
最終更新日:2026年2月5日
事業を運営する上で、消費税の納税は避けて通れない重要な義務のひとつです。その納税額を正しく計算するために不可欠なのが「仕入税額控除」の仕組みです。事業を運営する上で、消費税の納税は避けて通れない重要な義務のひとつです。その納税額を正しく計算するために不可欠なのが「仕入税額控除」の仕組みです。
この制度を理解しているかどうかで、手元に残る資金が大きく変わる可能性もあります。
特に、2023年10月から始まったインボイス制度により、仕入税額控除のルールは大きく変わりました。
そこで今回は、仕入税額控除の適用条件やインボイス制度との関係、具体的な計算方法を網羅的に解説します。
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目次
- 仕入税額控除とは、売上にかかる消費税額から、仕入れにかかった消費税額を差し引くこと
- 仕入税額控除の対象となる取引
- 仕入税額控除の適用要件
- 帳簿・請求書等の保存要件
- 帳簿への記載事項
- 請求書等への記載事項
- 仕入税額控除の計算方法
- 原則課税の場合
- 全額控除方式
- 個別対応方式
- 一括比例配分方式
- 簡易課税の場合
- インボイス制度で仕入税額控除はどう変わった?
- インボイス制度の経過措置について
- 仕入税額控除をしっかりと理解し、自社にとって適切な方法の選択を
- よくあるご質問
仕入税額控除とは、売上にかかる消費税額から、仕入れにかかった消費税額を差し引くこと
仕入税額控除とは、事業者が国に納める消費税額を計算する際に、売上にかかる消費税額から、商品の仕入れや経費にかかった消費税額を差し引く仕組みのことです。
消費税は、商品の販売やサービスの提供といった取引のたびに課税されます。もし、仕入税額控除がなければ、原材料の仕入れから製造、卸売、小売といった各段階で消費税が繰り返し課され、最終的な商品価格が非常に高くなってしまいます。
仕入税額控除は、こうした消費税の累積(二重課税)を解消し、事業者が負担する税額を適正に保つための重要な制度です。この仕組みにより、事業者は顧客から預かった消費税と、自社が支払った消費税の差額のみを納税することになります。

仕入税額控除の対象となる取引
仕入税額控除の対象となる取引は、消費税のかかる「課税仕入」です。
具体的には次のようなものが挙げられます。
- 1.商品などの棚卸資産の購入
- 2.原材料等の購入
- 3.機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入又は賃借
- 4.広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
- 5.事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
- 6.修繕費
- 7.外注費
出典:国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」
※なお、給与支払いは課税仕入れではありませんが、加工賃や人材派遣料、警備、清掃などを外部に依頼している場合は消費税が課税されるため、課税仕入れとなります。
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仕入税額控除の適用要件
仕入税額控除の適用を受けるためには、適切な帳簿と請求書等の保存が必要です。ここでは、保存要件と記載事項について解説します。
帳簿・請求書等の保存要件
仕入税額控除の適用を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- ■保存が必要な書類と保存期間
-
書類 保存期間 帳簿 帳簿を閉鎖した日(課税期間の末日の翌日)から7年間 請求書等 受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日から7年間
※ただし6年目と7年目は、帳簿または請求書等のいずれか一方の保存でも問題ありません。
帳簿への記載事項
課税仕入れを行った場合、帳簿には以下の事項を記載する必要があります。
- <帳簿の記載事項>
- ・課税仕入れの相手方の氏名または名称
- ・課税仕入れを行った年月日
- ・課税仕入れに係る資産または役務の内容 ※軽減税率対象の場合は、その旨も記載
- ・課税仕入れに係る支払対価の額 ※消費税額および地方消費税額を含む
なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れ(公共交通機関特例や自動販売機特例など)については、上記に加えて以下の記載が必要です。
- <帳簿のみの保存の場合の追加記載事項>
- ・帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
- ・仕入れの相手方の住所又は所在地 ※ただし、一定の課税仕入れについては記載不要
請求書等への記載事項
仕入税額控除の適用を受けるために保存する請求書等には、以下の事項の記載が必要です。
- <請求書等の記載事項>
- ・適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- ・課税資産の譲渡等を行った年月日
- ・課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容
- ・課税資産の譲渡等に係る税抜価額または税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額および適用税率
- ・消費税額等
- ・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
出典:国税庁「No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項」
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仕入税額控除の計算方法

仕入税額控除額の計算方法は、大きく分けて「原則課税(一般課税、本則課税)」と「簡易課税」の2種類が存在します。
事業者の課税売上高などによって、選択できる方法が異なります。
原則課税の場合
原則課税は、実際に発生した取引に基づいて納税額を計算する方法です。
事業規模や課税売上割合に応じて、「全額控除方式」「個別対応方式」「一括比例配分方式」の3つの計算方式があります。
全額控除方式では控除できる金額が仕入税額と同額となるため、納税額を直接算出する式で表します。
一方、個別対応方式・一括比例配分方式では、まず控除できる仕入税額を計算し、そこから納税額を求めるのが特徴です。
なお、計算に用いる「課税売上割合」とは、その課税期間の総売上高(課税売上高+非課税売上高)のうち、課税売上高が占める割合を指します。
- <課税売上割合の計算式>
- 課税売上割合=課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高)
全額控除方式
全額控除方式は、その課税期間中に支払った消費税の全額を控除できる、最もシンプルな計算方法です。以下の2つの条件を両方とも満たす事業者が適用できます。
- <全額控除方式の適用条件>
- ・その課税期間の課税売上高が5億円以下
- ・その課税期間の課税売上割合が95%以上
計算式は以下のとおりです。
- <計算式>
- 納税額=課税売上に係る消費税額-課税仕入等に係る消費税額
例えば、不動産賃貸収入(非課税売上)などがなく、ほとんどの売上が課税売上である多くの事業者は、この方式に該当します。
個別対応方式
個別対応方式は、課税売上高が5億円を超える事業者、または課税売上割合が95%未満の事業者が選択できる方式です。
この方式では、仕入れにかかった消費税を以下の3つに区分して計算します。
- <仕入れにかかった消費税の区分>
- ・A:課税売上にのみ要する課税仕入等に係る消費税額
- ・B:非課税売上にのみ要する課税仕入等に係る消費税額
- ・C:AとBに共通して要する課税仕入等に係る消費税額
控除額は、Aの全額と、Cに課税売上割合を掛けた金額の合計となります。
- <計算式>
- 仕入税額控除=A+(C×課税売上割合)
この方法は、経理処理が複雑になりますが、非課税売上が多い場合でも、より実態に近く、納税者にとって有利な税額を算出できる可能性があります。
一括比例配分方式
個別対応方式と同じく、課税売上高が5億円超、または課税売上割合が95%未満の事業者が選択できるもう一つの方式です。
この方式では、仕入れを3つに区分せず、課税仕入れにかかった消費税額の合計に、課税売上割合を一律で乗じて控除額を算出します。
- <計算式>
- 仕入税額控除額=課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合
個別対応方式のように仕入れを細かく分ける必要がないため、計算の手間を省けるのがメリットです。
ただし、非課税売上に対応する仕入れが少ない場合などは、個別対応方式よりも納税額が多くなる可能性があります。
なお、一括比例配分方式を選択した場合、2年間は継続して適用する必要があります。
簡易課税の場合
簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者が、事前に届出をすることで選択できる特例制度です。
簡易課税では、実際の仕入れにかかった消費税額を計算する代わりに、売上にかかる消費税額に、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を乗じて控除額を算出します。
- <計算式>
- 仕入税額控除額=売上にかかる消費税額×みなし仕入率
みなし仕入率は、事業の種類によって6段階に分かれています。
- ■簡易課税の事業区分とみなし仕入率

出典:国税庁「消費税のあらまし(令和7年6月)」
実際の仕入率よりもみなし仕入率の方が高い業種の場合、この制度を選択することで納税額を抑えられる可能性があります。経理事務の負担を大幅に軽減できるのが最大のメリットです。
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インボイス制度で仕入税額控除はどう変わった?

インボイス制度は、事業者が正確な消費税の納税額を計算するための仕組みです。2023年10月1日に導入されたこの制度により、仕入税額控除の適用要件が大きく変わりました。
現在、原則課税を採用している課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則としてインボイスの保存が必要です。
インボイスを発行できるのは、税務署に登録申請を行った「事業者」に限られます。そして、この登録ができるのは課税事業者のみです。
その結果、これまで取引のあった免税事業者からの仕入税額は、原則として仕入税額控除の対象外となっています。
なお、簡易課税を選択している事業者は、インボイスの保存は不要で、従来どおり売上高をもとに仕入税額を計算するため、この変更の影響を受けません。
インボイス制度の経過措置について
インボイス制度への移行に伴う急激な税負担の増加を緩和するため、制度開始後6年間は、免税事業者などインボイスを発行できない事業者からの仕入れについても、一定割合の控除が認められる経過措置が設けられています。
具体的には、以下の期間に応じて、仕入税額相当額の一定割合を控除できます。
- ■経過措置期間
-
書類 控除できる割合(仕入税額相当額) 2023年10月1日~2026年9月30日 80% 2026年10月1日~2029年9月30日 50%
例えば、免税事業者から110万円(消費税10万円相当)の仕入れを行った場合、2026年9月までは8万円(10万円×80%)を仕入税額として控除できます。
この経過措置を適用するためには、区分記載請求書(2023年9月まで使用されていた、軽減税率対象品目を区分して記載する請求書)と同様の事項が記載された請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存が必要です。
より詳しい情報については、以下の記事もご参照ください。
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仕入税額控除をしっかりと理解し、自社にとって適切な方法の選択を
仕入税額控除は、消費税の納税額を決定する上で重要な仕組みです。インボイス制度の開始により、課税事業者にとってその要件はより厳格化され、適切な対応が求められています。
こうした法改正により、経理部門では請求書処理やデータ管理の負担が増加しています。特に、仕入税額控除を適用するためには、取引ごとのインボイスの保存が必須となり、紙やPDFによる手作業管理では非効率になりがちです。
この課題に対応するため、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 請求書』は、インボイス制度に対応した電子請求書の発行・受取・保管をすべてデータで完結できます。仕入税額控除の対象となる取引情報を正確に管理しながら、電子帳簿保存法にも準拠した形で適格請求書を安全に保管可能です。
これにより、請求書処理の効率化だけでなく、消費税・インボイス関連業務全体の負担軽減を実現します。
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よくあるご質問
Q. 仕入税額控除とはなんですか?
仕入税額控除とは、事業者が国に納める消費税額を計算する際に、売上にかかる消費税額から、商品の仕入れや経費にかかった消費税額を差し引く仕組みのことです。消費税の累積(二重課税)を解消し、事業者が負担する税額を適正に保つための重要な制度です。
詳しくは「仕入税額控除とは、売上にかかる消費税額から、仕入れにかかった消費税額を差し引くこと」をご確認ください。
Q. 仕入税額控除を受けないとどうなる?
仕入れの際に支払った消費税を差し引くことができなくなるため、その分だけ納税額が増えてしまいます。結果として、手元に残る利益が減少し、経営を圧迫する大きな要因となります。
Q. インボイス制度で仕入税額控除はどう変わりましたか?
これまでは、請求書等の保存があれば仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度導入後は、原則として「適格請求書(インボイス)」の保存が必須要件となりました。適格請求書を発行できない事業者(免税事業者など)からの仕入れは、原則として仕入税額控除の対象外となります。
詳しくは「インボイス制度で仕入税額控除はどう変わった?」をご確認ください。
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監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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