度にスムーズに対応するためのポイントのひとつです。

インボイス制度が導入されると、受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているか否かを確認する作業が発生し、担当者の負担が増大します。インボイス制度に対応した請求書受領システムを準備し、システム上で一元管理できるようにしておくことは、スムーズな移行を実現する上で非常に重要です。

導入するシステムが決まったら、担当者への教育も行っておきましょう。

請求書受領システムのほか、店舗で使用するPOSレジ・POSシステム、EC管理システムなど、インボイス制度に対応するためのITツール導入はIT導入補助金の対象になります。

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適格請求書発行事業者の登録を正しく理解してインボイス制度に備えよう

インボイス制度が導入されると、買い手は適格請求書発行事業者が発行する適格請求書でないと仕入税額控除を受けることができません。そのため、取引対象を適格請求書発行事業者に絞る企業も出てくると見られ、これまで免税事業者だった場合は早めに対応の有無を決定する必要があります。

適格請求書発行事業者になると、消費税の申告・納税義務が発生するため、取引先の意向や取引全体の状況を鑑みて、登録申請の必要性を検討しましょう。     

デジタルとアナログの組み合わせでデジタル化を進められる「BtoBプラットフォーム 請求書」は、インボイス制度に対応した請求書受領システムのひとつです。

導入する請求書受領システムにお悩みの方は、「BtoBプラットフォーム 請求書」をぜひご検討ください。     

また、インボイス制度対応に必要な適格事業者登録番号の回収をスムーズに行いたい方には、「BtoBプラットフォーム 請求書」のシステム内で使える「インボイスサポートパック」の利用がおすすめです。「インボイスサポートパック」は、インボイス制度対応に必要な適格事業者登録番号の回収を一元化できるサポート機能です。適格請求書の受け取りをより効率化したいとお考えの方は、「インボイスサポートパック」のお申し込みも併せてご検討ください。

「BtoBプラットフォーム 請求書」についてのよくある質問はこちら

 

 

よくある質問

Q1.適格請求書発行事業者とは何ですか?

適格請求書発行事業者とは、インボイス制度において、税務署長宛ての登録申請書を提出することで適格請求書の発行が認められた課税事業者のことです。

詳しくは「インボイス制度における適格請求書発行事業者とは?」をご確認ください

Q2.適格請求書発行事業者になる条件は?

適格請求書発行事業者になる条件は、消費税の課税事業者に該当するということです。課税売上高が1,000万円を超える事業者が対象になります。従来の免税事業者が適格請求書発行事業者になるには、納税地を管轄する税務署長に消費税課税事業者選択届出書を提出し、あらかじめ課税事業者になっておく必要があります。

詳しくは「適格請求書発行事業者の対象となるのは?」をご確認ください

Q3.インボイスで適格事業者を登録しないとどうなりますか?

インボイスで適格事業者を登録しない場合、買い手となる取引先に仕入税額控除が適用されず、国に納める消費税が増えてしまうため、別の事業者との取引へ変更される可能性があります。買い手が仕入税額控除の適用を受けるには、売り手(登録事業者)から交付されたインボイスが欠かせません。

詳しくは「適格請求書発行事業者に登録しないとどうなる?」をご確認ください  
 

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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