無料オンライン相談

インボイス制度はいつから何をすべき?準備の流れを紹介します

インボイス制度は正式には「適格請求書等保存方式」といい、インボイス制度に対応した適格請求書はこれまでよりも記載すべき項目が増えます。そのため、インボイス制度への対応について「導入時期がきたら請求書の項目を増やすだけでいい」と考えている経理担当者もいるかもしれません。しかし、インボイス制度は企業の業務フローや今後の収益にも関わる可能性がある制度です。インボイス制度の事業への影響と準備すべきことを紹介します。

インボイス制度はいつから何をすべき?準備の流れを紹介します

最終更新日:2022年11月24日

目次

インボイス制度の意義と事業への影響

2023年10月1日からのインボイス制度の準備を考える際には、まずインボイス制度の意義を確認することが大切です。インボイス制度とは、より正確に消費税の適用税率や消費税額を伝えるための制度です。消費税は多くの取引において発生し、事業者は消費税を申告のうえ納税する義務を負っています。消費税の適用税率や消費税額を正確に把握することで、納税の適切化を図ることが可能です。

さらに、インボイス制度によって事業者は次のような影響を受けます。

売手側

インボイス制度に対応した適格請求書を交付するためには、前提として課税業者にならなければなりません。仮に免税事業者から課税事業者になると、消費税を納めることによって利益が減る恐れがあります。

しかし、課税事業者にならずに適格請求書に対応できないと、相手側(買手側)は仕入税額控除が受けられません。仕入税額控除が受けられないと、今度は買手側が不利益を被ることになります。そのため、買手側が「インボイス制度に対応しない事業者(免税事業者)とは取引しない」と考える可能性があります。

売手側は、収益や事業への影響を見極めて対応の可否を検討することが重要でしょう。

買手側(仕入側)

適格請求書を発行するかどうかは売手側の意思に委ねられます。すべての売手側がインボイス制度に対応していればいいのですが、対応しない売手がいる場合も考えられます。対応の可否が分かれる場合は、対応する業者とそうでない業者ごとに分けて請求書を管理することが望ましいです。

また、適格請求書を受領しないと、その取引において消費税の仕入税額控除が受けられなくなります。どうしても仕入税額を受けたい場合は、インボイス制度に対応しない事業者との取引を中止し、新たな仕入先を探すこととなります。なお、取引中止が独占禁止法上の、優越的地位の濫用にならないようご注意ください。

上記のように、インボイス制度に対応するためには、記載項目を満たした適格請求書を作成・受領するだけでは足りず、事業のあり方を見直すことや新たな業務フローの準備が必要です。次章以降、インボイス制度に対応するために必要な準備について、売手側と買手側に分けて解説します。

※インボイス制度の内容について詳しくは「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法」をご覧ください。

なお、簡易課税制度を適用している事業者であれば、仕入税額控除の対応は不要です。簡易課税制度について詳しくは「特定課税仕入れや課税対象、インボイス制度とともに改めて振り返る「消費税」をご覧ください。

インボイス制度の準備 売手側の流れ

売手側はインボイス制度において、適格請求書を発行する立場(適格請求書発行事業者)となります。売手側がすべき準備は次のとおりです。

インフォマート電子帳簿保存サービス|BP Storage サービス概要はこちら

適格請求書発行事業者の登録申請手続き

適格請求書発行事業者となるには、事前に登録申請手続きが必要です。郵送で登録申請する場合の、主な流れは次のとおりです。

1.納税地を管轄する「インボイス登録センター」へ申請書類を送付

2.税務署による審査

3.申請が通れば、登録番号等について通知および公表が行われる

※e-TAXを利用して、インターネット上から登録申請を行うことも可能

インボイス制度が開始される2023年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、原則として2023年3月31日までに提出する必要があります。

免税事業者である場合

免税事業者の場合は、事前に課税事業者になることが必要です。原則としては、消費税の免税事業者が課税事業者となるためには、所轄の税務署に「消費税課税事業者選択届出書(課税選択届出書)」を提出します。その際、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに持参・郵送・e-TAX等によって提出しなければなりません。

しかし、インボイス制度に関しては経過措置が設けられています。2023年10月1日から2029年9月30日までの日に属する課税期間中に適格求書発行事業者の登録申請をする場合は、登録を受けた日から課税事業者となることが可能です。本経過措置では、事前に課税事業者になることが不要のため、課税事業者選択届出書の提出も必要ありません。

業務フローの準備

従来の区分記載請求書と比較して「登録番号」「税率ごとに区分した消費税額等」「適用税率」など請求書の項目が変わるので対応します。また、売手側は発行した適格請求書の控えを保存する義務も負います。そのため、控えの保管場所や保管方法についても確認します。

なお、これまでExcel等で請求書を発行していた場合は、この機に請求書システムの導入も視野に入れることをおすすめします。また、現行の請求書システムがインボイス制度に対応していない場合は、システム乗り換えを検討してもよいでしょう。

取引先への告知

適格請求書を発行できることや登録番号を取引先へ告知します。またこの機会に紙の請求書から電子請求書へ切り替える場合は、やり取りのフローが変わるので、すり合わせも必要です。自社がPDF等の電子請求書を発行したいと考えても、取引先が紙の請求書を希望するケースも考えられるため、余裕を持って告知できるようにしましょう。

インボイス制度の対応は請求書のデジタル化から 資料ダウンロードはこちら

インボイス制度の準備 買手側の流れ

請求書を受け取ることになる買手側がすべき準備は次のとおりです。

適格請求書等を受け取る準備

インボイス制度では請求書のみならず、納品書や領収書も対象に含まれ、複数の書類をまたいで記載要件を満たすことも可能です。そのため、まずは取引ごとにどのような書類をやり取りしているか確認します。

また、請求書等を受け取った場合に適格請求書の要件を満たしているのか確認できるよう、要件や様式を自社社員は把握しておかなければなりません。仮に項目が不足している場合は、売手側に対して速やかに修正依頼をします。なお、適格請求書発行事業者の登録を受けているならば、売手側は修正依頼に応える義務があります。

インフォマート電子帳簿保存サービス|BP Storage サービス概要はこちら

インボイス制度開始後の業務フローの準備

取引先がインボイス制度に対応するかどうか、確認が必要です。インボイス制度に対応するのであれば、仕入税額控除が受けられますが、非対応の場合は仕入税額控除を受けられません。インボイス制度に対応する取引先と非対応の取引先が混在する場合は、請求書(取引)を分けて管理します。そうでないと、仕入税額控除の計算時に混乱が生じてしまうからです。なお、仕入税額控除の計算方法は積上計算と割戻計算がありますので、どちらを選択するかも確認します。

電子請求書サービスとは何か? とりあえずセミナー視聴を申し込む

免税事業者からの課税仕入れについて経過措置を確認

インボイス制度に対応していない免税事業者から仕入れを行う場合、原則として仕入税額控除を受けることはできません。しかし、インボイス制度開始から6年間は、課税仕入相当額に対して、一定割合を仕入税額控除として控除できる経過措置が設けられています。控除できる割合は段階的に引き下げられ、2029年10月1日で経過措置は終了します。

インボイス制度の準備にはシステムの活用がおすすめ

通常の企業活動では、企業は売手側になったり買手側になったりします。そのためインボイス制度の準備においても売手側・買手側双方の視点で進めていかなければなりません。また、請求書の発行・受取のほか、その後の管理や仕入税額控除に関する業務フローもインボイス制度に合わせた調整が必要です。

インボイス制度のために準備すべき業務は多岐にわたるため、経理部の負担は大きくなりがちです。請求書業務のシステム化が進んでいない、もしくはシステム化してはいるがシステムがインボイス制度に対応していない企業は、特に負担が大きいでしょう。その場合は、インボイス制度に対応したシステムの導入によって業務負担を軽くすることをおすすめします。請求書業務をシステム化することで、経理業務全般の効率化も実現します。


インボイス制度の準備を進める際は、経理部門の負荷増大に注意

インボイス制度の準備は、売手側・買手側双方の視点で行わなければなりませんし、取引先との調整も必要です。自社にとってどのような準備が必要なのか洗い出し、着実に準備を進めていきましょう。とはいえ、通常の経理業務と併用しながらインボイス制度の準備を行うのは大きな負担になると考えられます。経理部門の人材が疲弊しそうな場合は、システム導入による業務効率化もあわせて行ってはどうでしょう。従業員の負担に配慮しながらインボイス制度の準備をスムーズに進めていくことをおすすめします。

電子請求書サービスの『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書などのインボイスの交付・保存が可能です。制度対応だけではなく、経理業務の効率化を行うことができます。ぜひ一度ご検討ください。

参考:
郵送による提出先のご案内|国税庁
[手続名]消費税課税事業者選択届出手続|国税庁
[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
適格請求書等保存方式の概要|国税庁(PDF)

「BtoBプラットフォーム 請求書」についてのよくある質問はこちら



よくある質問

Q1.インボイス制度の義務化はいつからですか?

インボイス制度は、より正確に消費税の適用税率や消費税額を伝えるための制度として2023年10月1日から始まりました。インボイス制度開始から6年間は、課税仕入相当額に対して、一定割合を仕入税額控除として控除できる経過措置が設けられています。

詳しくは「 インボイス制度の準備 買手側の流れ」をご確認ください

Q2.インボイス制度で準備しておくことは?

インボイス制度で準備しておくことは、適格請求書発行事業者の登録申請、税務署に消費税課税事業者選択届出書(課税選択届出書)を提出する、「登録番号」「税率ごとに区分した消費税額等」「適用税率」など請求書の項目の変更、取引先への告知などです。

詳しくは「インボイス制度の準備 売手側の流れ」をご確認ください

Q3.インボイス制度をやらないとどうなりますか?

インボイス制度を導入しない場合、取引先は仕入税額の償却が受けられず、納税すべき消費税が増加します。これが原因で、取引先との契約変更・他の事業者との取引に変更する可能性が生じます。仕入税額の償却を受けるためには、登録事業者である販売者から提供されたインボイスが必要です。

詳しくは「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法 」の記事をご確認ください

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

請求書を電子化して、経理業務のコスト削減!
BtoBプラットフォーム請求書の詳細はこちら

BtoBプラットフォーム 請求書 資料ダウンロードはこちら

電帳法・インボイス制度の対応も
業務効率化もこれ一つで!

BtoBプラットフォーム 請求書
資料ダウンロード

詳しくわかる資料をプレゼント
  • 01.本サービスの概要、特徴
  • 02.導入により改善・削減できる内容の事例
  • 03.本サービスの料金体系
  • 04.他社サービスとの機能比較一覧