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消費税課税事業者とは?免税事業者や届出書の違い

日本で消費税が導入されたのは1989年(平成元年)。30年余りを経て、商品やサービス購入の度に消費税が課せられるのは、ごく当たり前となっています。消費税の支払いは、すべての「消費者」が対象です。 一方、事業者には消費税課税事業者と免税事業者の2種類があります。事業を行う者が事業者であるとするなかで、なぜ消費税課税事業者と免税事業者に分けられているのでしょうか。 今回は消費税課税事業者の対象となる場合と届出の手続き、なぜ今課税事業者がクローズアップされているのか、その理由について解説します。

消費税課税事業者とは?免税事業者や届出書の違い

最終更新日:2022年01月12日

目次

そもそも消費税の仕組みとは?

消費税は間接税方式と呼ばれる仕組みを採用しています。事業者はどのような形でかかわってくるのでしょうか。初めに消費税の仕組みについて解説します。

事業者が消費者に代わって納税する仕組み

消費税とは商品やサービスの購入において、ほぼ全領域に課せられる税金です。消費税はその名のとおり、消費に対する税金。消費活動ごとに税金を納めるのが本来の形ではありますが、各消費活動で納税するのは不可能です。

そこで消費者は、本体価格と合わせて消費税を商品やサービスを提供する事業者に支払います。事業者では国に対する税金をそこでいったん「預かった」形となり、申告の際に消費者に代わって消費税を納税するという流れを取っているのです。消費税が間接税と呼ばれるのは、こうした仕組みによるものといえます。

消費税は税負担の公平化が目的

そもそもなぜ消費税が必要なのでしょうか。消費税は、税負担の公平化を目的としています。

一般的に国民に対する税金は、収入に対して課せられます。事業や給与の所得の額によって、一定の割合で税金を支払う仕組みです。しかし給与所得に税負担が偏ると、現役世代の重税感や不公平感が増してしまいます。

そこで消費税により税負担を国民全体で幅広く分かち合って、より公平な税の徴収を図っているのです。先にも述べたように個々で対応するのは非現実的であるため、商品・サービスに税金を上乗せする間接税方式が採用されています。

消費税課税事業者とは

消費税はすべての商品やサービスに課せられているものの、事業者には「消費税課税事業者」と「免税事業者」があります。その理由と課税対象者となる条件について解説しましょう。

消費税課税事業者と免税事業者

消費税課税事業者とは、国に対して預かった形となっている消費税を、最終的に納める義務がある事業者です。これに対して免税事業者とは、消費税を納めるのを免除されている事業者を指します。

免税は「事業者の負担やさまざまなコストへの配慮から設けられた特例措置」とされています。つまり売上高があまり大きくない事業者の消費税納税にかかる、事務的な労力の軽減について配慮した措置といえます。

狙いは「売上高が小さければ預かる消費税額も少額となるため、国側も税処理への負担を軽減したい」というものです。

消費税課税事業者の対象となる条件

消費税課税事業者の対象となるのは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者です。基準期間とはひとつの課税期間にて、消費税の納税義務が免除されるかどうかを判断する基準となる期間。個人事業者の場合は前々年の課税売上高、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が対象となります。

課税売上高とは、消費税の課税対象となる取引です。この場合、事業活動に付帯して生じる取引も入ります。事業用建物の売却といった状況を必要とする場合、こちらの取引も含まれるのです。

ほとんどの場合、取引において生じる売上高が課税売上高に該当します。ただし社会保険診療報酬や土地の売却収入、住宅家賃収入といった、消費税の課税対象外となる収入については除外されるのです。

また特定期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与の支払額が1,000万円を超える場合にも消費税課税事業者となります。特定期間とは、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は原則、その事業年度の前事業年度開始の日以後6カ月の期間とされているのです。

新規設立法人は設立1期目および2期目の基準期間がないため原則、納税義務が免除されます。ただし資本金の額または出資金額が1,000万円以上である法人、特定新規設立法人に該当する法人の場合、課税対象となります。特例期間となるのは基本、前年度の期首から6カ月間です。

消費税課税事業者の手続き

課税売上高が1,000万円を超えると翌々年度から消費税課税事業者となります。消費税課税事業者の手続きについて解説しましょう。

消費税課税事業者届出手続

先に挙げた条件に従い、消費税課税事業者の対象となった場合、速やかな手続きが必要となります。ただし手続きをしなくても課税売上高の判定により自動的に消費税課税事業者となるため、納税義務は免れません。

設立時、資本金1,000万円以上で消費税課税事業者として法人設立届出書を提出している際は、消費税課税事業者として改めての手続きは不要です。先にも述べたように、課税売上高1,000万円になると自動的に課税事業者となり、納税の義務が発生します。

免税事業者でも課税事業者になれる?

売上高が1,000万円以下の事業者でも、所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を提出すると消費税課税事業者になれます。

免税事業者は消費税についての申告・納税義務はありません。しかし仕入れにかかった消費税額を控除できなくなるのです。たとえば売上高にかかる消費税よりも、仕入れ等にかかる消費税額が大きい場合、消費税課税事業者を選択したほうが差額分の還付により有利になるケースもあります。

ただし一度消費税課税事業者を選択すると、以降2年間は免税事業者に戻れません。期間内における納付と還付の差額を十分に検討してから、決めたほうがよいでしょう。

消費税課税事業者と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」

これまで売上高1,000万円以下の中小規模事業者は、免税事業者の対象となっていても特に問題はありませんでした。しかし2023年10月1日から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」 が導入されるため、消費税課税事業者への選択が増加する可能性が出てきています。

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」への移行後、取引先が仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者が交付する適格請求書が必要です。適格請求書発行事業者は、消費税課税事業者でなければ登録を受けられないという決まりになっています。

取引先の意向によっては、適格請求書発行事業者以外との取引を打ち切る可能性もあるでしょう。免税事業者の対象でも、あえて消費税課税事業者になる場合が増えるかもしれません。

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の導入では、消費税課税事業者になるための手続きに経過措置が置かれています。2023年10月1日を含む課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合、登録を受けた日から課税事業者となるため、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。

ただし適格請求書発行事業者となった場合、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、消費税の申告義務が生じるため注意しなければなりません。

※インボイス制度の詳細は、「2023年10月インボイス制度導入、免税事業者と課税事業者それぞれの対応は?」を参照ください。

消費税課税事業者への理解を深めて正しい対応を

消費税は消費者から事業者が一時的に預かっている税金です。消費税課税事業者の対象条件に当てはまる場合、自動的に消費税納税の義務が生じます。対象の目安は基準期間中における課税売上高1,000万円です。

しかし仕入額が大きい免税事業者は、消費税課税事業者になると有利になるケースもあります。また2023年から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の影響にも、注意しておきたいところです。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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